Alien
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✳相澤消太
「そんなに、信用ないですか…」
両手を握りしめて俯くくましろにため息が出る。ネガティブ野郎がよ…
「違ぇよ……くましろ、俺の目見ろ」
名前を呼んで目を合わせる。
「仮に……死柄木にもし拉致られたとして俺を殺すって条件を断れるか?外部からの情報を一切遮断された空間で、死柄木の言葉だけが頼りの空間で、上等だやってみろって蹴れるか?」
「…できますもん」
「本当に嘘が下手だなお前は…ほら歩け」
一瞬息を飲むように押し黙るくましろ。こういうところに幼い甘さが出る。そういうところにつけこんでくるんだ相手は。それを理解していない。
「お前が俺のことを心底慕っているのは死柄木にも明らかに漏れている。USJでの襲撃の慌てようでアホでも分かる。
もし…手中にお前を入れたら奴は完全にくましろの中に自分を入れたがる。中立じゃあ満足しなくなって、一番にしろって言い出すだろうな……お前が欲しいから、誘拐するメンツに入れたんだろ。
個性…は詳細にはバレてないだろう。爆豪とは明らかに違う目的だ。自分のモノにしたくて狙ってんだ。
くましろに行く気がないのも、靡く気がないのも分かってる。ただその機会すら与えたくねえんだよ」
分からせるためにくどくても何度も言う。1回で分かんねえなら100回言ってやる。
「爆豪の個性は強力だ、連合の強化のために丸め込みたいんだろ…。ただくましろ、お前は違う。個性の前から目をつけられてるんだ。」
そうだろ、というと頷きが返ってくる。
「俺が敵にやられてボロボロになってお前の目の前に現れても、目の前で撃たれてもボコボコにされてもそっち側には行かねえ、と頑なに拒否できるか?…USJでは出来なかっただろ。
拉致られる可能性が1%でもあるのに、そんな危険に晒すわけねえだろ。…俺がここまでダメだっていう理由、少しは分かったか?心配してんだよ、愛弟子を」
「分かりました…」
よし。ぐしゃぐしゃと頭を撫でて泣き止むように言う。
「相澤さん、ほんとにクビにならない?」
「ならん。辞める気もない」
「担任、外されない?」
「肩で息するな、きちんと呼吸しろ。…あぁ、抗うよ」
入学するときもしてからも、一人の生徒を教員がえこ贔屓してると学外に漏れること、俺が雄英を追われるのではないかと不安が強いくましろ。自分のせいで、と思っているのだろう。
「分かりました……避難誘導と、来た人が怪我してたら治癒してもいいですか?」
「…ガス吸ってそうなやつはやめとけ、毒の可能性がある。浅めの外傷のみ、だ。分かったな、緑谷の腕レベルはもってのほか」
強調して言う。覚悟が決まったようだ。
「できることをやれ、大事なことだ」
洸太くん頼むぞ、と預ける。くましろの目を見るがしっかりしてる。
✳神代 くましろ
洸太くんとともに懸命消火と敵連合から逃れてきた生徒の治療や避難誘導を徹底的にやる。
でも結局、ボロボロになった出久くんと、意気消沈した轟くんや常闇くんの中に爆豪くんはいなかった。
生徒41名の内、敵のガスによって意識不明の重体が15名、重・軽傷者12名、無傷で済んだのは13名、そして…行方不明が1名。
プロヒーローは6名のうち1名が頭を強く打たれ重体、1名が大量の血痕を残し行方不明となっていた。
敵側は3名が現行犯逮捕。
マンダレイさんと虎さんがぶっ飛ばしたのと、ガスを巻いていた子供を倒したのはB組の拳藤さんと鉄哲くん。
ワープ、つまり黒霧がやはり移動手段だったらしい。
起きたら相澤さんと病室にいて心底驚いた。
あとから聞いたら筋肉すごかった敵のときに、出久くんの腕を治癒したのがうまくできてなかったらしくて骨がバキバキだったらしい。
あとは外傷だけかな?って判断して治癒した子がガスをかなり吸ってて倒れたらしく、念の為の検査入院。
今まで出久くんとか自分の大きな怪我をピンポイントで治癒してたから気付かなかったけど、複数箇所に自分も知らない怪我がある場合、それも合わせて治癒しちゃうんだな…。
「…あいざわさん、」
「!起きたか、体調は?」
