TWST × 銀魂
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力の見せ所
*神夜
少しだけ足取りが軽い。山あいを進むと、小さな小屋とトンネルが見えた。この奥にいる……確信できた。周りを見渡してもあの子達は居ない。
どうしようかと思っていると、奥から足音と叫び声が聞こえてきた。こっちに向かってきてるんだ。
「おわっ!?!お前、入学式の…」
赤い子と目が合う。何か追っかけてきてる。近い距離だから腕を引っ張る。
「来てる」
「お、おう……グリム、無事か?」
「ふなぁ〜〜〜っ」
ルチウスと違う鳴き声だ。小さい分バテやすいみたいで、一番遅い。体を抱えてエースに向かって投げる。
「……あれ何?」
「いや、こっちが聞きてえよ!……くそ、中に魔法石あったのに……」
合ったんだ。じゃあ今、アイツのことボコボコにできない。入れなくなったらこの子達が困る。
「ていうかお前は…?」
「入学式で魔力ねえって言われてた宇宙人」
「うん。神夜」
赤いのはエース、青いのはデュースというらしい。ネコはグリム。
「なんか入る気満々だけど何しに来たわけ?魔法石探しに来たわけじゃないでしょ」
「うん。アイツ、強そうだから倒しに来た」
「………は?それだけ?!」
頷く。
「手伝いはするなって。あと、生き埋めにならないようにしろって言われたから邪魔しに来てない」
「……はぁ…まぁもういいか、足止めしてくれんなら……」
そう言うとエースが立てた作戦を聞く。一度外で私が足止めして、ふた手に別れてエースたちが石を取りにもどる。ふた手で両方におびき寄せながら時間を稼いで外に出る。外で私が倒す。
「分かった」
黒くてモヤモヤしたものが近付いてきたからエースたちを下がらせて待ち構える。
「イシヲ……カエセ!!!」
「まだ取ってねえっつーの」
エースが呟く。どんどん近づくモヤをひたすら見る。
「おい、近付いてるぞ!」
デュースの声が聞こえた。このまま殴ったら、坑道に飛んでいっちゃう。それは避けたい。伸びてきた腕を避けて背中に回る。そのまま1発殴ると大きく飛んだ。
*エース・トラッポラ
早すぎて追えなかった。あっという間に地面から浮き上がるようにして背中に回った神夜は一発、たった一発。しかも魔法じゃなくて、物理。オレ達が坑道内で抗ったときはあんなにビクともしなかった巨体が軽々と森の木々を巻き込んで吹っ飛んでいった。
「中、入れるよ。あいつしかいない」
「!お、おう…行くぞ、デュース!グリム!」
呆然としてたオレらに神夜が不思議そうに声をかけてきて我に返った。明日の朝までに魔法石持って帰んなきゃいけない。それが目的だ。
デュースとグリムとで分かれ、石を目指す。
「……あいつ、あんな軽々と……」
「僕たちの魔法なんか弾き返してなのにな、あいつ」
「戦闘民族ってマジなんだな」
「嘘なら闇の鏡も言わないだろう……さっき見かけたのこの辺だよな?探そう」
あーもーまじで最悪。少し揶揄っただけだったのに、まさか退学まで言われると思ってなかった。神夜が来る前に怒鳴りあったから少し気まずい。
「お前、なんでそもそもここ来たんだよ」
「?僕は……警官になるためだ。母さんを安心させたくて」
あーよくあるよくある。たまにガラ悪いとこ隠せてねえし、元々ヤンチャしてそうなデュースを見る。母親を安心、ねえ。
「エースは?そういえば妙に他の寮にも詳しかったよな」
「兄貴いるからね、ここの卒業生」
「そうなのか?……兄弟揃ってナイトレイブンカレッジ生は、凄いな」
素直に褒められると思ってなくて言葉が出なくなる。こいつそういうとこあんだよな。
「あった!……これで間違いねえよな?」
「見して……よし、あと帰るだけだ!」
しっかりポケットに入れておく。帰りに絶対にアイツと鉢合わせするのは確実だから、声を潜めて歩く。
「グリム、平気だよな?」
「大きな物音聞こえねえってことはうまく迷ってくれてんだろ……あ、いた!隠れろ」
大きな影が見えてすぐ隠れる。そのタイミングでグリムが脇道の方から「こっちなんだゾ!」と叫んだおかけで逸れた。あとは、入れ違いになるように走って出るだけ。
「行くぞ、デュース!」
夜中走って体も、足も痛い。へとへとだし、最初怖かったし。魔法も通じねえしで割と絶望してた。
出口に行くにつれて返せ返せと追いかけてくる声が近くに来て、必死に足を動かす。外に出た瞬間、坑道内より明るくてホッとする。
「とれた?石」
「あぁ……けど、足止めするために何回か魔法使ったのにビクともしねえよ」
「さっきもわたしのことなんか置いてさっさとそっち帰ってった」
