ヤキモチを妬く・男主
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劣情
*ナマエ・ミョウジ
あぁ、ダメだ。
このままレオナの前にいたら余計な一言を言ってしまう、そう思って頭を冷やそうとバルコニーに来たのに…。
「何故避ける?」
あっけなく捕まる。手すりを背にした僕はもう逃げ場がない。観念するしかないようだ。
「あら、レオナ様。こんなところにいらしたの?ミミのお話聞いてほしいです…そちらの方は?」
見定めてくるような目に嫌悪感を覚えつつ頭を下げて挨拶はしっかりしておく。僕の振る舞い1つでレオナやファレナ様までとやかく言われてしまうのだけは避けたい。
「レオナ様の従者です。お邪魔してしまい大変申し訳ありません…体調を気遣ってくださっていました。人酔いしてしまったので私は救護室で休憩しようと思います。…では」
追いかけてくるなよ、と目でレオナに合図をして令嬢に迫られているため追いかけてこれないのを確認しつつ背を向ける。
レオナが王宮に帰りたがらない理由としての一つ、社交パーティー。ラギーくんなんかはいいなあ〜!って目を輝かせていたけど実際はお世辞の言い合いとお互いの婚約者候補の下見みたいな内容だ。
いろんな国や国内の貴族を呼んで、信仰を深め協力関係に結びつける、又は維持にもっていく。それがこのパーティーの主な目的だ。今回はどうしても出ろ、と僕の名指しつきでレオナに赤封筒が届いた。
ファレナ様やキファジ様からの赤封筒は緊急を要したり、かなり重要なときに送られてくるものなので流石のレオナも今回はスルーできなかった。それはそうとして、パーティーになにか不備があったわけではない。僕がこんなにも嫌気が差してるのは僕自身の至らないせいだ。
まさか…令嬢をエスコートしてるレオナを見て胸が痛むとは思わなかったし、僕も仕方なくエスコートする場面があったが全然胸が踊らないことにも驚いた。僕、こんなにレオナのことが好きなんだなんて思いもよらなかった。
この気持ちを嫌というほど自覚してからはレオナの後ろに立つのが辛くて、少しずつ物理的距離を開けていたらバレてさっき追い詰められた。
本当に頭の回転が早くてこういう時困る。なんて言い訳をすればあのレオナは納得するだろうか?体調不良で押し通すには僕の顔色は健康すぎる。メイクでもしてクマ描き足す…?どうやって逃げよう…。幸いあの令嬢はレオナに気があるらしく積極的な印象だ。今もあまりつれないレオナに対して一生懸命話していることだろう。
ていうか…待てよ、僕はレオナのことを好きでも構わないけれどレオナの幸せを喜べないなんて侍従をおいても人として…駄目なことでは?あまりに自分のエゴでわがままが過ぎていた態度では…?自分が辛いから避けてレオナに不安を抱かせるなんて……。
好きな人の幸せを喜べなくて何が友で兄弟のような関係だ。自分の気持ちに蓋をしてしっかり役目を果たさないと。今日は念の為の護衛で来てるんだから。なんとか気持ちを切り替えて会場へ戻ると不機嫌そうなレオナと目が合う。
「やっと小鳥のさえずりが終わった……で?鬼ごっこはやっとオシマイか?」
小鳥のさえずり。それだけで僕が来るまでの様子が思い浮かぶ。
「避けていたつもりはないよ、ごめんね」
「…本気で言ってんのか?…クソ、臭え。外出るぞ」
半ば無理やり腕を掴まれ、再びバルコニーへ。貴族っていうのは大概がおしゃべり好きだ。だからバルコニーで休憩する人なんてほぼ居ない。
「で?俺に嘘がつきとおせると勘違いしてるジャッカルさんよ…言い訳くらいは聞いてやる」
レオナがこういう言い方をする時は結構イライラしてる時だ。…素直に言うべきか、否か。言ったところでどうなるというんだろう。僕はレオナの隣にいることを禁止されるかもしれない。…それは嫌だな。
「……あのピーチクパーチク喧しいのが好きなのか?」
どう答えるのか分からず答えあぐねている僕にしびれを切らしたレオナがまさかの方向性で尋ねてくる。令嬢と仲良くするレオナに嫉妬した?と思われているみたいだ。
「ピーチクパーチク……ううん、違うよ」
盗み聞きなんかされてたら大変だなと思いつつ返事をする。そうするとレオナの眉間の皺がもっと深くなる。
「……レオナ、僕っていつまで君の隣に居られるの?」
「…は?」
「気になっちゃって。君がいつか結婚したりしたら僕はどうしようかなって」
