Alien
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うーん…なんて言えば正解だったのかなぁ、と悩む。もちろん妖精さんのこと。
影響は与えられても、そうなるように誘導するのも違う気がして…。たとえば今まで悪さして捕まった敵たちに、ヒーローがどんだけ素晴らしいか説いたところで何も変わらないだろう。その人自体を変えようなんて、烏滸がましいし無理な話だ。
じゃ、なんで相澤さんはオレを拾って育ててくれたんだろう…?変わってほしいから…?
それともオレが変わりたかったから…?ヒーローになれるって言われたから?
「…おい、くましろっ!」
ポン、と肩を叩かれびっくりして跳ねあがる。
「パンツ一枚でボーっとしてどうした…?」
轟くんに怪訝な目で見られてしまった。考え事してた、と答えてお風呂はいる。
山の中で真っ暗だからか、めっちゃ星きれい。
露天風呂で三角座りしてると出久くんが隣に座ってくる。
「難しい顔してるね、くましろくん」
「出久くん…うん…」
お見通しだね、と言うとくましろくん分かりやすいからね、と言われた。相澤さんにも言われたな…。
「…ワガママだよね、変わるか変わらないかって相手次第なのに望んじゃうの。」
「…確かにこっちは…言葉をかけることしかできないもんね。望んじゃうのって仕方ないんじゃないかな、僕も君も…かなりお節介じゃないか」
「確かに…お人好しのお節介だ…」
二人で笑い合う。
「オレたち、入試前にゲロ吐いてたのが初対面じゃん?」
「そう言われると感動が薄れるんだけど…」
「あのとき、オレの個性についてヒーローに向いてる万能型の個性だ!って褒めてくれたの、出久くんが初めてだったんだよ。
あのあと、より個性の制御訓練頑張ろうって思えたのは出久くんのおかげなんだ。」
だから変わろうと思ったきっかけは出久くんなんだよ、と伝える。
「え!うれしいな…」
あ、照れてる。
「直接変えることなんてできないけど、気にはなっちゃうよね…モヤる…
まあ悩んだところで、なんだけどね。誠実に確かに生きて生き様見せつけてくしかないのかもね」
そう言うと、出久くんが目をキラキラさせる。
「おお…生き様…!」
「出久くんはオールマイトの、オレはイレイザーヘッドの生き様を見てここにいるわけでしょ?
その立ち位置に、自分がなれたら嬉しいよね…」
ヤバ、のぼせてきた。そろそろあがろうか、と声をかけて出久くんと立ち上がる。
昨日と同じようにお風呂から上がって、ドライヤーして歯磨きして部屋に戻る。朝畳んだ布団を敷き直すわけだから、昨日と同じ3人のまま寝ることに。
「爆豪くん、使わないならジャージの上貸して〜」
「今日も寒いのかよ…おら」
「いつだって寒いよここは…」
また顔にべしと投げつけられるのでお礼を言って着る。いい匂い。
早めに布団に入って轟くんとくっついてゲーム画面を見る。
「爆豪くんもおいでよ、一緒にやろ?」
「やらねーわボケ」
「はは〜ん?人のスコア雑魚とか言っといて1400も越せない感じ〜?」
そうわざと煽るとゆっくり振り返ってこちらを睨みつけてくる爆豪くん。
「まあ確かに相澤先生とゼンマイの1万は桁外れだけど、やっぱここ近辺ではオレが一番かな〜?」
「待ってろ今超す」
轟くん、あなたまだスタートしたばかりで28じゃないの。
「言ってろクソが…バカくましろケータイ貸せや!」
「あ、オレのケータイでやる感じね…はいどぞ」
オレの左脇のスペースに入ってきて寝転んでゲームし始める爆豪くん。
「なに、なんのゲームしてんの!?」
上鳴くんがカメラ向けてきたのでピースするとムービーだよ、と言われた。ムービーか。適当にウインクしておく。
「クロッシーロードっていう…てってってって画面タップして進んでく………なんていうジャンルか分からないゲーム!のディズニーコラボのやつ」
「すげー説明雑なのな…轟も同じやつやってんの?」
「精一杯の解説です。…うんそう、オレが勧めたらハマったんだって
お気に入りのキャラは、バズ・ライトイヤー!…ていうか上鳴くん、このムービーどうすんの?」
「あとでオレのアカウントに載せる!なー爆豪、轟、いい?」
「勝手にしろ、ただ合宿終わってからにしとけ」
「構わない」
「すっごい集中してるからそっけないね〜」
左右を見る。ゲームやる顔じゃなくない?そんなテスト中みたいな顔なことある??ムービーのために起き上がってたので布団の中に戻る。上半身が寒い。
「もう寝んの?」
まだムービーを回してる上鳴くんに首を横に振る。
「寒いんだよねえ、轟くん、爆豪くん、もうちょっと内に寄ってよ」
