Alien
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その日見たテレビで、とんでもないことに気付いてしまった。
「これ…」
「「「?」」」
「間違いでも考えすぎでもなければさ、きっとこれからステインの思想や主張がニュースとか…雑誌とかで流されてくんだよね」
「それが…どうかした?」
「感化される奴が一人もいないわけ、ないよね…」
声が震える。
「…くましろくん?」
「個々で現れたところでってなるけど、きっとそういう感化された奴らの間の情報では、弔…死柄木弔率いる敵連合にステインが所属していたって、情報が蔓延したらその個々が敵連合に集まるってことでしょ?
連合はステインと同じ思想をもった集まりだって認知して…」
「……!」
「…手加減されて、4人掛かりで気絶まで持っていけたステインみたいな厄介な敵相手に…オレ、自信ないよ」
「…どんなに強大な敵でも、俺たちは一人じゃねえ。一人で戦うみたいな顔してんなよ」
「轟くん、つねらないでいたい」
「…飯田も、お前も。まっすぐ突き進むのはいいことだが、それが良くない場面だってある。思い知っただろ、周りを見て頼るってことももう少し覚えろ」
「いひゃいまじで轟くん、」
「と、轟くん…くましろくんが泣いてるよ…!!!」
「もっと泣けバカ野郎」
ギュウウウと頰をつねる力が強まる轟くん。本当に痛くて手を握る。
「…なんでそんな暴力的なの…」
「……お前は一人じゃないだろ、確かに狙われてっけど…。プロヒーローがこの世に何人いると思ってんだ。
覚悟すんのと思い詰めるのは違ェぞ」
ヒリヒリとする左頬をさする。たしかに…。
「じゃあ……皆に、お願いしていい?」
「…言ってみろ」
「…オレ、母さんとの関係のせいでヒーローに対して100%きれいな感情は抱いてない。相澤先生を始めとする、たくさんの先生にお世話になってもなかなか消えてない。
ヒーローの中にも、それはどうなの?って人もいる。…だからオレは中立の立場を取るって決めたの。
…言ってなかったけど…死柄木弔とはこの世の全部に絶望してたとき、相澤先生よりも先に出会った。…だからあいつはオレをずっと狙ってる、んだと思う。」
たぶんね、と付け加える。
「でも今も昔も、向こうに行くつもりないよ。弔に…敵に無理やり向こうに連れて行かれそうになったら、助けてくれる?」
「…うん!任せて、絶対君を救けるよ」
「くましろくん、俺も約束しよう」
「……渡しなんかしねぇ」
3人それぞれが、目を見て言ってくれる。胸がじんわりとあったかくなる。うん…大丈夫、かも。
ありがとう、とお礼を言う。
起きてからずっと、治癒を使っていたので翌日には起き上がったりしても痛くない状態まで治ってた。
起き上がって、大量に通知の入ってるスマホを握りしめて通話可能スペースへ歩く。
『…くましろ、起きたか』
またワンコールで出た。相澤さんの声が、明らかに疲弊してる。また心配をかけてしまった。
「……相澤さん、うん、起きました」
『血ぃ流してブッ倒れたって聞いた……くましろ、頼むから心臓に悪いことしてくれるな』
「すみません…不運が重なりました。でも、生きてます」
『……そうだな。』
「どこまで聞いてますか?」
『ほとんど聞いたよ。…よく飯田止めたな。』
「ふふ。…死柄木と会いました。中立的立場を取るって言ったら喜んでました。
ただ…イレイザーばっかりずるいって。まだ諦めてないみたいです」
『堕ちんなよ』
墜ちるつもりありません、と返す。3人と約束したことも話した。
『…くましろ』
「…?はい」
『早く帰ってきて』
「……」
『返事は?』
「は、ヒャイ…」
なんだそれ、と笑われる。
『どうせ顔真っ赤にしてんだろ』
「しないワケなくない…?ほんと人たらし…」
嬉しそうな笑い声がする。ほんと意地悪なんだから…とにかく早く帰ってこい、と連呼する相澤さんをなだめ、病室へ戻る。
早く傷治して、帰らなきゃ。
エンデヴァーさんも名ばかりのお見舞い(説教)に来てくれた。
1週間の、3日目にヒーロー殺しとの戦闘があり、4日目はほぼ寝てて午後に目が覚めた。面構さんたちと諸々のやりとりをし、
5日目の今日。6日目も様子見で終わりだろうな。
昨日の今日じゃ戦闘訓練の許可も下りないだろう。戦闘訓練したかったな…と呟いたら轟くんがマジか???という顔をしていた。
飯田くん、出久くんの手には後遺症が残るらしい。
「ねえ、くましろくん」
出久くんに呼びかけられる。
「?」
「…僕、ずっと引っかかってて。くましろくんは、何をそんなに怖がってるんだろう…って」
「え…?」
「今回は飯田くんがもしかしたら…っていうのと、前回は相澤先生が死んじゃうっていうことに対して
人が死ぬかもってことに過剰に怖がってるように思えたんだ。
特に今回飯田くんは、怪我だけを見たらその可能性は低かったし…」
「……」
「君の個性はとっても強力だ。だから、その…昔何かあったのかなって。もしかして個性の制御ができなくて事故があった?って予想…、立てたんだ。
それが、当たってても当たってなくても。」
出久くんに両手を握られる。
「大丈夫、大丈夫だよ。…僕たちも、くましろくんも。
根拠とか…ないし、うまくいえないんだけど…
でも、大丈夫!って思ってた方がきっとうまくいくから」
「…天才…?」
絞り出せた言葉がこれだけだった。出久くんの言いたいことは語彙での表現力がたとえ乏しくても、痛いほど伝わってきた。
「え?!いやそんな凄いこと言ったつもりないんだけど…!不安のままでいるより、大丈夫!って思って行動したほうがきっと結果も良くなるだろうし…
僕も、くましろくんも考えすぎちゃうところあるからさ…」
「やっぱり、出久くんは天才だよ…」
出会ったときから思ったけど、人をよく見ている。そしてとっても優しいお節介。出久くんのおかげで、助かる人は何人もいるんだろうな。
「出久くん、ありがと。」
(この数日間で、お守りワードが増えまくってる)
(お守りワード…?)
(人からもらった、嬉しい言葉!メンタル落ちたときとかに思い出して、お守りにしてるの)
(それは素敵な試みだな!お守りワードか…)