Alien
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なんで事情聴取なのに隣に相澤さん座ってんの…?これワンツーマンでやるやつじゃないの?同席していいの??
「そっか、緑谷くんと同じ場所にいて遭遇したんだね…」
「出久くんは首でおれは右手でした。ただ、オールマイトとステインの話し始めたら、弔…様子がおかしくなって。出久くんの首締め始めたんです。
だから個性で止めたら、今度オレの首締めてきて、出久くんの顔鷲掴みして動いたら崩すからなって脅されて…
そこにお茶子ちゃんが声をかけてきてくれた感じです。」
「……麗日が言ってた意識朦朧ってなんだ」
「首をこう…抑えられて、数秒で視界がチカチカしちゃって。マスコミにもみくちゃにされたときみたいに、なんか…酔い?みたいなので気持ち悪くなっちゃって…」
ダメージ2倍だからですかね?と相澤さんに聞くとかもしれねえな、と返ってくる。
「予想、なんですけど」
そう切り出すオレに不思議そうな顔をする塚内さん。
「ヒーロー殺しのことを出久くんに尋ねてるとき、結局やつも気に入らないものを壊してただけ、とか救えなかった人間などいないかのように、オールマイトを始めとした全員がヘラヘラしてるから、的なことを言ってたんです。
…本当に憶測でしかないですけど、オールマイトが助けきれなくて敵に堕ちたんじゃないかって」
「……だとしてなんだ、暴れまわっていい理由にはならんだろ」
「そうですね。…分かってますよ、試験のとき弔は敵じゃなくて自分を見てほしい迷ってる子どもみたいだ、って言ったじゃないですか。考え方が他責的だしそれ、外れてなかったのかな〜って…」
そういうとなにか考える相澤さん。眉間の皺がすごい。
「…死柄木は随分、君のことを好いてるようだね」
「…同じと思われてるんじゃないですかね、多分。ちょっと似てる「似てねぇつってんだろ、バカ」いたい…」
オレと弔が根っこが少し似ている、と口にすると試験のときから過敏に反応する相澤さん。愛が痛いです…と呟くともっと強く頬を抓られた。
「ステインのときに一応中立だから行かないからねって言ったんですけどね…治癒持ちの個性ってバレてるから、手元に置いておきたいんだと思います。
……あと今回、ダメージ2倍とまではいかなくても常人より痛みに弱いってこともバレましたし…」
「バレたのか」
「前回ってオレも脳無にボコられてので痛がって当然ですけど今回はそこまで?ってレベルなので勘付かれたんだと…最悪です…。」
警察署に勤めているお医者さんに首や肘、スキャンして脳など診てもらって異常なしと診断される。よかった、帰れる。
ホッとして着替え直しているときだった。
「あれ?生きてんじゃん」
「!?…母さん…?」
え、本物??二度見した。なんでここにいるの?普通にドアから入ってきた母さんに驚くしかないオレ、塚内さん、相澤さん。
「なんだ、敵連合の奴に攫われたとか言うから死体拝みに来たのに…しぶといねェお前…ピンピンしてるじゃん」
至極残念そうに言う母さんを見て、あ、本物だわ…と確信する。こんな物言いするの母さんしかいない。
「ど、どこから入ってきたんですか!?」
塚内さん超びっくりしてペン落としてる。
「フツーに正面玄関から。アンタ…あぁ、塚内ね。そっちから呼んどいて担当者が来るまで少々お待ちを…は失礼じゃないの?邪魔されるから皆伸ばしといたよ」
「可哀想……塚内さん、きっと窓口にいる人とか全員気絶してますよ…すみません…」
一応謝っとく。国家権力に暴力を当たり前のように振るわないでほしい…犯罪者だろもうこれ。
「そんで?噂聞けばお前敵連合の長と随分仲いいらしいじゃん、どこでそんなんと知り合ったか知んないけど…何?肩入れ?」
「違うよ。向こうが勝手に同じと思ってしつこくしてきてんの。敵連合に行く気サラサラない」
あけすけにズケズケと。デリカシーなどはない。1年以上振りに話しても何も変わってない母さん。
「へェ…?ま、いいんじゃない?向こう行っても」
「神代さん、」
相澤さんが初めて言葉を発する。間に入ろうとしてくれてる…?