神夜は淡々とそう言う。グリムもやってきて、合流できた。
「もっと下がって、巻き込まれる」
神夜の声にデュースもグリムも下がる。距離を置いて見ていれば、石を盗られて我を忘れたゴースト…?が暴れながら坑道の入り口まで来た。
「カエセ!!カエセ!!!カエセェェェ!」
「うるさい」
親が子供に注意するみたいに神夜が一発殴る。大きく沈んだそいつはすぐに起き上がる。
「丈夫なんだゾ…!」
「けどあいつ……笑ってる」
デュースの言葉に神夜へ視線が向く。本当に笑ってる、すげえ楽しそうな顔してゴーストに向かっていく。バレるとゴーストはオレらの方に来るから、陰に隠れながら見守ってると神夜が吹き飛んだ。
「……おい!平気か?!」
「バカ、お前…!バレるだろ!!」
「だからなんだってんだよ、宇宙人でも怪我くらいすんだろ!!」
デュースが突っかかってきた。それとこれとは別だろ。
「いや、戦うって言ってんのはあいつの勝手だろ?!」
「それじゃやられてもお前は何も関係ねぇのかよ?!実際アイツが足止めしたりしてくれたから魔法石取れたんだろ!俺達だけで出来たのか?!」
「だから……ああもうお前大声出すからバレちまったじゃん!!オレらの魔法じゃ対処できねえのに…!」
「だめ」
「「!!!」」
いつの間に、オレらの足元にいた。気配も音も何も分からなった。
「あれはわたしの獲物。横から手を出すな」
「…けど、腹から血出てるんだゾ?!」
グリムの指摘で神夜が怪我をしてることに気づく。つか、なんか……服に穴空いてね?何かが貫通したような…白い服が真っ赤になってる。
「すぐ治る……あれは、魔法じゃないと倒せないの?」
「いや、あんなの見たことない……さっきは、魔法が全然効かなかった」
「……殴れるけど、手応えがない。砂を殴ってるみたいな」
「怖いことサラッと言うなよ……お前、血の量凄ぇけど…‥つか、指折れてんじゃん!」
「すぐ治る」
治る!?と見てると、すぐに神夜は指を動かし始めた。……‥は?この数秒で骨くっついたってこと??
「エースは何できるの、魔法」
「得意なのは火だけど…」
「デュースは?」
「お、僕はモノの召喚で、大釜を出すのと風を送るくらいで」
「ネコは?」
「俺様は猫じゃねえ!!俺様も。炎が得意なんだゾ」
「ただ目瞑って火ぃコントロール出来ねえの」
そうオレが付け加えるとグリムが突っかかってきた。神夜は何かを考えてるようで、しばらく黙った。
「……デュースは大釜をわたしに1個出して。それを投げて怯ませたら、出せるだけ出して。上から。
エースとグリムは足が止まったあれに火をありったけぶつけて。そうやって動きが止まったら私がトドメをさす。」
「お、おう……」
「魔力は体力削るって、モーゼスさんが言ってた。ありったけだから、集中して。エースは、グリムに何時の方向って言って炎を出す方向を指示して無駄がないように」
てきぱきと指示を出す神夜にたじろいでいると不思議そうな顔で振り返る神夜。血だらけじゃなかったら、同じくらいの女の子にしか見えねえのに……。
神夜の作戦通り、デュースが大きな釜を召喚して軽々と神夜が投げ飛ばした。人でいう頭に当たって、動きが鈍くなったところに2個、3個と召喚。重みと痛みでふらつくゴーストに向かって、オレとグリムで炎をぶつける。
フラフラになったゴーストに横から飛び蹴りして、坑道に押し戻すように吹き飛んでいった。衝撃が大きすぎて入り口は土砂崩れみてぇになって、もうちゃんと工事をしないと入れないくらい。しばらく待ってみてもうんともすんとも言わない。
「倒した。もう気配が弱い。…そのうち死ぬ」
「怖いって!!」
「神夜、ありがとう。お前が居なかったら僕たち全員退学だった」
デュースがそうお礼を言うときょとん、としてる。
「強そうなの居たから戦っただけ。…けど」
コキコキ骨を鳴らしながら伸びてるのを見ると、やっぱ宇宙人なんだな…と思わせられる。
「敵がいる目の前で喧嘩してるのはバカだと思う。そんなことしてたら死ぬ」
「「ゔっ」」
(クロウリー、戻った)
(!???!ちょ、ちょ…?!なんか貫通した痕ありませんか!?!)
(治ったから平気)
(ステイ、お前はこちらだ。学園長、そちらの駄犬共をお願いします)
(えぇ…神夜さんはクルーウェル先生と保健室へ行ってください!)
(?もう傷塞がってるよ)
(いいから来い、バカ犬)
(バカじゃない)
(バカだ)
(あの子達のほうがバカだった。喧嘩して隙だらけだった)
(あぁ、そもそも初日に退学を言い渡されるようなバカ犬には違いない。しかしお前もバカ犬だ、神夜。)