HQ 宮(侑)
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お休み明けの日
*北葵
「ほんまに無理せんと、何かあったら兄ちゃんにでも茜にでも言うんやで」
幼稚園から初めての小学校。前日まで楽しみでランドセル何回も背負って信ちゃんやちーちゃんに見せまわってたのに、当日の朝になって急に怖くなって行きたくないって泣いたあの日みたく信ちゃんが何度も何度も言うてくる。あの日よりかは今日の方がちょっぴり緊張してる……1週間も学校休んだん、初めてや。
「うん!大丈夫、外出たいって思えてるから」
「ええ天気やで〜今日は」
少し暑さがまだ残るけど秋に向かっている雲を見上げてると信ちゃんに「前向いて歩きや」と怒られた。
「お、おはよ…!」
「葵ちゃーん!おはよ!元気なった?」
「うん、おかげさまで……アヤちゃんおはよう」
「葵ちゃんおはよう!待っとったよ〜」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられる。アヤちゃんの背中を擦って来てくれた日のお礼をもっかいしてると、頭にぽんっと手が乗る。上を見上げるとチロルチョコがパラパラ落ちてきた。
「?!…侑くんおはよぉ、これなに?」
「おはよ、復帰祝いや。奮発してんで」
「え〜!ありがとお、いっぱい種類あるやん!どれから食べようか迷うなあ」
オーソドックスなやつに、キャラメル、メープル、プリン、バナナ、ちょこもち、いちご……むっちゃいっぱいある。意外とクラスの子ぉたちからも腫れ物扱いされんくてものすごい気が楽やった。特別扱いみたいなん、逆に居心地悪いというか、気が休まらない感じというか。先生にも1週間休んでごめんなさいって謝ったら、気にせんでって各科目のプリント貰った。むっちゃええ先生や。卒業までこの先生がいい。
さすがに1週間も空いとると数学とかは当てられても分からんくて頭を抱えるしかなかった。
「ん〜…?」
「おや、北さんが珍しい。…あ、そっか先週お休みやったもんね。基本式はこれで、応用系です。」
「あ〜……答え7であってはります?」
「合ってる!けど途中式も言ってね!」
合っとった。分かる基本式の単元で良かった……これはプリント使うて復習しっかりせなあかんわ。あっという間にお昼になり、久々にアヤちゃんとお昼ご飯食べる。今日はちーちゃんのオムライスって知ってんねん。
「ふふん」
「偉い機嫌ええやん、弁当食う前から」
「今日はな、ちーちゃんが作ってくれたオムライスやねん」
「作るん見とったん?」
「うん!茜と一緒に見とった!茜は焼肉弁当や〜って踊っとったで」
パカ、と蓋を開けるとみっっちりお肉。
「………あれ?」
「葵〜!俺の弁当……やっぱり!テレコなっとる」
「ふはっ、葵ちゃん固まってもうてるやん!」
「私のオムライス………」
「こっちこっち、俺が持っとるよ…はい交換な」
びっくりした、焼肉弁当×2になったんかと思って。食べきれんくらいお肉みっっちり入っとって絶望の意味もあって固まってしまった。未だにツボに入ってる治くんをスルーしてスプーンでオムライスを食べ進める。美味しい〜ちゃんとチキンライスや。
「美味いん?」
「うん!ちーちゃん料理上手やからね」
お菓子も作れちゃうんやからほんまに凄い。私は信ちゃんが危ないからってオーブン触らせてもらえへん。
体力もたんかも、って不安やったけど1日なんとか授業受けられた。担任の先生なんかは保健室居ってもええからね!って言ってくれたけど、なんとかなった。
『なんとか1日過ごせたで!図書室居るね』
信ちゃんにそう送って移動する。紙パックの小さいジュース買って図書室の外で休憩。ちょうどプリントいっぱいもろたし解いていく。提出してくださいって言われてはないけど、きっちり埋めて採点してほしいから職員室へ。
「失礼します、北です。」
「何年の北さんや〜?」
「1年です、あの…」
「ちょお待ち、1年やと……あかん組まで教えて」
「2組です。橋本先生居てはりますか?」
「居ますよ〜、わ!もうこんなにやっちゃったの?早いわあ、北さん」
「図書室で捗りました……これ、答えないんで採点?してほしいんですけど各教科の先生に提出した方がええんでしょうか?」
「あ〜……そやね、確か本来は週末課題とかで出しはったもんやから提出が正しいかもね……古井先生、どうでしょう?」
古文のおもろい先生や。目が合うといつもニコー!って笑うてはるんが可愛くて好きなおじちゃん先生。今もニコー!てして会釈された。手を振って会釈して受け取ってもらえた。
