Alien
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「え?A組補習いるの?つまり赤点とった人がいるってこと!?ええ!?おかしくない!?おかしくない!?
A組はB組よりずっと優秀なハズなのにぃ!?あれれれれぇ!?」
朝からうるさいなあいつ。めっちゃ目立つじゃん。もちろんこんなこと言ってくるのは物間くんだけだ。ジロ、と睨んでいると目を誰かの手のひらで隠される。
「顔怖いよ、くましろくん。あ、相澤先生が酔い止め飲んだのか?って」
出久くんだった。出久くんってなんでこんなに優しいんだろ??出久くんのママに子育ての秘訣聞きたい。
ばっちし飲んだよ、と答える。
物間くんは相変わらず拳藤さんに華麗に首元チョップされて気絶してた。まるで物のような扱い。
「物間くん、静かにのワンクッションもなく即物理で黙らされてるのはちょっと可哀想だなって思う…」
「百発百中で落ちてるもんね…」
出久くんもウンウン、と頷いていた。彼以外のA組メンバーがパッと見で見つからずキョロキョロしてたら、ユニコーンみたいな子とぶつかってしまった。
B組の子らしい。すごく幻想的な見た目。
「あっ、ご、ごめんね!?大丈夫?」
ツノ刺さってない?と言われた。すごい会話。
「刺さってないよ。こっちこそごめん、大丈夫?」
いいなあ、幻獣種の個性の人とのハーフかな?
「みんな、A組のバスはこっちだ、席順に並びたまえ!!」
張り切ってる飯田くんの声が聞こえた。バスの向こう側にいたのか、気付かなかった。
「おれ、A組の神代くましろ!あんまり名字好きじゃないから名前で呼んでね、じゃあまた!」
席はもちろん相澤さんの隣を陣取る。酔いやすいからって1番前で窓側。
高速道路に乗って移動とか遠足みたい…ちょっと楽しい。
「1時間後に一回止まる、その後はしばらく…」
相澤さんが振り返りながら言う。
「音楽流そうぜ!夏っぽいの!チューブだチューブ!」
「席は立つべからず!!!べからずなんだ皆!!」
「ポッキーちょうだい」
「バッカ夏といやキャロルの夏の終りだぜ!「終わるのかよ」」
「しりとりのり! りそな銀行! う!」
「ウン十万円!」
「ねぇポッキーをちょうだいよ」
あまりのワイワイガヤガヤさに相澤さんが言葉を失っている。から撮っといた。すごい顔してたんだもん。
「…何撮って笑ってんだ」
「だってすごい無の顔だったから…ふふ、ツーショット撮ります?」
「あのな…」
ハァ、とため息を付く相澤さん。
「くましろくん、まだ元気〜?お菓子いる??」
頭をトントン、と軽く叩かれ振り返る。葉隠さんだ。トッポ持ってる。
「もらっていいの?」
「うん!このあと寝ちゃうんでしょ?」
そういう生態みたいな言われ方しちゃったな…酔わないように寝るんだけど。いいなあ、オレもワイワイしたい。
「くましろちゃん、ポテチもいる?先生は〜?」
芦戸さんもポテチの袋を広げてる。すごい、カラオケルーム貸し切りみたいなことしてる。
「どっちももらう〜ありがと!」
「俺はいい。」
相澤さんにもトッポ差し出したけどいらないって言われた。そっか〜。相澤さんの肩にもたれながらトッポ食べる。
「具合悪ぃのか?」
「…うーん…酔い止め飲んだんですけどね…」
食うのやめろ、とトッポ取られる。おでこに手を当てられるけど、さすがに熱ではないと思う。
「朝、小さいおにぎりとこのトッポくらいしか食べてないのになんか……胃もたれ?の軽めのやつがある感じです…」
なんにせよ悪化する前に寝ろ、と肩を貸してくれたまま左手を握ってくれる。あったか…。
「…おい、おい」
ほっぺたをぺちぺち叩かれる感覚で起きる。
「体調は」
目を開けたらぬっと相澤さんがおれの顔みてる。またおでこに手を当ててる。
「ん…大丈夫れす、…だれもいない……」
静かだなあと思って後ろを振り返ると、誰もいなかった。皆寝たのかと思ったら違った。
「…視点合ってねえぞ、こっち見ろ」
顔を掴まれ相澤さんの方へ直される。…やばいな、なんか気持ち悪いかも…。
「気持ち悪さとかはねぇのか」
手でバツを作る。とりあえず水飲め、と渡される。
「低血圧は?」
それは大丈夫です、と答える。体の覚醒は早いけど起き抜けいっぱつ胃もたれみたいな胸焼けみたいな気持ち悪さってめちゃくちゃに不快。元気も出ない。
「……平気になったら休憩だから、一旦バス降りろ」
頷く。
5分くらいして点呼取るやり取りが聞こえてきたあたりでだいぶマシになったから降りる。
休憩って言ってた割に、サービスエリアでもない…なにここ、丘でもない…なんのスペース?ていうかめちゃくちゃ眩しい…。
「もう平気なのか?」
「収まってきました……眩しくて目が開きませんが…」
顔色見せろ、と相澤さんのチェックが入り通ったので出久くんの隣らへんに立つ。
芦戸さんや葉隠さんが体調良くなって良かったね!って慰めてくれた。
「この丘になんかあるんですか?」
「何の目的もなくでは意味が薄いからな」
「よーーーうイレイザー!!」
「ご無沙汰してます」
ペコ、と頭を下げる相澤さん。その後ろには…
「煌めく眼でロックオン!」
「キュートにキャットにスティンガー!」
「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!」」
「え、いまプリキュアって言った!???本物!??」
「「「(食いつくと思った…)」」」
「2文字しか合ってねえ、今回お世話になるプロヒーロー「プッシーキャッツ」の皆さんだ」
「君は変身させる妖精かなにか…?」
プリキュア改めプッシーキャッツの脇にいる少年に声をかける。
「くましろくん、プリキュアではないから抜け出して!」
お茶子ちゃんにそう言われる。なんだ、違うのか…。
「連名事務所を構える4名1チームのヒーロー集団!山岳救助等を得意とするベテランチームだよ!キャリアは今年でもう12年にもなる…「心は18!」へぶ」
年齢に関わることを言った瞬間に猫パンチが出久くんの顔にとんでいった。早すぎて見えなかったぞ。
「まって山岳救助…!?後ろには山…地図とコンパス!!!」
「待て戻るな」
襟を引っ張られバスに戻るのを阻止される。なんでよ!!山で遭難なんてガチで死ぬやつじゃん!!!今からサバイバルでも始まるわけ!??
「可愛い愛弟子が遭難してもいいんですね、先生のバカ!!!」
「山岳救助が得意なんだから見つけてくれるさ」
なんて不敵な笑み…。悔しいけどかっこいい。愛弟子を否定されなかったのも嬉しかった。
(怒るのかひれ伏すのかどっちなんだ)
(コンパスも取らせてくれないことへの怒りはあるけどかっこいい…)
(山岳救助…迷ったらやべえな)
(同じような木が延々生えてる視界が狭い場所で迷わないわけないじゃん、上鳴くん)
(くましろお前諦めるの早えよ!!)