クルーウェルの後輩・男主
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魔法省からの贈りもの
*ナマエ・ミョウジ
ふう、と息を吐く。魔法省の魔法執行部からやって来たとあって学園長のお出迎え付き。肩書だけ見れば確かに大層な奴が指導に来たと思われるんだろうけど…。魔法省に努めて5年、まだ僕は新人の部類。社会見学と称して母校の指導内容に問題がないかを見てこいとお達しが来ただけだ。
いつもは書類まとめと法務省とのにらめっこだったり、裁判の手続きだったり収監との連携を取ったり…ひたすら業務をこなす日々だから少し羽が伸ばせそうだ。今年は……あまり問題児がいないといいんだけれど。
「ようこそいらっしゃいました、ミョウジくん!お久しぶりですねえ…君の活躍はここでも耳にしてますよ」
「学園長、お久しぶりですね。少しの期間お世話になります…それで、僕はどなたの補助員になればいいでしょうか?」
「う〜ん…じゃあクルーウェル先生にしましょうかね」
錬金術や魔法薬学のクルーウェル先生か。分かりました、と頷きトランクケースを持って先生の教官室へ向かう。10年はいかないけど…久々に来た母校はあんまり変わってない。懐かしさを覚えつつ、初対面であるクルーウェル先生の教官室をノックする。
「入れ」
「失礼します。こんにちは、クルーウェル先生。」
「…初めて見る顔だな、誰だ?」
「6年前にここを卒業したナマエ・ミョウジです。今は魔法省に勤めていて…本日からクルーウェル先生の補助員としてお世話になります」
「魔法省…?いや、補助員と言ったか?」
「あれ……魔法省から来ること自体も学園長から聞いてないですか?」
やっぱり学園長テキトーなんだな…何も知らされてないならこんな反応するのは当然だ。魔法執行部で各国の魔法学園の指導として派遣されたことを説明するとクルーウェル先生の眉間のシワが深まる。
「つまり……?学園長は俺の指導に問題があるとお考えでお前を寄越したと?」
「あ、いやそういう訳では…」
「却下だ。補助員などいらん」
ぴしゃり、と言い渡される。何を言おうとしてもいい、結構だと相手にしてもらえず初日の挨拶は終わった。
「学園長……なんで周知してくださらなかったんですか、彼カンカンに怒ってるんですが…」
「うっかりしてました…指導とは名ばかりのモノだと私は知っていたのでつい…。クルーウェル先生は比較的先生方の中でも若い。魔法執行部のことをあんまり知らないんでしょうねえ…」
「うまく仲介してください…まるで僕を目の敵のように見てくるんです」
そうお願いしたけど、功を奏さず。…補助員として授業の準備など手伝おうとするけど教室に入れてもらえず、触ろうとすると魔法で止められたりする日々が続く。生徒の中での名物のようになってしまい、毎日からかわれている。
「よぉ、今日もフラレてんのか?」
「……誤解させちゃったからね」
この子はサバナクロー寮長のレオナくん。なんと夕焼けの草原の王家の子だと言うのだから驚いた。僕が卒業生で魔法省勤めと話すと最初は信じてくれなかったが、毎日クルーウェル先生に頼み込む僕を見てようやく信じてくれたらしい。
「別に彼の指導内容に問題があるから僕が派遣されたわけじゃないんだけど……たまには母校に帰れってやつだし」
「羽伸ばせばいいじゃねえか」
2年生とは思えないその貫禄は一体どこから…?
