Alien
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「覚えてるか?さっきまでのは遊びだ!俺言ってたよな!?遊ぼうって!!な!?言ってたんだよ!
やめるよ!遊びは終いだ!おまえ強いもん!こっからは…」
ごそごそとポケットを漁って…なにあれ、目?が落ちて行く。
「本気の義眼だ」
ぞわっとする。この破壊の跡からして遊びでもパワーは相当、本気でこられちゃたまったもんじゃない…けど逆手にとれば…。
致命傷になったとしても、狙われてるオレは絶対的に殺される可能性は低い。弔が一応この人たちのリーダー格であることは見てわかる。好き勝手暴れたいこいつも、そのステージを取り上げられるようなことはしないはず。
だったら、
「つかまって!」
ゴッ!!!!
衝撃とともにドドドド、と岩が崩れていく。よかった妖精さんは7歩離れていたから無事。
「出久くん…右腕あればいける?それとも両腕?」
「えっ、」
「できるだけ止めてできるだけ…君の腕を治す。妖精さんだけでも施設に行かせるべきだ。
彼の両親、水の個性でしょ、今とっても必要…こんな山間に消防と救急いつくるか分からないしね。ていうか結局ここ何県かもわかんないし」
「でも、」
「出久くん、迷う時間ないよ。…オレなら大丈夫だから」
「!!…洸太くん…下がって…さっきと同じくらい…ぶつかったら全力で施設へ走るんだ」
洸太くんっていうのか。
「ぶつかったらって…おまえまさか!ムリだ、逃げよう、おまえの攻撃効かなかったじゃん!!それに……両腕、折れて…」
「「大丈夫!」」
出久くんと大丈夫が重なる。出久くんの右腕を倍速で治癒したので、肩から腕がだらしなく下がる。
うっわ…バキバキに折れたらこんなんなるんだな…痛覚がぶっ飛びすぎて、痛みを止めなくても感じない。
「くっ…力入らねえ…。」
面影がなく筋繊維との戦いみたいになってる出久くん。
ちゃんと確実に止めないと、無駄になる。タイミング、時間、見極めて…。
「こっから後ろには絶対行かせない!!からっ…走れ!!」
「「走れ!!!」」
いつ、個性を出すか。ただ出せばいいってもんじゃない、相手の動きを推測して動けって相澤さんに耳にタコができるほど言われた。
「んのガキがてめェエ、最っ高じゃねえか!!!」
大きく振りかぶろうとしてる…片目の瞳孔も開いてて興奮は最高潮の今、3秒でいい。
出久くんに衝撃がいく前に止める。
「ゔゔ…っるせえええええええ!!!!」
上から押しつぶそうとする敵と、下から踏ん張る出久くん。一回じゃさすがに無理か…脳無と同じくらい体が分厚い。さらに潰そうと敵が出久くんに体重をかける。
バシャッ!
「水!?」
「やっ、やめろォォォ!!」
洸太くん、おれも結構びっしょびしょ。かなしい。
気を取られた敵がほんの少し動きが鈍る。
「出久くんごめん!出久くんのこと、壊れない程度に"止めない"から!!!頼む!」
「ッ、ころっ、させてえええたまるかあぁあああ!!!!」
100%を当たり前にぶっ放す出久に止めずにプラスで80%くらい足した。すごい音を立てて岩にめり込む敵。さすがに、気絶くらいはしたでしょ…。
倒れそうになる出久くんのことを支える。
「…出久くん、終わってすぐで申し訳ないけど…森に火をつけたのと目くらましのガス、さっき会った2人組と誘拐だけでも考えて…他にも最低でも5、6人はいると思う。
片腕しか治せないけど、耐えてね」
「そんな…くましろくん…さっきも治してくれたのに…失神しちゃうよっ!」
「ある程度ダメージ受けたらむしろ平気になるってわかったから。それに、さっきのやつもパワー系だから、出久くんの個性は貴重なんだよね。」
何より今はアドレナリンみたいなので痛みを感じない。
「妖精、じゃなくて…洸太くんは?ケガしてない?」
「…してないっ!」
話を聞くとこの子の両親を殺したのはさっきの奴だったらしい。
「……今気絶してるうちに5発くらい蹴っとく?」
手伝うよ?と聞くと出久くんに止められる。
「そんな…追い剥ぎみたいなことしちゃダメだよ…!」
出久くんに怒られた。右腕がジンジンする。出久くんも動けるようになってるし、オレも右手は動く。肩を回して指を動かして挙動を確認する。
「そんな、ボロボロで…何をしなきゃいけねんだよ…!」
動こうとするおれらを止める洸太くん。
「先生と…プロヒーローに現状を報告して…他のクラスメートの皆を助けないと…。騒ぎに乗じて暴れに来たのは、こいつは確かだけど他はそうじゃない…。
見て?あそこ、ガスがのぼってるでしょ?なんでだと思う?
