Alien
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あの後やっとミイラの状態を解いてもらって、最大限の愛と感謝を伝えた。相澤さんは「分かったから反芻してそう何度も喜ぶな」と無茶を言ってきたので、それは無理ですと断っておいた。
教室に帰ってきて再び思い出す。相澤消太ったら。ツンデレなんだから…さっきオールマイトと交わしてた言葉を思い出す。
『見込みがない者はいつでも切り捨てます。半端に夢を追わせる事ほど残酷なものはない』
……うわ~~!!ニヤける!ていうかあの相澤さんもかっこよかったなぁ〜!これあと何年かは何回か思い出して喜んでお守りの言葉にしていいよね?
大好きな相澤消太もといイレイザーヘッドから『お前はヒーローになれる』って言われたんだよ?
何度思い出してもニヤけるわ~~~!!!!
ふと思い出す。
「あ、ケータイ。先生に預かってもらってたんだ」
相澤さん自身も忘れ、オレ自身も忘れてた。明日から迷わないように、ちょっと探索も込めて校舎回ろうかな。
大体の学校って来客対応のことも踏まえて職員室は一階の、メイン玄関の近くにあるはずだから…
ここの階段を降りていけば、玄関までおりれるはず。今朝の記憶を辿ろうとしても「とりあえず自分の所属クラス確認!→遅刻くんになりたくないから急げ!」すぎて何も覚えてなかった。
ヒーロー科と、普通科と経営、サポート科があるんだよね。どうしてもプロヒーローの登竜門として入学するからヒーロー科に注目が行きがちだけど、普通科もエリート企業への就職率が高くてびっくりした。
あんまり良い言い方じゃないけど、どちらにせよ「ブランド校」なんだろうなと思う。
「な〜知ってる?今年のヒーロー科の1年!なんか担任が言ってたんだけど、トップがとにかく凄かったらしーよ!」
「は〜…つかアレだろ、プロヒーローのとこの子いんだろ?
なんだっけ…エンデヴァーと、『死神』!」
聞こえてきた会話に足が止まる。
「どっちも強い個性のヒーローじゃん。いいな〜二世は」
「苦労とかなさそうだよなー」
死神…ってもしかしてもしなくても母さんのことだよな?そうか、二世…。オレは母さんの二世として見られるのか…まあそりゃそうか息子だもんね。
「気になるのは『死神』の息子だよな!親子揃ってやべーのかな?」
「え?オレが聞いたのは娘って聞いたけど?意外に家族構成とか明かしてねーよなー、『死神』」
嫌な注目のされ方だな…足早にその場を去る。別に芸能人とは違うし、好感度とかそういうのは気にしなくていいとは違うけど、縛られたくない。
エンデヴァーの子供だって、きっとそう思うはず……親は親、オレはオレって。
少し重い気持ちで職員室の扉にノック。
入試の時に説明MCをしていたプレゼント・マイクが出てきてびっくりした。
「ワオ、お前は相澤んトコのだな!入学おめでとう、初日から見かけるとは思わなかったぜ!
…んで?どうした?」
「あ、えと、ありがとうございます。先生にケータイ預かってもらってて…」
話す勢いが凄すぎてびっくりする。ラジオとかやってるもんなあ。相澤さんとか、…多分オールマイトも?
雄英にいるプロヒーローたちは母さんのこと多分…知ってるだろう。『相澤んトコの』呼びされると思ってなかった。
「……誰かになんか言われたか?」
「え?」
「当たりか?なんか泣きそうな顔してるからよ。…個性のことか?………親のことか?」
プレゼント・マイクと目が合う。びっくりした、そんなにバレバレだったか…
「え、いや、言われた…わけでは…。聞いちゃっただけ、で。」
「はぁん?そんで入学初日から傷ついちまったのか?……神代、そんなんで大丈夫か?この先いくらでも言われんだぞ?」
ガツンと頭を殴られたような衝撃だった。頭では分かっている、理解もしている。…し、覚悟をしてきたつもりだ。
けど、「つもり」だったんだろう。
「…マイク、新入生イジメとは関心しないな」
「オイオイ人聞き悪ィぜ相澤、イジメだなんて」
「お前も揺らぐな。もう忘れたのか?成績トップで入学しといて…」
相澤さんにケータイを手渡しされる。あれ、なにこれ…?
確認する前に相澤さんに話しかけられる。
「今日の個性把握テスト中、眩暈してたろ。…あん時治癒してたのか?」
「え、あ、はい。たぶん、自律神経のやつで割とすぐ…ボール投げの時くらいにはマシでした」
「そうか。…今日はもう何もない、せっかく早く帰れるんだからさっさと着替えて帰れ。」
はいそれじゃ。と言いつつ、手が完全に「シッシッ」の動きをした相澤さんに職員室を追い出される。
手元を見るとケータイの上に、チョコレートが置いてある。チョコばっか食ってんじゃねえって取り上げられた、やつ。ぽろぽろと涙が出てくる。相澤さんはいつでも優しい。
プレゼント・マイクの言う通りだ、そもそも対面で言われたわけじゃない。内容だって悪口でもない。噂は噂、「転校生どんなやつなんだろ〜?」レベルでしかない。
勝手に聞いといて、勝手に考えて傷ついたのは俺だ。こんなんじゃこの先、やっていけない。
チョコを食べて気持ちを落ち着かせて、教室に戻る。帰ったらとりあえず、お礼伝えないとな…
(…で、マイク。どういうつもりだ?)
(おーおー、カオ怖ェ…。でも事実だろ?エンデヴァーさんとこの息子だって同じ条件だぜ?
…いちいち気にしてたら潰れちまう)
(……ハァ)
(信じてやれよ相澤、意外とやるやつなんだろ?)
(…試すようなことするな。)