Alien
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「だいたい何でも気に入らないんだけどさ、今1番腹立つのはヒーロー殺しさ。」
何でも気に入らないんだ…。イヤイヤ期みたいだな。
「仲間じゃないのか…?」
保須の時もプンプンしてたもんね、弔。
「俺は認めちゃいないが、世間じゃそうなってる。問題はそこだ。ほとんどの人間がヒーロー殺しに目が行ってる。
雄英襲撃も保須で放った脳無も……全部奴に喰われた。
誰も俺を見ないんだよ、何故だ?」
淡々と話す弔。隙を見て2人を引き剥がすしかない。
「いくら能書き垂れようが結局奴も、気に入らないものを壊していただけだろう。…俺となにが違うと思う?緑谷」
見て欲しくて暴れてるのに、他の人に注目がいってまるで拗ねてる弔を見やる。…どうすればいいか分からなくて、迷ってる子どもに見える。
悶々と考えても分からないから出久くんに聞いてるんだろう。
「………僕は…………おまえの事は理解も、納得もできない。ヒーロー殺しは…納得はしないけど。理解は出来たよ…
僕も、ヒーロー殺しも…始まりは……オールマイトだったから。僕はあの時救けられた……少なくとも、あいつは壊したいが為に壊してたんじゃない。いたずらに投げ出したりもしなかった…
やり方は間違ってても理想に生きようとしてた……んだと思う。」
そう出久くんが答えると、弔の雰囲気が一気に変わる。
「!!!」
ゾワッと鳥肌が一気に立つ。細かい動きをよく見てないと、何しでかすか分からない。
「ああ…何かスッキリした…点が線になった気がする…何でヒーロー殺しがムカツクか…何でお前が鬱陶しいか、分かった気がする…」
「、とむ「全部、オールマイトだ」」
言いようのない不気味な空間が纏わりつく。あの日コンビニの前で見た目と雰囲気だ。
「そうかあ、そうだよな、結局はそこに辿り着くんだ。…あぁ、なにを悶々と考えていたんだろう俺は…!」
ブツブツと呟く弔。
「こいつらがヘラヘラ笑って過ごしてるのも、あのゴミがヘラヘラ笑ってるからだよなあ…」
「ゔっ…!」
出久くんの苦しそうな声が聞こえる。
「弔、やめて」
出久くんの喉にかけてる手を止める。片腕は力が入らないはずだ。
「救えなかった人間などいなかったかのように、ヘラヘラ笑ってるからだよなあ!!
ああ、話せて良かった!良いんだ!ありがとう緑谷!」
救えなかった人間などいなかったかのように、ヘラヘラ笑うから、ヒーロー殺しが、オールマイトを慕う出久くんがむかつく…?
もしかして、弔……過去に『救われなかった』から敵に堕ちた…?考えすぎかもしれないけど、拾った発言だけだとこの推測ができてしまう。
「…っ、ホント悪趣味…っ」
出久くんの喉にかけてる手とは反対側の手でオレの肘から崩そうとしてる。
「痛いのやでしょ?くましろ…ここにいるみーんな、死んでもいいの?…個性使うのやめろ」
出久くんが動こうとすると弔の手がオレの肘から喉元へ来る。
「っと暴れるなよ!死にたいのか?…民衆が死んで良いって事か?皮肉なもんだぜヒーロー殺し…」
ぐ、と気道に指を入れられ、息ができなくなる。本気で締めてきてるのか、視界がチカチカしてくる。
止めようとしても右手は肘を崩され、弔の片手は出久くんの顔をボールのように掴んでる。崩されたらひとたまりもない。やばい、これ以上迷ってたら気絶する、
「デクくん?くましろくん?」
「お友達じゃない…よね…?」
お茶子ちゃんが声をかけてくれる。3人と1人、気付いてないだけでA組がいるから、不利な弔は逃げるしかないだろう。
「手、放して?」
す、と首元から手が離れて咳き込む。
「何でもないよ!大丈夫!だから!来ちゃ駄目…」
