Alien
Name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
るんるん。いよいよ明日から林間合宿が始まる。
あいも変わらず、お前だけ特例はない、ダメだ。の一点張りで場所のヒントすらくれない相澤さん。
「じゃあ…幕張メッセ?」
「行って何すんだ、会場ぶっ壊す気かお前」
クイズ形式にしてるけど地理に疎いから出てくるのがコンサート会場ばっかり。
「さいたまスーパーアリーナ!」
「ライブから離れろ」
「海!」
「お前泳げねえだろ」
お!近い??ということは…??!
「川!!」
「水辺からも離れろ」
そんでうるさい、と新聞紙で叩かれた。
「場所は行きゃあわかる、死んでも連れてくからな。んなことより…飯だ。食えんのか?お前。」
多分大丈夫です、と答える。
夏場相当バテやすいことは相澤さんは承知している。身を以て体験させてしまっているし…(何回ゲロったかな…)
バテるのはもうこちらの気合でもどうしようもないので、入学する前のまだこんなに仲良く無かった頃の夏は本当に空気がギスギスして大変だった。
「そうか、もう一緒に暮らして1年以上経つんですね…。去年の夏は相澤さんイライラしすぎて怖かったですもんね」
「仕方ねえだろ、分からなかったんだから」
「オレたまに夢に見るんですから。『オイ、そうやって食っては戻すの何回やるんだ、暑くてダリィからわざとやってんじゃねえだろうな?』って凄む相澤さん。」
モノマネ付きでやると、ちょっと相澤さんはバツが悪そうに頭を掻いている。
「…悪かったよ」
「いいですよ、オレも泣いて訴えたら分かってもらえるんだって理解できたので。」
サボりたいから吐き戻してるとでも思ってるんですか!?と怒鳴ったことは覚えてる。あとはもう、なんかやる気を疑われたこととかが悔しくて悔しくて、相澤さんがちょっと引くくらい泣いたことしか覚えてない。
「あのあとくらいからだよな、朝起きれなくなったの。」
たしかに。でも去年のうちにそういう自分でどうにかできにくいだめなところを相澤さんに知ってもらえてよかった。
「…なんか、数年前みたいな気持ちになっちゃうんですけど…」
多分、入学を目指すまでの日々も今までろくに使えなかった・使用許可がそもそもおりなくて物理的に使ってこなかったから、どんどんできることが増えてく日々はそれはそれで新鮮だった。
組手も最初ひどかった。転んでばっかりで、手足もお腹とかも青あざだらけだったので、相澤さんに『ご近所の方々に俺が虐待してると思われる。頼むから早く動かし方覚えろ』と切実なお願いされたっけな…。
できるようになる事が楽しくて、思い返せばあっという間に夏が来て涼しくなって冬になって、入試を迎えたけど入学してからのほうがどちらかといえば濃い思い出が敵連合のお陰で多い。
まだ入学して夏休みも迎えてないと思えないくらいには毎日が濃い。比べてしまうと入試前のほうが少しインパクトに欠けるので、数年前の記憶みたいな感じがする。
「ジジィみてぇなこと言うのな……つか、明日の持ち物整理。早よしろ」
あ!そうだった。その途中だった。
「クラゲ用のムヒか、虫用のムヒ。どちらが必要かだけでも教えてください」
「……虫」
「最悪虫出る方なんだ…」
べしょ、と床に倒れると倒れるな、と背中を足で軽く押される。
「何出たって退治してやるし、いざとなったら爆豪に頼め」
「カッコよ…!!頑張ります…それか轟くんに燃やしてもらいます…」
エグいことすんなよ、と言われたけど苦手なんだからしょうがないじゃん!!!
この家で一度だけゴ…Gが出たときは、ずっと玄関に座って相澤さんの帰りを待ってたことがある。泣きついて倒してもらった。
全部が全部蚕みたいな可愛さならいいのに。いやでも、足がびっちりしてるのちょっと苦手かも…。
荷物を詰め終え、相澤さんのチェックも通過。よし!
林間合宿楽しみだ。虫が出ることと肝試し以外は。
「あ!そうだ、相澤さんにこれを見てほしくて」
恭しく成績表を出す。
「なんと諦めていたオール5とれました!!!!」
「知ってるよ担任なんだから…はい、おめでとゔっ……痛ぇな、魚雷みたいに突っ込んでくるな」
オール5だよ!??!もう少し褒めてほしい。
「……そんな嬉しいのか?オール5」
「褒めて欲しくて頑張ったんです…」
口をすぼめて拗ねてる感じを出して言うと相澤さん目がまん丸に。100点もそうだったんだから、オール5もそうでしょうよ。
「…分かった、ほらおいで。そんな拗ねるな」
「分かっていただけました?」
「上から言うな。」
大型犬を撫でるような手つきで髪の毛をワシワシされる。髪型グシャグシャになっちゃう。
アイスをすぐに食べられるのも今日で最後か…。最中のアイス食べてたらアイスばっか食うな、て相澤さんに取られる。
「せめて半分こにしてくださいよ!!!」
「お、美味えな」
全然返してくれない相澤さん。美味えな、じゃないのよ!まだ食べ始めて4口くらいだったのに!!!一番お気に入りのアイスで取っておいたのに…。ジト、と睨むと返ってくる。
「ほんと甘いもの好きなのな」
もう充分、で返ってきたらしいオレのアイス。
「だって美味しいじゃないですか」
「依存の域だよ、ここまでくると…」
砂糖って依存させるっていうもんなあ〜、分かっているけどチョコとかアイスとか、ジュースとか飲みたくなる。
絶対それじゃないといや!無理!ってなってないからいいかなって。
「偏食だし食わず嫌い多いし…明日からの自炊材料貝類ばっか用意してやろうか?」
にや、と悪い顔する相澤さん。いたずらするときにする悪い顔だ。可愛いので頭をなでておく。
(つーかくましろ、サラッとしてるけど肝試し平気なのか?ビビリのくせに)
(参加しません!)
(…原則参加だが。特にお前は迷子になりやすいから誰かといろ)
(嫌だ!!じゃあ相澤さんと皆の帰り待ってます!!)
(未定だが俺はその時間補習だ)
(じゃあ、じゃ…補習参加します!!!!)
(ダメに決まってんだろ泣くな)
(嫌だ行きたくない無理ぃいいい)
(こればっかりはな…平気そうな蛙吹あたりと組んでささっとやってこい)
(反応がないとつまらないとか言ってたから、絶対絶対ビビらしてくる!!!)