療養の冬・トリップ・男主
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リハビリ開始
*ミョウジナマエ
「うわ……オレの足が……」
「ミョウジさん…」
「キモくなってる〜〜〜!!!!やだ何これ?!?!太さ違いすぎてキモい!!!!」
左右で違うのもキモいし、膝上と膝下でそれぞれ釣り合ってない太さ。なんか錯覚アートみたいですごいキモい。動けてないから変なふうに筋肉が落ちたのは想像できる。できるけど……キモい。
「き、きもい?とは?」
尊奈門くんに聞かれたので気持ち悪いの略語だよと返すと、ミョウジさんは気持ち悪くなどありません!ってめちゃくちゃ怒られた。
骨がくっついたであろう12月中旬。添え木を外してお風呂以外包帯巻き直しを除いて以来、久々に足に何もない状態だ。腫れや青痣はなく見た目は完治。左足はゆっくり足首を抑えながらぐるりと一周回すように動かしてみたところ、違和感も痛みもなし。骨がくっついたと判断してもらった。
右足は膝と脛が折れてたらしいから慎重にということで椅子に座って動かしてみてる。
「………動いてる?」
「……足首から下は動きますか?まずは指から確認しましょう」
指をパラパラと動かすも動きが悪い。でも…痛くはない。次は足首から下を動かす。これも動きが悪い。膝から下全体を椅子から浮かせる……ぎりぎり浮いたけど…なレベル。
「…尊奈門下がれ。ミョウジさん、私も昔任務で失敗し足を折る大怪我をしたことがあります。骨がくっつき、いざ任務に戻ろうとした際、固まったような感覚でうまく動きませんでした……これは安静にしてる際に動かすのに必要な筋肉が落ちてしまい、動かし方を忘れてるような状態です。
ミョウジさんの場合、もともと痩せ気味で余分な脂肪もない。私のときよりも時間はかかるかもしれませんが、回復はするはずです。なので、以前のように歩き、走るというのはしばらく困難だと理解してください」
高坂さんの言葉に頷く。固まったような感覚、という表現がまるで同じようにあてはまる。いま現役で任務についている高坂さんに言われると後遺症なわけではないんだと安心できた。
「まず当面の目標は、物に掴まらず立ち上がることです。
立ち上がったあとのバランスに大事な足首より下の足、そして右足は力を込めるバネの役割の膝、面積の大きい脛を折ってしまっています……バランスを崩さず立ち上がるのも今は困難なはずです、無理せず。」
高坂さんの両肩に手を起き、足の力だけで立ち上がる。ぷるぷるしちゃって全く椅子からお尻が浮かない。
「腰に力を入れすぎず、足の裏で地面を蹴るようなイメージでまっすぐ上に上がりましょう」
地面を蹴るイメージ……少し立ち上がれそうな雰囲気が出てきた。
「尻が椅子や地面から離れたら膝のバネでぐんと上がりましょう……腕は今はあくまで支えですよ」
頷く。立ち上がるのにこんなに筋肉の動きを意識して練習する日が来るとは。
4時間練習してもこの日は椅子から立ち上がれなかった。リハビリって時間かかるっていうもんな……。これから大変だ。
「ナマエくん……添え木取れたんだって?」
「はい!骨はくっつきました。椅子から立ち上がれませんでしたが」
「そんなその日のうちになんでもできないよ……私も火傷のあとは布団からこうして体を起こすのもできなかったよ」
「……どれくらいかかりました?」
「う〜ん……寝込んでた期間も合わせると数年、復帰には時間かかったね……でも骨折るのとは勝手が違うからね」
「とにかく、早く歩けるようにがんばります」