出久くんがそう言うも動けるようになった弔は両手をあげてなんでもないよ、のアピールし始める。
「連れがいたのか、ごめんごめん。」
パッ、と人の良さそうな笑顔になる弔。
「…くましろ…起きて、行くよ」
パチパチ、と頬を叩かれるけど、焦点が合わない。
「…は、ぁ…っ、」
ロクに力が入らない。肩を支えられるようにして弔に抱えられる。
「デクくん!くましろくん…!」
お茶子ちゃんが出久くんの元へ駆け寄ったのだろう、後ろから声をかけられる。
「…待て…死柄木…!!くましろくんを返せ!それに、…オール・フォー・ワンはなにが目的なんだ」
「知らないな…それより気をつけな。次会う時は殺すと決めた時だろうから」
オレに関してはフルシカトの弔。呼吸をなんとかして意識を戻さないと。気道締められたらほんと数秒で意識飛びかけるんだな…。
「くましろくん!」
「…、大丈夫!」
お茶子ちゃんと出久くんの目を見る。ちゃんと帰れるから、と口パクする。
ショッピングモールを出てすこし。意識がちゃんと戻らなくて、例えるなら熱中症みたいなぼーっとした状態がずっと続いてる中歩かされてるからキツくて立ち止まる。
「と、むら…待って、きもちわるい…歩けない…」
「…治癒で治せよ」
「おいつかない……」
「…ふぅん。思ったんだけどくましろ、もしかして痛みに弱い…?」
座り込んでるオレの首元にまた手をやる弔。じっくりと力を入れる弔の顔はすごく楽しそうに笑っている。今締められたら間違いなく落ちる。それだけは避けたい。
「やめて…っ、」
くそ、うまく力が入らない。マスコミに押しかけられてもみくちゃにされた日みたいにぐわんぐわんと酔っているような状態が続いてる。
「図星か。…別に、このまま意識飛ばしてもいーよ?」
首を横に振る。
「立ち上がれなくて焦点も合ってない、話す気力もない。…もう限界かな?」
よいしょ、と言われ抱きかかえられる。無遠慮に抱きかえられるから三半規管ぐるぐるしてまたそれに酔う。気持ち悪い…、寝転びたい。
後でちょっと寝込むくらいで済むと信じて、この気持ち悪さを止めるため、治癒2倍速で進める。
「……やめてよ弔…オレ無理やり連れて行かれてもすぐ戻るからね」
あっぶなかった……なんとか弔を止めた。車が走っていったので、他は動いてるんだろう。
まだ目に見えるくらいにショッピングモールが見えるので歩き出す。ああいうでかい目標物があれば、迷わずに済む。
治癒のお陰で気持ち悪さも消え、いつものフラットな状態に戻ったので集中力もある。反動が怖いけど…
出久くんたち、相当心配してるだろうから走って戻る。
途中誰かの敷地内であろう駐車場とかを心の中で謝って通り抜けながら最短ルートで戻る。警察車両がたくさん止まってて、最後お茶子ちゃんと出久くんと別れた場所に2人と、塚内さんがいた。
「出久くん!」
「くましろくん!?平気だった…!?ごめん、見てることしかできなくて…」
「よかった…、よかったあぁ〜!くましろくん、意識朦朧としてて…ほんとに連れてかれちゃうかと思った…」
出久くんに力いっぱいハグしてると、お茶子ちゃんが涙ぐんだ声で手を握ってくるので握り返す。
「正直ちょっとやばかった、…うぅ…」
泣かないで、と出久くんに撫でられて安心して足から力抜ける。常闇くんや芦戸さんたちも合流し、全員無事なのが確認できた、と塚内さんに教えてもらえた。
(くましろくん、あの状態からどうやって戻ってきたの?)
(痛みに弱いってバレて首また絞められそうになったから、あとはもう一旦どうなってもいいって思って治癒倍速で進めて気持ち悪さ直して…ひたすら走ってきた…)
(よかった、ほんと……血の気引いたよ…)
(はい座って、血圧とか首元見るからね。)
(塚内さん…)
(よく帰ってきたね、…無事でよかったよ)