Alien
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✳相澤消太
「さすがですねえ、忠犬!」
「成績優秀トップを学期末まで保つとはねえ」
「相澤先生が厳しくご指導されてるからですかね?」
やいのやいの、と自席の周りに集まる教師陣たちを見やる。
悪い意味でも、いい意味でも学年を超えて注目されているくましろ。
神代さんのひとり息子で、成績トップで入学。度重なる敵との侵入や戦闘でボロボロになりながら帰ってくる。
無類の"イレイザーヘッド"好きで、職員室に入り浸り、その"イレイザーヘッド"に預かられ高校生活を送る。
林間合宿と期末テストの旨を知らせたときから、各教科の担当教師にひっ付き今までの単元の総復習をしたい!と申告し、教師によっては課題とは別のプリント作成してもらったりしていた。
何をそんなに急に勉強をやる気に?と尋ねるとこう答えたと口を揃えて言われるのは、「全教科100点取って、相澤先生に褒めてもらいたくて!」
今回有言実行したようで、大量の採点作業を終えていつもならぐったりしてる先生方が「おぉ!」「まじか」と言いながらくましろの答案用紙を持ち合い、本当に全教科100点なのを確認しあい、素直に全員感嘆の声を上げていた。
「…俺は何も言ってませんよ、全部本人のやる気でやりきったんでしょう。…まあ、動機は皆さんご存知の通り不純でバカですが」
ブラドに生徒に自発的に勉強させるコツは、と聞かれ全員気になるようで俺の顔を見ていたのでそう返す。
「褒められたいからってこんな勉強して形にする生徒、久々に見ましたねえ」
セメントスさんはくましろが喜びそうなかわいい花丸つけてやりたい、と練習していた。
「ま〜前々からどんだけイレイザーヘッドと相澤のこと好きなんだよ、と思ってはいたがここまでくると…バカデケー愛だな!」
マイクがそう言ってからかってくるので制する。
「…てな感じでな、職員室でも大盛りあがりだったぞ」
そう言いながらくましろの顔を見る。と、なんともいえない表情をしている。
「…なんだ、その顔。」
ニヤついて…?いや、グッと口を噛みしめている…どっちだ?
「…ふふ、相澤さん嬉しそうに話してくれるんですね」
「…?」
「ゼンマイとか、すれ違ったオールマイトとか…ミッドナイトもセメントス先生も…
皆すごいね!とか相澤さんが喜んでたよって教えてくれたり一緒に良かったね~!って喜んでくれたんですけど…
相澤さんが1番、嬉しそうです」
「…嬉しそうだったか?」
「はい、とっても。これは自伝本に書きます。」
まだ出すつもりでいたのか、それ。
「まじでここ数時間の相澤さん可愛すぎてほんとに心臓持たない無理……」
情緒が突然荒ぶってそう言いながら床に溶けるように落ちていくくましろを見る。
「溶けんなよ…」
起こしてやろうと近寄ると、あ!!!と急に大声を出して顔を起こすくましろにびっくりして肩が跳ねる。急に大声出すんじゃねえ、と頬をつまむ。
「演習の評価、聞きたいです」
…そういや言ってなかったな。
「結果としては合格。点数出すとしたら…70だ。」
良くも悪くも、という印象。
「…70…」
「…思ったより低かったか?」
少し落ち込んでいそうな声色のくましろの顔を見やる。
「…はい…」
「落ち込むな、林間合宿で嫌と言うほど鍛えてやる。
まずはその激的な方向音痴、いちいち街の中飛び上がるわけにも行かねえだろ。…そんで、集中力を欠いたときの立ち回りの脆弱さ。俺の癖を見抜こうとして見すぎだ、あんな何発も食らったら実戦じゃ死ぬ。
次、個性発動のタイミングが下手くそなのと精度が悪かった。百発百中で使えるようになれ
んで…」
「ちょ早い早い!!相澤さんまって、」
パタパタとノートを持って走ってくるくましろ。こういうマメさは緑谷によく似ている。
聞きそびれたという部分をもう一度設定してやる。
「最後だが……」
なんて言おうか迷って黙る俺の顔を見上げるくましろ。
「どちらかが正しい正義なんて絶対ない、だったか?」
「……はい」
「そうか。…まあくましろの言いたいことも分かる。…俺は俺の正義で、お前を導くよ」
「かっ……!」
悶えてるくましろにちゃんと聞いてんのか、と左手を掴んで引っ張る。
「…くましろ、自負してると思うがお前はメンタルにすぐ支障をきたす。良くなってきてはいるが、それでもまだまだブレやすい。…分かるな?」
目線を合わせてゆっくり問いかけると、頷く。
「お前の生い立ち、母親との関係、敵との精神的距離の近さ、それらを知っても知らずとも第三者に突かれるとすぐ感情がブレて暴走する。
…切り替えが早いのはいいことだが、そもそもちょっと突かれたくらいで暴走しねえくらいしっかりした土台を作れ。
お前は敵じゃないし、人殺しでもないだろ。敵とはいえ人を殺めたことないヒーローはいない。
だから安心してさっさとこっち側へ来い」
そう言ってやると、またポロポロ泣き出す。ほんとによく泣くのな…
スポンジみてえなやつだな、と思う。
物事の受け取り方がネガティブでだいぶ捻くれてはいるが、言われたこと・もらったこともそのまま受け取るのでどんどん吸収する。
最近、神社のお守りを開封していたので何してんだ、と声をかけたら特に心に残っている人からもらったお守りにしている言葉をメモに書き、お守りに閉じていたのを思い出す。
あげればあげるだけ、たまに捻くれた見方をしつつも素直に受け取るくましろの目は、入学する前と比べて明らかに柔らかい。
母親の意見を聞かずに雄英に入れて正解だったな。
(やさじい゛…)
(ピーピー泣くな)
(あいざわさん゛すき…)
(流れで言うな)
(好きと思ったタイミングで言ったの…!)
(はいはい、俺も好きだよ泣き止め)
(…っ!!!!)
(なんだ今度真っ赤にして)
(もうホント無理……なんなの…)
(じたばた暴れるな、苦情くるだろ)
(オレも心臓が持たないってアンタに苦情入れたいんですが??)