Alien
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「くましろ、久しぶり」
ギャーーーーーース!!!!
クソ情けねェ悲鳴はなんとか心の中で抑えた。凄くね?だって敵とか断定されたんだよ?相澤さんに。
その後まさかこんなすぐに会うと思う?あの人に色々話してから2日後だぞ?悪運の強さ…
「どうしたの?顔ひきつってるよ…」
弔は敵に見えないくらい優しいから、未だに俺は信じられないけど…。あのオールマイトの話をした時、あの時の異様な恐怖さが彼の本質なんだろう、きっと。
「どうしたの、弔」
声が震えないように、なるべく目を見て話す。
いやほんと、明るいところで見ると不審者感倍増だな。口に出さないけど…
「くましろ、迎えに来たよ」
行こう、と手を出されるけど行ってはいけないと思う。もう戻ってこれない気がする。
「…弔、行けないよ。」
「……なんで??」
うっっわ、目こっわ!マジ無理!!!震える!!!さっきまでの穏やかな目つきはどこいったんだよ!!
「…クソひねくれてるけど、ヒーローになれるって言ってくれた人が居る」
初めて、目を見て。
「…オレとの約束が先約でしょ?」
や、約束…?約束なんかしたっけ…?
「くましろは、たった1人の発言信じるの?」
「…え?」
「今まで何人に否定されてきた?たった1人、大人が肯定すればお前はヒーローになれるのか…?
そんな甘いもんじゃねえと思うけどなあ…」
ぐ、と言葉に詰まる。
「雄英にでも行くつもり?」
「…行ければ、ね」
「お前の親が行かせると思うの?」
体中の力が抜けたようだった。正論しか言われてない。どう言いくるめようがあの母親は…雄英になんぞ行かせてはくれなさそうだ。
自分の息子人殺しって(殺したことないからね)呼ぶような奴だし、今まで何人に否定されたとかもう数え切れない、1000人くらいは軽くいってるんではなかろうか。
でも、それでも憧れてしまった。
「なれないのに中途半端に夢与えるから質悪いよなァ、ヒーローってもんは」
ぽす、と弔の手が頭に乗る。
「くましろがバカにされるのも、そうやって苦しむのも、今のヒーローを作り上げたオールマイトのせいだ。
……そうだとは思わないか?」
「…まあ、半分」
思うわ。オールマイトと、正しくは社会かなって思うけど。思想だけで言えばオレこそ敵だと思う。ヒーローに憧れるたびに憎むんだ。オールマイトみたいなヒーローなんていなけりゃって。
この苦しみは単純に憧れだけで居られる子たちには、分かり合えないだろう。生まれた瞬間から、華形のヒーローか否かの振り分けが始まっていくんだから。白か黒かなんて人は絶対割り切れないのに、社会は割り切ってこようとする。
「…じゃあ、いつまで苦しめばいい…?」
弔を見る。何を考えているか分からないけど、とりあえず敵対心は持たれてない、友好的に接してくれてる。
「おいでよ、俺のとこに。くましろが新しいヒーローになればいいんだよ。この社会を変えよう」
「…諦めがついたらな。まだ夢見てたいよ、15だし。」
「……ガキが」
うるさいよ。4歳しか変わらないだろ。
「そういえばさっき言ってた約束って?したっけ?」
こういうこと堂々と聞ける図太さ、皆も持った方がいいぜ。
「…してないよ。嘘。」
嘘かよ。騙すな!って怒ったら、騙される方が悪いって笑われた。
「…っていうのが昨日の話です。」
「言いくるめられてんじゃねーか」
ゲシッと蹴られる。痛い。
あの後急いで家に帰って1日経ってから相澤さんの家に戻ってドア叩きに叩いて入れてもらった。
「…なんでヒーローになれるなんて、言ったんスか。」
「なれる可能性があると思ったからだ、それ以上もそれ以下もない」
…この人の言い回しなんか独特すぎてよく分かんねえな…。
左手を見やる。右手は賞賛されることの方が多かった。というか利用?
触れただけで、止まる。息も心臓も何もかも止めようと思えば、止めさせられる…はず。試したことないから分かんないけど。
じっと見てると相澤さんが話しかけてくる。
「お前、頭は悪いか」
「…?急になんスか、学年1位です」
個性が使えないから勉強に励むしかない、と馬鹿にされたのは記憶に新しい。
なんだよ、勉強できて悪いことないだろと反論した気がする。スポーツできるバカより、まだ運動音痴の天才の方が未来開きやすいだろ。
「そうか、なら安心だな」
書類を取り出す相澤さん。
「…何がです…??」
「お前、雄英の試験受けろ」