Alien
Name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
✳相澤消太
リカバリーガールに治癒してもらってすぐに眠りに落ちるくましろを見やる。
あっさり、といえばそんな負け方。今日駆けずり回ってたし疲れてたんだろう。入場が遅くて爆豪がイライラし始めた時はどうしてやろうかと思ったが、爆豪が手を引き連れてきたくましろの顔つきは明らかに疲弊していた。
その前に二回連続で勝負してたのも疲れの原因だろう。爆豪と轟か…そんなに長引くことのなさそうなペアだ。最後の表彰式に起きられるだろうか。
「まぁ~よく泣くわねえ、くましろちゃんは…」
リカバリーガールがそう言ってくる。
「…すべての感情を全力で表現しますからね」
「アンタもあの野次聞いててよく耐えたわねえ、ミッドナイトなんか青筋立ててたよ」
ほっほ、と笑うリカバリーガール。少し目が笑ってないので彼女もキレているんだろう。
「爆豪と麗日の試合でもそうですが、今年は…特に若手〜中堅のプロヒーローたちの低レベルさが露見しましたね。ココで一体何学んだんだか…」
マイクも少しキレていたな。No.2のエンデヴァーさんとこの息子には何も言わないくせに、この場にいない死神…神代さんとその息子には野次る性根のクソさに苛立つ。
「思ったよりスッキリしてそうで安心したけど…て、あらくましろちゃん幸せそうな顔して寝てるのね」
幸せそう、というか…。笑ってしまう。口元が半開きでなおかつ笑ってるのだ。ヨダレ垂れてるし。汚ねェ。
「相澤先生、しっかり養ってあげなさいね」
「養ってくれるそうですよ、くましろが」
「あら!!そうなの?」
「本人が言ったのに、そうなのかって確認したら参った降参するって言われましたけどね」
どっちなんだ。まったく。
「照れ屋さんだもの、仕方ないわね」
案の定起きれなかったくましろは常闇におぶされながら一応表彰式に出る、という形になった。
今年の表彰式、例年にない異例さで記録に残るだろうな…。
1位は縛られ、3位は爆睡。
常闇の個性の黒影が楽しそうだったからまあ、良しとしよう。
オールマイトもニヤニヤしながら俺のとこへ来た。なんなんだ。はじめてのお使いに成功したみたいなテンションだった。こいつはもう15だぞ。喜べるかまったく。
家に帰って一息ついた頃に起き出したくましろ。
「……あれ…?」
「家だぞ」
「…???」
「表彰式も終わって帰ってきたんだ。ほら、メダル」
「…あ〜…起きたかったなぁ、」
「仕方ないだろう。オールマイト喜んでたぞ。好評も後日するって」
「相澤さんは…?喜んでます?」
「………半々だな」
「もう半分はなんなんですか?」
「お前の心配」
「結婚してください」
「会話をしろ、バカ」
風呂にさっさと入れさせたが、あがればこの調子だ。
「ぐう、」
「オイ床で寝るな」
げし、と軽く蹴る。
「うぐ、…ねむ、」
「んなの分かってるからベットで寝ろ」
ほら、と揺するが目が開いてない。
「わ、かってます、」
「動けバカ」
目を開けろそして。
起きそうにない。まあ今日は疲れたんだろう。
仕方ないから抱きかかえてやる。
くましろをベッドに寝かしつけてる中でくましろのケータイが鳴り響く。電話だろうか。画面を覗くとたいやきの文字。
「も『くましろ大丈夫なん!?ちょ、たいと痛いんやけど!!…やっちゃんちょっとそこ退いてや!もしもしくましろ??夜なら大丈夫かなと思ってん、今電話したんやけどな、』…落ち着け、俺だ」
『なんで相澤さんなん!?…こらやっちゃん、そんな言い方アカンやろ!』
「あのな…いまアイツは寝てるよ」
『え、それ大丈夫なん?』
「あぁ。ケガの方はもう学校で治癒済みだ。疲れて寝てんだ」
『なんやぁ、良かった~…。だってくましろ表彰式も寝てたしバトルの時も爆発モロに受けてたやん?そしたらまぁ、やっちゃんが飛びかかる勢いでなぁ…』
安易に想像がついてしまう。そういやくましろも緑谷と轟戦で飛びかかる勢いで立ち上がってたな。
『野次最低やったな、それは大丈夫そうなん?…相澤さんならアレどこのプロヒーローか分かるんちゃうん?教えてえや』
「探そうと思えば分かる、…がくましろは耐えて試合を優先しただろ?母親とは別ってことを結果で示したんだから、相手と同じ土俵にわざわざ立ってやるな…腹が立つのは分かる」
『そうやけど……やっちゃんたち帰る前に絶対くましろと会いたいから、相澤さん伝言係してな』
分かったよ、と返す。こいつ個人への野次に対してたくさんの人間が怒るあたり、愛されてるなあと思う。実感してるんだろうか、くましろは。
『まあともかく、無事なら良かったわ!!起きたらくましろにカッコよかったでて言うといてな!』
「あぁ、分かった…お前らも早く寝ろよ」
『はーい!ほら、やっちゃんもいつまでもイジケてへんで返事しいや。……相澤さんも早よ寝えや。』
「なんだそれ…」
声のトーンがめちゃくちゃ低いやつきについ笑う。くましろと話せなくて、野次のことも含めて拗ねているらしい。
そういうところが本当にそっくりだ。
電話を切って寝室に向かう。ものの5分くらいの電話の間になんだこの寝相の有様は。
掛け布団が寝室のドアの入り口の方まで吹っ飛んできてる。
どうなってんだよ。
(今日の体育祭、神代さんも見てるといいな)
(口あけて寝て…キャーキャー騒がれてた奴とは思えんな)
(マイクも懸念してたが、SNSの拡散がすごいな…)
(まあ名字出せば神代さんの息子なんてすぐバレるか…)
(明日からマスコミ応対のコツをマイクから指導するように頼むか…)
(野次に対する反応は、くましろの反応を肯定する方が多い…か)