Alien
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相澤さんも、13号もいるけどそんなに一筋縄じゃいかない。
本能がそう言ってる。こういう時は大体当たるんだ。こんなに悪い予感がしてるんだ、外れるわけもない。
オールマイトを確実に狙いに来たさっきの弔の発言的に、何か切り札があるんだ。弔自身の個性や力かもしれないし、引き連れてきてる敵の中にヤバい奴がいるのかもしれない。
「分析してる場合じゃない!早く避難を!!」
飯田君の声で我に帰る。ドアは目の前、相澤さんを置いていくなんて考えられなかったけど、A組ごと塊でやられるわけにもいかない。
「させませんよ」
先ほど弔の隣にいた黒い靄のような男がこちらにやってきた。
彼の個性はワープ…?見た目も霧だし実体はないのか…?アジトとかに本体があるとか…?
「初めまして、我々は敵連合。せんえつながら…この度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは、平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして。
本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるハズ…ですが何か変更あったのでしょうか?
まあそれとは関係なく…私の役目はこれ。」
丁寧な挨拶が逆に不気味さを加速させる。止まらせようとする前にボーン!と爆発音が響く。
勝己と切島君だ。反応速度がほんとに速い。頭でっかちで考えがちな俺が見習わないといけないところだ。
「危ない危ない………そう…生徒といえど優秀な金の卵」
危ない?どういうことだ?弱点がある?もしかして、体の部分は実体とか…?
「ダメだどきなさい!2人とも!」
13号の停止を皮切りにズアッと闇が広がる。靄が来たら止めるため、手を前にして構える。
クラスの大半は飛ばされてしまった。広場前にいる13号や飯田君、お茶子ちゃんたちはなんとか確認できる、けど。
「なんで、オレには…?」
黒い靄が来てすらいなかった?まさか……気付いてない?
だったらオレがすることは、相澤さんの負担を減らす。
草むらに移動し、身を隠す。ここからなら気付かれにくいだろう。
まるで優劣をつけるみたいですごく苦しい。
だけど生徒とはいえヒーロー科の個性が複数集まっている13号と、単身で囮になっている相澤さん、だったら後者の後方支援が適切…だと信じたい。
個人的な思い入れとか、そういうの抜きでもこの選択をしたと思う。
散り散りになった皆も気にはなるけど、相澤さんと対峙している敵をみる限りゴロツキレベルだ。
この間のオールマイトの対人演習で見切れてない子もいるけど、よっぽど皆のほうが個性も戦闘能力もある。
それを一人で10人20人と相手する人がいるなら、その支援を選択する。うん、…正解じゃなくても間違ってはないと思う。
周りのゴロツキと共に、弔が動き出した。
「動き回るのでわかり辛いけど、髪が下がる瞬間がある。
1アクション終えるごとだ。そしてその感覚は段々短くなってる。」
よく見てる、舌打ちをする。
「無理をするなよイレイザーヘッド」
相澤さんのうめき声が聞こえる。肘に何をしたんだ…?
参加したいけど、まだ出る幕じゃない。
下がった相澤さんに敵が二体襲いかかる。
「その"個性"じゃ集団との長期決戦は向いてなくないか?普段の仕事と勝手が違うんじゃないか?
君が得意なのはあくまで「奇襲からの短期決戦」じゃないか?
それでも真正面から飛び込んできたのは生徒に安心を与える為か?
かっこいいなぁ、かっこいいなあ…ところでヒーロー」
少し見ただけで相手の得手不得手を見抜く弔に背筋が凍る。分析能力の高さだけで言ったら、まるで出久くんみたいだ。
相澤さんの動きを見ると骨折とかではない、…何あれ、筋肉が見えてる…!?
「本命は俺じゃない」
何かに指示を出した弔。相澤さんの周りの敵を一時止めたと同時に、背筋が凍るような言葉が聞こえてくる。
「…自分で自分をチリにしてしまった」
お茶子ちゃんの悲鳴に近い13号への問いかけも聞こえる。
うそ、あっという間にプロヒーロー2人が痛手を負った…?相澤さんはまだきっと動けるけど、13号は自分でチリにしたって言った…?ワープ先を繋げられてブラックホールで吸い込んでしまったんだろうか?
扉も開かない、通信も効かない、予定にいたオールマイトは今いない。プロヒーローに助けを呼べてない、この状況でまともに動けるのが自分達だけになった…?こんなにも早く?
「なんで動かない…?対 平和の象徴改人 "脳無"」
次々に考えていると、弔の声を拾う。指示を出したのに動かない、何あれ…脳無?って言った巨大な人間?の前で立っている。
あんなの連れてきてたの…?見るからに攻撃力・防御に特化している見た目だ。殴られたらひとたまりもない。
「くましろ君…?」
出久くんの小さな声も拾った。
この不安定な状況の中では数人を抑えるのが今は精一杯。
1番危なそうな脳無と呼ばれるソレと、数人の敵。
もっと力になりたいけど、今集中して確実に止められるのはそれだけ。
「ヘイヘイ、こんなとこでガキが何してるんだ?」
「っ!こんな時に」
距離にしたら10m先くらいに3人のゴロツキ敵がいて、草むらから個性を使っているのがバレた。
歩き回っていた感じはないので、さっきの靄を出した男はオレに気づいてる。さっきはわざと靄を寄越さなかったんだ。
「…?やっと動いた…」
目の前の敵対峙で個性が途切れたと同時に、弔の声が聞こえる。
まだ俺の方は距離があるから、と振り返る前に小枝をおるように、骨が折れる音が聞こえた。
バキ
何して、るの
「"個性"を消せる。…素敵だけどなんてことはないね。圧倒的な力の前ではつまりただの"無個性"だもの」
脳無の下に組み伏せられた相澤さんが見える。
あの、一瞬で…?組み伏せた上に、骨を折って…?
このままだとまずい、と脳内にアラートが鳴り響く。
ヘラヘラと向かってきた三下のゴミの心臓を即座に止める。
もうなりふり構ってられない。
苦しみながら悶え死ぬそいつらに目もくれず走り出す。
グシャッ
「ぐぁ…っ!!!!」
頭を地面に叩きつけられ、出血がひどい。
やめて、どうしよう、相澤さんが死んじゃう
視界が滲む。
「やめて!!!!」
(やっときた…遅いよ、くましろ)
(おねがい、やめて)
(…脳無、一旦やめろ)
(その人殺さないで、おねがい、)