Alien
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早速各々準備体操などでウォームアップをして開始。一種目は50m走。これは別に個性を使わなくてもいいかな。
全力疾走でタイムは5秒78。うん、まあまあだな。
次は握力。オレ握力ないんだよなあ。気にしたことなかったけど、女子よりなかったらどうしよう。握力とか腕力さえあれば、力を無制御にした時に、それこそオールマイト並のどでかいパンチを打ちこめたりできるんだけど…
入試の時、お茶子ちゃんの足元にあった瓦礫を砕いたのは偶然で助かった。あんなに痛い思いしたのに割れなかった可能性もある…筋トレもっと増やさないとな。
「くましろくん!」
「あ、お茶子ちゃん」
「私もう50m走でどっと疲れたよ~」
ぐでーとしてるお茶子ちゃん。分かる。ほんとそれ。体力テストって走る系のもの多いし、普通に疲れるよね。
「そうだ、握力の記録どうだった?」
全員が種目に集中しないようにちょっとばらけてる。お茶子ちゃんたちは先に50m走を終えたので、握力も終えたんだろう。
「ん?握力はね、確か27だった~」
27か…。なら越えられそうだ。
「30だった…まじ非力、凹む」
「くましろくん、細いもんね!仕方ないよ!」
その励ましはグサっとくる!!もっとムキムキになってやる…自分の記録を紙に記入してると、すごい記録が耳に入る。
「540キロ!!!あんたゴリラ!?タコか!!」
「すげー!ちょっとだけ強めに握手して!!」
骨折らないでね!と言う。複腕の背が高い子だ。
いろんな個性の子がいるんだな…。
「!!!!あいだだだだっ!!!!」
力を入れて2秒くらいでオレはもう痛かった。ダメージ2倍なの忘れてた…あほだ。相澤さんに怒られても仕方ないやつだ。
怪力で大きい彼は障子目蔵くんと言うらしい。
立ち幅跳びは止まる法則のもと、オレにかかる全ての重力を止めてかなり緩やかにだけどふわっと飛んだ。
立ち幅で重力止めるのなんて、ぶっつけ本番だからバランスがうまく取れなくて、記録は確か36m。お茶子ちゃんのフォームが綺麗で参考になった。
反復横跳びは若干の目眩により78回。
まだ種目あるのに体調悪くなってくるという運の悪さ。
まああと3つだ。こなすだけこなそう。全部そこそこの記録出せてるからドベではない、、はず。
ボール投げでお茶子ちゃんが無限という記録を叩き出した。まあオレも立ち幅跳びと同じ要領でやったから無限叩き出した。自分やモノへの重力を止めるコツが掴めた気がするし、お茶子ちゃんにもすごい!!って褒められた。嬉しい。
「緑谷くんはこのままだとマズいぞ…?」
「ったりめーだ、無個性のザコだぞ!」
ザコて…自尊心の塊だなぁ、爆豪くん。かっちゃん、デクって呼び合ってたし知り合い?なのかな。
…ん?『無個性』?
「無個性!?彼が入試時に何を成したのか知らんのか!?」
おそらく同じ箇所が引っかかった飯田くんが爆豪くんに食ってかかる。
半年くらい前、から個性鍛え始めたって言ってたもんな…使えるようになったのがごく最近だったのかも。
まあ、それはおいといて。
「2人とも、出久くん集中できないからシーッ」
投げようとした瞬間、個性を使おうとしたのが見えた。でも止まった。止まったというより、あれは…"消された"。
「"消した"…??」
え、嘘でしょ、『個性を消す』個性なんて、俺の知ってる限り1人しか知らない。
46m、という声が響く。
「な…今確かに使おうって…」
出久くんが自分の手を見ながら呟いている。
バッと"彼"を見る。あぁ、やっぱり。
「"個性"を消した」
「つくづくあの入試は…合理性に欠くよ。お前のような奴も入学出来てしまう」
あのゴーグル、立ち上がる髪の毛。何より抹消する個性。間違いなく『イレイザーヘッド』だ。相澤さんだったなんて…
「抹消ヒーロー イレイザー・ヘッド!!!」
誰かの声が響く。
「イレイザー?俺…知らない」
これまた誰かのとんでもない声が聞こえた。イレイザーヘッドを知らない???セーラームーンを知らないのと同じくらい、人生における楽しみを逃していると思う。
「名前だけは見たことある、アングラ系ヒーローだよ!」
ざわざわしてる中、相澤さんに飛び込んでいかなかったオレをどうか褒めて欲しい。本当に偉いと思う。
好きで好きで、ずっと好きで尊敬してきて、敬愛してるヒーローが目の前にいるんだ。そんなヒーローに面倒を見てもらっていたんだ。
「"個性"は戻した…ボール投げは2回だ。とっとと済ませな」
ふよふよと漂っていた髪の毛が元に戻る。
か、、、
「かっこよすぎ……っ!!!!!!」
「くましろくん泣いとる…!!?」
お茶子ちゃんがハンカチくれた。なんて優しい、飯田くんは二度見してきただけだった。
「ありがとう、この世で1番好きなヒーローだから…」
涙を拭いつつヒーローであることも隠されてたし、なんなら1番好きなヒーローであることも隠してた理由を問いただそうと相澤さんへと近寄った瞬間、何も発してないのに捕縛器でぐるぐる巻きにされる。
「テメェはちょっと待っとけ」
ちょっと酷くない?待ったわ、充分待った。褒めてほしいくらいだ。目の前で悠長に目薬さされてるんですけど。分かった飛び込まないからこれ外して!
その後ボール投げで指先だけに個性を発動した出久くん。相澤さんに言われた通り、動けるように一応制御という形だ。
確かに使い始めたて、で増量系の個性だからって使うたび入試のように怪我をしていたら体が使い物にならなくなってしまうし…。制御とコントロールは一生の課題だと思う。
やっぱり、相澤さんは優しい。そして出久くんの対応力と考える力は優れてるし、本番に強いというか、本能で最適解に動けるというか…縛られながらもそう思った。
「先生……!まだ……動けます」
動けるは動けるけど、骨折に変わりはない。相変わらず痛そうだ。
「こいつ……!!」
嬉しそうに微笑む相澤さん。
空気を壊したくないので黙ってるけど、早く外してほしいです。