Alien
Name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あー怖い!いつか君や君たちが呼ぶトラブルに巻き込まれて、僕らにまで被害が及ぶかもしれないなあ!ああ怖…」
完全に煽ってる物間くんの顔。
分かってはいるけど、冷静にはなれなかった。かといって、この苛立ちみたいなのを物間くんにどうぶつけていいのかも分からなかった。胸のあたりにマグマを抱えているけど、どうしていいか分からない。
「何なの、まじで…」
「死体処理は得意な神代くんにやってもらう?」
食堂にいる生徒の視線が突き刺さるようだった。ヒソヒソとした声も聞こえる、そりゃ死神とか死体処理とか聞こえたら眉くらい顰めるだろう、怖くて振り返れなくなる。
「…くましろくん落ち着いて、大丈夫だよ」
肩を優しく叩かれる。出久くんと目が合うと不思議と冷静になれた気がする。
オレの左手を両手でぎゅ、と掴む出久くん。
「ね、ほら。大丈夫!」
うん、と頷く。
「ほんとだシャレにならん、飯田の件知らないの?」
ふっ!!!って言いながら崩れ落ちた物間くんに心底びっくりした。
後ろの子が首元をチョップしたようだ。B組にはアサシンでもいるの??
「ごめんなA組、こいつちょっと心がアレなんだよ。だからそうカッカしないでやってくれ、飯田の件でムカッときたんだろ?
…母親のことも悪いな、悪く言って」
君も一緒にいたメンバーだもんな、と言われる。
「まあ…うん」
「ほらくましろくん、ごはん食べよ!」
出久くんに言われるけど、もう食欲なんてない。
「…ここいたくない」
「僕ら一緒にいるよ?」
「…」
「どっちみち飯田が先生呼びに行った、直に来るからここで待っといたほうがいいだろ。」
轟くんにもそう言われ、渋々座る。ざわざわした空気がとても苦手だ、また何か言われてるのではないかと怖い。
「あんたらさ、さっき期末の演習試験不透明とか言ってたね。…入試ん時みたいな対ロボットの実戦演習らしいよ」
あのロボット、そんなにお金かかってないとか?開発科の卒業制作とかそんな?事あるごとに出てきすぎでは…。せっかくだから使おう!の方かな?
「え!?本当!?なんで知ってるの!!?」
「私先輩に知り合いいるからさ、聞いた。ちょっとズルだけど。」
「ズルじゃないよ!そうだ、きっと前情報の収集も試験の一環に織り込まれていたんだ。そっか先輩に聞けばよかったんだ、何で気付かなかったんだ」
出久くんがブツブツ呟き始めたから、ギョッとしているB組の子。
「出久くんのこれ、癖なの」
「バカなのかい拳藤、せっかくの情報アドバンテージを!!
ココこそ憎きA組を出し抜くチャンスだったんだ…」
物間くん、意識あったんだ。アサシンみたいな綺麗なチョップだったんだろう、即意識落としててちょっとハラハラした。隣のクラスに殺し屋は勘弁してほしい。
「憎くはないっつーの。…あ、相澤先生」
「来い。」
顔を上げるより先に腕を引っ張り上げられる。有無を言わせず立たされるので付いていく。…え、当事者Bの物間くんは?
「喧嘩沙汰か?」
首を振る。
「…お前から喧嘩売ったのか?」
「売ってないですよ…」
「黙ってちゃ分かんねえだろ」
「じゃあ、物間くん呼べばいいじゃないですか」
目線が合わないことにイラッとしたのか、相澤さんが顔を掴んでくる。あまりにもその手が強くて痛くて、はたき落とす。
「どういうつもりだテメェ…」
「オレらに巻き込まれてもしもB組に何かあれば、得意の死体処理は死神の息子にやってもらおう、ですってよ。」
相澤さんは悪くないのに、どうして物間くんには話を聞かないんだとか開口一番がオレから喧嘩売ったって何それ?って八つ当たりに近い感情で、言い方が強くなる。
「オレが悪いんですか?」
「良い悪いは言ってねえだろ、落ち着けっつってんだ」
「じゃあなんでオレばっか疑われるんですか!!!」
遮るように大きな声が出る。
「くましろ、俺の目を見ろ。…そこの椅子座れ、そんで肩で息すんな。…右手出せ」
相澤さんの言う通りにする。右手…?
椅子に座ったオレの足元に座る相澤さん。前に出してた右手を取られる。出久くんがしてくれたように、ぎゅっと握られる。上から見る相澤さんの表情は、怒ってるかと思いきや優しかった。
「…落ち着いたか」
はい、と返事をする。
「そうか。…じゃあ1から話せ、俺はお前の話から聞いてやるから」
主観を入れすぎないように相澤さんに伝える。
「そりゃ物間が悪い。喧嘩に乗りかけたお前も幼い。…緑谷たちにあとで礼を言っとけよ」
右手をムニムニと揉まれる。
「…相澤さん、八つ当たりしてすみませんでした…」
「分かってんならいい。落ち込みすぎるなよ」
べそべそ泣いてるとティッシュを出される。
「…くましろはよく頑張ってるよ、それはお前が一番分かってんだろ。その頑張りを一時の感情で無くすようなことするな、勿体ねえだろ。
評価なんて一瞬で崩れる、そこから積み上げてくのは地道でしんどい。せっかく評価高く積んできたのに、他人の茶々で自ら崩しにいくなよ。」
「あまやがさないでください゛」
「今甘やかさねえでいつ甘やかすんだよ……悔しかったろ、飛びかかる寸前とはいえよく堪えた」
甘やかさないで、と言ってるのに頭をなでてくれる手一向に止めない相澤さん。ズビズビ泣いてたらB組の担任と話してくる、と空き教室を出ていった。
スマホを見るとポコポコ通知が来ていて、よく見ると轟くんやお茶子ちゃん、出久くんたちからだった。また涙腺が緩む。
(うう、出久くん、オレ…)
(すごい泣いてる…)
(なんか噴水みたいだねえ)
(麗日、それどういう例えだ?)
(顔つきが元に戻ってよかった!本来は禁止されるべきだが、君はお昼ロクに食べてないだろう…いちご飴を食べると良い)
(飯田くん、いちご飴とか食べるんや〜!はい、私からもチョコクッキー!これ前好きって言ってたよね?)
(優しさがしみる…)
(何やってんだこんなとこで…早よ席付け)