Alien
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「黙れ悪党…!!!脊髄損傷で、下半身麻痺だそうだ……!もうヒーロー活動は適わないそうだ!!
兄さんは多くの人を助け…導いてきた立派なヒーローなんだ!!」
一瞬走る足が止まる。脊髄損傷、下半身麻痺、ヒーロー活動は適わない……
家族である飯田くんは、それこそお兄さんが雄英高校に通ってる時からひたむきに応援し一途に憧れてきたんだろう。
ニュースに載らないような小さな活躍も、大きな活躍も1つ1つ誰よりも側で見てきた、その大きな憧れが道を断たれた。
死ぬに等しい、地獄ではないか。
「お前が潰していい理由なんてないんだ…!」
早く行かないと。
「僕のヒーローだ…、僕に夢を抱かせてくれた立派なヒーローだったんだ!!!」
早く行かなき「殺してやる!!!」
それだけは言葉にしてはダメだ。ヒーローではなく、復讐の塊になってしまう。
「あいつをまず救けろよ」
ヒーロー殺しの声を初めて聞く。
「自らを顧みず他を救い出せ、己のために力を振るうな。
目先の憎しみに捉われ私欲を満たそうなど……ヒーローから最も遠い行いだ…」
そういうと小さくため息をつくのが聞こえた。それっぽいこと言ってるけど、ふるいにでもかけてるつもり…?
あと、100メートル。その距離で安心する顔が見えた。
「出久くん!」
「くましろくん!」
向こうもスマッシュを足に小さく使って加速している。
「オレは倒れてる人、出久くんはあいつ頼んだ!」
頷く出久くん。
「何を言ったっておまえは、兄を傷つけた犯罪者だ!!!」
滑り込むように路地に入って倒れてるヒーローを抱えて入り口付近にまた戻る。
現在地を教えなきゃ。
…よし。これで大丈夫。後手の操作だからちゃんと轟くんに送れたか分からないけど、送れてると信じる。
「緑谷…くん…!?くましろくんまで…!!」
後ろにいきなりオレたちがいるから驚いてる飯田くん。
「救けに来たよ、飯田くん」
「守るって言葉覚えてる?」
「ちょうど、真面目な飯田くんがなぜ脳無が現れた場所にいないのか、それはヒーロー殺しを見つけたからじゃないかなって思ってた矢先に、
くましろくんからメールが届いたんだ。だからその住所近辺を頼りに虱潰しに探してきた!」
オレらを見て、飯田くんはグッと歯を食いしばる。
知ったような口聞いて、本当にごめんって後で謝らないとな…。想像してたより、飯田くんは辛くて孤独だったんだ。
倒れてる人に確認とると、飯田くんの教育係役のプロヒーローだった。斬りつけれて出血多量というわけでもなく、毒とかでもなさそう、と見ていると
斬りつけられてから動けない、と申告があった。
血に触れたら?刀についたのを舐めたりしたら?が発動条件ぽいな…
「それも推測されてた通りだ……斬るのが発動条件ってことか…?」
「出久くん、今はとりあえず触らせないこと念頭に置いたほうがいい。距離取るよ。」
「緑谷くん、くましろくん…手を…出すな、君たちは関係ないだろ!!」
「何……言ってんだよ…」
「飯田くんってば…関係ない人は見捨てるなんてそんなことするヒーローどこにいんの!」
プロヒーローの人を傷口開かないように壁に寄りかからせ、出久くんの後ろへと寄る。
まあ不意打ちとはいえ出久くんのスマッシュを食らってるからちょっとはダメージ受けてるといいんだけど…。
「仲間が、救けに来た…良い台詞じゃないか。だが俺はこいつらを殺す義務がある。
ぶつかり合えば当然…弱いほうが淘汰されるわけだが、さァ…どうする」
ぞくり、と殺気に身震いする。何が義務だよ、お前の中での正義で義務だろ。
「いやァ、大義名分掲げてるとこ申し訳ないけど…どんな御立派な理由があろうとアンタは人殺しで、通り魔で、犯罪者なんだわ。
負けるのはお前だ、雑魚」
「くましろくん、キレてるからって煽らないで…!」
出久くんに止められるけど、飯田くんと、インゲニウムと、他のヒーローたちのことを考えると、キレずにはいられない。
ごめん!冷静にキレる!と返す。
出久くんも位置情報を誰かに送ってる。出久くんのとこのプロヒーローの人とか…?これで俺が送ってなくてもなんとかなるだろう。
確認したいけど、そんな時間ない。
「やめろ!!逃げろ、言ったろ!!君たちには関係ないんだから!」
「そんなこと言ったらヒーローは何もできないじゃないか!
い……言いたいことは色々あるけど…後にする…!
