Alien
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「ハイ 私が来た。
ってな感じでやっていくわけだけどもね、ハイ! ヒーロー基礎学ね!久しぶりだ少年少女!元気か!?」
…随分ヌルッと入ったな。
「ヌルッと入ったな」
「久々なのにな」
「パターンが尽きたのかしら」
辛辣な言葉が飛び交う。結構みんな厳しいよね。
すでに全員コスチュームに着替えてるけど、オレはステインに腹をグサってやられたわけでお腹の部分に切り込みが入って腹が見える状態になってる。むしろそういうダメージデザインみたいになってる。
お腹冷やすとすぐ腹下すんだけどな、大丈夫かな。
全部がボロボロというわけでもないし、相澤さんにも似合ってるなと言われたコスチュームで捨てるのが惜しい気持ちが強い。
だからいっそ夏用にしちゃえ!みたいな気持ちで使ってるし、新しいのを相澤さんが注文してくれている。
「ちゃんと衝撃吸収の布地を使え」とコスチューム会社に電話口で再三言ってた。衝撃吸収が甘くて切り込みが入ったわけではないんだけどね…。
「職場体験直後ってことで、今回は遊びの要素を含めた救助訓練レースだ!」
「レース!楽しそう」
「だろう?」
自信満々のオールマイトに頷く。
「救助訓練ならUSJでやるべきではないのですか?!」
凄まじい速さで飯田くんの右手が上がる。見えなかったぞ…?
「あすこは災害時の訓練になるからな、私はなんて言ったかな?そう、レース!!
ここは運動場
私がどこかで求難信号を出したら街外から一斉にスタート!誰が一番に私を助けに来てくれるかの競争だ!!」
本当にちょっと遊び要素が入っていて面白い。オールマイト、生徒が飽きたりしないように考えてくれてるのかなあ。
USJといい、いろんな想定・状況下の建物が本当に多い。いちいちバスとかで移動する理由もわかる。
このγの中でさえ迷いそうなのに、その外の雄英内でも迷いそう。空間認知能力の鍛え方、後で調べておかないとな…。
「もちろん、建物の被害は最小限にな!」
そう言いながら、滑らかな動きで爆豪くんのことを指差すオールマイト。
「指差すなよ。」
クスクス笑ってると爆豪くんに足蹴られた。酷い。前回の対人演習でビルぶっ壊してたのは事実のくせに…。
最初の組は
出久くん、尾白くん、飯田くん、芦戸さん、瀬呂くんの5人。
ちなみに毎度のことクジで決めた。
オレは2番目。2番目の組は
オレ、蛙吹さん、常闇くん、口田くん、上鳴くんの5人だった。
「常闇くん、一緒が多いね。黒影くん元気?」
「すこぶる元気だ」
すこぶるがつくほど元気なんだ…とニコニコしてるとニョキ!と出てくる。
服に穴が空いてる、と気付いたのでこの間怪我しちゃったの、と伝えるとさすさすしてくれた。
常闇くんが怪我をしてもこうして痛いの痛いのとんでけ、をしてくれるらしい。可愛すぎて意識飛ぶかと思った。
「ほんとどういう教育してんの…?可愛すぎ…」
「そんな悶えるほどか…?」
引かないでよ。だって可愛いじゃん。
「じゃあ初めの組は位置について!」
用意されてたお座敷でモニター越しに見る。
「飯田まだ完治してないんだろ、見学すりゃいいのに…」
「そんなこと言ったら、くましろちゃんだって完治ではないわよね?」
ケロ、と蛙吹さんが心配そうにお腹を見てくる。
てかこれ傷丸見えじゃん。なんか恥ずかしいな…。
「ああ、まあ完治…ではないけど全然大丈夫だよ!自分で治癒もしてるし!」
痛々しいわ、と指差される。この年齢で真一文字に縫った痕ある人の方が少ないだろう。
「クラスでも機動力良い奴が固まったな」
「うーん、強いて言うなら緑谷さんが若干不利かしら…」
「確かに…ぶっちゃけ、あいつの評価ってまだ定まんないんだよね」
「何か成す度大怪我してますからね…」
うんうん。でもステインとの戦闘で見た記憶の限り、個性の制御とか使い方とか慣れてきたらしい。すばしっこくて変わった動きをしていたのを思い出す。
「俺、瀬呂が一位」
トップ予想な、と聞こえる。
「あー…うーん、でも尾白もあるぜ」
「オイラは芦戸!あいつ運動神経すげえぞ」
女子の中では1番じゃないだろうか。
「デクが最下位」
もはやトップ予想でもない爆豪くんの一言に思わず笑う。しかも真顔で言ってるんだもの。
