HQ 宮(侑)
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息抜きのお祭り
*北葵
あれ……?なんか……
「すごい日焼けしとる?」
「おん……やっぱ実力揃いの2年、3年生揃ってインハイ出てるだけあるわ、合宿ばりキツかってん……」
「久々にしごかれたなぁ」
「いや〜体力育成の走り込みとかプールとか、練習試合の鬼キツかった」
侑くん、治くん、銀島くんげっっそりしてる。そういえば信ちゃんが1年生のときも夏合宿終わりは家帰ってきてすぐ寝とったっけ……。
私は私で夏期講習があって受験に追い込んでたから、同じ家におるのに会話全然しやんくて誕生日に泣きながら話したのは覚えてるな……受験、受験!でずっと勉強して疲れてたから情緒おかしかったんやろな…。
「お疲れ様やなぁ、まだ他の高校との練習試合とかあるんやろ?」
「週2くらいで入っとるな、Aチームで出れるか分からんけど楽しみや」
「アランくんと組みたいわぁ、小さい頃以来や」
アランくん…?なんか聞いたことあるな……信ちゃんと同級生におった気ぃする。
「葵ちゃん、皆!こっちこっち……わ、葵ちゃん浴衣やぁん!かわいい〜!似合っとぉな!」
アヤちゃんだ。手を振る。ちーちゃんが昔着とったやつで、これは私もお気に入り。白地にアサガオの花の柄で夏にピッタリ。着付けもしてもろて、帯は黒地にちいこい狐がおるむっちゃ可愛いやつ。
「これちーちゃんのお下がりやねん、ようやく丈あってきてん」
「そぉなん!?ええなぁ、お姉ちゃんおるん。そういうの憧れやわ…」
「ふふふん、ええやろ」
「茜くんも来るんやんな?」
「うん!でももうちょい遅れるから先お寺行っとって〜って。茜は私とちごて方向音痴ちゃうし来れると思う」
「葵ちゃん方向音痴なんや」
「うん。ばりっばりの方向音痴!」
「ドヤ顔するとこちゃうで」
侑くんにツッコまれた。さっきも改札口反対に皆おるってなって合流すんのちょっと大変やった。アヤちゃんのお父さんに挨拶して、写真撮ってもろた。
「あら!葵ちゃんやないの〜この間ぶりやなあ。今日えらいべっぴんさんやないの」
「アヤちゃんパパ!こんばんは〜、お姉ちゃんのお下がりなんです」
「あ、お姉ちゃんもお兄ちゃんもおるんやっけ?ええなあ、仲いいんやなぁ。アヤも浴衣着れば良かったんに」
「ええの!…あ、でも……来年は葵ちゃんと合わせて着よぉかな」
「そうしよ!私が着れるんならアヤちゃんにも着れるんいっぱいあるし!新しく買いに行ってもええなあ」
出店は近所の人らでの出してるらしく、アヤちゃんひっきりなしに声かけられとった。侑くんたちはとにかく背が高いって褒められとった。
「葵ちゃん、なんか食う?」
「たこやき!」
「ほんまにたこ焼きすきやの……たこせん?」
「汚したくないからたこ焼きにする!侑くん、半分こしよ?私8個も食べたらお腹いっぱいや」
「お、ん……甘いのとかはええの?」
「アレ狙ってんねん。ラムネアイス!すごい列や」
ベタにチョコバナナとかもええけど、ひんやりしたのあるなら皆そっち行ってまうよな。
*宮侑
あっっっっかんやろ、可愛すぎる。びっくりして黙ってたらサムに背中バシィン!て叩かれた。これあれや、『褒めろ』って目や。お盆に帰省して工藤さんとこの寺のお祭り誘われてるって話したときおかんにも言われた。
『浴衣着てこようが、普段着だろうが、髪の毛結んどったり、身なりきちっと整えてくるっちゅうことは可愛く仕上げてきてんねん!ちゃんと褒めなあかんで!』
「葵ちゃん、」
「?」
「あの……かわええな、似合とる」
「ありがとう!準備大変やってん……」
「準備?」
「髪の毛とかな、ちーちゃんがもう気合入って……普通にお団子にするって言ったら『あかん!!!キラキラ足していきや!』『やっぱ簪か?!?』『今からならネイル間にあうで?!』って……」
むちゃくちゃ想像できる。ネイルもしてはるんや……浴衣のアサガオに合わせたのか、紫っぽい青色。俺の日焼けした手と比べてあまりにも白い手によう映えとる。
「ええ色やん、アサガオと同じや」
「せやねん!可愛いやろ」
ニコニコ笑って見上げてくる葵ちゃんにしゃがみ込みたい衝動やら叫び散らかしたい衝動を抑えながらなんとか受け答えする。
お腹へってへんか?と思ってなんか食うか?って言ったら即答でたこ焼き!って返ってきた。こんなふわふわでも関西の女やな…思っとったら、8個も食べたらお腹いっぱいやから半分こしよとか言われて呆然としてもうた。
たこ焼き8個でお腹いっぱい????信じられへん……。列に並んでたこ焼き買うて、ニコニコで食べとるんは可愛いけどあまりに少食すぎてまだ信じられへん。
「ほんまにお腹いっぱいなん??」
「まだ6分目くらいやで!」
たこ焼き4個で…???
