Alien
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リカバリーガールに頑張りなさいね、と喝をもらって会場へ。
「2人と同じとこですか?」
「ああ。お前の個性ならないと思うが、無駄に建物壊したりしないように。人が住んでる設定忘れるな」
そう言ってフラフラとどこか歩いてく相澤さん。
「リカバリーガール!!!!これも録画してる!?」
『してるさね、さっさとおやり』
よしよし!ふんすふんす。やる気500%くらいでてきた。体伸ばして体操して。
「じゃあスタート」
音声だけ聞こえた。相澤さんは目の前にはいない。結構ぬるっと入るな。
自分が先生に捕まらずゲート通るか、オレがこの手錠で先生捕まえるか。
「…ゲートどっちだっけ?」
さっきこっち向いた時にあっちって言ってたから、この方向では右ね、右。
てかこれ、ペアとの相性とか戦う先生との相性以前に方向音痴にはきつくない?だから住宅地??
「ちょっと書いとくか…本来なら怒られるだろうけど」
石ころがあったので壁に「みぎ」、離れて歩いたところに「あっち」と書き足していく。
最悪ここに戻って来ればゲートの方向は分かる。
「ん、…あれ??ゲート左か?」
✳ビデオ閲覧組
「あらあら、早速方向音痴出ちゃってるねぇ~ほっほっほ!まるで合ってないわ」
「しかも見ている方向も、こっちと書いてる方向も逆ですわ…」
「…致命的だな、あいつの方向音痴。」
「ここまでですと、端まで走って壁沿いに走っていくしかないですわね」
✳神代くましろ
…最悪だ。ゲートの方向が分からない。相澤さんに出会わないよう、なるべく迂回してたら普通に訳わからなくなってきた。オレの戦闘方法を構成したと言っても過言でもない人だ、…当然まだ全然敵わない。
真正面から戦闘なんてやったらいつもの訓練のごとくコテンパンだろう、戦いつつもあの人足止めして確実に捕獲するか逃げるか、どっちか。
オレにはペアがいないから、オレの個性と戦闘方法で乗り切るしかない。どうしたものか。一回上から見下ろしたいけど、ルパン目立つしなあ…。
設定的には相澤さんは敵なわけだから、1人でやってやられるより応援呼んだほうがいいに決まってる。
「相澤さん残して死ねないし…」
「そうか」
「…え、」
バッと振り向く。
「ぐるぐる迷ってるから来てやったよ」
「敵じゃなくてヒーローでは!??」
てかぐるぐる迷ってるって、同じとこ通ってたってこと?!森でもないのにそんなこと起こるんだ…怖…
「ゲートの方向も間違えてる」
話しながら自然に攻撃を仕掛けてきた相澤さんへの反応が遅れる。
「ぅぐっ!」
あぶな……回し蹴りギリギリ手で受け止める。
「ほう、受身が上達したってのは本当みたいだな」
「嘘つかないでしょアンタに…」
「思い込みってこともあるだろう、お前の」
「…なんか意地悪ですね…」
ゲート違うっていうのも、まさかハッタリ?
埒があかない、とりあえず今は少し距離置いて姿をくらまそう。オレは現在地もわかってないし、相澤さんが圧倒的有利だ。
「そりゃあ敵だからな」
「敵でもカッコいい!!!!!」
「夫婦漫才じゃねえんだから、…いくぞ」
相澤さんの目の色が変わる。本気のときだ。
相澤さんって卑怯だよね。捕縛武器で遠くからオレのことを鷲掴みにもできるし、でも本人は近接戦も得意ときてるって卑怯じゃない?
こっちが個性を使いたいタイミングで相澤さんが先に個性を使うもんだから、外す外す…。そして向こうの攻撃は当たる当たる。
個性を使えても確認できる人や植物などの対象物以外での動きが確認できるものがなくて、分かりにくい。明確な時間ロス。足に力が入らなくて座り込む。視線だけは逸らさないようにしてるけど、ちょっとやばいかも。攻撃食らいすぎた…
「ボロボロだな、ヒーロー」
相澤さんの攻撃の手が止む。
「…?」
「どうだ、俺と手を組まねえか?」
「え…?」
右手を出してきてる相澤さん。なんのマネ…?
「…もしかして、弔のマネですか?全然似てないんで、っふ、似てないんですけど、」
真面目にやってる分、面白くなっちゃってつい笑う。
「……」
あ、ヤバい!!笑ったから絶対キレてる!!!だって弔のマネしてると思うと面白かったんだもん…!