…多分近づいたら気絶とかする毒ありのガスだと思う。目くらましと不用意に近づけさせない為に…きっとあの中心や付近がこいつら出て来た場所なんだと思う。
装備もないから今は近寄れないけど、動ける人をかき集めてあそこに行ってぶちのめさなきゃいけないし、さっき言ったけど森も消火しなきゃね。
あとは、友達の誘拐も止めないと。」
しゃがんで洸太くんに説明する。
「君の…その個性が必要だ。僕らをたすけて。さっきみたいに」
オレはちょっと寒かったけどね。
「妖せ…洸太くんおぶさるからのって?出久くん、足大丈夫そうだから治癒してないけど平気?」
「うん、このために残しといた!」
「相澤先生に会ったらめちゃくちゃ怒られそうだな…バレない方法ないかな…」
「手を見たらすぐバレると思うよ、くましろくん…。」
だよね…。
森の中をしばらく走っていると、相澤さんが見える。なんてこった。なんてこった!想像より速い!
「先生!」
「緑…」
いやもう絶句の顔。すごい顔してる。
「良かった!大変なんです…!伝えなきゃいけないことがたくさんあるんですけど、」
「おい」
出久くん聞こえてないのか話すのをやめない。
「とりあえず僕、マンダレイに伝えなきゃいけないことがあって…洸太くんをお願いします。水の"個性"です、絶対に守ってください!」
「おいって…」
すごい、ここまで相澤さんをシカトできるメンタル…!尊敬しよう。
「お願いします!」
「待て緑谷とバカ!!!」
「まってぐるじい、しぬ!!!!」
なんでオレだけよりによって首に捕縛武器なの、苦しい死ぬ。
「そのケガ…またやりやがったな…」
「あ…いやっ、でも…「だから、彼女にこう伝えろ」…?」
「それと…てめえは残れ。尋問だ」
そんな…!!!ギチギチと閉まる捕縛武器のせいで動けない。相澤さんの『伝言』を預かった出久くんはマンダレイの元へ走る。
「……なんですか?今のっ」
「おい、」
「なんでそんな、責任は自分だけ負えばいいみたいな結論出しちゃうんですか!?オレのこと途中で投げ出さないって言ってくれたじゃないですか!嘘つき!」
「まずは人の話を聞けっつってんだ、単細胞」
「死ぬ死ぬ死ぬから!!」
普通に布を首で交差されてシンプルに締められて、喋るのを強制的に止めるしかない。
洸太くん怯えてるからね!このおっさん、平気で人の首を締めるんだ…ヤバ…って顔してるからね!
「…見たところ、勝手に倍速で緑谷の腕何回か治癒しただろ」
目をそらして黙ってると、洸太くんのもとにしゃがんだ相澤さん。
「……嘘偽りなく答えてくれ、治す、とか言ってたか?」
子供になんちゅう顔で凄んでんだよ…!震えるだろ…!嘘なんかつける雰囲気じゃないことを瞬時に悟ったのか、こちらを申し訳なさそうに見て頷いた洸太くん。いいよ…仕方ないあの顔怖いもんね…分かる分かる。
「どういうことだ、コラ」
また般若の顔してる相澤さん。右手が拳になってたので両手で包んで下に押しやる。
「……正直、死ぬかもって思ったんです。出久くんの100%を受けてもケロッとしてて、脳無みたいな大きい図体なのに早い、再生能力もある…けど脳無じゃないから自我がある。
パワーをぶっ放して暴れたいって欲求だけで動いてるので、もしかしたら改人の類かもって思って…。
パッと思いつく限り対応できるパワー系の個性を持ってるのは出久くんだけです。だから、あいつは必ず落とさないと…下に降りてきたらもっと被害が出るかもって思って…この子もいたし、」
だから、出久くんには酷だけど2回治しました。と白状する。
「…だったらテメェの手はどうなってもいいのか?」
「痛い痛い、まだ治ってないから!!!」
すごい音なってるから!!また折れる!!
「……何が嘘つきだクソガキが、投げ出す訳ねえだろ…。緑谷のバカ力みたいなのと、頭が回る敵が何人いるのかわからねえし目的も分からねえのに、法に従って応戦するなの一言で何人死ぬと思う。」
「分かってますよ!だから聞く前にオレも出久くんも勝手に応戦したんじゃないですか!でも、それでも…世間は許さないでしょ……面構さんにそう言われたし…」
「そりゃそうだ、なんのための法律って話になる。…根津さんは世間体を気にして辞めろっていう人じゃねえよ。せいぜいマスコミにぐちぐち言われて終わりだ。」
「…ほんとですか?居なくならないですか?」
洸太くん、相澤さんに抱っこされてる。羨ましいんだけど。
「ああ。安心しろ、んで飯田から聞いたぞ。狙いはお前だってな」
「?…いや、さっきの大男はなんかできたらでいいよ感ある感じでしたよ、出久くんによると爆豪くんの誘拐が目的みたいです。
あの………爆豪くん、探しに行っても「ダメに決まってるだろ、拐われに行く気か?」…でも声、…聞こえなくて…いつもあんなにうるさいのに…」
「相手が何人いるか、どんな個性か分からない。けど爆豪とお前の個性はある程度分かる、お前の弱点がオレなのも向こうは分かっている。そんな中わざわざお前が飛び込むのは馬鹿以外の何だ?」
(じゃあ、待ってるだけしかできないんですか?)
(…お前な……少し冷静になれ)
(……お節介はヒーローの本質ってオールマイト言ってましたもん…)
(それと今は繋がらない)
(泣いてる…)
(泣かせておいていい…くましろ、歩くぞ)
(……)
(お前が力不足だからじゃない、必要以上に落ち込むな。現に1人救ったろ)
(…そうですけど…)
(あと、俺が絶対にお前を敵連合に引き渡したくない)