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春の訪問授業
*ミョウジナマエ
「ミョウジさん!完治されたんですか?よかった……‥雑渡さんから手紙もらったとき飛び上がっちゃいましたよ」
「善法寺くん…‥…いまはもう、見ての通り元気だよ!雪合戦しよう」
「駄目」
ちぇ。今日は3ヶ月ぶりになる忍術学園への顔出しと、防衛術の稽古を6年生につけてもらうことに。
「あの、オレ無縁の平和なところからきたんですよ?一年生からが妥当じゃないですか?」
「何を仰る、タソガレドキにいて鍛えられているのなら私達など手も足も出ないですよ」
「いや、まだ初めて1ヶ月くらいしか経ってないから…!昆奈門さんやだ!!なんかハードル上げてくる!!!!」
「ふふふ、ちなみに初日は尊奈門の加減した手刀にびっくりして捻挫して終わったね」
「えぇ、また怪我したんですかぁ!?!」
「違う違う、そんな大きな怪我じゃないから……」
どんどん上がるハードルに気持ちが下がりながら構える。6年生の子たちはさっき善法寺くん以外で自己紹介しあった。七松くんは流石に覚えてる。ジェットコースターの子だ……元気なんだなぁと見ていたら同じくらい元気な子がいて驚いた。
「では…もう一度言うけど、ナマエくんは忍ではない。武器の使用は禁止…これは念頭に置いてね。じゃあ開始」
開始、のかの時点で七松くんたちがつっこんでくる。この速さ(加減してくれてはいるだろうけど)についていけるようになっただけでも、少なくとも尊奈門くんには褒められるんじゃないだろうか。
*雑渡昆奈門
ナマエくんは筋がいい。体も…特に股関節が柔らかいから受け身や急な動きにも対応できる子だし、立ち直しも早い。
屋敷にいる女中たちと同じように少なくとも自衛の術を持ってもらおうということで足が完治して日常生活を難なくこなせるまで治るのを待って、尊奈門、陣左主導で簡易的な稽古をつけさせている。最初は体の動かし方が分かってないみたいで硬直しっぱなしだったけれど、1週間過ぎた頃には敵と仮定した相手の腕を抑えて距離をとれるように。その次は返しの一手を出せるように。そして次は攻撃される前に身構えることができるまでに成長した。
今日は趣向を変えて忍たまの子どもたちに稽古をつけてもらおうと伊作くんに頼んでみたら二つ返事で了承してくれた。初めて顔を合わせる伊作くんの同級生たちに緊張しながら挨拶をしていた可愛いナマエくんは、今中々いい動きをしてる。
「背中ががら空きだっ!」
「!」
誘い受けだ。ナマエくんの意図に気付いた七松くんが距離を取る。加減してもらってるとはいえ、複数人相手にも対応できるようになったとは……陣左が見たら喜びそうだ。ここまで才があるとは……怖がりなナマエくんの意外な一面だ。
「でっ!!!」
「あぁ、ミョウジさん……!」
う〜ん、何もないところで転んだりしなければ尚ヨシなんだけどな……。
「顔から行きましたね」
「大丈夫ですか?…伊作、額に怪我が」
「はいは〜い、消毒しましょうね」
「…いだー!!?!めっちゃ染みる何それ…!!」
「殺菌しないと駄目ですからね」
涙目のナマエくんに容赦なくガーゼを当てていく伊作くんも強くなったなあ…ナマエくんは怪我が多い割に治療を嫌がる節がある。最初は伊作くんも遠慮したり、嫌がるナマエくんに応じていたけど今はもう……子供のわがままをものともしない母親のよう。
「昆奈門さん、善法寺くんが痛ぶってきます!」
「人聞き悪いですよ、治療です治療!」
「ふふ、仲良しだね……よく動けてたんじゃない?ナマエくん」
「さすがに6人もいると目が回りそうでしたよ……でも!楽しかったです」
「皆もありがとう、またお願いね」
「またお願いします!」
「では昼食にしましょう!いけいけどーんどーん!!!」
七松くんが駆け出していった。手合わせ中も元気だったけど、普段から元気なのか。
「え、オレらも…??」
「はい、雑渡さんも召し上がるでしょう?」
伊作くんに誘われたら断れないね。食堂のおばちゃんに声をかけると、ナマエくんの安否を気にしていたみたいで声をかけられていた。
「ぶりの照り焼きと…肉じゃが!え〜迷うなあ」
「ふふ、迷ってるの?可愛いね」
真剣にウンウン唸りながら肉じゃがにしていた。じゃあ私は照り焼きに。これでナマエくんと半分こできるからね。
「いただきます。……うま!」
「美味しいね」
人のご飯を疑うことなく食べるナマエくんの頭を撫でる。そのままでいてほしい。
「おしどり夫婦のようです」
