レオナの代わりに体罰を受ける・男主
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僕の存在理由
*ナマエ・ミョウジ
僕の家系は王族ではない。王家キングスカラー様に代々仕える侍従の家系だ。父は執事長、母は料理人として勤め僕も執事見習いとして過ごしていた。僕と同い年の第二王子のレオナ様は歳が離れている兄ファレナ様を除いて同い年の子供は王宮内に居ない。そのため僕は王子への敬慕の気持ちと姿勢を忘れず、だけど友人としても接するように育てられてきた。王位の血を持たない僕が王子と友達に…?とも思ったが同じように座学を受け、同じように振る舞いを正されてきた。
「何度言えば分かるのです……。まったくレオナ様、座学をきちんとお受けください」
「ハッ、嫌だね。もうそこら辺は読み飽きたんだよ」
怒りで青筋を立ててるキファジ様になんて口を…。はあ、とため息をついてキファジ様はこちらを見る。
「ナマエ、立ちなさい」
「は、はい」
こちらへ来なさい、と手招きされ隣に経つと従者が何人か部屋に入ってくる。どことなく……苦虫を噛み潰したような表情をしている。何か良くないことが起こる、と本能的に察した僕の耳が下がるとキファジ様の手のひらが顔の前にやってくる。
レオナ様はまだそっぽを向いている。この間のように大勢に囲まれて説教されると思っているのだろう。その隙を見計らったようにキファジ様の手のひらに文字が浮かんでくる。
『少し過剰に痛がりなさい』
過剰に痛がる…?なにを?と疑問符を浮かべているとキファジ様に両手を掴まれ、バチィン!とお尻に鞭が打たれる。
ビリビリとした痛みに声すら出なかった。
「…っ、あ……キ、ファジ様…!?」
「すまないな、ナマエ。レオナ様に分かっていただくためだ」
「おい、ソイツは関係ねえだろ…!」
唸り立ち上がるレオナ様を魔法で拘束したキファジ様。鞭打ちは30分続いた。加減……はしてくださっていると思うが、充分に痛くて途中から涙が止まらず謝罪し懇願しても続いたため、僕は何か不敬をしてしまったのかと思ったくらいだ。
「っふ、…ひぐ…」
「おい、ナマエ……悪かった、俺の…せいで…っ」
悲しそうに涙を流すレオナ様に少し驚いた様子のキファジ様は僕に治癒魔法をかけてくださり、痛みがやっと引いてくる。
「てめぇはコイツに触るな…体罰ジジイが!」
「何を仰います、貴方が座学を抜け出してサボるからナマエがこんな目に合うのでしょう。反省したなら次回はきちんとお受けください。…ナマエ、歩けますね?少しこちらへ」
まだじんじんと痛むがなんとか歩き、数部屋隣の部屋へ行きキファジ様に頭を撫でられる。
「申し訳ない、加減の仕方を誤っていましたね。痛かったでしょう、先程の二人には伝えておきます。…まだ痛みますか?」
「……」
「ナマエ、……私の目を見なさい」
怖くて何も言えないでいると、キファジ様に顎を掴まれる。
「貴方が憎いから鞭をふるったのではありません。……レオナ様と兄弟のように、友人のように育った貴方が自分の代わりにというのがレオナ様にはきっとお辛いはず。分かりますね?」
「はい…」
「……レオナ様をお嫌いになりましたか?」
「いいえ。ただ…悲しそうに涙を流すのはもう見たくありません」
「…そうですね」
僕とレオナ様が7歳の頃だった。キファジ様の予想通り?にレオナ様のサボりぐせは少し減少した。第二王子で一生国を治めることがないであろう自分に何をさせるのだ、という反抗が続く。15歳になってレオナは体も魔法も成長した。僕の鞭打ちも続いていたが、レオナ様の魔法妨害によって泣くほど痛めつけられることはない。
…まあ、時間が30分から5分に変わったり、例えば30発が2発に変わった程度で痛いことには変わりないんだけど。
「…ぅ、いた…」
「……お前も魔法使って抵抗しろよ」
なんて無茶言うんだ…。刃向かえるわけない、キファジ様が決められたことだ。ファレナ様ももちろん知っている。廊下で合うたびに特に体を気遣ってくれるのが何よりの証拠だろう。
