Alien
Name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
…最近、受験に向けて相澤さんも忙しいらしくあまり家に帰ってこない。どこか知らないけど、ここら辺の高校教員らしい。あのナリで生徒指導とかしてると思うとめちゃくちゃ面白い。
オレの家、みたいな言い方だけどかなり長いことオレの実家には帰ってない。それでも何も言わない母さんも母さんである。たぶんだけど母さんっていつも連絡するの遅いから、父さんもこの別居のことはまだ知らないと思う。
学校にはこっちから通ってる。一つだけ不満言うと、距離が遠くなったから通学のために早起きしなくちゃいけないことかな。
「…なんか、飽きたなあ」
訓練1人でやることも。1人でいることにも…そうだ!気分転換に遠出してみよう。お金かからない遠出、つまり歩きで。
みっちりと毎日しごかれてるおかげで体力はたくさん着いた。
3年にあがった春頃、相澤さんが引き取ってくれてそこからだから…いやでも、1年も経ってないこの短期間で体力倍増は毎日のしごきの度合いが凄いのか。
ゴミが不法投棄&漂着してきて有名な浜辺に到着。
「…うわ…噂には聞いてたけど…本当ゴミしかねぇな」
富士山のふもとの4倍くらい?匂いもすごい。だけど潮風もある。すー、と深呼吸をする。たまに行き詰まった時とか、海とか森の自然な空気を吸いたくなる時がある。
「ハァッ、ハァッ…」
深呼吸して耳を澄ませてると苦しそうな呼吸音が微かに聞こえた気がした。…倒れてるとか?探してみるか。このゴミの中にわざわざ入ってく人、あんまりいないと思うけど…。
大きな昔のブラウン管やら、冷蔵庫やら洗濯機やらをかき分けると、上下する背中が見えた。
「…えっうわ、大丈夫…!?」
走った後なのだろうか、苦しそうに座り込む男の子が居た。とりあえず背中さすっておく。
「大丈夫?み、ず、あるから、水飲む?」
コクコク、と頷かれるので水を渡す。パニクっちゃってかみかみ。人命救助なんて初だ。
治癒で、なんて思ったけど目をつけられても嫌だからごめんね、と心の中で謝っておく。
「あ、口ゆすいだ方がいいかも…」
吐いた形跡がある。普段なら正直悪いが汚ない…と思うが今はそうも言ってられない。匂いでもらいゲロしたことあるから懸命に我慢する。
「…あり、がとう…ふぅ、」
顔が真っ青だ。ていうか顔はすごい…優しそうなのに体が普通にゴツい。鍛えてるんだな、この感じ。
「…ううん、大丈夫だけど…無理して倒れるくらいやるのは、意味ないと思うよ。自分の力量に合った分を、ちゃんと見つけないと。
俺が見つけなかったら…その…脱水症状で死んでたかも、だし…」
「そ、だね。気をつけるよ!ありがとう、本当に!僕は緑谷出久!…君は?」
「オレは、神代くましろ。」
くましろくんか…と呟かれる。
「出久くんは、何歳なの?」
「15!…だから中学3年だよ!」
だんだん落ち着いた体調も戻ってきたのか、ニカ!と笑う出久くん。
「同い年だね!じゃあ…進路はどうするの?」
「ゆ、雄英、のヒーロー科に進みたくて…そのために、体力作りと体つくりで走り込んでたんだ。
…まあ、倒れて迷惑かけちゃったけど…」
「俺も雄英に行きたい!そんで今同じように鍛えてる!」
「本当に!?くましろくんが居るなら、なんか安心だなあ」
にへら、と笑う出久くん。かわいい…子犬みたい。
「…不愉快じゃないなら聞くけど、個性は何?」
「増量系、かな」
「あ~!だからマッスルになろうとしてるんだ。パワーを受け止める器が必要だもんね」
「(マッスル…)うん、そう!くましろくんは?」
「…俺は治癒と…止めることができるくらいかな」
出久くんに聞いといて濁すのはずるいかなと思って、答える。なんかこの子は大丈夫そうな気がしたから。
「す、すごい!!治癒なんてヒーロー向きの個性じゃないか!…止めるっていうのは…?」
「時間とか…落ちてる途中の物体とか?もろもろ。小さい頃から危ないから使うなって言われて抑えてきたから、最近使い始めたようなもんなんだ。
だから制御もどこまで止められるのかの限界もまだ分からなくて…出久くんは?もうベテラン?」
パワー増量はそれはそれで骨折者とか出るだろうし、嫌悪はされるだろうなあ。
「複合してるだけでもすごいのに、両方万能なんだね!ううん、僕も最近…やっとこさ、かな!でもまだまだ身体づくりが足りなくて…」
「そうなんだ。なんか…似てるね」
「!そうだね」
クスクスと笑い合う。ケータイ持って来ればよかったなあ。
「じゃあ受験日に連絡先、交換しようか」
「うん!お互い頑張ろうね!くましろくん!」
手を振り合って別れる。
『ヒーロー向きの個性じゃないか!』『両方万能なんだね』
出久くんがかけてくれた言葉がじんわり広がるようだった。帰り道、ずっと出久くんにかけられた言葉を反復していた。
いい子だったなぁ。浄化されそう、マイナスイオン出てた気がする。
BOOM!!!!
…え、なに?!爆発音がしたけど!?
周りを見渡すとそもそも全然俺以外人がいない。
「オイ!!!!!」
「…え、オレ?」
すごく機嫌の悪そうな…野犬みたいな顔した子がこっちを睨んでいる。
右手から煙があがってる…さっきの爆発音はこの子か。
「俺の視界に…入るなよ!!!!」
「めっちゃ理不尽!!!!」
デジャヴすら感じるぞこのやり取り!!!
ええついこの間同居人のオッサンと交わしました!!!!
あ、訓練の成果試してみようかな。向こうも個性ガンガン使ってるし、おあいこだよね。正当防衛正当防衛!
「よっ、」
目の前の、この人だけ…。
止まれ!!!念じるように力を込める。あれ…音がない、全部止めちゃったかな…
ブロロロロロ…
「!!!!」
車の音、風や木の葉の音がする。成功だ。今まで血反吐吐くような訓練してきた甲斐がある……涙が出そう。
入試の実技も人相手ならこうすればいいし、ロボットとか相手なら中身の電池部分…まあ人間で言う心臓の部分を止めればいい。あとは壊したりすれば応用が効く。
流石に今日はちょっとルンルンで帰った。
(よし、割と遠くまで来たし…解除!)
(BOOM!!!!!!)
(…初対面のはずなのに容赦ないなあいつ…めちゃくちゃ何かに苛立ってたのかな…)
(どぉこ行きやがったぁぁ!!!!!)
(怖…!逃げても怒られるやつじゃん!)
(BOOM!!!!!!!)
(おい待てあいつ敵扱いされてもおかしくねーぞ!?街破壊してんじゃねーか!!!…しーらね。)