療養の冬・トリップ・男主
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快方
*ミョウジナマエ
「ふふふ」
「ほんと雪好きだね」
「はい!いくら掘っても地面見えない!」
「はい、5分休憩だよ」
ひょいっと子供見たく脇から持ち上げられて囲炉裏の前に連れて行かれる。
「小トトロがぁ…」
「うん、小ととろは逃げないからね」
手を出してと昆奈門さんに言われるので冷えっ冷えの手で顔を挟む。
「冷たっ!!?!」
「ふふふ」
「もう、しもやけになっちゃうよ……ほらこっち。お湯あるから手を入れて」
「あっち!」
「ぬるいよ、ナマエくんの手が冷え過ぎなの」
鬼………。すごい熱湯に感じるのにぬるいらしい。だんだんじわりと指先に熱がきてぽかぽかしてくる。
「…………」
「こらこら、危ない……燃えるよ」
「……暖かいと眠くてぇ………」
「はしゃいでたもんねえ」
昆奈門さんに抱きしめられる。あったか………もぞもぞ動いて擦り寄ると頭を撫でられる。囲炉裏の炎と昆奈門さんの体温で本当に暖かい。
「少し眠る?」
「…………」
昆奈門さんの首元に抱きつく。ちょっとこうしてたい。ようやく膝立ちしても痛くなくなった。走るとまだ高坂さんに怒られるけど。歩くことも問題なくできるようになって日常生活には困らない。
「おや、甘えんぼ?」
「ご名答です……ふふ、オレが外で遊ぶと昆奈門さん独り占めできるから…」
「ナマエくん……こちらへおいで?」
「?」
下に手招きされて昆奈門さんの膝に座る。ぐ、と顔が近づく。
「私もナマエくんを独り占めできて嬉しい………君はいつも誰かに囲まれてるし、私のなのに」
「…っふは、はははっ!擽ったい…!」
首元に軽く噛みつかれたと思えば空気を吹き出してぶぅ!と間抜けな音が聞こえる。
「ふふ……かわいいね、ナマエくん」
「そんなこと言うの貴方だけですよ」
物好き物好き。好いてくれるのは嬉しい。けど可愛いか?と疑問には思う。そう尋ねるとムッとしてナマエくんは可愛いでしょうが…って怒られたことある。理不尽な怒られだったと思ってる。
*雑渡昆奈門
こてん、と寝落ちたナマエくんを抱える。お湯で温めた手を湯冷めしないように拭いて手袋を被せる。陣内が子どもの体力切れの様子と重なるって前に零していたけど確かに…子どもみたく遊んで寝落ちる。
「組頭」
「ん?」
「こちら…遅くなってしまいましたが、組頭とミョウジさんへ。ようやく編み終わりました」
尊奈門が編んでくれた下履きを受け取る。厚手で夜にいい。
「ありがとう、ナマエくんも喜ぶよ」
冷えてるナマエくんの足先に早速履かせる。鮮やかな緑がいい色だ。ナマエくんは緑や青色を好む。本人はバレてないと思ってるんだろうけど、ふと選ぶ色がそればっかりなのだ。
「おお、温かい」
「組頭、お茶をお持ちしました……おや、ミョウジさん眠ってしまわれたのですか」
「陣左もありがとう……うん、はしゃいで歌って寝た」
「…っふ……すみません…」
吹き出したね。まあ無理もないか……ナマエくんが起きてたら怒ってるんだろう。幼い頃の尊奈門相手みたいな喧嘩をしてる二人は仲がいい。尊奈門のほうが折れてあげることが多く、ナマエくんと尊奈門は口喧嘩してるの見たことないけど陣左はよく喧嘩してる…可愛いもんだけどね。
「縁側に雪玉がいくつか並んでましたね」
「今年こそは小ととろ作るって意気込んでたよ…休憩して寝ちゃったけど」
「ととろとは一体何なのでしょうね?」
「そういや何かとばたついて聞いてなかったな…起きたら聞いてみようか」
30分ほど経ってからナマエくんを起こす。寝た分元気になったみたいでととろとやらを尋ねると筆で描いてくれた。
「なにこれ?妖怪?」
「違います!!!もっと可愛いんです」
このずんぐりむっくり太った狸みたいなのが…???子供にしか見えない土地神に近い創作のもの、と聞いてもピンとこない。この太った狸みたいなのが…??
「じゃあ小ととろは?」
「こんな感じです」
「兎?」
「猫?」
「いや、鼠では?」
「小トトロです!!!!失礼しちゃいますね皆さん」
白くてぽてぽてしてて可愛い……らしい。ナマエくんの可愛いには首を捻るしかない。
「ナマエくん、他にはそういう妖怪いないの?」
「妖怪じゃないですってば……」
ナマエくんはきっと絵が上手いんだろう。写実的かと言われるとまた違うだろうけど、すらすら描いていく。
「これは?」
「山本さんが鼠鼠っていうので世界で大人気の鼠描きました」
「ふふ、ぷりぷりしないの」
「鼠はこんな耳ではないぞ」
「もう!ああ言えばこう言う!!鼠なんです、これでも!」
ふふ、膨れちゃって…突くように遊んでると突くなと指を取られ手を繋いできた………可愛すぎない??