「無理はだめだからね」
頷く。これでまた怪我なんかしたら逆に一生歩くな!と怒られてしまいそうである。骨がくっついたあとも昆奈門さんはマッサージを続けてくれた。
「尊奈門怒ってたよ」
「うぅ……なんか錯覚みたいでキモいんですもん」
「気持ちは分かるけど……私のナマエくんを卑下するのはナマエくん自身であってもだめ」
「ふふ……はぁい」
*雑渡昆奈門
「立ちました!!!」
「………本当に支えいらないの?」
すっごい震えてるけど。大丈夫です!と笑顔なナマエくんとは裏腹にこちらは冷や汗まみれだ。倒れたら危ない。先週くらいから立ち上がる訓練を始めたナマエくんはようやく掴まり立ちで立てた!と見せに来てくれた。陣左の教え方が上手いんだろう……両足ではないものの骨折経験者だしね。
「あとはしっかり夕餉を召しあがれば完璧です」
日中頑張りすぎてしまうナマエくんは夕餉の時間に体力切れで眠ってしまうことも多々。体力落ちてるから仕方ないけど、体重ももちろん落ちてるからこちらとしては食べてほしい。
「う……食べますってば…今日はおにぎりなので」
「ふふ、そんなに楽しみにしてくれてるの?」
「はい」
100個くらい握ろうか?と言うとそんなに食べられないと苦笑された。まさか私がナマエくんに作る側になるとは。確かお花見のときの一口大のおにぎりでさえナマエくんは5個も口にしていなかった。2、3個食べられればいいほうだ。
梅と……ナマエくんが好きと言っていた焼きおにぎりにしようか。ニコニコ食べる姿を想像しながら火鉢で焼いていく。
「雑渡さま、あの……こちらも、ミョウジさまに」
「お茶?」
「はい、以前買いにいって気に入ってらしたので」
「ありがとう、喜ぶよ……君も尊奈門も、いつまで泣いてるの。もう歩こうとしてるんだから」
「申し訳ありません……厨に立てる日をお待ちしてますとお伝えください」
1番泣き虫の芳花はあの日茶屋内に居た。1番近くにいたのに、と誰より落ち込む姿は見ていて苦しかった。ナマエくんには悟られぬよう気丈に振る舞ってるものの、蒼たちに慰められてるのをよく見かける。
芳花の選んだお茶と一緒におにぎりを部屋に持ってく。目ざとく焼きおにぎりに気付いたナマエくんは花を咲かせたように喜んでる。
「ふふ、まだ熱いよ」
「あふ……っ」
熱いよって言ったのに。熱さに悶ながらなんとか咀嚼したみたいだ。
「美味しい!味噌焼きですか」
「うん……美味しそうに食べるねえ、君は」
「美味しいですからね」
「あ、また浮気して」
「ちょっと、ちっちゃい昆奈門さんを投げ飛ばさないでくださいよ!」
「大きい昆奈門を可愛がってよ」
「でかいでかい、抱えきれませんってば、物理的に!」
ナマエくんにぐぐぐ、と頭を乗せると撫でられる。私の足の上に乗せ直して小さい一口で夕餉が少しずつなくなる様を上から見下ろす。
……なんか、小鳥みたい。ちっちゃくちっちゃく啄む感じ。
「うま〜美味しい梅干しですねえ」
「漬物屋のおばあちゃん喜ぶよ」
「習いに行こうかな」
「店が潰れちゃう、やめて」
丸くて可愛い小さな頭を撫でて匂いを嗅ぐ……ナマエくんの匂いだ。臭いですか!?って毎回慌ててるの可愛い。全然臭くなんかないのに。
「いい匂いだよ」
「雑渡さんって変な匂いフェチですよね……普通頭皮の匂い嗅がないですよ」
「変とは失礼な……ナマエくんの首元も好きだよ」
「なおさら変ですが…まあ首は分かります。オレも雑渡さんの首元の香り好きですもん」
「首だけなの?」
「なんで悲しそうになるんですか」
「全部好きの間違いじゃなくて?」
「ぜんぶすきれふ」