「あかん、葵ちゃんが少食すぎてツムが呆然としとる」
「そんだけしか食わないの?」
「え……?普通じゃない…?皆がよう食べるだけや」
あかん、サムには渡さん。俺が半分こって言われてん。葵ちゃんが持っとるたこ焼きに爪楊枝刺して1個食う。……お、美味い。
「美味い」
「ほぉん……俺も買ってこよ」
「俺お好み焼きにしよ」
バラッバラやな。サムたちがそれぞれ屋台のモン買いにいった。
「侑くん、おかわりしやんでええの?」
「ん……やけど俺まで買いに行ったら葵ちゃん一人で待つことになるやん。サムたち帰ってきたら行くわ」
そう言ってすぐ近くの出店のとこにたこ焼きのゴミ捨てに行く。振り返ると葵ちゃんが知らん奴に声かけられとる。ものの5分やで…??
「お姉さん可愛いやん!一緒に回ろうや」
「どこ高の子なん?」
「あ、えと…友だちと来てるんで」
ナンパ野郎が葵ちゃんの腕を掴んだ。何掴んどんねん!折れちまうやろが。急いで戻って野郎の腕を掴んで力を入れると痛みで葵ちゃんから手ぇ離すそいつを見下ろす。なんでこっちがカツアゲしとるみたいな被害者面しとんねん。
「なんや、お前…!」
「ツレの一人や……サム!早よせえ!」
「……何?知り合いなん?」
「知らん人…」
葵ちゃんがそう答えたのを聞いて大量のお好み焼き持っとるサムがナンパの片っぽに顔を近づける。
「ナンパお断りやねん、他あたって」
銀島も来たことによって2人は蜘蛛の子散らすように逃げてった。
「葵ちゃん、腕折れてへんか?!」
「折れてへんよ…?そんな弱っちくないし」
痣とかできてへんか?と確認する。…おん、大丈夫そうや。出店してる人らへの挨拶回りが終わった工藤さんにナンパされてたこと伝えて、ニコイチでおって!と告げる。
「ごめんなぁ、気遣い足りひんかったわ……ここらへん、ぽろぽろヤンキーみたいな子ぉも居るから…」
遅れてきた茜にもナンパの件を告げるとやるやん!と褒められた。うっさいわ、ニヤニヤしやがって。俺もたこ焼きおかわりしてくると並ぶと茜も隣に来た。
「ほんまに……目ェ離せへんな」
「やろ?分かってくれる?……知らん奴らはみーーんな言うねん。『過保護や〜』『大袈裟や〜』『世界一の美人みたいな扱いやな』とか……」
「……最初は、過保護やと思っとったわ」
「LINEの件か?……葵と仲良うしとった女の子と、その彼氏がおってな。二人ともラブラブやってん。やけど別れるってなったとき、彼氏が逆上してな。クラスのLINEグループにその子ぉの……裸の写真とか流したんよ。ネットにもな」
「は……??」
「その子不登校になってもうてな。その話聞いたちーちゃんが、ちーちゃんの友達にも被害におうた子がおるから、厳しくハードル上げようってなってん」
「そぉなんか……たまに…テレビでは聞くけど」
「な、意外と身近にあんねん。それにな、葵が小5?とかの時に露出魔に付き纏われたりな…中学あがったら酔っぱらいのおっちゃんに家付近までついてこられたりな」
「そうなん?!」
「ちーちゃんもあんねんで。ちーちゃんも可愛いからな……やから登下校一人にするんは無理やってなってん」
空いた口が塞がらへん。そうなると全然過保護なんかやなくて、できる限りの防衛なんやと気付く。
しこたま飲みモンやらたこ焼き、ポテトフライ、肉串なんかを買って工藤さんに案内された穴場へ。ほんまに人おらへん。寺の境内や商店街は結構ガヤガヤしとったのに、ここの竹林はえらい静かや。
