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春の芽吹き
*ミョウジナマエ
だんだんと日が伸びて、差し込む光も柔く暖かくなって雪が溶けて緑が芽吹きはじめる。それが春……それと同時に、昼夜の寒暖差が激しく、春は三日の晴れなしっていうくらい天気が安定しない。ある日は春一番?ってくらい風がビュービュー吹いてぐんと気温が下がり、ある日は洗濯物がよく乾くほど気持ちのいい晴れ間が差し、ある日はせっかく咲いた花々が散るのでは?ってくらい大雨……三寒四温とはよく言ったものだ。
そのおかげで気圧の変化に耐えられず、体調を崩しがちだったオレはそこから気温差にやられて春風邪三昧。
「ずび……」
「こら!ミョウジさん!出歩いてはいかぬと申したでしょう!」
げ、高坂さんに見つかった。ちょっと水飲もうと思っただけだもん。
「水飲もうと思っただけで……」
「ふむ……失礼しますよ」
おでこにひんやりとした高坂さんの手が当てられる。もう熱が出ると節々まで痛む年齢だ。たしかに、フラついてはいるとおもうけどインフルみたいな感染症による発熱じゃないし、そこまで大袈裟にならなくてもいいと思うんだよな。
「……私が付き添いましょう…食欲は出ましたか?」
「……味噌汁、味噌汁飲みたいかも…ネギの…」
「お粥も作りますから少しは固形物を口にしてください」
う……だって食欲減るんだから仕方ないじゃん。けど昨日の夜も昆奈門さんが眉尻を下げて心配そうに見下ろしてきたのを思い出して、頷く。何口かだけでも頑張ろう。
「陣左……おや、おやおや…?私のかわいいナマエくんが歩いてる」
「水を飲みたいと仰るので、ついでに食事もと思いまして……微熱まで下がりました」
「わ」
高坂さんの説明を聞きながら流れるように昆奈門さんに抱きしめられる。されるがままだったけど熱があるのに無理に決まってるだろうと山本さんに言われ、何日もお風呂に入ってないことを思い出して急いで二人から距離を取る。
「……………」
「ミョウジさん、組頭が悲しみで固まってしまったではないですか!!」
え、オレが怒られるの!?!
「だ、だってお風呂入ってないし………微熱まで下がったなら先お風呂入る、」
「何を言うの、駄目に決まってるでしょ。下がりかけが一番ぶり返すんだから……それに、君はいつも気にするけど臭いなんてしないよ」
そんなはずはない。いくら寒いとはいえもう3日も体の清掃だけのオレが無臭な訳がない。気になるものは気になる。
「あぁ……ナマエくんに拒絶されてもう今日明日明後日の生きる気力が起きないよ」
へなへな、とその場に昆奈門さんが大袈裟に座り込む。
「ミョウジさん!」
「えぇ…?!」
「何を騒いでいるんだ、通路で……ミョウジさん、熱がぶり返すから用がないなら早く部屋に戻りなさい」
「これから食事なんだって……聞いてよ、陣内。ナマエくんってば私を押しのけて拒絶してきたんだ」
「ちょ、言い方に悪意ありますよ…昆奈門さん!」
「喧嘩か?珍しいな…芳花たちが気合を入れて粥を作ってましたよ」
なんかお出汁のいい香りがする。味付きにしてくれてるんだろうか……梅干しとか、ちょっとした塩とか。そういうのでも十分美味しいのに。めそめそ大袈裟な演技をする昆奈門さんに責め立てられながら食堂へついた。
「秋山さま…!歩けるようになったんですの?」
「はい、あの、すみません色々…」
最初は片頭痛から始まった。ここで火をくべておでんを作ろうとしていたときにあんまりに痛むから立っていられなくやって、柱によりかかるように立っていたときの蒼さんの慌てようは本当に凄かった。相当顔色も悪かったようで、心臓病か何かと誤解された。
「すまし汁がありましたので、それでほんのり香りのあるお粥にしてみましたの……食べられそうですか?」
「はい、いただきます」
「私が食べさせてあげる」
「おわっ………昆奈門さん」
「ん?」
わざと頬ずりしてくる昆奈門さんはちょっと意地悪だ。成人男性が冬とはいえ、熱があるとはいえお風呂に入ってない。臭いを気にして当然なのに……もう昆奈門さんがいいというなら仕方ないのかもと諦めてされるがままにしておく。
「……少しぼうっとしてきたね?やはり食べたらすぐに部屋に戻りなさい」
少しの眠気とふらつき。天気と気圧に振り回されて体調も安定しない……昆奈門さんに頷きで返し、水を飲む。ひんやりして美味い……ごくごく飲んでるとご飯入らなくなると山本さんに取り上げられた。
*雑渡昆奈門
