Alien
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控え室の位置を知っておこう、あ、ここを曲がればいいのか。覚えておかないと。
「あ!くましろくん!」
「お茶子ちゃ…ていうか皆いるね。」
飯田くんに出久くん、イツメンが集合してた。
「お茶子ちゃんの相手爆豪くんだっけ?頑張ってね!」
応援してるから、という。緊張してるのか表情が硬い。
「ありがとう、くましろくん…出久くんもだけど試合見なくていいの?」
「だいたい短期決戦ですぐ終わってて、今切島くんとB組の人やるとこだよ」
おお、情報が早い。お気に入りの鉄哲徹鐡くんか。
「じゃあ…もう次…すぐ…」
「しかしまァさすがに爆豪くんも女性相手に全力で爆発は…」
飯田くんがそう言うが、しないわけない。
「「するね」」
出久くんと声がかぶる。彼はいつも全力だから、手を抜くなんてことは一切しないだろう。騎士道精神あるからね。
「皆、夢の為にここで1番になろうとしている。かっちゃんでなくても手加減なんて考えないよ…。
僕は麗日さんにたくさん助けられた。だから、少しでも助けになればと思って…麗日さんの"個性"でかっちゃんに対抗する策、付け焼き刃だけど…考えてきた!」
ノート1冊分にまるまる書いたのだろうか?それは凄すぎる。
「おお!麗日くんやったじゃないか!!」
飯田くんが声を上げる。
「ありがとうデクくん…でも、いい。」
うん、断ると思ったよ。なんかズルしてるような気持ちになっちゃうもんな。
「デクくんは凄い!どんどん凄いとこ見えてくる。騎馬戦の時…仲良い人と組んだ方がやりやすいって思ってたけど、今思えばデクくんに頼ろうとしてたのかもしれない。だから飯田くんが「挑戦する!」って言ってて本当はちょっと恥ずかしくなった」
「麗日さん…」
「だから、いい!
皆将来に向けて頑張ってる!そんなら皆ライバルなんだよね…
だから決勝で会おうぜ!」
グッと親指を出したポーズしてるお茶子ちゃんの手は震えてた。強いなあ。
「お茶子ちゃん、怪我だけは気をつけてね!」
そう伝えるとうん!と力強い返事が返ってくる。飯田くん、出久くんと共に客席に戻る。
『1回戦最後の組だな…!
中学からちょっとした有名人!!堅気の顔じゃねえヒーロー科爆豪勝己!!対…俺こっち応援したい!!ヒーロー科麗日お茶子!』
「なんで基本紹介が失礼ベースなの??オレ出久くんに対してのアホ面にまだ納得いってないんだけど…」
「ま、まあまあ…たしかに変な顔で固まってたし…!」
常闇くんと出久くんの間に座る。
「黒影くん元気?」
「あぁ、すこぶるな」
今日もすこぶる元気なんだ。可愛いなぁ。
「黒影くーん」
「くましろ!」
ビュン!とすごい速さで出てきたので抱きしめる。本当に可愛い。
「常闇くん…大事にお世話するから貰っちゃダメ?」
「ヤダ!」
ふ、ふられた…。常闇くん楽しそうに笑ってました。嫌いです。
「先程言っていた爆豪くん対策とは何だったんだい?」
「あ!オレもきになる!」
黒影ちゃん抱っこしたまま振り返る。
「ん!本当たいしたことじゃないけど…かっちゃんは強い…!本気の近接戦闘はほとんど隙無しで動くほど強力になっていく"個性"だ。
空中移動があるけど…とにかく浮かしちゃえば主導権を握れる、だから…速攻!」
スタート、の声とともに動き出したお茶子ちゃん。
「なーんだ、分かってるじゃんね」
「うん!…事故でも触れられたら浮かせる!間合いは詰められたくないハズ!だからかっちゃん的には…」
回避じゃなくて、迎撃。
彼の爆発をモロに受けたお茶子ちゃん。やっぱあの速さを避けるの難しいよね。
煙幕の後ろからお茶子ちゃんが出てくる。ほう、凄いな。
『上着を浮かせて這わせたのかぁ、よー咄嗟に出来たな!』
「贔屓すぎねえかゼンマイ」
「言ってはダメだ」
「ダメ!」
「黒影ちゃんがそういうなら言わない!」
「チャンジャネエ!!!」
「いっだぁ!!?」
か、噛みつかれたんだけど!!!?そんな反抗の仕方、どこで覚えたわけ…??
