Alien
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✳プレゼント・マイク
「ちゃんと真面目なターンするからそうキリキリすんな、相澤。
…で?神代、峰田の言う通りお前ほんとにそういう欲求とかねーの?」
前々から気になっていた話題だ、別に性欲に限らずこんなに美人で現にファンクラブできるような見た目しといて、体育祭では4年来の友人に「彼女もいたことない」と言及されていたのが気になっていた。
「……」
「なんてハレンチな…て顔だな!」
顔に出やすい神代は本当に考えてることが手に取るように分かる。相澤の話的に、無意識下でわざとやってる部分もあるだろう。
自分を開示するのは怖い…けど分かってはほしい、理解してほしい…なんちゅーいじらしいアピールだこと。
「そんなあけすけにする話題ではなくないですか…」
…苦手な話題か?苦手というか、この表情は…嫌悪か。
「からかいてぇ訳じゃねえさ、でも思春期に抱いて当然の感情だからよ!それが微塵もねーと大人も様子を伺うワケさ。
なんかあんのか?ってな」
「…なにも、ないですけど…」
嘘が本当に下手くそだ。セメントスにもらった茶をお変わりし、戻ってくれば神代は口を開く。
「興味、ないです」
「…ふぅん?好きなやつと手ェ繋ぎたいとかも?」
ほらよ、と神代の分の湯呑みを渡す。例えば…
「相澤とか」
「……相澤さんはそういうんじゃないから、」
泣いてはいないが、声が震えている神代に睨みつけられる。
…ヤベ、俺なんか地雷踏んだか!?通ってきたしココでわんさか見てきたはずなんだが、何故こうも10代っつーのは難しくて厄介なんだよ!
「おい、神代」
「何してんだ馬鹿マイク。…お前も。」
救世主の相澤が間に割って入る。助かった〜、と顔を覗き込むと神代はポロポロ泣いている。
やばい、俺後でミッドナイトに殺されるかも…。
マジで聞いてみただけ、と一応相澤に言い訳しておく。
ぶっきらぼうだしたまに口調は強いが1番厳しくしてる分甘やかしてるのは相澤だ。怒らせないに越したことはない。
「……女の子でも、男の子でも仲良くするとすぐいちゃついてるって言われるし、いつもそれで喧嘩になるし、からかわれるし、」
あ〜…。想像がつく。誰と仲良くなろうが、少し距離感の近い神代は周りを誤解させるんだろう。自分に気があるのでは、特別なのでは?と。
それが原因でからかわれたり、やっかまれたりしたせいでそもそもそういう欲求に対して見向きもしないのはコイツなりの防衛か、結婚してくださいとか相澤にお願いしてるくせになぁ…
「そんなやっかみやからかい程度で態度変えてくるやつはお前から切っちまえよ、神代」
気にしいなんだなぁ、本当に。
「たしかにお前は人と距離感一歩近いな、見てて思うぜ。だけど基本来るもの拒まず去るもの追わずなとこもあるだろ、だからからかいの内容なんぞいつまでも気にしすぎるなよ
そして!人生の先輩がアドバイスしてやろう。そういうからかいはな、大抵中学でおサラバだ」
「……でも峰田くんが、すこしは興味持てって」
「オイオイ、アイツの言う事真に受ける気か?」
冗談キツイぜ。それに、と続く神代の顔を見つめる。
「リトルミネタって何って聞いたら、皆笑ってた…」
「……ブッ!!!アッハッハッハッ!!」
思わぬ単語と、気にしてるポイントが可愛すぎてお茶を吹きこぼすと相澤の鉄拳が飛んでくる。
「笑ってんじゃねェよ馬鹿マイクが…!」
「真剣に悩んでる中身それかよ!!!」
涙が出るくらい笑う。相澤が過保護になる理由もよく分かるな、まだ真っ白で汚れのないシルクのような神代を守りたくなるんだろう。手のかかる忠犬なこって…
「…あ〜笑ったぜ、最近のラジオ放送より笑った…」
相澤に睨みつけられるが、これは神代が大人になったらネタとしていつかリスナーたちに提供させてもらおう。
「コリャあ俺のカンなんだが神代、お前…一目惚れとかしねぇタイプだろ」
「…え、…はい」
「多分まだねえだろうけど、恋人って言って思い浮かんでくるのは長いあいだ友達関係の何人か…か?」
「…」
なんで分かるの?って顔してる神代。分かりやすなあ。
「そんな気サラサラねえし、お互いを信用しつくせるほどの信頼関係も築けてねェ内にカップルか?とかからかわれて、破綻してを繰り返して、嫌になっちまったんだろ。
人懐っこいくせに、A組の中でも随分様子見してるんじゃねえか?」
俺の友達にもそういう奴いんだよ、と続ける。良く言えば慎重、悪く言えばカタブツ。
お互いをよく知らないうちに恋愛感情は怖くて抱けない、よく知りもしないくせにどこをどう好きになるの?って思考の持ち主。
「あ〜…その。基本的知識はねェと恐らく神代自身がこの先困るが、俺は今のままでいいと思うぜ。
ただ、相澤を神格化しすぎるのだけはやめろな。こいつだってほっときゃ髭生えてくるオッサンだし、酒飲み過ぎたらゲロも吐く。昔のアイドルみてぇにウンコしないとかも有り得ないしな」
「マイク…汚えぞ」
相澤に肘で突かれる。事実だろ、と言う。
「相澤さんなら髭だって愛おしいですもん、」
「オーオー熱烈だなぁ!だってよぉ、相澤」
切り落とした髪も、爪まで愛してそうな勢いの神代。熱烈、という言葉以外に当てはまる単語がない。
「そんで、好きな人と手繋ぎたいとかねーの?」
「…好きな人…」
自分の手を見つめる神代。次の瞬間、首からじわじわと耳まで真っ赤になっていく。
「………むり…」
「は?!手繋ぐ想像しただけで!??ピュアすぎんだろ!」
自衛として見向きしないようにしていただけで、誰かとそういう特別な関係になりたいって欲求自体はあるんだな、
あるにはあるが照れすぎて逆に心配になる…が、杞憂だったな!
とにかく先を急ごうとしてネットでエロ動画とか検索すンなよ、と釘を刺す。ミッドナイトに背中ぶっ叩かれた。
(いや〜、笑った。神代、好きな人できたら絶対教えろな)
(笑ってばっかのゼンマイには絶対言わない、)
(だってお前可愛いんだもんよ〜!!)
(分かってて言ってるでしょ…)
(ん〜?何のことだかサッパリ分かんねえな?)
(ほんと二人とも意地悪ですよね!!!)
(なんで俺まで流れ弾食らったんだ)