オールマイトが言ってたんだ」
「「余計なお世話はヒーローの本質だって」」
あぁ、オールマイトから聞いたのか。
出久くんとハモる。ステインが不気味なほど笑顔になる。
ダダダッとステインに向かっていく出久くんを見守る。
今のうちに飯田くんを大通りの方へ動かす。流れ弾を食らう。
「…くましろくん、」
「ん?」
「なぜ…来たんだ、僕の問題だったのに、」
「……なぜ…?友達や誰かが危なかったら助けることに、理由…いる?それに……オレは飯田くんをなくしたくないからね。
いろいろ、あとで話そう。落ち着いてからね」
「!!」
「…すこしだけ治癒、するね」
「だ、だが君にケガが!」
「大…丈夫っ、少しだから」
くうぅう~、少しだけなのにどちゃくそ痛ぇ~!!のたうち回って痛みに弱いのバレないようにするので必死。
フー…と細く息を吐く。
「…出久くん…?」
「くましろくん、血だ!」
はいはい、舐められたらOUTね。
止めずにステインへと向かう。
そのまま上に、と
「…、?」
攻撃してこないオレに一瞬気を取られるステイン。
ゴオオッ!!!
「待ってたよ〜轟くん!」
足音で分かった。
「次から次へと…今日はよく邪魔が入る…」
あ、イラついてる。人数的にも、個性的にも一応有利ではある。この狭い中でどれだけ動き回ってくるか、そもそもどんな戦い方するかが未知だけど。
少なくとも、時間は稼げる。
「緑谷…こういうのはもっと詳しく書くべきだ。遅くなっちまっただろ」
「……オレも送ったよ…?着拒?」
「…?来てねえぞ、あとしてねえ。」
「誰に送ったんだろう…」
トンチキな人に送ってないといいけど…父さんとか…。
「なんで君が…!?それに…左…!!」
飯田くん、もっとびっくりしてる。こんなに人が集結すると思ってなかったんだろう。
「何でって…こっちの台詞だ」
「もう前までの轟くんじゃないからね!」
ふふん、と笑ってると何でお前が笑うんだって顔された。ひどいな、誇っていいじゃん。
轟くんが姿勢を低くした。戦闘の合図だ…
ステインの懐へ飛び込む。あんまり個性使うと集中力が切れるから今はなし。
「意味なくそういうことする奴じゃねえからな、おまえは」
パキパキと足場が凍ってくし倒れてた出久くんも氷の上に乗ってる。
「逃さねえ、ぞっ!!」
「チッ、」
くるっと回転してステインの攻撃を避ける。かすっても危ないから気をつけないと。
「大丈夫だ、数分もすりゃ、プロも現着する」
炎が来るから下に回り込む。
「!」
合図もナシに連携できてることに驚いたのか、反応が遅れてる。
2人1組でしごかれまくった数日だからね、少しずつ息が合うようになってきた。
「おっらぁ!!!」
ガードされたけど結構重めの蹴りが入ったんじゃないだろうか。間合いを取る。
「こいつらは殺させねえぞ、ヒーロー殺し」
「轟くんそいつに血ィ見せちゃ駄目だ!多分、血の経口摂取で相手の自由を奪う!くましろくん意外皆やられた!」
ナイフが飛んでくるので蹴り飛ばす。靴の裏で蹴ったから血は出てないはず。
「おまえも良いな…」
轟くんへと向かうステインが小さく呟いたのを聞いてすんごい鳥肌がたった。
やばい、轟くんが狙われてる。
「!バカ、上見るな!!!」
隠し持ってたナイフで頬を切られた轟くん。舐め取られそうになってた危ない。
轟くんが相手してる向かい側でステインを挟むように応戦していく。
逃げ場は、上しかない。じわじわ追い詰めていく。
「兄さんの名を継いだんだ…僕がやらなきゃ、そいつは僕が…」
やらなきゃ、か。
「継いだのか、おかしいな…」
轟くんが大きな氷の壁を作る。マズイな、回りこまないと。それの対処、こっちも大変なんだよね!
「俺が見たことあるインゲニウムはそんな顔じゃなかったけどな。…おまえん家も裏じゃ色々あるんだな」
も、って言い方に胸が少し痛くなる。
「己より素早い相手に対し自ら視界を遮る……愚策だ」
ぐいっと轟くんを抱き寄せる。
「くましろ、」
「ナイフ投げられたの見えたから…怪我してない?」
(轟くん、個性的に狙われてるからもっと自覚して?)
(ああ。分かってる)
(なんにも分かってない、なんでそこで前のめりになんの?)
(ぶっ飛ばせば問題ない)
(なんて短絡的な…爆豪くんじゃないんだから)
(お前それアイツに怒られるぞ)
(へーきへーき、言わなきゃいいの。狙われてるんだから、人の2倍気をつけてよね!)