HQ 宮(侑)
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もう我慢しやん
*宮侑
「葵ちゃん、大好きや。俺の隣おって?俺も葵ちゃんの隣おりたい」
なんでこんなトコで告白することになってん。思い返せば、冬休みの練習試合で葵ちゃんが見に来てくれとった。部内戦は何回か見に来てくれとったけど、他の強豪校との練習試合は葵ちゃん見てくれるん初めてやった。
「バーン!てすごかった!」「侑くんのトス、シュパーって!」……えらい擬音まみれやけどものすごいキラッキラした目で見上げられて、好きな子に凄い凄いって褒められて。正直悪い気せんどころかものすごい嬉しかった。葵ちゃんがお姉さんに声かけられて帰ろうとしたとき、ばり寂しくて、もっと話していたくて腕掴んだ。
「葵ちゃん」
「?」
気持ちが抑えられんくなってよお分からんすぎるタイミングで告白してもうた。幸いお姉さんにはぎりぎり聞こえへん距離やったし、周りも誰も居らんかった。
「……え…?」
葵ちゃんの顔がどんどん赤くなっていく。さくらんぼみたいでばりかわええな。
「そういう、好きやで。分かる?」
「あ、や、えっと……わ、わか、わかる?よ」
ほんまに分かってんか????慌てすぎて視線が合わない葵ちゃんに一歩近づく。
「葵ちゃんは?嫌か?……俺は、葵ちゃんと手繋いだりぎゅうって抱きしめたりしたいで、特別仲良しになってな」
「………い、ややない……」
「……ほんま?無理してへん?」
「してへん…」
掴んだ腕を下に持ってって指を繋ぐ。指先まで赤いやん、照れ屋さんやな。ほんまに嫌やったら東京のあの時とか、先輩に囲まれたときみたく表情も体も強張るはずや……けど、そういうんは一切ない。これに優越感を感じひんなんて無理やろ。
「葵ちゃん」
「……あ、侑くん、あの」
「俺んこと好き?」
「…………」
あかん、さくらんぼ超えてミニトマトや。もうこれが答えやと分かっとるけど、葵ちゃんの言葉で聞きたい。
「、す、すき……」
「ふは、随分声ちっちゃいな」
「…は、恥ずかしいんよ、ほんまに…」
「せやんなぁ、ばり顔真っ赤っ赤や……嬉しい、ほんまに。夜連絡するから、暖かくして帰りや」
「……ま、またね」
「おん」
浮かれすぎて調子こいてまだ知らん北さんに怒られたんは言うまでもない。
「なんや、やけに機嫌ええの…?葵ちゃんか?」
「おん」
「プレー褒められたとか?」
「おん……せやな」
「なんやねん、ニヤニヤしよって気色悪い……さっさと言えや」
「告白してん」
「「「…………は???!!?!」」」
「真っ赤っ赤でばり可愛かった」
「待って待って待って、情緒なさすぎない??今日告白したの?!?練習試合中に?!」
「うっさいのう、角名……タイミングは俺も予想外やってん。なんか気付いたら言ってもうてん」
「……よーーーーかったな!!!ツム!!!!今日お祝いや!!!!」
「サム、はしゃぎすぎやお前…‥なんで俺より喜んでんねん」
銀島にも角名にも、何故か泣きかけてるサムにもおめでとうおめでとう言われすぎて恥ずかしくなってきた。
夜、スマホ開いたら葵ちゃんからLINEいくつか来とる。なになに……?『侑くんのせいや』??いきなり不穏な書き出しに冷や汗ドバドバ出る。
『侑くんのせいでちーちゃんに揶揄われっぱなしや』
『茜にもバレた』
『信ちゃんひっくり返った!!!』
北さんがひっくり返った!??!……ダメや、全然想像できひん。
『信ちゃんまでちーちゃんと揶揄ってくる……』
『お祝いしてくれてんや、やったやん。葵ちゃんちの家族公認なん嬉しい』
『わ、練習おつかれさま!』
『葵ちゃんも来てくれてありがとおな、疲れたやろ。なんか跳ねとったやん』
『え?跳ねとった?!全然覚えてへん』
覚えとらんのや……オレのトスがあーだこーだ言ってくれてる時ぴょんぴょん飛び跳ねとった。ひよこかと疑ったわ。
*北葵
「も〜!ちーちゃん意地悪や!」
「なんでよお!葵の初彼氏おめでとうってお祝いしてんやんか!揶揄ってへん!!侑くんならちーちゃん文句なしや」
「やっと告ったんかっていう気持ちと今日なん?って気持ちでいっぱいやわ……デート行かんの?」
「ちーちゃん、茜も。葵爆発しそうやからほどほどにしい……よかったな、葵。兄ちゃんも嬉しいわ」
