Alien
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「さすがごみ置場、あるもんだな」
縛れるものとか拘束具みたいの持ち歩かないと不便だな…。
なにかいい案ないか帰ったら聞いてみよう。
「轟くん、やはり俺が引く」
飯田くんが申し出る。
「おまえ腕グチャグチャだろう」
「グチャグチャて」
言い方よ。まあ確かにすごい刺されてたけど…。
オレも持つよ、と申し出た時の「は?」の雰囲気すごかった。
「悪かった…プロの俺が完全に足手まといだった」
「いえ…一対一でヒーロー殺しの"個性"だともう仕方ないと思います…強過ぎる…」
「四対一の上にこいつ自身のミスがあってギリギリ勝てた。多分焦って緑谷の復活時間が頭から抜けてたんじゃねえかな。
ラスト飯田のレシプロはともかく…緑谷の動きに対応がなかったし、変に止まってたし…お前だろくましろ」
「なんで犯人みたいな言い方なの?轟くん。切られて足手まといだったから、割と頑張ったのに…」
味方したんですけど?
「む!?んなっ…何故おまえがここに!!!」
「グラントリノ!!!」
出久くんの背筋がぴしっとする。もしかして、無茶苦茶な人とLINEで言ってたプロヒーローかな?
「グランブルー?」
「グラントリノだ」
轟くんに訂正される。
「座ってろっつったろ!!!」
顔面に蹴りが入る。痛そう、出久くん…。確かに無茶苦茶な破天荒だ…。ていうかすごい跳躍力だ。
そのあと、続々とプロヒーローたちがやってくる。
脳無に有効でない"個性"のヒーローたちがこっちに来てくれたらしい。
先を歩いていた飯田くんが振り返ってくる。
「3人とも…僕のせいで傷を負わせた。本当に済まなかった…
何も…見えなく…なってしまっていた……!!!」
スッと頭を下げ震えて泣いている飯田くん。
「…僕もごめんね、君があそこまで思いつめたのに全然見えてなかったんだ。友だちなのに…」
「しっかりしてくれよ、委員長だろ」
出久くん、轟くんがそう言う。
「……生きててよかったよ、飯田くんが倒れてるの見て…血の気引いたよ…っ、二の舞いになるのかもって…」
気を張ってた分がようやく緩んでボロボロ涙が出てくる。
何人ものプロヒーローが連日やられてて、たった一人で挑もうとした飯田くん。
なるべく早く駆けつけたのに、倒れてる飯田くんを見て血の気が引いた。これから先、こういう怖さをたくさん味わうのだろう。
「!!!す、すまない…くましろくん、頼むから泣き止んでくれ…」
慌てる飯田くんの手つきが忙しい。
時間で言えばまあ長くて15分くらいだったと思う。
長く果てしなく感じたし疲労感が凄い。ああ、…また相澤さんに怒られるんだろうな…。こんなお腹ざっくり斬られて…。一応治癒してるけど、USJみたいに倍速治癒は簡易的なもののみにしろ、と固く禁止された。
神経作用や体の中の大事な線と線が自分で繋げて直せるようになるまで、倍速での適当治療はリスクがありすぎるって判断。
やっと傷口塞がって来た感じだ。まだ全然ジンジンと痛む。
フワッと体の浮遊感で気づく。
え、なに??!鳥人間みたいなのに捕まってる…!?
「ぅぐっ!!??!?」
ちょうど足の爪が傷に食い込んでまた傷口が開いたらしく、ぼたぼたと血が垂れる。くっそ、出血多量で倒れちゃうよ…!
「くましろくん!!!」
「!また傷口開いて血が…!」
「は、なせ、ぐあああぁぁぁああぁっ!!!」
足を掴むと力を強くされて余計に痛む。死にそう、ショックで気絶しそう。痛みのせいで視界が白黒になる。
もしかして、弔に命令されて…?痛みの中周りのビルの上層を見渡すけど、それらしい人影はない。
またガクン、と浮遊感がなくなる。
ジェットコースターで落ちる瞬間みたいな感覚が体にまとわりつく。何、落ちた…??
一瞬で見えなかった。オレの体を支えるようにステインが右に立っている。
脳無は脳をナイフで刺されたのか、ピクリとも動かない。
「全ては正しき社会の為に」
ハッキリと聞こえた。見上げると目線が虚というか、定かではない。
気絶…いや…黒目はちゃんとある。意識が、ある。縛ってたはずなのに、一瞬でここまで…?
エンデヴァーさんがやってくる。
戦闘態勢に入ろうとしたのだろうか、彼を制するグラントリノさんの声が響く。
「待て轟!!!」
「…贋物…」
おぞましい殺気に目が離せない、肌がビリビリする。
ステインは振り返りエンデヴァーさんを見ているはずなのに、目をそらせば今すぐ殺されてしまいそうなくらいの殺気だ。
「正さねば…誰かが…血に染まらねば…!"英雄"を…取り戻さねば!!!」
一歩、また一歩とエンデヴァーさんに向かう足取り。鳥肌がおさまらない。
「来い、来てみろ…贋物ども。
俺を殺していいのはオールマイトだけだ!!!」
プロヒーローの1人が腰を抜かしたのか座り込む。一番近くにいるオレも心臓がバクバクしてる。久々に本気で怖かった。
「…気を…失ってる…」
エンデヴァーさんの声が聞こえる。
「…、は…ぁ、ゴフッ!!!」
割と深めに斬られて、やっと塞ぎ始めた傷口を爪でこじ開けられたせいでものすごい吐血する。マーライオンみたいにサラサラな血がぼたぼた口から垂れてくる。口の中も鉄臭くて気持ち悪い。
「…!くましろくん!!はやく救急車を…!!」
(出久くん落ち着いて、大袈裟だよ)
(大袈裟なものか!くましろ君が1番血を流しているのだぞ!)
(そりゃそうかもだけど…ゴプッ)
(ギャアアァァァアア!!!??!)
(マジごめん、せり上がっちゃって…いまなんとか治癒してるから…)
(俺の血ィ使え)
(待って落ち着いて、そんで轟くんはまず血液型違うから…)
(同じ血だ、なんとかなるだろ)
(なるか、輸血の原理から学び直してきて)
(ぼぼ、僕のもいくらでもあげるから!!)
(あ………やば、ちょっと座るね…)
(…くましろくん!くましろくん!!!どうしよう、意識がない…!)
(騒ぐな!神代の腹部を布で縛って止血しろ、それ以上血を流させるな!救急車はもう呼んである、それまでなるべく体を動かすな!)