Alien
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「うおおお…」
お茶子ちゃんが尻込みするのも分かる。教室の前すごいざわざわしてる。
「何ごとだあ!!!?」
うわ、人すごいたくさんいる。何だ?
「出れねーじゃん!何しに来たんだよ」
「敵情視察だろ、ザコ」
「こんなにたくさんの人を敵に回すようなことしたっけ…?」
聞いたつもりはなくて、呟いただけだったんだけど爆豪くんにほっぺた割と強めにつねられた。痛い。
「敵の襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭の前に見ときてえんだろ。」
なるほど。そういうことか。
「見たところで何か分かるわけじゃなくない…?」
「…お前、意外と辛辣なのな」
爆豪くんがちょっと目を見開いてる。
「え?辛辣だった…?でも演習とか見てるわけじゃないし、
人相くらいしか分かることなくない?」
たしかにな、と言わんばかりに頷いた爆豪くん。だよね。
帰れないし散ってほしい。どうせ何を話そうが何をしようが、噂になるだけだ。
敵に早々襲われたクラスなんだもん。
「意味ねェからどけ、モブ共」
「知らない人の事とりあえずモブって言うのやめなよ!!」
もっともなツッコミが入る。
「どんなもんかと見に来たがずいぶん偉そうだなぁ、ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」
「ああ!?」
爆豪くんが犬のように威嚇してるからとりあえず背中撫でとく。どうどう、落ち着くんだ。
俺ぁ犬じゃねえぞ!と振り返ってしっかり怒られたし、考えてることバレてて怖かった。
「こういうの見ちゃうと、ちょっと…幻滅するなぁ」
ズイ、とやってきた背の高いクマのすごい人。
「普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴けっこういるんだ、知ってた?」
へえ、そうなんだ。
「体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって
その逆もまた然りらしいよ……」
ギラギラとした、その目。ヒーローになりたいんだと思う、 心の底から。
ていうか編入とかあるんだ。じゃあ去年クラス丸々除籍処分した相澤さんの元生徒たちって、どんだけ見込みないと思われたんだ…普通科に編入の道筋も思いつかなかったってことか…。
「敵情視察?少なくともおれは、調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞ、っつー宣戦布告しに来たつもり」
「口挟んで悪いけど…」
「くましろ君…?」
お茶子ちゃんが心配そうに見てくる。
「ずいぶん失礼な言い草じゃない?まぁ、そう見えるなら仕方ないんだろうけど、言葉より行動で人を見たほうがいいんじゃないかな?
…その考え方は損するよ、人を色眼鏡で見るのは失礼だと思う」
まだ威嚇を続けてるからぽんぽん、と爆豪くんの肩を撫でる。どうどう、落ち着くんだ。
犬じゃねえっつってんだろ!て怒られた。けどはたき落としたりしないところが爆豪くんの優しさだと思う。
「犬なんて思ってないよ、手負いのクマみたいだなと思ってる」
「喧嘩売ってんのかテメェ…」
なんで!?!
「隣のB組のモンだけどよぅ!!」
「うわすごいのきた」
つい本音が出る。爆豪くんみたいなのなんでこんなにたくさん居るんだよ。
「敵と戦ったっつうから話聞こうと思ってたんだがよぅ!!
エラく調子づいちゃってんなオイ!!!」
「本番で恥ずかしい事んなっぞ!!!」
隣の爆豪くんはさっさと帰ろうと人混みを掻き分け始めた。
待ってオレ何で服掴まれてるの、一緒に帰るの?コレ。そういうこと?
「待てコラどうしてくれんだ!おめーのせいでヘイト集まりまくっちまってんだじゃねえか!!」
切島君が叫ぶ。
「関係ねえよ…」
「はあーーーー!?」
「上に上がりゃ関係ねえ」
「すご、漫画みたいなこと言うんだね」
シンプルにかっこよかった。
「手負いのクマなんて失礼な言い草はやめろ」
すみませんでした。と頭を下げる。
あのあと忘れ物あることに気付いてめちゃくちゃ爆豪くんに怒られながら戻った。話したいことがあったらしくて、
忘れ物より大事だし聞くよ!と言ったけど今度でいいと解散した。
今日から人体の勉強を別で始めるぞ、と理科の先生から譲ってもらった教科書をロッカーに入れっぱなしだった。
相澤さんに言われる前に気づいてよかった。
「なあ」
「あ、クマ君」
「心操だっつったろ」
ごめん、と謝る。人体学の本ばっかり持ってるから明らかに引いた顔してた。
「違うよ、解剖に興味あるとかそういうサイコキラーとかじゃないから!!!治療のために学を深めようと思って…!」
「何も言ってねえし焦りすぎだろ…。お前が1番ひどい目にあったんだって?」
「あ〜…うん?多分…」
怪我の規模で言えばそうだろうけど、恐怖や絶望感じたのは蛙吹さんとか峰田くんじゃないかな…。
グロいもの見せてしまったという罪悪感がある。
「さっきの、どういうこと?」
「さっき?」
隣にドカッと座ってくる心操くん。まあいいや、オレも座るか。
「誰がどう見ても、爆豪ってやつは偉そうだけど…なんか知ってる風だったじゃん」
「あ〜…爆豪くんね。まあそこまで詳しくは知らないんだけど…なんていうの、確かに俺様感はあるんだけどすごい努力家だからね。
あ、別に他の皆がそうじゃないとかじゃなくて!努力の方向性が各々違うだけで、皆必死なのよく見てるから…。
できて凄い、1歩先をいくのが爆豪くんにとっては普通で、こんくらいできなきゃ無理だろって自分を追い込んで強くなってるタイプだから…自然と偉そうになっちゃってるんだと思う」
「ふぅん…神代、だっけ?お前の個性は?」
「……ごめん、あんまり言いたくない…その…よく、ヒーロー向きじゃないって言われるから…」
「………"洗脳"、とか?」
「洗脳…?それはめちゃくちゃ良い個性じゃん!
個でも集団でも活かせるし、暴れて話聞かない敵とかにも使えそうだし…
オレのは、そんな良いもんじゃないよ。」
(…て、アレ…心操くんどうしたの?目が点だけど…)
(いや…そんな褒められたことないから…)
(え!洗脳なの!?すごいじゃん…なんか、オレだけ知ってるのアレだから教えるけど…オレは止める。いまのところ対象物はほぼすべて)
(止める…)
(まだ小さかった頃、いじめてきたやつに対して制御出来なくて心臓…止めかけたことがあって。その時にその子の親に言われたんだよね。"まるで敵ね"って)
(母さんにも似たようなこと言われるし、ずっとヒーローは諦めてたんだ。もっと、煌びやかな良い個性じゃないとヒーローには向かないんだって)
(まだひよっ子のオレに言われてもなんの説得力もないけど、
大丈夫。心操くんはヒーローになれるよ、大丈夫)
(………)
(知ったふうな口聞いてごめんね、お守りの言葉だか…え!??!ごめん、泣かせるつもりは…!)