「私が各先生に渡しとくよ!今日は…1組の北さんと帰るんかな?」
「はい、茜と……2年のお兄ちゃんと3人で帰ろーって約束してます」
「なら安心やね、もう暗くなるの早うなってきたから気をつけて帰ってくださいね」
「はい、ありがとうございます!」
職員室から図書室へ戻ると、ウロウロしとった信ちゃんに声かけられた。
「あ、居った…‥職員室行っとったん?」
「うん、プリントわっさーって貰ってな、振り返りがてらやって終わったから……先生に出しにいっとった」
「えらいなぁ…茜ももうそろそろ終わりそうな感じやったで。荷物まとめとき」
信ちゃんに撫でられた。嬉しくてニコニコしてるともっと撫でられる。
「うん」
「今日どおやった?いつも通り楽しかったか?」
「うん!お昼な、茜のお弁当とテレコなっとってな……アヤちゃんとかに『今日はちーちゃん作ってくれたオムライスやねん!』ってドヤ顔で開けたら焼肉弁当で治くんに笑われた」
「ふ、部活でも言うとったわ……悲しそうに『私のオムライス……』って言っとったって」
「治くん明日どついとくわ」
「加減したり」
荷物をまとめて校門前で待ってると、茜が走ってくる。なんか茜もるんるんや。いい事あったんかな。
「今日むっちゃゴール決めてん、得点王」
「すごいやん」
「レギュラーも夢じゃない?」
「おうよ!先輩からもぎ取ったるわ」
3人で並んで帰って、今日のご飯はせいろ蒸しやった。温野菜大好きだから嬉しい。お風呂入って、明日の準備して。ちーちゃんと一緒の布団に入る。
「………なんか疲れたあ」
「通うんって疲れるよなあ……復帰初日から頑張りすぎたんちゃうん?」
ちーちゃんに頭を撫でられるのでぎゅうぎゅうに抱きつく。なんかこうするん、小学生ぶりや。
「前と同じようにしただけやもん」
「そっかあ…頑張りすぎは禁物やで」
「うん……ちーちゃん今日もう寝る?」
「うん、寝るよ?」
「そっか…もう卒論終わった?」
「……聞くな…聞かんでくれ…」
あ、山場なんやな。でもまだ冬にもなってへん。提出1月やって言っとったしちーちゃんなら余裕やと思う。
「早よ終わらせて遊び行こうよ」
「え!デートのお誘い?嬉しいわあ……頑張る」
「うん」
*北茜
「葵寝たわ」
ちーちゃんが部屋から出てくる。リビングには俺、母さん、信ちゃん、ちーちゃん。臨時の家族会議や。
「今日どうやった?様子」
「よぉ笑っとったで。やっぱ工藤さん居るとちゃうわ」
「治も侑も元気やったしな……葵が元気ないと侑も気持ち静かやねん」
「分かりやすっ」
「今日は行けたけど明日は無理、ってならへんか心配やわ…」
母さんがため息ついとる。葵が学校行けなくなるん誰も予想しとらんかった。小5の時も、中学の時も、落ち込んではいたけど通えてはいた。
「まぁでも…侑居るんやし大丈夫やろ。俺よりキレとったんやで?」
「あの侑くんがなぁ………いやぁ、愛やわ。…んでもお母さん、私真面目にAIRタグみたいなん導入いると思うわ。GPS」
「そうね………お父さんに聞いてみるわ」
「持つんならちーちゃんと葵やな」
「あらぁ信ちゃんほんまに優しいやん」
「当たり前やん、ちーちゃんかて変な彼氏引き連れてきたりしとおやろ」
「変なって言わないでくれる?気にしてんねん」
そういや…そうやったな、ちーちゃんの歴代彼氏で一番最悪やったんは葵にも手を出そうとしたことやな。ブチ切れたちーちゃんがビンタかましたん強烈過ぎてむちゃくちゃ覚えてる。
(信ちゃんと茜には負担かけるけど……ごめんなぁ)
(ええよ、負担って思ってへんし)
(そやなぁ……中学生の頃も言われたけど我が家の当たり前やし、お母さんは気にせんでええよ。葵が言っとったん?)
(昔ちょろっとな……お父さんだって気にしてんねんで?車でお迎えできたら信ちゃんたちも楽やのになぁって)
(まあ部活帰りに車は確かに楽やけど……お母さんであっても、ちーちゃんであっても危ないかもしれんってなって皆で警戒するんは変わらんやろ)
(信ちゃん………私あんたの結婚式ホンマに泣くわ)
(気ぃ早いわ、ちーちゃん)
(俺、葵の周りの女子が気になんねんなぁ…)
(ええ子多いんちゃうの?)
(まあ基本ええ子やし仲良くしてるんがええ子しか居らんねんけどさぁ……宮家の人気が凄くてな。ファンクラブとかあんねやんか)
(ファンクラブ…?)
(そぉなんよ、女子の間でな。葵毎日治くんとか角名くんとかとお昼食べてるんやんか、なんか僻みみたいなん言ってる子おってん)
(あ〜………それ危ないね)
(やんな?)