Alien
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『さあさ!次は期待のシード勝ち取った選手だぜ!
可愛い顔してたまに恐ろしいヒーロー科!神代 くましろ!対…男子に劣らずの身体能力!アッパーを遠慮なく出せちゃう同じくヒーロー科!芦戸三奈!!』
そうなんだよね、男子相手にアッパーかましちゃうんだよねこの子。笑顔が恐ろしい。
「死神の子どもか!?」
「母親に似てンのなァ〜!ぶっ飛んだ性格も母親譲りか!?」
名前を正式に出してから合致することが増えたのか、危惧していた通りの野次が飛んでくる。声の方向的に芦戸さんの右後ろ…近いな、あそこらへんのプロヒーローたちか。
「…くましろくん、平気?顔色すごい悪いよ…?」
芦戸さんが気にかけてくれるので頷いて答える。
「モデルでも目指したらどうだ?」
「母親と同じ道は歩むなよ〜!」
今度はオレの後ろの方から聞こえてくる。うるさい、うるさい…全部止めてしまいたいが、それはそれで何か言われる原因になってしまう。
深呼吸して…落ち着け。
「死神の子、間違ってもクラスメートは殺すなよ〜!」
「…っうるさい!!!!」
一線を越えた野次につい反応してしまった。シン、となる会場にやってしまったと見渡す、やばいめっちゃ静かになっちゃった…。
「くましろくん!集中しないと芦戸くんのアッパーが飛ぶぞ!」
「そーそー!くましろくん!頑張れ〜!」
お茶子ちゃんと飯田くんを皮切りに主にA組から応援が飛んでくる。
「ちょっと私もA組だよ〜?なんかないの〜?!よろしく!くましろちゃん!」
芦戸さんが続いてくれたおかげで空気が柔らかくなる。そんで、オレは握手のつもりで近づいたんだけど普通に抱きしめられた。行き場のない右手の虚しさ。
始まる前にありがとう、と言うといいよいいよ!と返ってくる。本当に優しい、アッパーの面では遠慮ないけど…。
『悪質な野次はタブー!後輩になるんだぜ?可愛がってやろうじゃねえの…同じ組で仲良いみてえだが、どんな戦いするのやら…??
さあ、START!!!』
ゼンマイなりの声援を受取り、顔を軽く叩く。集中しなきゃ、オレと母さんは別なんだから。
「っじゃー、行くよ~!!!」
確か芦戸ちゃんの酸は濃度とかは調節可能、ってことは人体を溶かすほどの酸は出してこないはず。(放映しちゃいけないものが映ることになる)
よく見て避けるしかない。
「あっ!!!」
「あっ、…ごめたん!」
体操服が少し溶けた。前言撤回、人体溶けるかもしれないぞこれ。
上着脱いでタンクトップになる。
「っじゃあ、こっちも行くぞ」
走って距離を詰める。思い切りまではいかないけど、右の大ぶり。
『女子相手に容赦ねー!!いまの避けた芦戸も凄え!』
避けさせたんだよ、全く。左足に体重かかったとこを…
「あぎゃっ!?」
少し蹴るだけで崩れるからね。
焦ったのか酸をドバッと出してきたので慌てて離れる。
「…一応聞くけど、オレの顔溶けたらどうするの。やっと最近治ったのに…」
「解けない濃度だと思う!へーきへーき!」
なんで適当なの、ソコかなり大事だと思うんだけど…。
体にかかってきそうなの酸だけ止める。距離を離れたら戻しておく。
決着は結構早く着いた。申し訳ないが騙させてもらった。
「っあ!?」
石で転んだふりをして。後ろ向きに倒れてくオレを見て芦戸ちゃんはやってくると踏んでおいた。
「ラッキー!」
よし、来てくれた。体は柔らかいからね。後ろ向きに地面に手をついてやってきた芦戸ちゃんを思い切り蹴り飛ばす。
"止めず"にね。
「ぎゃー!?」
まさかこの体勢から攻撃されるとは思ってなかったらしくて本当に思い切り壁に激突した芦戸ちゃん。
「わわわわ、ごごごごめんっ!!!だ、大丈夫!?
頭打ちつけてない??」
「頭はへーき…ううう、いったぁ…!やられたわー!くましろちゃん次も頑張ってね」
痛そうに背中をさする芦戸ちゃんに謝り倒しておく。
「芦戸さん…場外!