部屋に戻る最中から苦しそうな痛みを抑える顔つきのナマエくんを布団に寝かせ、優しく頭を撫でる。気圧の変化に耐えられず、立っていられなくなりがちなナマエくんは春の安定しない気候にやられて熱を出した。少し弱りがちなところにさらに負荷がかかったから、熱が出たんだろう。それ自体に問題はない……問題は中々熱が下がりきらないことだ。
「…昆奈門さん……」
「ん?」
「……手、握ってください」
な、なんて愛いお願い………!手どころか布団ごと抱きしめるとナマエくんはけらけら笑う。
「ふ、ふふ……勢いすご」
「もう、笑ってないで早く治して」
ナマエくんのおでこや鼻に口付けていく。また匂いが…とか言われるかと思ってたけど、ナマエくんはされるがまま。本当にこの子は気にしいだ……夏だったらまあナマエくんの言い分も分かるけど、体の清掃は欠かさずして日中汗もかかぬナマエくんはなんにも臭くない。…し、それどころかナマエくんの匂いが濃くなってこれはこれで良い。
「……雨降ってきましたね」
「…頭、痛むかい?」
「いえ……ふふ、お粥美味しかった」
「久々にナマエくんが固形物食べてるの見れて安心したよ」
「そんなことありません、昨日だし汁の豆腐食べました」
豆腐なんて固形物のうちに入らないよ。ナマエくんは熱を出すと本当にぷっつりと物を食べなくなる。もともと痩せているのにこれ以上痩せてはさらに健康に害をなすのでは?と心配になる。
「…そうだ、何か食べたいものはないの?」
「たけのこご飯……たけのこ掘りしたいです」
「分かった。ナマエくんは早く元気になって……私が心配で倒れちゃう」
そう頬ずりしながら伝えれば、ナマエくんが頷く。可愛い。なんて可愛いんだろう。抱きしめて手を握っていれば安心したように眠るナマエくんを撫でながら部屋を出る。
そこから更に2日かけてようやくナマエくんの熱が下がった。熱があるとき特有のぼうっとした目つきや返答が随分しっかりしてきた。
「ナマエくん」
熱が下がって一番にナマエくんは湯浴みをする、と言って聞かないので湯浴み中に倒れたら今度こそ私が心配で何も手につかないので一緒に入ることを条件にした。
「……眠くなりますね」
「出るよ」
「寝ません!……もう少し」
この子は全く……湯船に浸かるのが好きな子だ。私の足の間に体を入れ込み、私の腕によりかかるように倒れ込んできてる。ナマエくんのお腹に手を回して、お尻に押し付けるようにしていればナマエくんの耳がどんどん赤くなるのが見える。
隠してるつもりなんだろうけどバレバレなんだよなあ……丸見えの項に吸い付いて痕を残していく。さすがに病み上がりも病み上がりだから今日は手を出さない。もう少し、快調になってから。
「…昆奈門さん、当たってます…」
「当ててるの……ふふ、顔真っ赤にしちゃって……可愛いねえ。……そろそろ出るよ、湯あたりしちゃうからね」
「はい……」
素直で結構。体を冷やさぬように服を着せて部屋に戻る。水分補給をさせて体が温かいうちに布団に入り、抱きしめる。
「あ、あの……」
「ん?」
「し、しないんですか…?」
「ふふ…ナマエくんのすけべ」
少し期待した目で見上げられて揺れるけど、心を鬼にして理性を保つ。
「まぐわいたいのは山々だけれど……病み上がりの君の体に負荷をかけたくないし無理もさせたくない。だから早く元気になって私を甘やかして」
「……ぅ、はい…」
顔が真っ赤だ。可愛い。頬や額に吸い付いて、舌を入れずに口付けているとナマエくんの目つきが眠気によってとろん、と柔らかくなってくる。
「おやすみ、ナマエ」
(完全復活!しました…面倒かけました)
(ふふ、治ってなにより……けどこれからも無理は禁止だからね。気圧で変化するのは誰にも止められないし)
(はい……昆奈門さんたちは気圧とかで体調悪いなーってならないんですか?頭痛いなーとか、いつもより体だるいなぁみたいな……)
(だるいなぁ、はたまにあるけど……雨の日に皮膚が突っ張るとか?…頭痛はないなあ)
(そうなんですね…最近も?)
(ふふ、心配してくれてるの?ここ数日は平気だったよ。もう少し…湿度があると痛みやすいけど)
(あぁ…たしかに、オレも梅雨の時期のほうが片頭痛ひどいです)
(あれ以上ひどくなるの…?!支障が凄いけど、どうしてたの?)
(痛み止めの薬を飲んでました…神経系なんで薬飲むか、冷やしたりするかくらいしか対処法なくて)
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