Alien
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「出久くん、動けるように…時間制限ではないね…」
「うん…考えられるのは3パターン、人数か摂取量か血液型だと思う…」
「血液型…俺はBだ」
「僕はA…」
「血液型……正解だ」
「出久くんは?」
「O!」
「Oがとりあえず早いってことね…。つまりオレは人一倍気をつけないと」
「おまえB型なのか」
「そうだよ……なに文句?」
だからマイペースなのか…とでも言いたげな轟くんをジト目で睨む。
「くましろくん、言っちゃ駄目だよ!」
出久くんが動けるようになってること、気づけもしなかった。味方だからいいけど、倒したと思ってた敵に背後からやられかねない。
もっと全体を視野広く見なきゃ…。
「触らせなきゃ、結果良いんだよ」
「…轟くんの炎も氷も避けられるスピードの持ち主ってことは、2人を担いでオレが止めても難しいよね」
止められても5分いくか、いかないか。
ちょこちょこ止めるのはすんごく得意だけどずーっと動かさずにいるってのは相当、もう座禅を組むくらいの集中力と無の心じゃないと難しい。
「プロが来るまで、近接を避けつつ粘るのが最善だと思う」
出久くんがそう言う。
プロヒーローの人がB型であるなら飯田くんはその人より先に動きが解けるようになるはず、
そしたら4対1。
粘ることはできる。なんとか、なる。
「三人で、守るぞ」
「うん」
「3対1か……甘くはないな」
前に出た出久くんが結構深く切られた。
すぐに前に出る。動きがさっきまでと違う。本気で殺す気だ。あの日の弔を思い出す嫌な目。
耳を最大にしたままだから、聞こえた。
「止めてくれ…もう……僕は…」
「っいつまでもメソメソ泣いてんなよ!!!」
「「止めて欲しけりゃ立て!!!」」
「なりてえもんちゃんと見ろ!!」
「、ごめんくましろくん…!」
謝る理由ないよ、と出久くんに伝える。
大きな氷の壁を斬り裂いたステインに炎を向ける轟くん。そう周りに見境ない攻撃されるとオレが入る隙がね!ないんだわ!!!ほんと対処が難しい。
「言われたことはないか?」
今だっ!!!
長剣の方を手でつかむ。痛いのレベルじゃない、視界がチカチカする。
「個性にかまけ、挙動が大雑把だと」
「〜っそれを打ち消すのが仲間でしょうが!!!」
「!速い、」
ぐっと刀を引き寄せる。骨まで切り裂かれたんじゃないだろうかと錯覚する。よし、指ちゃんとついてる。自ら斬りに行ってるこの感じほんとに誤解されそう、Mじゃないからね!
刀を引き寄せるようにしてステインごとこちらへ寄せる。左手の短剣を構えてるのが見えた。止められるだろうか、一か八か。
「レシプロ…」
ああ、助かった。手をすぐに離す。
「バースト!!!!」
飯田くんの凄まじい蹴りで、ガキィンンンと音を立てて折れた剣先が飛んでいく。
あぶな。髪の毛掠ったんだけど。
すぐに左足で着地してまた右足で回し蹴りをする飯田くん。速い。いつもなら止めて対処できる速さも、手の痛みで頭全体がぼやけてて、全く近寄るステインに気付けなかった。
間合いを取るついでに腹を大きく一の字に斬られる。
「ちょこまかと小賢しい…じっとしていろ、すぐに楽にしてやる」
ばち、と目が合う。狙ってたの轟くんだけじゃないのかよ…。動くもんなら中指立ててやりたいけど、体から力が抜ける。
「くましろくん!!!!」
「ごめん…霞んでて見えなかったわ…ゴフッ!!」
すんごい口から血が出て静かに少しパニックになった。スパッと切られただけで、こんなに出るもん?中身が見えるまで斬られてる感はゼロなんだけどな。
「くましろ、今すぐ血ィ止めろ」
轟くんが珍しく慌てた声色で指示を出してくる。頷く。
「くましろくんも轟くんも緑谷くんも関係ないことで…申し訳ない……」
あ~~いってえ。
声を出すことすらいまは億劫だ、早いとこ塞がってくれればいいけど。
「だからもう、三人にこれ以上血を流させるわけにはいかない」
飯田くんの目、元に戻ってる。安心した…。
「感化されとりつくろおうとも無駄だ。人間の本質はそう易々と変わらない。おまえは私欲を優先させる贋物にしかならない!