「事実だからね」
伊作くんにそう返すと素敵です!と褒めてもらえた。この子も思ったことをすっと口にする。出会った当初は偽善か?と疑っていたけど、人となりを知るうちに素直な子なのだと知った。この忍術学園には素直で良い子が多い……警戒心のなさは鍛えなければと思うけど。
「小さい昆奈門さん返してくださいよ」
「だめ。あんな布を可愛がってさ……君たちも言ってやってよ。実物より人形を愛でてるんだよ」
「もそ………それほど好きなのでは?」
「私もそう思います」
「皆ナマエくんの味方か……いいじゃない、神棚みたく飾ってるんだから」
「高すぎて届かないんですってば」
届かないように置いてるからね。あのぬいぐるみ、いつも私を腹立たしい顔で見てくるから。談笑しながらお昼を頂いて、ナマエくんが恭しく手を上げた。
「生の手裏剣が見たいです」
「駄目」
「なにとぞ」
「駄目。絶対触って怪我する」
好奇心旺盛なナマエくんが見て満足するわけ無い。そもそも私が忍者なんだと信じてくれた時も『苦無も手裏剣も本当に使うんだ…!』ときらっきらの目で見てきたの覚えてるからね。たとえば……最後まで仕組みが不明だったけど、ナマエくんの持ってたあの板。私達が見ている景色を写し絵のように切り取り、それを映像の形でも記録ができる。遠く離れた、世界の裏側の人間とも声のやりとりができる。言語が分からなければ翻訳機能まである。お金の支払い機能まであるという。
そんな便利なもの、あるなら私も使ってみたい。苦無や手裏剣と違って怪我の心配もないし、未来の道具だし。それはナマエくんも同じだろう。過去の展示されている道具が現役であるとなれば、触ってみたいし使ってみたいだろう。その気持ちは汲んであげたいけど……ナマエくんが襲撃に遭った時の武器もあるかもしれないし……あのとき過呼吸になって腰を完全に抜かしていた。嫌な記憶を無理やり呼び起こす必要もないし。
「武器はもう少し慣れたあとにタソガレドキでね……怪我なんかしてごらん?伊作くん泣いちゃうよ」
「ゔ……しませんし、見るだけですもん」
「絶対投げてみたい!ってなるでしょ、見たら……だから駄目」
「………確かに……」
素直に納得しちゃうナマエくん、可愛い。偉い偉いと頭を撫でると手にぐりぐりと押し付けられる。かわいい、子どもたちの前じゃなければ食べてたのに。
陽が沈む前に忍術学園を後にし、タソガレドキに帰る途中ナマエくんが指を指す。
「あれ、梅?の花ですか?」
「惜しい、蝋梅だね。少し見てく?」
「ろうばい……はい!」
蝋細工みたいだから蝋梅なんだよ、と告げると可愛い表情で花を見上げてる。もう少ししたら梅の花も咲き出すし、ナマエくんがもう少し体鍛えて強くなって調子がいいなら、少しの花見をしてもいいかもしれない。ナマエくんが来てから、どうしても屋敷の中にいることが多い彼に少しでも気分転換を、と花を持ち帰るようになって部屋にずっと何かしらの花が活けられている。
「綺麗ですね」
「あとで花屋覗こうか……陽が傾いてきた、帰ろう?」
「はい!」
ぎゅうっと当たり前に抱きしめてくる可愛いナマエくんのマフラーを耳まで引き上げてタソガレドキに急ぐ。日が沈むのが早くて暗くなりかけで里についた。
「さぶ……へっくし!」
「あら……芳花、ナマエくんにお茶をくれる?ナマエくんはここ。火に当たってて」
「昆奈門さんは?」
くい、と後ろに引かれて振り返るとナマエくんが袖を引いている。え………え〜〜〜〜っっ!か、可愛い〜〜〜っ!!!!
「陣内に声をかけてくるだけ、すぐ戻るよ」
「はぁい…」
なんでそんな寂しそうなの……?!?!!どうにかなってしまいそうな心臓を抑えて部屋をあとにする。帰ったよと陣内に告げて急いでナマエくんの元へ戻る。
「ふふ、雑渡さまったら……そんなに慌てて」
「可愛いナマエくんを一人にさせたくないからね……温まった?」
「ぽかぽかです」
(え?……ごめん、衝撃が凄すぎて飛んでっちゃった)
(……‥も、いいです…)
(だめ、もう一度教えて?ちゃんと聞くから)
(…し、したいです…って言いました…)
(………誘ったのはナマエくんだからね)
(う、あ、でも立てなくなるまでは嫌です…!)
(善処するけど保障はできないかな……なんせ怪我する前ぶりだからね)
(オレだって、その……したかったですもん)
(そうやって煽らないでくれる????加減できなくなっちゃうから……こっち来て。久々だから解そうね)
(え、あ、の……今日、お風呂で、その……)
(準備してくれたの??あ゛〜〜〜〜可愛すぎる……)