「中立とか言っておきながら、敵を名前で呼ぶか。…随分肩入れしてんじゃァねえのか?」
ぞく、と鳥肌が立つ。
「…弔は…敵でもなんでもないですよ、迷ってるこどもなだけ。まあでも相澤さんの目をやったのは一生許しませんけどね。」
この先は分からないけど、いまは…振り向いてほしくて必死な子供に見える時がある。
「そう絆されて敵側に身を堕とす人間を何人見てきたか…覚悟と推測が甘いンじゃねえのか?」
相澤さんのオレに対する本音だろうか、言葉が刺々しい。
「推測…?」
「アイツはこの法の下で好き勝手に暴力振るって暴れてぇだけだろう」
すごい言われようだ、弔。
「…違いますよ、どうにかして自分を見てほしいって暴れて注目されてる子どもです。たしかにその先の深いことは知りませんけど…
似てるんですよ、オレも弔も。」
「!!」
相澤さんがすごく悲しそうな顔をする。
「どこで違えたのかは、光に出会ったか出会わなかったかだと思います。
…ヒーローが最も華形のこの世界で、生まれた瞬間から華かクソかに分かれちゃうようなクソみたいな側面を持つ社会なら、墜ちる人も出てくるでしょう。
だってあまりに白か黒かすぎますもん。白にも黒にもなれない人だっているでしょ?
でもね、…敵である相澤さん。よく聞いて下さい。どちらかが絶対に正しい正義なんてないんですよ、だからオレは中立を選ぶんです。本当の敵になりたくないし、…貴方のような光になりたいから」
「…腑抜けたこと言ってたら顔面蹴り飛ばしてるとこだったな」
犯罪予告ですか?コワ。どこにこんな体力残ってんの?ってくらい元気な相澤さんが攻撃を仕掛けてくる。
相変わらず不利だ。間合いに入るしかないか。
キュッ
「っ、」
向かってくる相澤さんのお腹らへんに手を当ててそれを軸にして後ろに回り込む。荒技。7秒でいい、止まれ。よし、止まった。遠くに逃げよう。ルパン作戦開始!!!真上に浮力をなくして飛んでいく。
「あれか!」
うわ、ちゃんと出口です!みたいなこと書いてあるよ。
ほんとだ真逆の方向歩いてたわオレ。危ない。
「そろそろ7秒、かな。」
ゲートの位置も定まったしだいぶ遠くに来れたしで少し冷静になった。落ち着かないと。
一応オレにも捕縛武器はあるしカフスもある。見つかってしまった以上逃げ切ることは難しい。たぶん先に出口で待ってるだろうしね。
なら捕まえるしかないね、
「…来たか」
ゲート前に鎮座してる相澤さん。あまりにかっこいいよ~。
「来ました!」
合図がなくてもお互いに身構え、再び手合わせが始まる。
「ッゲホ!!!」
今日何度目かの背中からの着地に目がチカチカする。いや受身とって背中から着地しただけだけど。
ダメージ2倍が足枷だ。だけどうまく付き合っていくしかない。
さっきから近接戦か、まばたきの瞬間で使えたオレの個性を使って、の戦いの繰り返し。
とある癖を狙ってるんだ、相澤さんの。
「考えごとか?動きが遅いぞ」
「…っ、ガハッ…!!!!」
内臓出そう、何いまのパンチ超痛い。
相澤さんは短期戦型、長期戦は向いてない。いつもの訓練でもパパッとやられるし…爆豪くんにも言われた通り、オレは結構動きにクセがあるらしい、けど。
相澤さんもあるんだよね、たぶんオレと同じで気づいてないけど。
捕縛武器で両手を縛られた。そのまま引っ張られる。
うう、やりたくないけどやるしかない!!!
ゴンッ!!!
「…てめっ、」
渾身の頭突き。目はもちろん外しておでこの上の方を狙った。ごめんね相澤さん、でもオレも痛いから。引っ張られた遠心力付きとかやる方もマジで痛いから。
捕縛武器が緩んだ隙に手を出す。カフス持ってるよね?よし、一気に間合いを詰める。
そうすると相澤さんはここでいつも、右手を顔の前に出して左手で振り払おうとするから、相澤さんの両手を握るように持つ。
カチャンっ。
「…ふふ、おそろい~」
「…自分の右手に…」
そう、ほんとにルパン作戦。
今回のルパン作戦は二つあって、前回のを生かして高いところからこのエリアを見渡したカリオストロの城編と、
あと幾度となく見てるルパンととっつぁんの2人で手錠かけて逃げてるシーンを参考にしたカフス捕獲。
方向音痴で空間把握が苦手だから上から見るしかないし、どっちかに標的を絞らせるペアもいない。なら一緒に捕まっちゃえって思って、ぶっつけ本番でやったけど上手くいってよかった…。
握るときに軽く回して相澤さんの手に回ってくるようにしたのだ。そこは見ながらやってないから完全に運。
運任せにするな、て怒られそうだけど時間もないし…。
(は〜…つっかれた…)
(俺はベッドか)
(相澤さん、右手握られた時びっくりしてましたね)
(そりゃいきなり手を繋がれるなんて思わないだろ)
(あの顔、最高級に天使でした。かわいい。)
(その時のお前のニヤついた顔も最上級にイラついたけどな)
(…相澤さん、悲しそうな顔させてごめんなさい)
(いい。……訂正はさせろ、似てねえ)
(!ふふ、そうですか。…いっだあ!??!え!?何!??)
(そうですか、じゃねえ。似てねえっつったら似てねえんだ)
(めちゃくちゃキレてる、、、怒らないで、、)