「……辞めんのか?」
「分からないよ、その時にならないと。前例もないし…もし、レオナの想い人が僕とレオナの関係をよく思わないなら考えなきゃいけないだろうし」
ジャックくんにも言われたが、僕たちは距離感が近い。物理的にも、精神的にも。隣にいることが当たり前のようになっているしお互いの体に触れるのも多い…耳を撫でたりね。それをよくは思わない人だってこの先きっと出てくるだろう、ましてや結婚する相手の…血縁関係もない従者がそうだったら。
「…まどろっこしい、なんなんだ?考えてることさっさと言え」
「今言っただろ、いつまで隣に居られるのかって」
「それ以外にあんだろ、隠すな」
俺はお前に嘘はつかない、だからお前も俺に隠し事はするな。…昔言われた言葉が頭をよぎる。
「…泣くな」
気づかない内に涙が流れていたようで少し慌てたレオナがハンカチで拭いてくれる。
「……僕、レオナが好き」
我慢できずに溢れた言葉とともに涙もポロポロと流れる。
「…それだけ?」
「ヤキモチ妬いた、さっきの令嬢に…。でも、僕は従者だから」
「従者と主人が恋に落ちたら罪なんてうちの国にはそんな法律はねえぞ……どこぞの茶会ばっかしてるとこの国にはあるかもしれねえが」
「……レオナ…?なんで、そんな…」
嬉しそうなの?と口にする前におでこにキスされる。
「長年大事に育ててきた獲物がようやく手に入るってんだ、嬉しい他ねえだろう?」
「えも、の…?」
長年?いつから…?ていうかレオナもしかして気付いてて…?と色んな疑問が生じる。今まで見てきた中で1番…くらいには嬉しそうな表情をしているレオナを見上げる。
「待った甲斐がある…おい顔背けンな」
顎を掴まれるので嫌な予感がして顔を背けるともっと強い力で戻される。
「やだ、レオナ…」
「誰もいねえよ」
ちゅ、と何度も口付けされる。恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだったがその足でファレナ様と王妃様の前に連れて行かれる。
「キファジもいるな?…未来永劫俺の隣にいるのはナマエだ。その報告ついでに俺らはもう帰る、来賓リストに載ってたやつらへの挨拶は済ませたからな」
「……えっ?!」
「はっはっは、本当にナマエを仕留めたか…レオナ」
事態を飲み込めてない僕をよそに、ファレナ様を始めとした三人は知っていたみたいで誰も驚いていない。
「ファレナ様、ご存知だったんですか…?」
「え?周知の事実と思っていたが……なあ?」
王妃様まで頷いている。キファジ様を見ても頷かれた。
「お前は上手に隠せてると思ってたみたいだな?」
ニヤニヤと意地の悪い顔で笑われる。何重にも恥ずかしい。誰も反対なさらないのですか?と尋ねれば愛のある結婚が一番よ、政略結婚なんてさせませんと王妃様から力強く言われる。
部屋に戻るとこれまで以上にべったりくっつくレオナにこちらがドギマギする。ずっとおでこやら鼻、耳や頬にキスされている。
「ちょ、レオナ…恥ずかしいってば…」
「こんくらい我慢しろ」
なんて無茶難題を…。
「う、…耳やだ…」
「わざわざ弱いところをどうも……動くな」
レオナの腕がお腹と背中を回ってくる。いつもより近くでレオナの声が聞こえてそれだけで変な感じがする。
「…っ…レオナ…」
耳を甘噛みされて何度もキスされる。
「ナマエ」
「…ごめん僕もう無理……心臓止まる…」
手を取られたタイミングで打ち明けるとがっついて悪かった、と耳が下がったレオナに謝られる。いつもなら撫でるんだけど、今日は散々甘噛みだのなんだのされ続けてやり返したい気持ちがむくむくと湧き上がる。
「レオナ」
「っ!」
同じように耳のそばで囁くと肩を跳ね上げて驚くレオナに笑いそうになりつつ、たしかにこれはいたずらしたくなるな…と実感。ちゅ、と何度も口づけをしているとレオナの尻尾が僕の腕に巻き付いている。
「レオナ、噛んでいい?」
「……煽るのがお上手で。噛んでもいいが止まってやれねえ」
(その前に…聞きたいこといっぱいある)
(何でも答えてやるよ、ダーリン)
(じゃあ…いつからなの?ハニー)
(8年くらい前から)
(そんなに前から…?じゃあ、僕がレオナを好きっていうの気付いたのは…?)
(随分無自覚だったが…4年前くらいだな)
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