Alien
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「くましろ。…おい、起きろ」
ゆさゆさと揺さぶられる感覚で意識が浮上する。
あ〜…この不機嫌な感じは…何回か起こしに来てくれてるな…起きないと。
しょぼしょぼする目を開く。入試に向けて、個性を強化訓練するにつれてデメリットやリスクが判明したわけだけど、明確に「個性が作用しているせい」って断定できない困り事が増えた。
朝が格段に起きられなくなった。早く寝ても目覚ましをいくらつけても、電源がオフって感じ。普通の人がスリープ状態なら、完全に電源をオフしてる感じで起動に時間がかかるようになった。
そりゃ最初こそ『気合いで起きろ』って相澤さんにも怒られまくってたけど、ありとあらゆる方法を試してもどうしても起きられなくて、泣きながら相談したら病院に連れていかれた。(あとから聞いたら、普通科の生徒に似たような悩みを抱えてる先生がいてもしや?と思ったそう)
自律神経が終わってるらしく、起立性調節障害と診断された。前までちゃんと寝たらスッと起きれてたのに…起きれていた頃を知っている相澤さんも目を丸くして驚いていた。
ダメージ2倍を含め、神経作用がおかしくなってる「かもしれない」でこの話は一旦解決した。
「土曜の朝くらい、寝かせてくださいよ…ケチ…ケチんぼ…ハゲ…」
「誰がハゲだ」
頭を鷲掴みされる。それもかなりの力を込めて。
「いっ!だぁぁああ!!!!???」
孫悟空の頭のアレじゃないんだから!!!!痛くて頭をさする。
「ぐすっ、DVだ…!訴えてやる」
教育委員会に訴えてやる!と枕を投げる。もちろん普通にキャッチされた。
「さっさと起きないお前が悪い。」
至極当然のように言われる。まあ、何回も起こしてくれてた上で、だろうけど…痛みで起こさなくてもいいじゃないか。
「ズキズキする…もっと優しく起こしてくださいよ」
ほら、実践ですよと寝転がる。
「ハァ…面倒くせぇ」
聞こえてますからね、アンタ。とことん起きないでいてやる。相澤さんに対して背を向けてゴロン、と横になる。
「…くましろ、起きろ」
絶対にわざと優しく名前を呼ばれて、びっくりして起き上がる。
「…起きます」
「チョロいな」
うるさいよ!くそ!悲しい!!!なんか分からないけど負けた!!!
ほくそ笑んでる相澤さんをジ、と睨んでおく。
その後、寝ぼけた頭でメシ作ってたら包丁で指切ってすごい悲鳴でた。その時の相澤さんの駆けつけの早さにはとにかくビビった。
痛めつけてくるわりに優しいよね、やっぱり。
「…ったく、」
「ダメージ2倍…なんて不便なんだ…」
なんで相手にじゃないんだ!!!と叫ぶ。
「嘆いたって仕方ねェだろう。これ以上ケガをしないように気を付けろ。」
「はあい…」
ご飯を無事に作り上げて食べて片付けて、ひと段落したので聞く。
「こんな早朝に起こして、何かあるんスか?」
「全然早朝じゃねぇ9時だぞ。お前…そんなんで通えるのか」
「始まればイケます」
…たぶん。いや、気合いで通う。せっかく手にしたチャンスは無駄にしたくない。
「お前の服とまぁその他諸々…いろいろ買いに行くぞ」
「えっ、いいんですか?!」
ていうかもうお互いに暗黙の了解みたいになってたけど、やっぱりオレここに住むんだね。母さんからも特に何もなかったし、継続なのかなって思ってたけど…
「ありがとうございます!引き続き、世話になります。
あ、そうだ…相澤さん帰ってきたら言いたいことあったんだった…!」
ピシッと45度のお辞儀をして向き合うと相澤さんも向き合ってくれる、優しいなあ…。
「入試会場で説明受けてるときに配られた雄英のパンフレット見て、説明会場に行くまでの間歩いてようやく気付いたんです。
雄英ってこんなデカいんだ、とか他の学科もこんなに人がいるんだ…とか、そんでなりたいなりない言う割になんの調べ物とかもせずに言うだけだったなってちょっと……反省?したんです。
あの日相澤さんがオレに声をかけて拾ってくれてなかったらそれすら気づかず、タタリ神みたいになっちゃうところでした。だから…ありがとうございます!」
「ふ、少しこの一年で少し成長したんじゃねえか?その気付きは大事だ。敵の中にも、それらしい恨み言や社会への怒りを抱えてる中で特に何しない奴はゴロゴロいる…。
俺が拾ってやったからには血反吐吐いても甘やさねえから、ちゃんとついてこいよ…今日は色々買いに行くから、サイズ測っておけ」
そんな家具も家電も買う勢いなの??ワシャワシャと犬のように撫でられたあと、メジャーを渡されるのでとりあえず床の端へ向かうと後ろからシャツを引っ張られる。
「誰が部屋のサイズ測れって言ったんだ、お前のサイズだよバカ」
いまので分かる人の方が少ないでしょうが!とプンスコしてるとクッキーを口に詰められる。うまいけども。
「肩まわりと身丈と腰回りとか測っとけ。大体でいい、それより小さいのは買わねえ」
「はあい」
そう言って大体のサイズを測り出かける。
「……いや、相澤さん、さすがに買いすぎでは」
「足りないよりいいだろ」
ものすごい勢いで服屋を巡り、ドサドサと服積んでく相澤消太。いや2人の分じゃないからね?俺の分だけだからね?そんな着ないから!
そんな毎日服を失ってくような計算量の服着ないから!!!
笑ってしまうのは、俺が服なんでもいいって言ったから相澤さんセレクトになるわけで…。全部相澤さんの服みたいな感じ。ペアルック買いにきてんのかって思われてそう。
「…相澤さんて分かりやすいですね」
「なにがだ?」
「服の好みとか、性格とか…」
合理性を求めるから機能的なものが好きなところとか。シンプルだけど綺麗なデザインが好きとか。ゴテゴテして無駄なものよりよほどいいだろう、と言われたのでそうですね。と返しておく。
俺の部屋見たらひっくり返るんじゃないだろうか。
机やらは特に必要ないので断っておいた。先ほど買ってもらった大量の服たちをしまうために、組み立て式のタンスとクローゼットを買ってもらった。
で、今はベッドのコーナー。座れ、と犬みたいにマットレスの上に座らせ続けている。
「別に寝袋でもいいですよ」
「あのな、くましろがいつも俺から剥ぎ取って気持ちよく寝てるアレは俺のなんだよ」
割と大きい寝袋のため、もう2人で入るようになった。壮絶な奪い合いが勃発したので…猫の気持ちがよくわかる、ちょっと狭くてすんごい落ち着くんだよねえ。
「じゃああの寝袋継続でいいじゃないですか、最近は剥ぎ取ってないですし!」
「くましろ、お前自分のこと赤ちゃんと勘違いしてるのか?図体を考えろ、図体を。しかも成長期だからまだ大きくなるくせに…」
「さすがに赤ちゃんではないですけど…!ていうか相澤さんの方が図体はでかいじゃないですか!!」
ギャーギャー言いながらもツインサイズのふかふかマットレスとベッドフレーム購入された。俺の安眠寝袋が…
(ぐ、、お、重い゛…)
(だから俺も持ってやるって言ってるだろうが)
(いや、いいんです!!!買ってもらったんで!!)
(どういう意地なんだよ)
(ぎゃふ!?)
(なに転んでんだアホ、品物が汚れる)
(冷たい!!)
(だから俺にも寄越せ、危なっかしい)