Alien
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「ってな感じでやってきました!」
「県内最多店舗数を誇るナウでヤングな最先端!木椰区ショッピングモール!」
ナウでヤング…???
「ちょっと出久くん、カバンが邪魔でハグできないんだけど」
「ええ!?そんなキレ気味に言われても…」
「だって前からハグしたら絶対怒るじゃん」
「そりゃ見えないからね」
この、この!って恨みをこめてカバンを軽く叩いてたらヨシヨシされた。
この木梛区ショッピングモールに来るまでも大変だった、駅の降り口間違えて、全然出久くんと出会えなくて半べそかいた。
木梛、って名前の通りヤシの木いっぱいある。超広いし、休日ってこともあって人がすごい。ファミリーが多い。
「なんかアレだね、スタイルいいし海外のモデルさんみたい!」
芦戸ちゃんと耳郎ちゃんに褒められる。ありがとうとピース。この服だって入学前に相澤さんに買ってもらった大事なやつ。
「…なんか…皆の制服姿とコスチューム姿しか見てなかったから…新鮮だね」
「あぁ。」
「常闇くんおはよ〜!黒影ちゃんは?元気?」
「ウロウロしてもアイツは出せないぞ」
いつもならニョキ!て生えてくるみたいに出てくるからつい…
「…原則公共の場では禁止だしな。」
「ほら禁止だよ、その腕しまって障子くいだだだだっ!!!すぐそうやって噛まないで!!」
ほっぺを思い切り噛んでから伸ばされた。
「悪いこいつはイタズラ好きなんだ」
あんたの体の1部だろうが…別人格で自我がある、みたいなこと言ったって騙されないぞ!障子くんの右ワンワンをぺしぺしと軽く叩く。
「とりあえずウチ大きめのキャリーバッグ買わなきゃ」
「あら、では一緒に回りましょうか」
ヤオモモたちが売り場に向かう。バイバ~イ、と手を振る。
「俺アウトドア系の靴ねえから買いてえんだけど」
「あー私も私もー!!!」
「ピッキング用品と小型ドリルってどこ売ってんだ?」
峰田くん、ブレない。
「靴は履き慣れたものとしおりに書いて……あ、いや、しかしなる程用途に合ったものを選ぶべきなのか…!?」
すごい動きしたけど今、飯田くん。早すぎて見えなかったよ。笑ってしまう。
「くましろくんて、ほんと飯田くんの挙動好きやな~」
お茶子ちゃんに言われる。
「だって面白いんだもん、マネできない挙動」
「目的バラけてっし時間決めて自由行動すっか!」
切島くんのその案に皆賛成し、バラけることに。自由なのはどこ行っても変わらない。
「皆行動早いな」
「ほんとね。もう散り散り。」
「う…麗日さんはどうする?僕はウェイトリストちょっと重めの欲しいんだけど…」
「私は…虫よけ…」
あ、確かにそれ大事だ。メモに追加しとかないと。
「くましろくんは?」
「これ!」
「わ、結構あるね」
リストを見せる。どういうのがいいかとかツラツラ書いてたからいっぱいあるように見えるけど、実はそんなに種類はない。
「虫よけーーー!!!!」
「虫!?」
突如叫びながらお茶子ちゃんが走り去る。そんなに急いで買うものでもないと思ったけど、もしかして近くにいたから早速必要になったとか!?