「ここ、ウチの私有地やねん。けど……ただの林やからベンチとか座るとことかないねんけど…花火はよう見えるんよ!」
しれっと茜が葵ちゃんの隣に俺が座るように仕向けておってとなりに座る。いやちっさ……!座ると余計にちんまい。小さい命やん。
「おー!」
「確かによぅ見えるわ」
屋根も電柱なんかもなんもあらへん。20分くらいの花火堪能して工藤さんと工藤さんのおとんに挨拶して電車に乗る。銀島は早くに乗り継ぎで降りて、俺達と葵ちゃんは結構座る……はず。そういや最寄り駅どこって言っとった…?と思い返してると、左肩に重みが来る。
「ぅえ゛…??」
葵ちゃんが 寝とる
俺の肩(ちゅーか腕)に寄りかかって 寝とる。よう見たら茜も葵ちゃんに寄りかかってぐーすか寝とる。
「………」
「ツム、写真撮ったるわ。動かんとき」
「あかん、あかん。寝顔はあかん。勝手に撮ったらあかん」
茜の話を思い出して急いで止める。実家帰ったら説明するとして……
「なぁ、茜たちどこで降りるんか聞いとった?」
「聞い……とらん…北さんに電話するわ」
頷く。2コールで電話出てくれて助かった。
『おん、治?なんかあったか?』
「あ、すんません……あの、茜も葵ちゃんも爆睡しとって…最寄り駅聞くん忘れとって。今芦屋です」
『あぁ…寝てもうたん?手かけて堪忍な…立花駅や。お母さん、茜と葵爆睡しとおて』
スマホに顔近づけとったから北さんの声よう聞こえる。立花駅……各停やから止まるのを確認して、到着時間を告げる。葵ちゃんのお母さんが車で迎えに来てくれるらしい。
「葵ちゃん、次駅やで…起きれるか?茜も、降りる駅やで」
茜も葵ちゃんもしょぼっしょぼで起きた。なんや、寝顔も寝起き悪いのんも似とるんや。
「おった、北さん!」
「治、侑、ありがとな。……茜、葵、しゃきっとし。迷惑かけてんで」
「「ごめん……」」
二人とも全然目ェあいとらん。北さん苦笑しながらため息ついとる……ほんまにお兄ちゃんなんやなぁ。
「宮くんたち、ごめんなぁ?宮くんたちの最寄り駅まで送ってくわ。ほんまにごめんなぁ、これ冷たいジュース!飲んで涼しいとこで休んどって」
「ほら、葵。足挫くで……起きや」
「いひゃい」
「アクエリ飲んで起き、茜も」
冷たいアクエリ飲んだからか、茜も葵ちゃんもようやく起きとった、土下座の勢いで謝られるからなんかお菓子買うといてとお願いしておく。
「どうやったん、花火。綺麗かった?」
「うん!信ちゃんとちーちゃんにも送ろ思ってな、動画撮ってん!」
「車ん中で見せてな…茜、ご飯家にあるから買い食いせんで。侑たちもお母さんに連絡しといてくれるか?遅くに帰してしもうてすまんな」
(そういや葵、またナンパされとったって侑言うてた)
(ヤンキーやった)
(なんもされてへんか?)
(うん。侑くんと治くんみて逃げとった)
(絶対アレは銀島の圧で逃げてん、葵ちゃん)
(いや、ツムの睨みやろ)
(いやぁ、治くんの「やんのか?」のやつやと思うよ)
(……まあ、どれでもええけど。お手柄やな)
(俺、スタンガンの導入検討したほうがええんかと思うんやけど、信ちゃんどお?)
(もっと軽いモンの方がええやろ)
(軽いもん………ナイフとか?)
(銃刀法違反で葵ちゃんが捕まるわ)
(催涙スプレーがええんちゃう?)
(サム、それも捕まるわ)