神代くん、引き続き二回戦続行よ!」
ミッドナイトに名字で呼ばれるのすごく慣れない。
「次は…常闇くんかあ…」
『シード変な場所に作っちまったせいで引き続きだがやってもらうぜ!!休憩は要るか?』
「大丈夫!」
ピースサインで答える。
『じゃあ早速行くぜ!ヒーロー科 神代 くましろ対…ヒーロー科 常闇踏陰!!』
常闇くんはゲームで言うなら闇属性。つまり光源とかに弱いんだけど、光になるもの…何もない!!!やばい!!
でも、ピンチを覆していくのがヒーロー。なんとかしないとね。
「よろしく常闇くん!黒影くん!」
「ああ…」
「くましろ!タオス!」
ギュと抱きつくとそう言われた。
怖いんだけど。主に目が。お腹空かせてるライオンみたいな目なんだよね。
いつもの可愛い黒影ちゃんどこいったの。
今回ばかりは個性ちゃんと使わないと、肉弾では拭いきれないだろう。野次も消えた?し、試合に集中できる。
『START!!』
ブワッと大きくなった黒影ちゃんがものすごいスピードでやってくる。
「早いねえ〜」
「マテ!!!!」
食べられる勢い。怖いよ。やっぱりライオンみたい。
ちょっと一回攻撃してみるか。
かかと落としの要領で結構上から蹴り落とす。
「イテエ!!!くましろバカ!!!」
「待って凹む…」
ちょっと涙目なのもあって攻撃できない…。
「黒影、今は仕方ないだろう」
「ちょーっと分が悪いなあ…」
天候もできるのだろうか、ちょっとやってみよう。太陽の光を"止めず"に時間を進めてみる。
まあ夏前の気候にしてはどんどん夏のような太陽の照りつけになっていく。そうだ、ここスタジアムなんだし野球するときのでっかいライトあるよね。それも止めずに光力最大で照らす。
「んん、」
少しは弱ってきたかな?
光を一点に絞ることできたらなおさらいいけどまあ、十分だろう。
あとは攻撃を繰り出し続ける。日陰に連れてかないように。
『なんだぁ!?急にすっげえ晴れてきたぞ!!?つーか配線ミスか神代の仕業か、スタジアムライトがギラギラだ!それと同時に神代の猛攻撃が始まる!体力バカだぜ!!』
褒めてるのか貶してるのかどっちかにしてほしい。
「ぐっ、」
黒影ちゃんにつかまれて思い切り振り落とされる。背中から着地したから心臓が止まったように痛い。
呼吸、呼吸できてる??
「っは、あ…」
いってえ。器官が痛い。立ち上がる。ちょっとフラフラしてるのがバレたのかさらに攻撃してくる。重力止めて浮く。浮いた上から重力最大限にして右のストレートをお見舞い。
今の痛かったんじゃないかな。重力に従って落ちたから普段より重かったと思う。
怯んだ。黒髪ちゃんを掴んで後ろ側…つまり常闇くんの背中に入る。そんで"止めず"に蹴って押す。
線のギリギリで手をついて止まってしまった。
んん~、うまくいかない!
『ギリギリライン際で耐えた常闇!!反撃なるか!?』
この太陽の照りつけの強さと(今もどんどん強くしてるから眩しい)重力使った攻撃を使えばなんとかなるかな。
「っし、行くぞ常闇くん。」
「…!」
『早い!まだあんな早く動けたのかよ!』
『アレは普段のスピードだぞ』
ちょっと相澤さん!!!ネタバレしないでよ!
会場ざわざわしてるでしょ!!
攻撃してはお互い下がってすぐに突撃する、のを7回くらい繰り返してたら黒影ちゃんが一瞬ヘロッとするのが見えた。
見逃さないよ。
ミニスマッシュ撃つぞ。
「っらあぁああ!!!!」
下からすくうように撃ったから地面がえぐれて土煙がすごい…。
「…常闇くん、場外!
神代くん、三回戦進出!」
ぐったりしてる黒影ちゃんを撫でる。
「黒影ちゃん、大丈夫?」
「…クヤシイ!」
つい笑みが浮かぶ。
「悔しいが…的確に弱点を突かれた…勝てよくましろ」
「もちろんです!」
(だ、めだ…ねむい、電池きれそ…)
(おい、廊下で寝るな)
(…ん、?)
(控え室で寝ろよ)
(体動かない…)
(仕方ねえな…じっとしてろ)
(ありがと、)
(あぁ。次は俺とだからな。ぶっ飛ばす。)
(うん…)