「もしかして虫ついてる?!」
「着いてないよ!いるにしても虫よけスプレー買うより、殺したりする方が早くない!!?」
体液ついちゃうじゃんそれは嫌だ!!と返す。
あ、相澤さんから着いたのかってLINEきてる。返事しよ。
『出久くんが迎えに来てくれて合流できました!お茶子ちゃんが買いに行ったんですが、虫よけスプレーいると思いますか?』…と。
ぽちぽち打っていると、後ろから出久くんが誰に声をかけられている。
「おー雄英の人だスゲー!サインくれよ」
「へ?!」
「出久くん、変なのだったらオレの手引いて。逃げよ」
職場体験での駅でのあの人たちを思い出す。ああいう時は適当にニコニコして、写真はごまかして断って逃げろって言われた。
「確か体育祭でボロボロんなってた奴だよな!?」
「わぁあ…は、はい…」
ああ、出久くん困ってるのに相澤さんからのLINEの返事めちゃくちゃ早い。携帯の前で待機してたんだろうな。
「んで確か、保須事件の時にヒーロー殺しと遭遇したんだっけ?すげえよなあ!」
詳しいな、ていうかどこかで聞いたことあるような…?
「出久くん、行こう。」
嫌な予感がして出久くんの左手を掴むが、オレの手首ごと掴まれる。
「そっちのお前も見たことある…有名人だよね。いや本当信じられないぜ、こんなとこでまた会うとは!」
また?もしかして、と思って振り返る。出久くんはまだ分からないみたいでキョトンとしてた。
「ここまでくると何かあるんじゃって思うよ、運命……因縁めいたもんが…まあでもおまえにとっては雄英襲撃以来になるか」
「…弔……手、離して」
オレの手から出久くんの首へと移動する手首を掴む。出久くんも顔が見えたのと、手で気付いたようだ。
「やっぱりお前は気づいてくれんだね、くましろ。
お茶でもしようか、緑谷出久、…くましろ。」
ぎゅ、と弔の左手に力が入る。
「首元はいただけないね、弔。せめて手にしてよ」
「男3人が手を繋いでたら注目浴びるだろ…」
「2人でも浴びるし、出久くん苦しめないで?」
オレのお願いはスルーされ、引っ張られ歩く。いざとなればオレの個性で弔の攻撃はさせないようにすることができる。
まだ弔はオレが何の個性の持ち主なのか、分かってないはずだから。操作とかそこらへんと思ってるかもしれない。よく間違われるし。
「自然に…旧知の友人のように振舞うべきだ、決して騒ぐなよ?落ち着いて呼吸を整えろよ。
俺はおまえと話がしたいんだ、それだけさ。少しでもおかしな挙動を見せてみろよ?
簡単だ、俺の五指が全てこの首に触れた瞬間、喉の皮膚から崩れ始め…1分と経たないうちにおまえは塵と化すぞ」
「こっ、こんな人ゴミで…!やったら…すぐにヒーローが…ヒーローが来て捕まるぞ…!」
「…だろうな、でも見てみろよこいつらを。いつ誰が狂気を振りかざしてもおかしくないってのになんで笑って群れている?
法やルールってのはつまるところ個々人のモラルが前提だ、「するわけねえ」と思い込んでんのさ。
捕まるまでに20…いや、30人は壊せるだろうなぁ…」
「させないよ、オレが。…ごめんね出久くん、」
首を横にふる出久くん。苦しそうだ。しっかりと気道を抑えてる弔の手は引っ剥がそうとしてもビクともしない。
「くましろ…イレイザーヘッドの次はこいつ?…妬くなあ…ムッカつく…」
すごい怒るじゃん…。
「妬かないでよ…ていうか、人を尻軽みたいな言い方すんのもやめてよ」
失礼にもほどある、次はってなんだ。目がガチで据わってる弔をこれ以上怒らせないために、わざと明るいトーンで話す。
お前って良くも悪くも雰囲気ぶち壊すよな、と同じくぶち壊しがちな上鳴くんに言われたことあるのを思い出した。
(通報したほうがいいかな…いやでも…下手に動くと危ない…)
(…え、てかここ座るの?お茶するんじゃなかったの)
(社交辞令だよ…全部真に受けんな)
(言い出しっぺそっちじゃん…まったくもう…)
(だめ、お前はこっち)
(わっ!…危な…)
(くましろ、今日一緒に帰ろ?)
(……諦め悪いねほんと…)