「何もしないわけにはいかないからね…」
…2週間だ。2週間話すら聞いてもらえず、教室も入るの禁止、教材を触るのも禁止、最近はついてくるな!と怒られた。さすがにここまで拒絶されまくると僕も疲弊してくる。魔法省の先輩からの連絡にもまともに返事できず、モヤモヤとした気持ちが溜まる。相手にされないまま2週間が過ぎました!なんて報告できるわけない。
「…僕です。ナマエです。」
返事を聞く前に部屋に入ってしまう。そうじゃないと入室禁止だから。
「……毎度毎度飽きないな、魔法省は忙しいと思ってたが…存外暇なのか?」
誰のせいだとお思いで…???そんな売り言葉に買い言葉が出そうになり、なんとか飲み込む。
「クルーウェル先生、まずは誤解してらっしゃるのでお話を聞いていただけませんか」
「断る。俺は忙しいのでな」
カチン。堪忍袋の緒が切れた。
「僕も忙しいんですが?人の話もロクに聞かない貴方のせいで。学園長の話も聞き入れずに勝手に思い込んでなんなんですか?」
「は…?」
何を言われても言い返さず、出ていけ、だめだと言われたら一旦引き下がっていた僕が生意気に言い返したのがよほどびっくりしたのか、目を丸くさせている。
「貴方の指導に問題があるからではなく、母校の様子を指導という体で見てきなさいって話なんですが。先生方の中では比較的就任して長くない貴方の補助員を通してどういう指導方針なのかを知りたいだけなのに触るなだの、入るなだの挙句に……暇だの…っ!」
この2週間本来の仕事はたまり続けている。それを先輩方が残業しながらもやってくださっている。なのに僕は意地悪のように拒絶されて何も報告することがない、虚しさや不甲斐なさで涙が出てくる。
こんなことなら学園長が提案してくれたように他の先生に変更すればよかった。意地になって僕も馬鹿みたいだ。
「お、おい」
「僕だって貴方の後輩なのに…っ…こんなに冷たくされるとは思いませんでした、明日から担当変えていただきます」
「待て…おい、悪かった。何も泣くことは…いや、悪かった。ひとまず座ってくれ」
誰が泣かせたんだ。そう思って睨むとたじたじのクルーウェル先生にソファに案内される。僕がここでつっけんどんに返したらまるで同じことのやり返しだ。それでは大人気ない…一刻も早く部屋に戻りたかったが、言われたとおりひとまず座る。
「その……すまなかった。失礼を詫びたい」
「……ほんとに思ってます?泣いたのが罰悪くて言ってませんか?僕はそういう謝罪なら受け取りません」
それは詫びるのではなくて、自己満足のものだから。トゲトゲした僕の言葉がしっかり突き刺さったクルーウェル先生が首を横に振る。
「……バツが悪くて受け入れがたかった、すまない。」
そう切り出すと彼は学園長の仲裁も聞いていたし、僕が毎日やってくるのも分かっていたが魔法省のエリートが、というプライドのようなものが邪魔し、素直に受け入れられなかったと訳を話す。魔法省勤めと話すとたしかに嫌な顔をされる時もある。何度も頭を下げる彼を見て顔も見ず門前払いされ続けて溜まっていたモヤモヤとした気持ちが薄まるのを感じる。
「分かりました…。もうあんな態度取らないでくださるなら平気です」
「もうしないさ…仔犬、飯は食ったか?」
仔犬?…聞きなれない単語に反応が遅れ、クルーウェル先生の顔を見ると向こうも至極当然、と言わんばかりの顔だ。
「こ、こいぬ…?」
「あぁ。仔犬以外がご所望か?」
ご所望に決まってるんだけど…普通に名前で呼んでほしいし…。まあもう少し距離が縮まってからでもいいか。大丈夫です、と断りご飯はまだ食べてないと返す。そういえば今日はお昼に学園長に頼まれて書類作成を手伝ったから、お昼から何も食べてないや…食べていない時間を計算しだすと急にお腹が空いてきた。
「そうか。…パスタは食えるか?」
「?はい」
食いに行くから準備しろ、と立ち上がる先生に続いて立ち上がる。上着やらを取って財布と共に戻ると先生の車に乗れ、と声をかけられる。こんなクラシックカーに…?植物園に行ったりしたから土がついてる靴で乗るのが申し訳ないけど、声をかけてシートに座る。わ、ふわふわ…。
行きつけの店だ、と連れてきてもらったお店はドレスコードが必要なのでは?というくらいお洒落な店だった。お洒落な服ではないけど、仕立ててもらったスーツを着ていて良かったと思う。パスタか……久しく食べてないな。魔法執行部はとにかく激務で、人が増えても増えても仕事が山積みだ。僕みたいなぺーぺーは書類さばきが主だが、その書類の量が尋常じゃない。この世界の全ての魔法士と法務に関わる部署だからまあ仕方ないんだけど…。
「ありがとうございます、僕こんなちゃんとしたご飯食べるの久々です」
「……どういうことだ?」
「魔法省にいるときはとにかく……忙しすぎてご飯食べる暇ないんです。タイミング逃して1回倒れてからは栄養バーを食べてますけど…この2週間、ちゃんとお昼の時間にご飯を食べられるの感激です」
そう言うとクルーウェル先生は口をあんぐりと開けたあと、盛大にため息をつく。
「お前……早死するぞ」