信ちゃんに頭撫でられるけどその手をゆっくり払う。揶揄ってんの丸わかりや。
「もう反抗期か?兄ちゃん悲しいわ」
「揶揄うのは誰であっても嫌や!」
「揶揄ってへん、ほんまにおめでとうの気持ちやで?……ほら牛乳プリン食べちゃいぃや」
真顔の信ちゃんからプリンを受け取って食べる。ちーちゃんは隣で神戸や大阪のデートスポット調べてる。デート……前は、体育祭終わりの時に行った。でも手繋ぐとかそういうのはもちろん無かった。
次の日、いつも通り信ちゃんについてってボール磨きして春高残る3年生が来る前に撤退。今日は2問だけ解けへんかった数学の宿題やらなあかん。誰もいない教室でテキスト広げてうんうん唸る。………なんで答え合わへんねやろ?途中式書いてへんからどうやってその答えになったのか分からへん。
「葵ちゃん、おはよー!課題やってんの?」
「アヤちゃん、おはよう!せやねん、答えが合わへんくてな……何遍やっても合わへんくて頭抱えとった」
「どれどれ?……あ〜これかぁ、ほうほう」
「アヤちゃん分かる?」
「ん〜これ、こっちの公式後で使うんよ。使う順番逆やな」
「えぇ!?そうなん?なんで??こっちが基礎やんか、基礎とこの応用の公式使う問題集では今までの計算方法で答え合っとったんやけどなぁ」
「なんかね〜授業中武センが言っとったけど忘れた……あ、1時間目ちょうど数学やん!授業前に聞いてみたら?私ももっかいちゃんと覚えときたい」
なるほど……武下先生確かにいつも授業前に早めに来るし聞いてみようかな。
ちーちゃんから貰ったお菓子をアヤちゃんにも渡していたらニッコニコの侑くんが教室に入ってきた。それはもう、入り口から一番近い子ぉも2度見して振り返ってるくらいに。
「葵ちゃん、おはよう」
「お、おはよう……?凄いニコニコやね」
「?そらそうやろ、葵ちゃんもう俺の彼女なんやもん」
「ぅえ」
「え!??!宮くん遂に付き合うたん!?」
私の情けない声は拾われず、アヤちゃんがおっきい声で言うもんやからクラス中から「ほんま!?!」「やっとかぁ〜!!」「おめでとう宮くん!」とか色々聞こえてくる。
「おん……けどあんま晒しモンにせやんとってな、見せモンちゃうしな……ふ、顔真っ赤やん」
「み、見んとって……」
なんで隣の席なんやろ……ずっと顔赤いまま武下先生に質問誌に行ったから熱があると勘違いされて、それを訂正するんもホンマに恥ずかしかった。けど答えは分かりやすくて、式の応用になると特殊な計算順になる問題練習やったみたいで、見抜き方とかも教えてもらって席に戻る。
「ん」
「…?くれるん?」
「おん、好きやんな」
チロルチョコ。お礼を言うと侑くんがまた嬉しそうに笑うからドキドキしすぎて顔が見れない。お昼の時間も治くんたちはすでに知っとったみたいで、おめでとうおめでとうと連呼された。ほんまに恥ずかしい。
「葵ちゃん、ジュース買いにいくやんな?おら、角名近いねん!離れろや」
「うわ〜〜〜ガッツリ独占欲見せてくるじゃんダル……葵ちゃん、侑ダルくなったら言いな?そのうち工藤さんにも嫉妬してそう」
「え〜同性の友情関係に口出してくる彼氏は嫌やわぁ」
「せえへんから工藤さん悪ノリせんでくれる???……あれ、財布は?」
「持ったよ!ジュース買ってきまーす」
ちゃんとポッケに入れてるよ、と財布を見せて自販機へ。
「葵ちゃん、あの……悪かった、朝の……晒しもんにするつもりはなかってん」
「え?……ふふ、分かってるよ!アヤちゃんのあんな大っきい声初めて聞いたもん」
ほんまにびっくりしたんやろな、って反応で悪気ないのは分かってるし、クラスの皆の反応も揶揄うっていうより何人かは自分ごとみたく嬉しそうな子もおった。
「自分ごとみたいに喜んでもらえるって才能だよ、侑くんは凄いなあ」
「何言ってんねん、葵ちゃんもお祝いの中に入っとるやろ?……何飲むん?今日は」
「へへ……嬉しいね。ん〜」
今日はオレンジジュース!ボタンを押してジュースを取ると侑くんも同じの買っとった。
「ここの紙パックジュースのシリーズ美味いやんな」
「ね、美味しいよね、3年生までに全制覇しようと思って」
*宮侑
アカン。ほんまに可愛い。
ちょっと見つめとったらどんどん顔赤くする葵ちゃんを表すのに可愛い以外の言葉あるか??
