Alien
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✳相澤消太
エンデヴァーさんから連絡が入る。事務所を出た、とのこと。怪我も怪我なので、エンデヴァーさんの事務所の方がくましろを送ってくださると。
保須に出張というタイミングでくましろは一時メンタルの限界を迎え、見たことないくらい荒れた。一瞬で落ち着いたみたいだが。
その矢先に、ヒーロー殺しのステインと鉢合わせて飯田、轟、緑谷の4人でなんとか捕獲したと。
全員傷だらけで、飯田とくましろが怪我の度合いが重く、飯田は両手の重症、くましろは腹部をステインの武器で斬られ出血多量で意識不明、と聞いたときは頭が真っ白になった。
話を聞いてみれば、斬られた時はそこまでだったが新型の脳無に連れ去られかけたときに爪が食い込み、閉じかけていた傷口がより深く傷つき、それに伴い吐血量が多くぶっ倒れたとのこと。
普段冷静な轟や的確の判断ができる方の飯田でさえ立ち尽くし、エンデヴァーさんが救急車の搬送まで対応したっていうんだから相当絵面がヤバかったんだろう。
マンションにエンデヴァーさんの事務所車両が到着し、お礼を告げる。迷惑かけっぱなしで頭が上がらん…。別日に改めてお礼に伺うとして、だ。
部屋について荷物を玄関に置いて振り返る。
「くましろ」
「相澤さん、うぅただいま…」
車から降りて顔を見た瞬間から泣き出しているくましろを抱きしめる。
「おかえり…怪我は」
「治しました、意地で」
心配したんだぞ、と返す。夜もまともに眠れなかった。お前まで倒れるつもりか、とマイクに叱られて仮眠室で寝たくらいだ。
「もう反抗期終わったか?」
「反抗期…?」
「荒れてたろ、2日目あたり」
魘されてた時のだ、とつけ加える。
もっと落ち込んで帰ってくるかと思ったが、思ったより顔色が明るい。
「あ…その件なんです、が…すみませんでした。相澤さんに、こんなによくしてもらってるのに…それ全部、捨てるようなこと言って…」
自覚したならいい、と返す。
こんな思いするくらいなら、そう口走った先の言葉なんて何が来るかは決まってる。絶対に言わせたくなかった。
頭で思うだけなのと、声に出して口にするのとは全然違う。自分に言い聞かせるようになってしまうし、一種の暗示のようになってしまいそうで阻止したかった。
轟が阻止してくれて助かった。
「俺は、くましろが居なくなるのは寂しい。…が、自分を軽く扱う様子を見るともっと寂しくなる。
自分は愛されてない、必要とされてない、求められていない、そんな存在なんだと諦めてる様子を見るとな…」
「すみません、」
また泣き出すくましろの頭を撫でる。
「……その様子じゃ平気そうだな」
轟や緑谷、飯田と何かあったんだろう。
爆豪みたいなのと比べると、どうしても人当たりは100%いい。喜怒哀楽もはっきりしてるし、他人から見ても扱いやすいくましろは、人見知りにつきじわじわとA組でも自分が甘えても平気な人間を増やしているようだ。
「…なんだ、何をそんなしょげてんだ」
眉が下がって、ポロポロと涙をこぼしているくましろ。
「…相澤さんからいっぱいもらってたのに、自分がぜんぶ無駄にしてて…許せないです」
「…ふっ、ふっはっはっ!…いい、気にしてないよ」
くましろは主に親という存在からの愛情に飢えている。貪欲に、一途に欲しがっている。甘えたな性格はここから来ているのだろう。その割に控えめなところがあるのは、くれなくなるのが怖い…んだろうか、それとも元々遠慮する質なんだろうか。
親が機能してないなら、せめてオレが親代わりに少しでもと与えていた愛情を受け取るようできちんと受け取っていなかったことを自覚した、と号泣しながら言われ思わず笑う。
「…なんで笑うの…」
「可愛かったもんでな…ほら、立ちっぱなしは疲れるだろ
靴脱げ」
そう告げ先に靴を脱ぎ振り返る。……りんごみてえに顔が赤い。いまのどこに照れる要素あったんだ。
「…あんま可愛い可愛いって言わないで…」
「お前だって飽きもせず俺のことカッコいいだの、かと思えば可愛いだの言ってのたうち回ってンだろ」
息するだけでかっこいい!と騒がれたのは記憶に新しい。
「………」
黙り込んだくましろの手を取る。
「ほら、おいで」
「……これでほんとに彼女いないんですか?信じられない……」
「居ないよ」
これでってなんだよ、と返すとモゴモゴと言いにくそうに返すくましろ。
「……なんか、相澤さんと会話してると乙女ゲームやってる気分になる」
「…はあ…」
そうか、という反応しかできない。乙女ゲーム…?やったことなんぞ勿論ないから何がどうリンクさせるのかイマイチ分からない。
「…なんかオレが自意識過剰みたいじゃん!!!言わなきゃよかった!」
「悪い、乙女ゲームやる男じゃないから分からん」
「…試しにやってください、ガチのやつ」
ガチじゃないやつとかあんのか。
「まあつまり…口説かれてる気分になってるってこと?」
そう言い顔を覗き込むとまた真っ赤になってる。
おお、首まで真っ赤だ。相当照れてるな。
「…だって相澤さんカッコいいから…何言っても口説き文句になるの…」
口説き文句にはならねえだろ、どんな変換してんだ。
(それよか、職場体験での学びを聞かせてくれ…茶は)
(緑茶がいいです。オレお湯沸かします…ステインのこと除けば、すっごい楽しかったですよ!)
(座ってろ怪我人。…エンデヴァーさんに髪の毛焦がされたって?)
(結構しっかり燃やそうとしてましたよ、あの人。)
(まあ先に喧嘩売ったのお前だしな…)
(事務所にいるサイドキックの方々がすごい面白い動きと連携してて…!)