「頭が痛いです……クマすご…寝てないんですか?」
「寝れるわけねえだろ…お前までぶっ倒れやがって」
相澤さんの頭を撫でると、撫でてた右手を掴まれる。
「相澤さん、一緒に寝ましょ?腕もこの通りだし…心配です」
「病人と一緒に寝れるかよ…」
病人じゃない、と返す。グイグイと相澤さんの服を引っ張ると、折れてくれた相澤さんが布団に入ってくる。
「…週明け、マスコミへの会見を開く」
「…そうですか…爆豪くんのママ、大丈夫でした?豪快な人だから…」
ビンタとかされてませんか?って聞いたらどんな失礼なイメージ持ってんだって怒られた。だって前すごい早さで背中叩かれたから…。
「なんつーか…ショック受けてはいたが、まあアイツなら大丈夫だろって感じであっけらかんとしてたよ。信頼してるからこそのあっけらかんだと思うが…」
そうなんですね、と返す。
「根津さんは?」
「根津さんまで疑ってんのか?」
相澤さんが小さく笑ってる。相澤さんの方に寝返りを打つ。左手に点滴されてるから大丈夫なはず。
「違います、聞いて安心したいだけ」
「くましろがクビにされるかも、A組の担任外されるかもって大泣きしてたって言ったら大笑いしてたよ」
あの人はもうすぐ笑うんだから…!相澤さんも笑ってるので、左手で軽く頬を抓ろうとしたとき、違和感を覚える。
「…?…なんか動かしにくい…」
「神経の治癒雑に行った結果だ、軽い後遺症。重りあるみてえに動かしにくいだろ」
頷く。リハビリでよくはなるそうだけど……じゃあ、出久くんは?あのあとも腕がボロボロだった…。
「…くましろ」
名前を呼ばれ見上げる。
「自分を犠牲にし過ぎだ、褒められたことじゃないし…少しは俺の気持ちも考えろ」
悲しそうに眉が下がっている相澤さん。
「……どうすればいいか、分からないです」
「…っつーのは?」
「多少の自己犠牲がないと、どうにもならない場面が多くて…相澤さんが言うことはわかります、体は1つしかないから毎回こうなってなら持たないってのも…。
ただ、振り返っても…あそこで出久くんの腕を治さなかったら、もう一回…100超えの力を出してあの敵を止められてたかって…
どうしたら、よかったんでしょう…」
「…俺自身は、あの場面での行動は正しかったと思う。極論いえば心臓止めちまえばいいが、それはお前が嫌だろ。
…が、その後だ。俺は浅めの外傷のみっつったのにお前骨折だの、深い切り傷だのあらかた治癒したそうだな?」
耳を引っ張られる。
「痛い痛い取れる取れる!!!!」
「なぜ言いつけを守らねえんだ、馬鹿」
すみません、と謝る。
「救うべき対象に自分入ってるか?」
「……いや…考えたことも痛い、痛い痛い抓らないでください、」
「今すぐ入れろ、お前は淘汰されていい人間じゃない。多くを救うためには自分を優先することも覚えろ…いいな」
頷く。手のかかる弟子だよ、と言われるのですいません、と返す。
「相澤さん少し寝てください。おねがい」
「あとで塚内さんたちが来る予定だ、その後寝る」
「だめ、来るまでにも寝てください。オレ起きてるから来たら起こします」
「……クマくらいで大げさな…」
睡眠不足は最悪死にますよ、と脅す。分かった分かった、と相澤さんが返事をするので布団をかける。親指と人差指以外の3本の指が固まってしまったように動かしにくくて、少しの動作もやりにくい。リハビリもしないとな…。
相澤さんの右手を握る。あったかい。
10分もしないうちに相澤さんは眠ったようで、寝息が上から聞こえてくる。
何時頃来るかだけでも聞けばよかったな…。
(くましろくん、起きてるか…アラ、ふふ)
(どうしました…?…あぁ、一度起きたんですね…寝ちゃってるけど)
(おや、相澤くんまで一緒に寝ているとは…)
(ここ数日保護者への対応で忙しそうでしたもんね…)
(相澤くんが悪いわけじゃないんだけどね…爆豪少年の件もあるし…仕方ないか…)
(……ん…あ、塚内さん…)
(ごめんね、起こしてしまったかな?)
(いえ…相澤さん、相澤さん…塚内さんたち来てくださいましたよ…)
(点滴終わってるので外しますねえ、ちょっと痛みますよ〜)
(い゛っ!??!……あ〜慣れない…)