「なんでそんなすぐ真っ赤なるん?」
「恥ずかしいねん!」
「今更やん、俺ずっと葵ちゃんのこと見とったで……入学式の日から」
「………そ、そんな前から?」
「うん、一目惚れやってん…ほんまに一目惚れってあるんやって思ったわ」
おお、耳まで真っ赤や。可愛い〜〜!腕ん中閉じ込めてたいけど流石に葵ちゃんのキャパオーバーになりそうやし、俺自身軽いって思われたくないしぐっと手に力入れて留まる。
「けど、葵ちゃんは好きになる人はちゃんと知りたい言うとったやろ?ごもっともやな、って思って俺のこと知ってもらう間俺も葵ちゃんのこと知るようにしてん……ディズニー好きなんや、とか1回決めたらやり切る根性ある性格なんやとか」
「…そ、うなんや」
「おん、前見て?ぶつかんで」
葵ちゃんのほっそい手首掴んで少しだけ引き寄せる。恥ずかしすぎて下向いて歩いとったから渡り廊下の柱にぶつかりそうになっとった。
「ご、ごめん……ぁ〜もう、アカン……ちょっと落ち着かせて」
「ふ、ええよ?ゆっくり慣れや」
しゃがみこんだ葵ちゃんの隣に俺もしゃがみこむ。座ったら一際ちっさい。サムが「マネ入ってもらえばお前のやる気継続やん」って言っとったけど、流れ弾喰らったら折れるんちゃうか?
「はぁ……お腹空いた、ごめん、帰ろ!」
「おん」
「……あんま、見んとって」
「そりゃ無理や、かわええのに」
「………あ、侑くんて……キザやな」
「そおか?」
耳までまた赤なった葵ちゃんの手を引っ張って教室帰るとサムも角名もニヤニヤして煩かったからシバいた。
(もぉ無理や、アヤちゃん……恥ずい)
(まだ1日目やで…葵ちゃん。こっからやん)
(そうは言うても……)
(いやしっかし意外やわ〜、ほんまにな?宮くんたら今の葵ちゃんばりにすぐ顔真っ赤っかにして照れとってん)
(付き合うたらむちゃくちゃデロデロに甘やかすタイプなんやなぁ……そこがものすごい意外やったわ)
(冷静に分析せんでえぇから)
(は〜、えぇなあ彼氏!葵ちゃん、私とも遊んでや?宮くんばっかは嫌や)
(わ、分かってるよ!)
(初デートどこいくん?)
(……ま、まだ考えてへん…)
(京都とかええやん!)
(あ〜……わらびもち食べたいなあ)
(抹茶やろ〜そこは!じゃあ私とは抹茶飲みいこ!)
侑くん、練りに練って順序立ててアプローチしようと頭では思ってるのに思いの外葵ちゃんが可愛くて度々「可愛い・かわええbot」になるし、
そのたびに練ってた順序はなくなるから『なんで今?』ってタイミングで告白してそう。好きが溢れ出たタイミング。でも結果オーライでOK貰えたし、早めにやきもきせずに済んでラッキー!とポジティブ思考でいそう。
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