「コラ、噛むな黒影…。大丈夫か?」
「心の方が痛い…」
噛まれた場所をさすってくれる常闇くん。嫌われたという事実の方が痛いです。
「…見てからあの反応速度…反射神経いいよねぇ。何でも見えてそう、トンボみたいに」
「トンボ…?」
出久くんが至極不思議そうな顔してきたので、確かトンボは360°視界があるはずって答えたらそういうことね、と納得してくれた。
『麗日間髪入れず再突進!!』
「おっせえ!」
爆発を繰り返す爆豪くんと、それに何度も向かうお茶子ちゃん。
『休むことなく突撃を続けるが…これは……』
ん?ゼンマイ気付いてないの?
「おい!!それでもヒーロー志望かよ!そんだけ実力差あるなら早く場外にでも放り出せよ!!」
「女の子いたぶって遊んでんじゃねーよ!」
「そーだそーだ!」
カチン
「…え、あれあそこに座ってんのプロの人たちだよね?何?バカなの?それとも新卒?」
「くましろくん!オブラート!!」
『一部から…ブーイングが!』
煩いので"止める"ピタッとブーイングコールが止む。
『しかし正直俺もそう思…わあ肘っ!モゴッ!?』
ゼンマイも煩いから止めとく。
『今遊んでるっつったのプロか?何年目だ?』
カメラカメラ急げ!!!
「!」
喋れないプロヒーローたちは相澤さんを見やる。
『シラフで言ってんならもう見る意味ねぇから帰れ。帰って転職サイトでも見てろ』
「かっこよすぎ死にそう…」
「(すごいもうカメラ構えてた…)」
『ここまで上がってきた相手の力を認めてるから警戒してんだろう。
本気で勝とうとしてるからこそ手加減も油断も出来ねえんだろうが。…おい、使うのやめろ』
オレの方を見ながら言ってきた。バレてた。
仕方ないから解除してあげる。
お茶子ちゃんが解除のポーズをする。がんばれ、
「勝あアァアつ!!!!」
『流星群ー!!!』
気付けよゼンマイ。
迎撃にしろ回避にしろ隙ができる、そう踏んだのだろうか。
お茶子ちゃん、ちょっと甘いなあ。彼の爆発の威力とタフネスさ、頭の良さを見くびってはいけない。
大爆発が起こる。
『会心の爆撃!!麗日の秘策を堂々ーー正面突破!!』
勝己の爆発は威力が高いし、こうなることも視野に入れとかないと。飛ばされたお茶子ちゃんは傷だらけだ。
カク、とお茶子ちゃんが倒れる。キャパオーバーだ。
「麗日さん…行動不能。二回戦進出爆豪くん!」
『ああ麗日…ウン、爆豪一回戦とっぱ…さァ気を取り直して「私情すげぇな……」一回戦が一通り終わった!!!小休憩挟んだら早速次行くぞー!』
相澤さんのツッコミに思わず笑う。
(ねえ、出久くん…相澤さん見てた…?めちゃかっこよくなかった…?あの人のああいうところが本当に好き…)
(見てたよ…くましろくんがカメラ構えるの早すぎてビックリした)
(逃したくないじゃん?アングラヒーローのシャッターチャンスを)
(くましろ君はパパラッチを目指したほうがいいんじゃないか?)
(何言ってるの飯田くん!?大好きな相澤さんの私生活を脅かしてまで撮りたいんじゃないんだよ!!!!)
(なんなんだ、その謎の距離感での遠慮…)