Alien
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✳相澤消太
…はあ、うるさい。隣の緑谷ももはや苦笑している。すこし切れただけなのだ。なのに、葬式のようなテンションで泣いているバカの頭を雑に撫で回す。
「う、ゲッホ!!!…ごめんなさいぃ、」
こんなに噎せるまで泣いているくましろ。 確かに捕縛武器で掴んで引き寄せてきた時の頭突きは普通に痛かった。けど個性は使えてるし、大怪我に繋がった訳ではないのだ。そもそも俺自身が引っ張ったしな。
「…分かったから、」
「もう、泣かせてばっかりなんだから相澤先生は。」
リカバリーガールにも言われるが、今回ばかりは味方をしてほしい。
「…ほら鼻水出てんぞ」
ティッシュを渡せばチーン!と鼻をかむくましろ。泣いてこうすることが多すぎて鼻を痛めてしまったこともあって、以来使ってるのは鼻セレブだ。
常備されてるあたりこいつの影響力はすごいと思う。
「くましろくん、先生も大丈夫って言ってるし、思いつめるのはやめようよ」
けが人に説得されてるくましろ。
「緑谷の言う通りだ…そろそろ終わるな、行「どこ行くんですか」……分かった、じゃあついてこい」
捨てられる犬のような顔をされてはこちらが後味悪い。
救護テントを出たあと、後ろから声をかけられる。
「…本当に大丈夫なんですか?」
「だから大丈夫って言ってるだろ。心配しすぎだよ」
「…明らかに時間短くなってます…」
気付いたか。まあ八百万が気付くんだ、一緒に長いこと訓練やってきたくましろが気付かないわけないか。
「あぁ、発動時間は短くなったしインターバルは増加してる」
まあ見えなくなるよりは全然マシだ、と付け加える。
「…故意にじゃなくても目の付近攻撃したって思うと、怖いんです」
ついてきていた足音が止まるのでくましろを振り返る。
「相澤さんが、大切なんです。」
「…そうか。じゃあくましろにも言うが…」
「…?」
一歩、くましろに近寄る。
「俺はお前が大切だ。くましろは相手を優先しすぎて、自分は疎かにする傾向がある。だから大切にしてほしい。
俺ばっかり大切にされて、大切なお前はぞんざいなんてごめんだね。」
「たい、せつ…」
小さく呟くくましろ。
「…ああ。俺がこんなにくましろを大切にして思っているのに、お前自身が大切にしないなんて酷いと思わないか?」
だんだん言われてる意味がわかってきたのか、指先からどんどん真っ赤になっていく。
よくもまあ自分は歯の浮く言葉をポンポン俺に言うくせに、言われると毎度真っ赤になって照れるもんだ。
「……卑怯です相澤さんのバカ…」
萎むような声量で言い返してくる。どれだけオレが相澤さんを好きか全然分かってない!と説教されたことがあるが、この姿をひと目見て理解できないやつがいるんだろうか?
「…卑怯で結構。俺の目の傷よりお前の腹の傷跡の方がデカイし、残った跡も痛々しいし、俺の大切なくましろをもっと丁寧に扱ってほしいもんだがなぁ」
「~~わざと言ってるでしょ、ヒゲ太のバカ!」
怒鳴る元気が出てきたか。リンゴを通り越して、さくらんぼのように赤い。
「顔が赤いぞ、また照れてンのか?いい加減慣れろ」
「慣れるわけないじゃん…!ほんと心臓に悪い、、」
ぶつくさ言いながらまた歩き出す俺にきちんと足音が続いてるか聞きながら進む。
「お前が俺に伝えてる10分の1も伝えてないと思うがな」
「…相澤さんばっかヨユーでむかつく…!」
お前がピュアでウブすぎんだよ。
「まあこっちも伊達に30年生きてないからね…ほら、前見ろ転ぶだろ。」
ジャージを引っつかみ教師陣のテントへ急ぐ。もう少しで試験終了だが、赤点の奴らはいんのか…?
「ワーォ!!相澤と神代じゃねえか!どうだったのよ?」
テントに入るとマイクが気づいて話しかけてくる。
「こいつの人誑しっぷりには驚かされてばかりだよ」
「人誑しィ?」
「俺の両手握って抱き合ってフィニッシュだ」
指差す先にはさらに顔真っ赤にして怒ってるくましろ。
「…カフスつけてるのバレないようにしたの!!!」
別に悪いなんて言ってねえのに必死なくましろについ笑みがこぼれる。笑ってるのバレると面倒だから、捕縛武器に顔を埋める。
「オーこれまた随ッ分顔が赤ェこと…!」
マイクもまるで親戚の甥っ子見てる気分だ、と少し前に言っていた。
人から可愛がられる素質を持ってて、可愛がられたくて近寄るのに可愛がられ慣れてない。そんなくましろが可愛くて面白くてしかたないようだ。
「ゼンマイ黙って」
「俺の素直な想いを聞いたらまた照れてんだ」
本音なのにな、と付け加えるともっと真っ赤になって蹲るくましろ。どんだけ耐性ねえんだよ…
マイクは腹抱えて笑ってる。
(さすがウブだな!!)
(2人してそうやってバカにして…!!)
(俺はいつもからかうか、バカにしてるとしか思われてないらしい。信じてもらえねえんだ)
(ウブって聞こえたけどアンタら可愛い私のくましろちゃんに何したの!?)
(……ミッドナイトォォ~~!!!)