*ミョウジナマエ
「ナマエくんまたお餅食べてるの??」
「はい!今日のご飯」
「だめ、ちゃんとお餅以外も食べて。ぜんぶ私が食べちゃうからね」
餅を片手にこんな脅しをするのは昆奈門さん以外この世にいないだろう。餅つきは足の調子も良くなく、危ないしの見てるだけだったけどつきたてのお餅を今年は食べられ宝満足。余ったお持ちを七輪で焼いて醤油で食べてると、目に余ったのか没収されてしまった。千枚漬けやらおせちの残り物がまだある中、おかずを並べていく。紅生姜が余っていたので酢飯と混ぜた稲荷寿司を作ってみた。錦糸卵とごまの稲荷も作り、お好きにどうぞの形式。飛ぶようになくなっていった。
「ミョウジさま、また人参とみかんの和え物食べたいですわ」
「ふふ、気に入ってくれましたか」
「私も食べたい」
「うお」
「もう、雑渡さまったら……私が先です」
「譲れないね」
「全然作るので喧嘩しないでくださいよ……」
「蒼、貴方も雑渡さまに張り合うのはだめよ……ミョウジさま、私また大福が食べたいです」
「私も食べる」
「昆奈門さんの分も必ず作りますって」
一度も作らなかったことないのに。肩に顎を乗せて来たのでよしよしと撫でていると押都さんが笑いながら食堂に入ってきた。
「なんだ、組頭……甘やかしてもらってるのか」
「小娘たちに手料理の約束してるからね」
「昆奈門さんにもいつも作ってお渡ししてるじゃないですか」
「私だけでいいのにと思うよ」
「独り占めはよくないですよ、シェアハピの精神」
シェアハピ……???と聞こえたけど味噌汁を飲む。温まる……明日は味噌煮込み粥。名古屋のあの味を思い出してどうしても食べたくて。うどんは作るの大変だから、粥で再現。他のおかずをあっさり系にしないといけない。
*諸泉尊奈門
「す〜ばらし〜アンダーザシ〜!ダーリン、私の言うこと信じて〜っ」
ケラケラと陽気に笑いながらくるくる回って歌うのは酔っ払ったナマエさんだ。押都さんが組頭へ持ってきたお酒を水と誤って一気飲み。ぐるぐる目を回したかと思えば、しばらく眠ったあとこうして元気すぎるほど歌ってる。
「あらら、ナマエくんそんな回って……目回るよ?」
「ふふ……昆奈門さん6人もいる!!」
「遅かったか……ほら、気持ち悪くなるからここ座ってて……尊、水くれる?」
「はい!…ミョウジさん、水ですよ」
「は〜い」
反対側向いて手を伸ばしてるミョウジさん、大丈夫なんだろうか…??
「目が完全に回ってる……閉じてご覧」
「う………ぐるぐるする……」
「駒のように回ってましたからね」
「動けるようになってすぐ怪我など笑えませんよ、ミョウジさん」
「ゔ〜……昆奈門さんどこ…?」
「ここ、居るよ」
「手!」
「はいはい」
「足も!」
「「足…??」」
私と高坂さんの呟きが重なる。横になったナマエさんと手をつなぎ、組頭の足で挟み込むようにしている。ぎゅうぎゅうとされると安心する……らしい。
「狭いところのほうが好きなんだって」
「な、なるほど…?」
ニッコリ微笑んでそのまま眠りに入ったナマエさん。5分も経たず寝息が聞こえてくる。
「ふふ…安心した顔で眠ってる」
本人がいいなら……いいのか。組頭に野暮なことを告げる必要もない。少し苦しそうに見えなくもないミョウジさんを見やる。ミョウジさんは触れ合いが多い人だ。私にもそうだし、恋仲の組頭には特に。くっついていたい性格なんだろう……ミョウジさんの時代では『すきんしっぷ』というらしい。
(あれ……‥朝だ)
(ナマエくん、おはよう…よく眠ってたね)
(……記憶がない…)
(長烈の持ってきたお酒間違えてぐいっといっちゃったんだよ)
(あらら……オレ変なことしてませんよね?)
(ふふ……どうだろ)
(え〜〜〜してるやつじゃん………うぅ、さぶっ)
(朝だから冷えるね…もっとこちらへ寄って)
(昆奈門さんあったかい)
(ナマエくんも温かいね)
(今日……おてがみの日ですよね)
(うん、伊作くん心配してるから書いてあげて)
(ふふ……はぁい…みんなしんぱいしょ)
(床に伏せてばかりで何を言うの)
(いひゃい)
(か弱いんだから自覚して。心臓がいくつあっても足りないよ)