「敵に引き抜かれようがアタシは敵シメるだけだし。…それよか、変な異名立てんな。こっちがやりずらくなんだわ」
ハー、とため息をつく母さん。なんか、こんなにも温度差あっただろうか?
くましろくん!と泣いて出迎えてくれた出久くんとお茶子ちゃんの声が再生される。
無事でよかった、と手を握ってくれた塚内さんと、汗びっしょりで警察署に来てくれた相澤さんの顔を思い出す。
母さんの声色、表情、どれをとっても誰とも一致しない。心配で来たんじゃない、仕事の邪魔をするなと忠告しに来たんだ。
「……身内が敵に堕ちたなんて、母さんがオレを捕まえてもヒーロー存続できなくなると思うけど?」
「そしたらお前を徹底的に嬲って殺す。そんだけ」
目も、合わせてくれない。
「中立名乗ってるらしいけど、お前みたいな中途半端モンができんの?今からでも遅くない、辞めといたら?」
「…中立の意味、分かってる?」
「あ?」
「敵にもヒーローたちにもいい顔するために中立名乗ってる訳じゃ、ないから。敵連合みたいないきすぎた集団思想の正義にも、母さんみたいな突出した正義とも同じになりたくないから中立を選んでんの。正義ってその人の中では絶対的でしょ?
……一緒にしないでくれる?」
反抗的なオレの態度にキレたのか、母さんはオレの胸ぐらを掴んで壁に追いやられる。
「クソガキが……相澤ァ、もっとちゃんと躾とけよ!」
「犬じゃないんですけど…」
黙れガキ、と胸ぐら掴まれたまま体を浮かせられる。なんだってこんなバカ力なわけ??
「神代さん、辞めてください!」
塚内さんの制止によりやっと母さんのバカ力がなくなり、地面に降りる。
「衛さんがそろそろ会いに行ってやれっつーから来てみたけど……二度と来たくないね、生意気に育ちやがって」
「先人たちが名付けた偉大な言葉教えてあげよっか、『子は親をうつす鑑』、らしいよ。
…こっちも願い下げ、もう来なくていいから」
また青筋たててキレてる。すぐキレるんだから。このくらいの罵詈雑言と暴力?は慣れっこだ。
「おい、お前も煽んな…!」
相澤さんにパン生地のように頬を伸ばされる。痛い、痛いです。
バン!とドアを乱暴に閉めて母さんが出ていく。
塚内さんはほんとにこの部屋に至るまでの職員が伸ばされてないか確認しに行った。多分伸ばされてると思うけど…。
「…くましろ、こっち見ろ」
「……変わらないですねあの人。言う通り、オレが死んでたらどんな反応したんですかね」
「そんな寂しいこと言うんじゃねえよ」
相澤さんの手が頭に置かれる。久々に話すから、知らない内に緊張していたようだ。あったかくて血がちゃんと流れるような感覚がする。
「大丈夫です、母さんいなくてもオレには皆いるから」
「!」
「大丈夫です」
良好な親子関係とか、切磋琢磨しあえるヒーロー同士、とか。母さんには何も望まない。向こうも支障をきたさない限り何もしてこないから。
「…顔とセリフが合ってねえぞ、バカ」
「え、うそ」
「…くましろ、平気か?」
「ん〜温度差にちょっと一瞬…なんていうか…傷ついた?けど…なんかもう、いっかって。
人って変わらないからオレが変わるしかないかって思えました」
相澤さんが両手を握ってくれる。前にオレが「手当て」の不思議な効果について話し、手を握られるとすごく安心すると話したからだろう。こういうことを覚えてくれてるのがすごく嬉しい。
「温度差っつーのは?」
「出久くんとか、お茶子ちゃんとか…飯田くんとか。
ショッピングモール帰ったとき心底安心した声で出迎えてくれたんですね。
塚内さんと、相澤さんも。安心した、よかったって顔でオレのこと見てくれたんですね。
でも母さんとは目も合わないし、声色も前者と一致しない。ほんとに生存確認と、仕事の邪魔すんなよって忠告しに来ただけなんだな〜って温度差を感じたんですよ。」
(……)
(相澤さん、落ち込まないで。平気だから)
(…もっとワガママ言えよ)
(ええ、これ以上??…ん〜、だって相澤さんいるし…A組の皆もいるし…たいととやつきもいるし…
よくよく考えたら両手いっぱいだなって思って…)
(…)
(お願い。オレ以上に傷つかないで…ね?ホラ元気ですから!)