「ふふふ」
「もう………おかわりしていいですか?」
「えっ……食べれるの?」
「イケます」
ナマエくんがおかわりしてるの初めて見た。ほんとに?と3回程確認して追加の焼きおにぎりを作る。次は味噌と醤油で。しその葉もあったから巻いちゃおう。
「わ〜!豪華になってる!」
「ふふ、ナマエくん専用だよ」
苦しい……とお腹を抑えていたけどちゃんと完食した。陣内におにぎり3つも食べたよと伝えたら最初信じてもらえなかった。
「ミョウジさんがそんなに握り飯が好きとは」
「米が好きなんだよ…食欲あってよかった」
「そういえば来年は田植えをしたいと言ってたな…」
「う〜ん……破傷風怖いしなあ…収穫ならまだね」
農家でさえ毎年かかる奴がいる始末。ナマエくんがかからない保証はない。
*ミョウジナマエ
クララってこういう気分だったのか。うまく力の入らない足では一歩踏み出すのも怖い。すっごい痺れて感覚のない足の状態で歩こうとしてるような…そんな不安定さ。
「ミョウジさん、すり足は如何でしょう?」
あまりに1歩を踏み出せないせいで尊奈門くんにそう言われた。かかとをつけず、つまさきで切り込むように……。
「お?」
「お上手です!」
歩くより今は楽かも。すすす、とゆっくりすり足すれば移動ができるようになった。添え木を取って1ヶ月、怪我をして2ヶ月のこと。ここまでくるのに長かった……もう年の瀬になる。今年こそはお餅を食べるんだ。
「あ……美味しそうなみかん!でか!」
「調理は禁止です」
高坂さんに早々に取り上げられた。まだ何も言ってないのに……
「包丁使わないのでお願いします」
「却下」
「………昆奈門さん、高坂さんが意地悪言うんです」
「なっ!?人聞きの悪い……!組頭、私は無実です!」
「え〜?怪しいやつほど無実を主張するんだよなあ」
昆奈門さんがノッてくれた。苛めすぎないの、と頭を撫でられ何を作るの?と聞かれた。いつもは完成まで秘密だけど…リハビリ中は流石に話したほうがいいだろう。
「さっき一つ頂いたんですが、酸っぱくておいしいので人参と和えます。これは包丁を使うので、芳花さんたちにやってもらおうかなって……あとはみかんの大福を」
「大福…美味そうだね」
「中にみかんを入れるのですか?想像できない…」
フルーツ大福なんてものは流石にないのか。ちょうどあんこと白あんもあるし。生地をこねるだけだから、と告げたが尊奈門くんたちは譲ってくれず。白あんやあんこで半分に割いたみかんを薄く薄く包む。
白玉粉にお湯を入れ、少量の砂糖を入れて混ぜこねてもらう。お餅よりはしっかりしていて団子よりは柔らかいくらいになったら片栗粉で打粉をつけながらあんことみかんを包む。きれいに丸く丸く包んで、濡れ布巾を被せて冷やせば完成。1時間程度で作れた。
「!!まぁ…!」
「少し酸っぱいみかんと甘いあんこがいいですね!」
「あまぁい……あ!お茶淹れてきます!」
「うん……甘すぎなくていいね」
昆奈門さん、まさかあれを一口で……??!2度見してしまった。半分とはいえ結構大きいみかんだったのに。蒼さんたちが淹れてくれたお茶で温まりながら大福を食べる。白あんが美味しい。2個ほど食べればお腹いっぱいになってくる。
(美味しかった、ナマエくんありがとう)
(ふふ、夜もどうぞお楽しみに!)
(人参と和えるのですよね……?ううむ……これまた想像が難しい)
(昆奈門さんたちは正直気にいる味か微妙なんですが……蒼さんと蘭さんは好きだと思います)
(まぁ!楽しみですわ…何が必要になるんでしょう?)
(はちみつと塩コショウ、酸ですね)