"英雄"を歪ませる社会のガンだ、誰かが正さねばならないんだ」
頭がぐわんぐわんしてくる。みんなの声がエコーのように聞こえるからなおさら気持ちが悪くなる。
「俺が折れればインゲニウムは死んでしまう」
霞んでボヤけてくる視界、音だけが頼りだ。良いと言われたオレと出久くん、轟くんには攻撃をしても致命傷を与えてない。…いやオレは与えられてる気がするけど。
攻撃を繰り出して確実に仕留めようとしてるのは、否定していた飯田くんだ。そして飯田くんがもし終わればプロヒーローの人が狙われるだろう。
ここにプロヒーローが来るかもしれないってのに、だけどその2人を殺そうとしている執念。
『自らを顧みず他を救い出せ、己の為に力を振るうな』
それができる人をヒーローと認めている…?そういうことか…?
オールマイトのような人を真のヒーローとし、彼のような行動ができないヒーローはヒーローではないとし粛清している…って感じなのだろうか。粛清って何様だよと思うけど。
なんか体から抜けていくような感覚が止まった気がする。体が動かせないから確認できないけどきっと止まったはず。
ん、あれ…動ける…?
『水子さん!!!大変だよ!!』
『どうしたのさ、そんなに慌てて珍しいね』
『また間違ってたらしい!もう何度目の検査だか…』
『たかだか血液型にそんな拘らなくても…あたしがOなんだから………まあなんでもいいさ』
『でもやっぱり気になるじゃないか、輸血できないかもだし。何かあったら大変だから調べておかないと……
おや、起きたのかい?くましろ、実はね…また検査のし直しになったんだ、そう…B型じゃないらしいんだ…』
「…O…型、」
ピク、と指先が動く。
動けるようになって振り返って見てみるとすごい有様だった。飯田くんの右手には深々とナイフが刺さってる。
その横では飯田くんのエンジンの冷却装置が壊れたからなのか轟くんが結構雑多にエンジンごと凍らせている。
ステインは、…上か。
出久くんも立ち上がってるし、きっと飯田くんも上に行くだろう…なら。明確な一撃はパワー型の2人に任せよう。
ちょっとのあいだ、
「"とまれ"」
「!!?」
5秒、いや…3秒でいい。
出久くんが左から顔に、飯田くんは右のわき腹に蹴りを入れた。けちょんけちょんだ…気絶するだろあんなの。
まだ動くのか。なら、もう一回。腕だけでいい、止まれ。集中しろ。
この感覚、ゾーンに入ったような感覚だ。今なら分単位で止めれる気がする。
「……むごいな…」
頭燃やしたぞ轟くん…結構むごい…原型保ってるけど頭燃やすって…意外と怖いな…
「立て!!まだ奴は…」
轟くんが作った氷の壁の上に横たわっている。
流石に気絶したらしい。そりゃ頭燃やされればな…
「!!くましろ、お前…!!」
目があった轟くんが駆け寄ってくる。
「なんか…血液検査…何回もやり直してさあ…結局4回目の正直でO型になったの、思い出した」
「…血は?止まったのか?」
心配性だな。できれば痛いからペタペタ触らないで欲しいけど、彼の優しさということで黙っておこう…
「なんとか、…止まったはず」
「くましろくん、ケガは!?」
「お互い様だよ…出久くん。またこんな大怪我して…叱られても知らないからね…」
「すまない…大丈夫か?」
「いいっていいって!生きてるんだから」
飯田くんの左手を握る。治癒は自分に使えと釘刺された。
「拘束して通りに出よう、何か縛れるもんは…」
「ゴミ捨て場だし、多分あるよ」
縄の一本や二本。
「念のため武器も全部外しておこう」
(飯田くん、顔よく見せて)
(ム……?)
(…うん、もう大丈夫そうだね。さすが!)
(…君には敵わないな、申し訳ない…)
(持ちつ持たれつ!プロヒーローに早くこいつ引き渡そ)