秋の味覚・トリップ・男主
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秋の味覚 栗、さつまいも
*ミョウジナマエ
「いてっ」
「ミョウジさま、私たち代わりますわ」
「うう……むずい……」
イガイガから栗の実を取り出す作業。痛くてさっきから刺さりまくってる。これ以上は見てられないと作業を蒼さんたちに変わってもらう。
「良いですか、ミョウジさま。ここをこうもって広げます」
「ふんふん」
「そして真ん中の1つをつまみ出しあとは左右のを揺らして真ん中に寄せながら取ります……これが基本です。
ですが広がらない場合はこうして、刺さらないように持ち…」
「持ち…?」
「誰もいないことを確認してから地面に……こうですわっ!!!」
「うぉ!」
ぽいんぽいんと跳ねた栗を避ける。強く投げたおかげか、栗がちゃんと出てきた。
「な、なるほど…!」
「なるほどじゃありません、ミョウジさん!信じてはいけませんよ……栗を投げるなんて危ないです」
芳花さんが見てなさい、と蒼さんの前に立ちはだかる。
「良いですか、いがが固い栗はこうして……」
地面に置いて少し離れる芳花さん。
「こうです!!!!」
結構大きめの石をパァン!と投げ当てた。とりあえず衝撃を与えればいいんだな?そのやり方が結構人によって違うんだろう。跳ね返ることを考えるとこちらの方法がいいかもしれない。
イガイガから栗を取る作業はとりあえず怪我をされても困るとのことで三人に申し訳ないけど任せる。茹でたあとの皮むき作業を頑張ろう。ひたすらもくもくと栗の仕分けをしてぬるま湯につけておく。お昼までにはさつまいもも茹で終わらせたいな。
つけ置き作業も終わり、弱火で塩茹で45分ほど茹でる。そのまま余熱で更に火を通して冷えるまで置いておく。そこから皮むき作業。渋皮までちゃんと剥いて下処理は完了。ザルで濾して濾して、その間にさつまいもを茹でる。
「ふう……あとは牛乳を足して…」
少し滑らかなペースト状にすればもうクリームは完成。ほんの少しだけ砂糖を足しておく。味見したらあまりにも甘みがなく淡白だったから、ほんの少し。
さつまいもも同じように濾して濾して、牛乳を足して食感を滑らかに。これで2種類のクリームが完成。あとは生地。電動ミキサーなんて当然ないからうまく行くか分からないけど……ひとまずやってみよう。
薄力粉、食用の重曹を混ぜ、卵、牛乳、砂糖を加えひたすら混ぜていく。ダマがなくなるまで綺麗に混ぜたら丸い深皿の耐熱容器に入れて蒸し器へ。うまく膨らんでくれ……。
「「わあ!!!」」
「ころころしてますわ!」
「うまくいったぁ……」
ほっと一安心。深皿から取り出して余熱をとったあと、半分に切り分ける。それを生地分繰り返してあとはクリームを絞るだけ!さつまいもと栗のクリームを交互にスポンジに塗り広げて、スポンジを重ねる。その上から布製の絞り袋で絞っていく。少し布にクリームが吸われるけど、絞れないわけじゃない。
「す、すごい…!綺麗…!」
「これはなんていうのです?」
「モンブランです!!や〜うまくいった、昆奈門さん呼んできます」
台所から出て訓練所へ。お昼のあとの休憩時間のはず。忍軍の皆さんに会釈して挨拶しながら奥へ進む。
「昆奈門さん」
「ナマエくんだ」
「お、とと……背骨へし折れるかと」
体格を考えてほしい。大型犬のように飛び込んできたから踏ん張ったけど、背中みしみしいった気がする。おやつできましたと話して連行。高坂さんなんかも甘いものが結構好きみたいで、プリンのリクエストされたことがある。
「じゃんっモンブランです」
「おおお……これ栗?凄いきれいだね」
「さつまいももいます、甘さが足りないので」
フォークの代わりのレンゲを用意しながら振り返ると、もう尊奈門くんと高坂さん座ってた。早すぎて2度見したし昆奈門さんも笑ってる。
「あ、お茶淹れますね…結構甘めにしたんです」
渋い緑茶と相性いいんじゃないかな。お茶を淹れていざ実食。……あ、クリームいい感じ。舌触りがいい。栗の風味もちゃんとするし、ほんのり甘い。さつまいもがしっかり甘い分いいバランスかも。スポンジもみちっとしてて食べごたえがある。ベーキングパウダーさえあればふわふわなんだけどね……流石にない。
「!美味しい……大変だったでしょ、手こんなにして」
