いい子だね、の破壊力すごすぎて教卓から席に戻るまでの間に躓いて転んで答案用紙ぶちまけて何やってんだ落ち着け、て相澤さんにまた笑われる。


「そんじゃ、今回の期末テストだが…残念ながら赤点が出た。したがって…

林間合宿は全員行きます」
ニパ！って感じの笑い方する相澤さん。かわいいの過剰供給で胸が痛い。胸を抑えてうずくまる。


「「「「どんでん返しだあ！！！！」」」」


「筆記の方はゼロ…実技で切島・上鳴・芦戸・砂糖、あと瀬呂が赤点だ」


「行っていいんスか俺らあ！」
瀬呂くんもなんだ、ペアと先生誰だったんだろう。覚えてないや…。


「今回の試験、我々敵側は生徒に勝ち筋を残しつつ、どう課題と向き合うかを見るように動いた。
裁量は個々人によるが…でなければ課題云々の前に詰む奴ばかりだったろうからな」


「本気で叩き潰すと仰っていたのは…」


「追い込む為さ、そもそも林間合宿は強化合宿だ。赤点取った奴こそここで力をつけてもらわなきゃならん。

合理的虚偽ってやつさ」
可愛い…

「「「ゴーリテキキョギィイー！！」」」


「かわいい…」


「先生、さっきから胸抑えてうずくまってんだけどまじで平気ですか？」
瀬呂くんに言われるけど、相澤さんが気にすんなって言って終わった。


「しかし！二度も虚偽を重ねられると信頼に揺らぎが生じるかと！！」
飯田くんが手を上げながらそう言う。


「何言ってんの、相澤先生が嘘つきって言いたいの！？」


「お前は座れ、…確かにな。省みるよ。ただ全部嘘ってわけじゃない。
赤点は赤点だ。おまえらには別途に補修時間を設けてる。ぶっちゃけ学校に残っての補修よりキツイからな。

…じゃあ合宿のしおりを配るから後ろに回してけ」


「これ先生が作ったんですか？」


「？あぁ…」


「かわ…」
　

「お前どうした、ついにぶっ壊れたか？」
失礼な。ちょっといま小さなことでも愛おしく思う瞬間なだけで正常だわ。
だって丸みのあるフォント選ぶんだ、とかしおりをそもそも
作るんだ…！って思うとかわいいじゃん…！！


HRが終わり、ぼーっとしてると皆の会話が聞こえてくる。


「…まぁ何はともあれ、全員で行けて良かったね。」
確かに。…相澤さん優しいから、誰かだけ置いてくなんてしなさそうだけど。


「……肝試しやだな…」



「くましろちゃん、怖いのダメなのね」
蛙吹さんに起きたのね、と言われる。ずっと起きてたよというと途中ほぼ意識なかったでしょう、と言われる。


「なんでちょっと嬉しそうなの、ひどいよ、、」


「だって、無反応の人といても楽しくないじゃない。」
梅雨ちゃん無反応そうだな…。ホラーゲームとか涼しい顔でやってそう。見るのは好きなんだけどね、びっくりするんだよね…。


「1週間の強化合宿か！」


「もしかして1週間毎日肝試しやるのかな…行きたくない」


「それはないと思うよ…。肝試しの時、僕も一緒に行くよ！けっこうな大荷物になるね」
うう、出久くん…なんて天使なんだ…。

「暗視ゴーグル」
完全に夜夜這いするか覗き込む気満々の峰田くん。一般人が買えるルートに暗視ゴーグルなんて売ってるのか？？


「水着とか持ってねーや。色々買わねえとなあ」
上鳴くんがそう言う。海とか入るのかな？


「あ、じゃあさ！明日休みだしテスト明けだし…………ってことで！A組みんなで買い物行こうよ！」
おお、楽しそう！


「おお良い！！何気にそう言うの初じゃね！？」
上鳴くんも嬉しそうに言う。大所帯で行動なんて訓練以外初めてだもんね。


「おい爆豪、おまえも来い！」
切島くんがそう言うけど、爆豪くんは来ないんじゃないかなあ。

「行ってたまるかかったりィ。」
やっぱり。


「轟くんも行かない？」


「轟くんゲーセンで遊ぼうよ、UFOキャッチャーしよ！」


「買い出しだからね？くましろくん。」
ダメ！と言われた。えー！！久々にやりたいのに〜


「休日は見舞いだ。」


「そーなのかあ…じゃあ、お土産にウッディのストラップキャッチしてくるから！」


「遊ぶ気満々だなお前、ダメって言われたばっかだろ」
得意だから任せて、とドヤると威張るなって怒られた。


「ノリが悪いよ空気を読めやKY男共ォ！！」
峰田くんが叫ぶ。



「って感じで決まったので、明日買い出し行ってきます！」
そうか、と返ってくる。相澤さんが比較的よく食べるきんぴらごぼうをつつく。


「……ふっ、まさか鼻血まで出すとはな」
放心状態になったオレが心底面白かったらしい相澤さん、まだ笑ってる。


「アレ、わざとでしょう。…意地悪ですよ、相澤さん。」
そう伝えてもどこ吹く風の相澤さん。くそう…。


「ほんとにやるとは思ってなくてな…健気だと思っただけだ、よく頑張ったなくましろ」


(…うれじい…)
(泣くな、食え)
(余韻に浸らせてください、この小悪魔)
(誰が小悪魔だバカ)
(そうだ、ゼンマイから聞きましたよ。オレが褒められて相澤さん嬉しそうに笑ってたって)
(…あぁ、アレか。凄かったぞ)