秋の味覚・トリップ・男主
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秋の味覚 山芋・里芋
*ミョウジナマエ
「おおお……立派な自然薯!それに山芋もあるんですね」
「?どちらも長芋ではないのですか?」
芳花さんが首を傾げる。
「自然薯は倭の国の自生、山芋は外来種…だったはずです。それらを総称して長芋…って呼ぶって見たことあります」
「へえ!そうなんですね……長芋はとろろにしてとろろご飯が鉄板なのですが……いかがなさいます?」
「それが一番贅沢ですよねえ」
「お耳、よろしいですか?」
「はい」
周りにあまり聞こえてほしくない話なんだろう。耳を寄せる。
「雑渡さまなどは口周りに火傷の痕があるため、かぶれやすくてとろろは召し上がれないのです。何かいい方法はないかと思案してまして」
「なるほど……ん〜2つ、あって。冷たいのか温かいのかですが」
「最近は夜も冷えますし、温かいのにしましょう」
「そうしましょうか…ちなみに冷たい方は梅干しを使うのでオレはよく夏に食べてました。では……よーく洗って、たわしで軽く皮を剥くつもりで洗います…滑っちゃいますからね」
原生の菌を洗い流して加熱すれば大丈夫……と信じる。これは体調悪くならないよね?の意味での毒味をしよう。
「ほぼ剥けましたわ!滑りますわね」
「すりおろしたいのですり鉢お願いします」
「とろろ…?」
「とろろも人気なのですりおろした分半分ほど取っておきましょう」
長芋は滑りやすいものの、すりおろしは力も要らず簡単だ……大根と比べれば疲れにくい。
「そうしましたら、この出汁を少々、醤油を1回し。これを炒めます……持ち手があるやつがいいですね」
「炒める?!ほう…」
「弱火で放っておくだけですけどね……片面のみ焼き色をつけます、蓋もしようかな」
落し蓋をして蒸し焼きっぽくして火を通す。
「里芋はどうしましょう?」
「ん〜定番の煮物もいいですけど……ひき肉と炒めましょうか」
これもよく洗って皮をむく。なべ底に水、みりん、醤油を合わせて沸騰させて、皮を剥いた里芋をゴロゴロと投入。味を絡めるように炒めてる間にひき肉に砂糖と少量の酒と片栗粉を混ぜ、これも鍋に投入。煮っころがしのように混ぜていけば片栗粉によってとろみがつく。餡のおかげで温かいご飯になる。
「ナマエくん」
「昆奈門さん…お疲れ様で…っ!?重い重い、折れる…っ!」
ぐぐぐと力を込めてきた昆奈門さんに抱きつかれてなんとか踏ん張る。
「今日は疲れた」
「お疲れ様です」
「今日は湯浴み一緒にしようね」
「………入るんですか?二人も……?」
「無理矢理にでも入るよ」
「壊れたらどうするんですか…」
「もっと広いの作ってもらおう」
それは壊す前にお願いしてもらえばいいのでは…??
とろろを目にした昆奈門さんが山芋か、と口にする。
「芋祭りですよ」
「祭り?」
「里芋もいますから」
「へえ、ひき肉。美味しそう」
「明日は普通の筑前煮作ります……煮物が恋しい」
「明日も楽しみにしてるね…これは?」
「これは昆奈門さん特製メニューです…お酒進むと思いますよ。明日おやすみですよね?」
「うん…山芋を焼いてるの?…へえ、珍しい」
「火傷だけは気をつけてください……里芋も餡のせいで今日はなんか口の中火傷になりそうなメニューです」
「ふふ…寒いから温かいの作ってくれたんだ?」
「はい」
「部屋持って帰っちゃおうかな」
「これからご飯ですよ……これ、このまま持っていきますね」
「鍋敷きしいてありますからお気をつけを」
芳花さんにお礼を言って持っていく。ちょっと小ぶりとはいえ、炒める調理器具がドン!と目の前にあるから尊奈門くんたちが興味津々に眺めてる。
割引でもらったものの、傷んで丸ごと七輪で焼くのは無理と判断した秋刀魚の炊き込みご飯。それと里芋・山芋の芋パーティー。
他のとろろを食べられる人は秋刀魚が邪魔にならないように秋刀魚の竜田揚げととろろを玄米に添える。
だから山芋の鉄板焼きと秋刀魚の炊き込みごはんは昆奈門さん専用メニュー。
「レンゲで掬うの?」
「はい」
「……おお、焼けてる……ん…あ〜たしかに酒が進むねえコレ」
「でしょう?」
