TWST × 銀魂
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棺桶の目覚め
*神夜
真っ暗な視界に敵襲?と身構えた。
けど、人の気配がしない。目の前を押すとバタン、と落ちた。扉?……いや、棺桶?
周りを見渡すと他にも棺桶がいくつもあり、すべて空だった。これから中を入れようというより、いたものが出ていったような。
「………」
「おや?貴女は……」
「……誰?」
鳥の仮面をかぶった怪しげな男がやってきて番傘を突きつける。見た目が明らかに怪しい。
「ちょ、ちょ!武器を向けないでくれますか?!……そちらの中に居たんですか?」
金具のついた手で後ろを示されるので頷く。
「起きたら蓋されてた」
「おや…困りましたねえ……ひとまず、ついてきてくださいますか?今日は我が学園の入学式なんです」
入学式、という聞いたことのない単語を話すそいつに番傘を降ろす。倒せないほどでもないけど、弱いこともない。警戒は解かずに見上げる。
「誰?」
「わたしはここの学園長の、ディア・クロウリーです。怪しくないですよ」
「怪しいよ」
「んまっ、失礼な!……コホン、貴女のお名前は?」
「神夜」
「神夜さん、ですか……ではこちらへ。ガイダンスの時間が迫っています」
ガイダンス……?
とりあえずクロウリーのあとについていく。
知らない建物、知らない匂い。
気になるものが多い。
「こらこら、こちらですよ……神夜さん!」
「これ何?」
「あとで説明しますから」
「………」
これ知ってる、銀時に何回も言われたことある。
『はいはい、後でな』『後で教えてやる』『また今度な』………絶対に忘れるやつだ。
「ケチ」
「ケチじゃありません!……こちらです、貴女最後の一人なんですから」
「最後?」
「えぇそうです、起きてくるはずの入学者の数が合わないと思って探してたんですよ」
クロウリーがそう言いながら扉を開けると同じ格好をした人が何人もいる。…数十人、いや百は越えてる…?
「なんだ?」「女の子じゃないか?」「ほんとに入学者なのか?」……なんだかいろいろ聞こえてくる。こんなに黒いのがいっぱいいると、魚みたい。
鏡の前に立つように言われて、立つ。人の顔が浮かんできたので思わず番傘を突きつけた。
*ディア・クロウリー
「ちょちょちょ!!!突きつけないでくださいってば!」
慌てて彼女と鏡の間に入る。すると鋭かった眼光が少し丸くなり、きょとんとした表情でこちらを見てくる。
「闇の鏡になんてことするんですかっ!」
「闇の鏡?」
「えぇ!学園に伝わる大事なものなんですよ!……その人の素質を見極め、寮を振り分けるんですから……攻撃されるわけではないので、じっと立っててください」
「…わかった」
会場内がとてつもなくざわめいている。それはそうだ。私だって学園長やって長いですけど、こんなこと初めてですからね。まずここは男子校…と決定つけてるわけではありませんが、自分を含めてずっと男性しか見たことありません。
「……まだ?」
『まだだ』
「遅い」
飽きてきたようでキョロキョロと周りを見渡す少女……神夜さん、を見る。幼い少女にしか見えないですが、さっき部屋で目があったときの殺意や威圧感は本物。久々に背筋がゾクッとしたものです。下手に刺激をしては命が獲られる……そう思い、接してみてはいるものの……。
『ない』
闇の鏡が呟く。
『この者に魔力はない』
ざわめきが大きくなる。
『魔力はないが、ここにいる誰よりも生命力が強く、闘争本能がある……ただの人間ではない』
視線が一気に彼女へと注がれる。慣れているのか、気にしていないのか小さく首を傾げた彼女は闇の鏡に問いかける。
「魔力って何?」
魔力を知らない、つまり魔法を使えないことが確定し、生徒たちのどよめきが大きくなる。野次るような声も大きくなったため制するように寮長たちに声がけを依頼し、彼女へ近づく。
「………そこ?」