「恥ずかしながら……栗では戦力外でしたよ」
実を取り出すのほぼやってもらいました、と話す。それでも刺さった何ヶ所か切り傷みたくなってる。包丁での怪我はしたことないけど、指先の初めての怪我が栗かあ…。
「そうは言いましても…私は地面に栗を投げつけてただけですわ」
「私は石を投げ当てただけですし」
「え、栗の調理で?」
「イガイガが中々取れないってやつはそうしてました」
すごい光景だったな……。何はともあれ、上手にできて良かった。
「かぼちゃでも代用できるんですよ」
「まあ!私かぼちゃ大好きですわ」
かぼちゃの煮物美味しいもんなぁ…さつまいもが大量に収穫できたって聞いたし、さつまいものプリン作ってもいいなあ。
「ほんとに美味しい、これここは何でできてるの?小麦粉?」
「薄力粉と重曹です!あとは卵と牛乳ですね…ちょびっと砂糖も」
「ほう、なるほど重曹……膨張剤か」
高坂さんに頷く。
「たまご蒸しパンなんかも皆さん好きそうですね」
「それ、私が一番に食べるからね」
「今日の……もんぶらん?とやらも一番最初に齧り付いておいてよく言う……ミョウジさん、頼みましたよ」
「はい、もちろんです。でも昆奈門さん、たまご蒸しパンは一緒に食べましたよ……黄色いふわふわの、あれです」
いつでもどうぞのご飯として、コンビニで適当に買ってきたやつ。その中にたまご蒸しパンがあって、有給消化中たしか一緒に食べた。昆奈門さんは初めての蒸しパンだったから終始「なにこれ」「ふわふわ」「カステラとは違うの?」と驚いていたっけな。
「…あぁ!あれがたまご蒸しパン?」
「あれは市販品なので、ちょっと腐らせにくくする防腐剤とか色々入ってますけど…概ねあれです」
「あれもふわふわで美味しかったね」
やっぱり。今度卵がどっさり手に入ったら作ってみよう。茶碗蒸しも食べたい。蒸籠がある分、蒸し野菜を食べる機会が現代のときよりも多いんだけど…蒸し野菜って本当に美味しい。お菓子もオーブンやレンジの代わりで作れるし、助かる。蒸し料理にこんなにハマると思わなかった。
「……あ!」
「?」
「ふふ、いいこと思いついちゃいました」
「スイーツ?」
「いいえ…ご飯のおかずです」
「卵の?」
「いや……卵は多分使わない……と思います。多分皆さん食べたことないやつ」
中国の料理…というか余り物なんとかして食べようみたいなメニューらしいからね、餃子って。韮は好き嫌い分かれそうだし、そもそも水仙?とか毒性のある植物と似てるから自生してても採取が怖いからやめておこう。キャベツと、お肉。ネギで餡はできるし、皮は…薄力粉と中力粉、もしくは強力粉が用意できれば作れそう。
皆で作れるから……クリスマス、は祝う習慣ないか。何か感謝祭的な、そういう皆で楽しもうって行事があるときに提案してみてもいいかも。
「楽しみにしてるね」
「はい……って昆奈門さんもうモンブラン食べ終わったんですか?はやっ」
「美味しかったからね、すぐなくなっちゃった」
一口大きいもんな…オレの半分以上あるし、食べます?と差し出す。
「いいの?でもナマエくん食べてないじゃない」
「次の計画立ててました」
「計画か…一口ちょうだい」
人前では口布部分を外さない昆奈門さんがオレにだけぎりぎり見える角度で口元が見えるように指で開けてる。なんかドキッとしてしまった。つかないように切り分けて口元へ運ぶ。
「……ん、美味しい。後も頑張れるよ」
「良かったです」
戻るね、と頭を撫でられた。山本さんたちもぺろっと食べ終えたのか全員お皿が綺麗に空だった。よかった、初モンブラン大成功。
蒼さんたちにも大絶賛だったモンブラン。栗の皮むき頑張って良かった〜。朝の栗拾いから結構楽しかった。
(ナマエくん……ふふ、寝ちゃってる)
(朝からはしゃいでたもんね…お疲れ様)
(組頭………あぁ、ここで眠ってたのか。小娘たちが居ないと騒いでて)
(疲れちゃったんでしょ、栗拾いだー!さつまいも掘りだー!って昨日の夜中も元気だったもん)
(目に浮かぶ……夕餉は?)
(ん〜……茶漬けにしようかなぁ…ナマエくんも起こすよ、たしか昼もモンブラン作りに没頭して食べてない筈だからね)
(……朝も栗拾いで早起きして昼も抜き、唯一口にしたのがあのもんぶらん、のみ…???)
(そりゃ体力切れで寝るよね……ナマエくん、起きて〜)