「ちょっと陣内、だめ。これはナマエくんが私のために作ってくれたんだから」
「次は私にもお願いします」
「「私も!」」
山本さんのあとに尊奈門くんたちまで続いて言うもんだから笑いながら頷く。
「いやあ、秋刀魚も思い切ったことするね…生姜聞いてて美味しいよ。すだちもいいね」
「水揚げするときに傷ついてたみたいで、そのまま焼くとボロボロになっちゃうなあって思って……思い切って竜田揚げと炊き込みご飯です」
「なるほど……ふふ、あぁ美味しい」
良かった。
「ナマエくん」
ちょいちょい、と手招きされて耳を指さされる。耳貸してってことか?体を寄せると正解だったようで昆奈門さんの顔が近づく。
「さっき小娘とこうしてたでしょ…妬かせないで」
「……見てたんですか?内容お伝えしていいなら話しますけど」
「じゃあ教えて?」
昆奈門さんが耳を寄せてくる。内緒話スタイルなんだ……ま、いっか。摺りおろしたとろろじゃないメニューを昆奈門さんのために思案してると聞いた、と話す。
「………ほんと、清々しいくらい私のこと好きだよね、ナマエくんは!」
あ、照れちゃった。ニコニコしながら見る。食べっぷりが本当に見ていて気持ちいい。
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昆奈門さんって酔うんだ。少し…ほろ酔い?な感じ。分かるくらい顔が赤くて少しふにゃふにゃしてる。
「どこへ行くの」
「お茶淹れようかと、ヴッ」
「だめ。君はここ」
すごい勢いでお腹に回ってきた腕で引き寄せられて昆奈門さんの膝の上に。重くないのかな……50キロ以上が乗っかってるのに。
「昆奈門さん」
「ん?」
「寒いです」
「じゃあこうするよ」
上半身じゃなくて下半身が……。足元が寒いと追加で言うと、湯浴みしなきゃ!と言われる。湯浴みをする前に、水分補給で白湯かお茶飲みましょうとなんとか誘導する。こんな状態で入っても大丈夫なのか疑問だけど、山本さんとか止める気配ないからいいのかな。
「ほら、行くよ」
まだ食器とか洗い終わってないのに担がれた。自分で歩けるのに…昆奈門さんってオレを運ぶの好きなんだろうな。
*諸泉尊奈門
「見たか?さっきの」
「はい!」
「名演技だな」
「演技?」
ミョウジさんと仲の良い女中の蒼が首を傾げている。普段から組頭が酒を飲む場にいないので仕方ない。
「酒に酔った演技だ……いやぁミョウジさんすっかり騙されていたな」
「え…先程の演技なのですか?」
「あぁ、ミョウジさんに甘えたいんだろ……特別な夕餉を作ってもらえてそれはもうニヤニヤしてたからな……くく、分かりやすい」
確かに……私達のと飯もおかずも違うと分かると嬉しそうにミョウジさんを見ていた。組頭は結構分かりやすい。今日の夕餉も美味しかった……ミョウジさんは元の時代、世界ではそこまで料理をしていなかったらしい。仕事に追われて食べない時期もあったとか…だからあんなに華奢なのだろう。
でも見ていると手際もいいし、献立のバランスも申し分ない。たまに作ってくださるすいーつもすごく美味しい。この間のもんぶらんなんか絶品だった。さつまいもと栗があそこまで化けるとは。
組頭は所謂「胃袋を掴まれた」状態なんだろう。胃袋を掴まれる前から好いていそうな気もするが……更にミョウジさんの料理上手なところもお慕いしているに違いない。
(!!!!ちょ、昆奈門さん……わ〜!!!口元かぶれてる……!!)
(そんな一大事みたいに慌てなくても……)
(どうして言ってくれないんですか)
(だってそしたらもうあの山芋の焼いたやつ作ってくれなくなっちゃうでしょ、嫌だよ)
(………痒くないんですか?)
(うん、平気。でもナマエくんが心配しちゃうから軟膏は塗ろうかな)
(そうしてください……焦った〜…アレルギーか何かかと思いましたよ)
(アレルギー……ああ、嫌悪反応みたいなやつね)
(そうです、重い症状だと気道が塞がって呼吸困難になっちゃうので…‥ふう、びっくりした)
(ほら、体冷えちゃうから肩まで浸かって)
(……あ、満月!)
(もうすぐ中秋の名月だねえ)
(お団子作らないと)
(ポンデリング?)
(う〜ん……普通のお団子にします、風情あるし)
(あれはあれで可愛いじゃない)