何笑ってんだアァ!??!と言われるので、トップ予想なのに1人ドベなんだもん…と言うとちょいちょい、と指で呼ばれるので隣に座る。
「うるせェドアホ」
「いっっっ…!!!!」
凄い音なったんだけど!??!ほんとにデコピン?!!知らない技じゃなくて?!!暴力よくない、というとデコピンは暴力の内に入らねえよと暴論言われた。この威力は余裕で入るよ。
「ケガのハンデはあっても、飯田くんな気がするなあ」
お茶子ちゃんがそう呟く。梅雨ちゃんも頷いてた。
「START!!!」
一斉にスタートしはじめた。やっぱりこんなごちゃごちゃしてる地形のところは、下を走っていちいち迷ってるより上からピョンピョン跳ぶに限る。
なので瀬呂くんは大いに有利だ。尻尾で加速できたりジャンプできたりする尾白くんも。
「…となると、対空性能の高い瀬呂が有利もご」
「「「「!?」」」」
「ご、ごめん!!!つい触って見たくなってしまって!!!!」
某配管工のおじさんのゲームのワンワンみたいな口が気になってしまって両手で後ろからこっそり包んだら、まさか話し始めたからもごって口籠ってしまった。みんなが振り返った。障子くんも振り返ってきた。
「…お前、触りたがりか。常闇の個性も触りまくってたな」
「あらぬ誤解されちゃうな!!?」
触りたがりって!!!
ほー、こうなってるのか…。障子くんの体の造形は恐竜みたいで見ていて面白い。
ガブ
「いっだぁ!!!?!」
「すまない」
絶対そう思ってない…!噛んでない方の口がニヤッとしてるよ!
ダン!と出久くんが飛び上がってくる。きっと足にミニスマてきなパワー使ってんじゃないかな。飯田くんに駆け寄ってきてる時ももう使いこなせてたし。
腕だけに宿る個性じゃなくて、体全体なのかもしれない。切島くんの硬化のような。
……既視感の正体が分った。爆豪くんだ、動きが似ている。
身近で最も実力があると分かっているんだろうな、分析ノートいっぱい書かれてたし…。
でも…と気になって隣に座り直したときにさりげなく爆豪くんを見る。真似されて、しかも因縁?の出久くん相手だったら多分…あ〜絶対にいい気の顔じゃないね!すごい顔してる!
出久くん、いい線まで行ってたんだけど濡れてた配管工に足を着地しちゃったせいで思いきし滑った。出久くんは結局最下位。一位はそれまで二位だった瀬呂くんが繰り上げ方式。頑張って追いかけてたからね。
助けてくれてありがとうのタスキつけてる。あれわざわざオールマイトが書いたのかな?
よし、とストレッチしてると背中をグリグリ押される。
なになになに誰!?痛くはないから大丈夫だけど。
「…なんだ、痛がらないのか」
振り返ると、結構残念そうに言う障子くん。
「おい忘れたのかぁ?コイツ、個性把握テストの時の長座体前屈女子より柔からかったんだぜ!」
峰田くんがそう言う。驚いてたもんなあ、あの時。軟体動物かよ?!って言われたの覚えてるよ。
「…確かに。体育祭でもしなやかなダンスをしていたな」
「…しなやかだった?ありがとう〜!」
ダンスを褒められると素直に嬉しい。相澤さんにも踊り方好きって言ってもらえたし。
個性の能力のように、人によって同じ曲・同じ振り付けでも表現方法が大きく変わるのが歌や絵・ダンスの表現する世界だと思ってる。
上手い・下手はもちろんあるんだけど、その人特有の世界だから結局評価されるのは上手いとかのレベルを超えて『好きになってもらえるか』、的なところが大きいと思ってる。
きれいだったね、とかくましろくんのダンスよかった!て言われるとオレの世界丸ごと褒められた気がして、二重に嬉しくなる。
(随分嬉しそうだな)
(褒められるの、素直に嬉しいよ!)
(ハァ〜、お前褒められるのなんて慣れてそうだけど?)
(え〜?峰田くん、それは偏見だよ…いや、別に貶されて生きてきたわけではないから人並みに褒められたことはあるけど。
でもやっぱり凄いね!とか綺麗だったとか言われると嬉しいよ)
(俺の母ちゃんもテレビで見てたんだけどよ、すげー褒めてたぞ!プロダンサーかと思ったって)
(嬉しい…!あれ時間ない割にめっちゃ考えて作ったから)
(…気になってたんだけど、誰かへ向けて作ったの?)
(え、相澤先生への感謝の気持ち)
(…いちいち確認したあたしがアホだった!)