轟くんすぐ寄ってきてくれた。爆豪くんは集中してるみたいでシカト。服引っ張ったらひっくい声でヤメロ…て言われたけど、途中で近寄ってくれた。
「ねえ爆豪くん、もしかしてだけど寒い?」
「あ?寒くねーわ」
そうなんだ、近寄って来てくれたからてっきりちょっと寒いのかと…。
あったかくて眠くなってくる。
「今日消灯時間何時だっけ…?」
「10時!あと20分くらい」
そっか〜と返す。目がしょぼしょぼしてきたから布団肩まで被る。
「くましろ、寝んのか?」
轟くんがそう聞いてくるので頷くと、ゲームやめて轟くんも布団に入り直してる。
「やんないの…?」
「眠くなってきたから俺も寝る、爆豪は?」
「あ…?あと15分か…おい、アラームかけたのか」
「かけまひた…」
抓らないで…と爆豪くんの右手を軽く叩く。
「あ、くっついて寝る感じなのね…」
上鳴くんのツッコミに3人とも上を見たのが面白かったのか、めっちゃ笑ってた。
「あとで写真ちょうだいね」
送る送る、と瀬呂くんにも言われた。おやすみ〜と皆に告げ目をつむる。
「っぶ!?」
いった…、何!?見ると寝息立ててる爆豪くんの右腕が思い切り顔面に降ってきたようだ。爆豪くんの腕ムキムキだからすごい重さと衝撃だった…鼻がジンジンする。
時計を見ると11時半。補習組の布団だけぺったんこで、あとはあっちこっちに人や布団や枕が飛び交ってる。
意外とみんな寝相悪いな…いい人いなくない…?ほんとに爆豪くんいいほうだったんだな…。
ちょっとだけ顔だけ見て、寝よ。
「補習やってる部屋どこだっけ…」
ウロウロしすぎて頭冴えてきてるやばい。余計眠れないあ、あった。ここだ。光が漏れてる。
ドア開けたら間違いなく教科書投げつけられて「こんな時間に何してやがる」とか怒られるからドアにもたれかかかって座る。
「ここで赤血球が血液をめぐり…」
めっちゃ相澤さんの声が聞こえて落ち着く。一応蚊に刺されないように虫除けスプレー塗ってきたし、ここで寝ても刺されなそう。
相澤さんの授業とかいいなぁ、羨ましい。わざと補習になるのも手だったな。(相当怒られそうだけど)
確か、2時までだっけ。
その後も打ち合わせとかあるだろうし、この合宿で1番寝てないんじゃないかな。大丈夫なんだろうか。ご飯の時も別々だし、ゼリーで済ませるという怠けを行なっていないだろうか、監視役もいないしほとほと心配。人には食えとかいうくせにさ。
✳相澤消太
チラ、と時計を見る。
11時半。ドアの前に気配を感じる。大方くましろだろう。何しにきたんだあいつ。
入ってくるのかと思いきや、入ってくる様子は一向にない。そのまま20分が経ったので、一旦自習を含めた休憩を兼ねてストップする。
「…少し静かにしてろ」
「「「「「???」」」」」
きょとん、とする補習組5人。ガラ、と少しゆっくりドアを開ける。倒れてるのかと思って焦って駆け寄れば、スースー寝息立てて爆睡してる。人の心配を返してほしい。
「はぁ…何やってんだホラ…」
「ん、…相澤さん…」
床に丸くなって寝ていたくましろを軽く揺する。眠れなくてここに来たのだろうか?だとしてもここで寝るか普通…
「眠れねえのか?」
頷くくましろ。さすがに俺の部屋に来させるわけにもいかない。
「すぐ戻るんで…だめ?」
「ダメ。戻る前に寝るだろ」
さっきみたいに。補習組が補習終わって教室出たら幽霊と間違えて叫びそうな絵面だ。
「送ってやるから、部屋で寝ろよ。」
首を振るくましろになんでだ、と聞くと「爆豪くんの腕が降ってきた」とのこと。
こいつ…普段家で俺のこと容赦無く蹴っ飛ばして腕顔面に振り落としといて…どの口が言うんだ。
「せんせー?どうかしたの?」
「バカがここで寝てたんだ。…部屋まで置いてくるから、まだ自習してろ」
はーい!と芦戸が返事する。手のかかる…。歩かせると逆に起きそうなので横抱きにする。家でもそうだがこうすると高確率で寝る。
確かにこれはすげぇな…。全員が暴れ狂っている。昨日と同じ配置で寝ているぽいので、なんとか爆豪と轟の間に差し込むように寝かせる。
「…まって」
「明日もあるから、はよ寝ろ。」
「はい…」
軽く頭を撫でてやるとすぐ眠る。扱いやすくて本当に良かったと思う。
立ち去ろうとすると、目が開いてる爆豪と目が合って思わずギョッとする。
「お前も起きてんのか…早よ寝ろ」
ついクセでくましろと同じように頭をワシャワシャと撫でてしまう。爆豪もびっくりしたのか、固まってた。
(見ろ、今日もこれだ)
(爆豪もくましろも口開けて寝てんのな)
(…兄貴やってそうって言ってたのちょっと分かるな)
(くましろくんの弟属性すごいもんね…ひとりっ子なの信じられないや)
(俺の個性にもよく懐いてるのはそういうことか…)
(またクラスLINE送っとこ)