「限界きたら先輩たちがいるのでまぁ…大丈夫です」
「大丈夫じゃないから倒れているんだろう……最低限飯は食え。そうでないなら俺が連れ出してでも食べさせる」
「……じゃあ連れ出してもらおうかな」
タバコなんか吸っていればタバコ休憩と称して外に出れるけど、あいにく僕は喫煙家ではない。だから連れ出してもらったほうが休憩とかご飯を食べたりしやすい。
「仕方のない仔犬だな……顔色も悪い、寝てるのか?」
「一応5時間は寝るようにしてます、決算の時期とかじゃない限りは…」
そういうと7時間は寝ろと返ってくる。僕も寝れるなら7時間寝たいけど…逆に例えば試験の時期なんかは彼も忙しいだろうと思い、多忙になったときのスケジュール管理のコツなどを尋ねているとパスタが運ばれてくる。僕の好きなトマトソースの香りが鼻いっぱいに広がり、ぐうとお腹が鳴る。
「フッ…先に食え。パスタだけで足りるか?」
足りない気がしたのでお言葉に甘えて生ハムとアボカドのブルスケッタを頼む。待ってる間にパスタを口に運ぶ。うま!!久々にこんな美味しいパスタ食べたな…。
「口に合うか?」
「とっても!美味しいです」
一杯だけ、と付き合いで飲んだワインがいい感じにまわり、ブルスケッタを食べ終わる頃僕はヘロヘロになってた。自我はあるし酔ってる自覚もある…体にうまく力が入らずとにかく眠い。
「仔犬、水を飲んでおけ。気持ち悪さはないか?」
「眠いだけです……」
言われたとおりコップの水を飲むと冷たい水で意識が少しマシになったように思える。とにかく重い瞼を意地でこじ開けて、これ以上迷惑にならないように起きてる。お店では頑張れたが車は無理だった、秒で寝てしまった。
「ぅ…?あれ、せんせ…?」
「起きたか、ナイトレイブンカレッジに着いたぞ」
「ふわふわしてる…」
「俺が抱えているからな」
「かか…?…あ、お金!」
「おい、暴れるな。先輩からは素直に奢られておけ」
奢ってもらった。お礼をしっかり言う…言えてるか不安だから酔いがさめたら改めて伝えよう。
*デイヴィス・クルーウェル
困った、この仔犬こんなにアルコールに耐性がないのか。一回り小さくて思ったよりも軽くて華奢な仔犬の体を抱え直す。
……ついに今日は泣かせてしまった。ここの卒業生で俺の後輩にあたるとはいえ、役人風情が俺の教育指導になんの文句があってやってきたんだとロクに話も聞かずに毎日追い返し続けていた。後半はもう意地に近かった……大人気ない対応をしたと思っている。
猛反省する俺に対してあっさり許した仔犬を飯に誘った。生徒から相手をしてやれと揶揄われる際に様子を聞いていたが、忙しなく学園を走り回り他の先生方の手伝いをしている姿は色んな仔犬共から聞いたものの、飯を食っていたり休んでいる様子を誰一人としてあげないのが気になったからだ。
行きつけの店を紹介し、注文したかと思えばロクに寝てもいない、飯も食っていない日々だと明かされた。ナイトレイブンカレッジ…いや、俺と飯を食っているときくらいたらふく美味いものでも食わせてやりたいと思い、ワインも勧めた。反応も悪くなかったので平気かと思えばみるみる酔いが回ってヘロヘロになり自力で立ち上がれない始末。
…日々の疲労が溜まった体にアルコールを入れた俺が悪い。俺の首に回した仔犬の腕が強まる。
「寒いのか?」
「ううん」
仔犬は悪酔いするタイプではなかったのが幸いだ。ひたすら眠気が増すようで、どんどん呂律が回らなくなっている。
「いい匂い…」
「随分鼻が効くな、それは俺の香水だ」
襟やら肩の匂いをすんすんと嗅ぐ様子は本当に仔犬のようだ。ひとまず教官室に戻り仔犬の体をソファに横たえる。ひとまずもう少し水を飲ませるか…こんなに酒に弱いとは。
「どこ行くの」
「こら、寝ていろ」
「やだよ」
起き上がり、急いで俺に着いてくる仔犬に不覚にも可愛らしさを覚える。足元が覚束ないので支えるとニコニコしている。
「…やけに機嫌がいいな、どうした?」
今なら酒の力で警戒心が皆無な仔犬からはなんでも素直に答えるだろう。
「やっと僕の目、みてくれてる」
「……悪かったと言っているだろ」
「うん」
そう無邪気に喜ばれては、どんどん俺が大人気なく酷い対応をしていたことへの罪悪感が募る。罪滅ぼしに頭を撫でると嬉しそうに目を細める様子にもっと罪悪感が募る。
(…寝れるか?)
(ねむくない)
(ダメだ。本を読むのも禁止、今日は早く寝ろ)
(お風呂は入っちゃだめ?)
(……フラフラで心配だから明日の朝にしろ)
オリジナル夢主。
デフォルト名はウルバノ・アストラ。ラテン語で星々や優美という意味です。
故郷は輝石の国で、イグニハイド寮所属の勤勉な性格。ナマエがいるころのイグニハイドはわりかし陽キャが多く、今の大人しいイグニ生を見て逆に驚いている。
身長は170cm、激務によりまともな食生活を遅れていないため体は華奢。外に出て駆け回ることもあるので日焼けしている年もあるが、最近は室内に篭りっぱなしなので日焼けはなし。
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