先程彼女を「無能」だと野次った新入生がいる箇所を指差した神夜さんに嫌な予感がする。
「あの、神夜さん?……きちんと寮長が注意してますから」
「……?別に、弱いやつに手は出さないよ」
よ、弱いやつ…ですか。どこかの寮長みたく、煽ろうとしている意図や気概は全く見られない。だからこそ厄介なのだ……相手が絶対に引っかかるので。
「は…?!なんだと!?」
「おい、やめねえか面倒くせぇ……」
「キングスカラー君、きちんと止めてくださいよっ!」
よりにもよってあの子は……ヒョウの生徒だ。毛を逆立てて『弱いやつ』と放った神夜さんに詰め寄っている。それを対して止めないキングスカラー君に注意していた時。
「だって弱いじゃん、10秒ももたなそう」
彼女が青い目を細めると、鳥肌が立つような殺気が剥き出しになり隣のキングスカラー君が臨戦体制になる。彼のこんな姿を見たことがないローズハート君やアーシェングロット君は驚いた様子で彼を見ている。
「……ほら、もう腰が引けてる。足の踏ん張りもないし、パンチの1発も出ない構え」
神夜さんが新入生のおでこをトン、と突くと腰が抜けた生徒が床に崩れる。
「神夜さん、そこまでです。その殺気をしまってください……これからの!話をしましょう。
君も、無闇やたらと相手に暴言を吐いてはいけませんよ。魔力のあるなし関わらずです…キングスカラー君!」
「チッ…喧嘩売っといて威嚇されて尻尾丸めて恥ずかしくねえのかお前は………さっさと下がれ」
「貴方もそんなに威嚇しないでください、新入生なんですから……」
キングスカラー君に凄まれた彼は列に戻っていった。やれやれ、手が焼けます。そして……いま一番の、頭が痛む原因の神夜さんに向き合う。
「では……貴女は誰なんでしょう?ただの人間ではありませんね?
ここはナイトレイブンカレッジ、魔法士の養成学校です。女性が来ることは…まあ前代未聞ですが、それよりも魔力のない人が選ばれたという方が前代未聞です。過去に類を見ません」
「…魔法……」
神夜さんは小さくそう呟いたあと、また話し始める。
「わたしは、神夜。夜兎族…宇宙人」
「宇宙人?」
「宇宙人。そっちは、地球人」
指を刺された。………嘘や冗談を言ってる顔ではない、はず。
夜兎族、という単語が気になる。
「夜兎族というのは?」
「宇宙にいる私たちの民族名。戦闘民族で、ほかのとこと仲が悪い」
彼女の話によれば、あまりにも高い身体能力と力を恐れられ、故郷の星を破壊されてから絶滅の一途を辿る…と。
先程の殺気といい、ただ者ではないのはこの場にいる全員が理解したはず。問題は、なぜ彼女が棺に選ばれたのか。
「困りましたねえ………こんなことは初めてです」
宇宙人、戦闘民族の少女がナイトレイブンカレッジに。生徒としての入学は約束できないと告げる。
「別にいい。けど……クロウリーの言い方なら呼んだのはそっち。帰れるようにして」
「ゔ……そういうとこは頭回りますね……」
責任、と突きつけられると放り出すわけにもいかない。何より先程垣間見た力は相当なものだ。野放しにしたら、この島はおろか……と嫌な未来を想像してしまったので、尚更抱えるしかない。
「分かりました、ここに呼び寄せてしまった以上責任を持って私が貴女の面倒を見て、教育し、帰り道についても調査します!ほら、私優しいので」
「ふぅん」
「もう少し興味持ってくださいよ!!」
(と言うわけで、各先生の補助をお願いします。慣れてから校舎の清掃などをお願いしますからね)
(つまり体のいい監視ってわけですか、学園長)
(うぐ……すぐに私の言ったとおりにしたほうがいいとお分かりになるかと思いますよ、トレイン先生)
(トレイン?)
(先生をつけなさい……私はモーゼス・トレイン。魔法史の担当だ)
(モーゼス)
(さんか先生をつけなさい)
(モーゼスさん?)
(………まぁ、良しとしよう。神夜と言ったか?…‥人と話すときは、目を見なさい。威圧はせず)
(目?なんで?)
(聞いていますよ、というサインだからだ)
(ふぅん……)