「……そ、んな…泣きそうな顔しないで」
そんなことできるわけないだろ、と言おうと顔を上げると今にも泣きそうなあの日と同じレオナ様と目が合う。撫でるように手を伸ばすと顔を背けられる。本気で嫌なときはそのまま部屋に帰るから、撫でるのはOKサイン。
「レオナ様」
「様をつけんな、気色悪い」
「様をつけて10年以上だけど…」
「要らねえ。やめろ。」
えぇ…じゃあ本人の希望として2人の時だけねと条件をだした。
「レオナ、こっち見てよ…僕平気だよ。いつもレオナが邪魔してくれるから」
「……はぁ…まっすぐ立て。治癒かける」
なんだかんだ優しい、それがレオナだ。ユニーク魔法が露呈してから、一時期侍従たちとの距離感がうまく掴めなかったようで思い悩んでいたみたいだけど……砂に変える魔法を手にしたことで、一番脅えていたのは彼自身に思えてならない。
だから僕はずっと彼と手を繋ぐようにしてる。特にユニーク魔法露呈後はものすごく怒られたけど、手を離せと怒鳴られても僕が嫌だと言い続けて彼が折れた結果だ。
「ありがとう、レオナ」
数日後、僕は侍従の1人に連れ去られるようにして倉庫に居る。話を聞けば別の国のスパイだの、自分が誰に仕えてるかだの聞いてないのにべらべらと喋っている。僕に何か聞きたいんじゃないのか?と黙っていると本題に入る。
「アイツのユニーク魔法を教えろ」
「…は?」
そんなこと?他の侍従に聞けばわかるだろうと思っていると壮大な計画を全部教えてくれた。顔を近づけられた際に分かったけどこの人、お酒に酔ってる。だから気分が大きくなってこんなヘマしかしてないのだろう。頑張って気をそらしてたら眠るんじゃないか?とすら思えてきた。
「早く言えよ、第二王子と仲のいいお前なら分かんだろ?」
「プライベートなことはちょっと…」
そう言うと左の頬を殴られる。
「あぁ、そうだ聞いたんだ……噂でな。お前、アイツの代わりに鞭打ちされてきたんだってな?痛いことが好きなんだよな?な?」
そう言いながら魔法で鞭を作り出した男は僕を吊るすように立たせると思い切りなんども打ってくる。大人の男…しかもこいつはサイの血が流れてる野郎に力いっぱい鞭でぶたれて、今まで感じたことのない痛みに体が震える。気絶したほうがマシだ。
「なんだ、慣れてるから全然声出さねえのな…まあ防音魔法使ってるから聞こえないだろうけどよぉ」
つまんなそうに言うそいつを睨みあげる。それが火を付けてしまったみたいで、もう何分経ったか分からないくらいぶたれ続けている。身を切られるような痛みと、出血しているのか血の匂いが酷くてクラクラする。
「……おい、何をしている…」
目が取れてなくて心底安心するくらい顔も打たれていて見えないが、この声は……ファレナ様…?
「………どけ、ナマエ!この野郎…ッ」
「待て、レオナ!どんな魔法を持っているのか分からないんだ、下手に動くな」
レオナの声と、ファレナ様の声。二人とも……少し焦っているようだ。焦るなんてことない、この男は酒に酔って計画をすべてバラすようなおっちょこちょいだ。
なんとか左目をこじ開けて見やると……なんだあれ、棒…?熱を感じ嫌な予感がしてくる。
「近づいたらこれでこいつを焼き殺す」
すっかり僕をいたぶるうちに酔いは覚めたらしい。足取りもさっきと違いしっかりした男がそう言う。……てことはあれは熱した鉄か何かか。
「……言うよ」
「…あ?」
「レオナ様のユニーク魔法。言えばいいんでしょ?…大雨を降らせる。彼が魔法を使わないのは雨なんか振らせたってって思い込んでるから。」
「ナマエ…?」
「はぁ…?おい、今の事実か?」
「……事実だったとしてテメェが今ここで死ぬのは変わりねえよ」
なんて悪人面でなんてこと言うんだ…!キファジ様がまたなんて口の悪い!!って怒る様子が目に浮かぶ。
嘘だ!と決めつけてきた男が鉄の棒をこちらへ寄せてくる。すごい暑さだ。魔法でこれを作り出せるあたりそこそこの使い手なのだろう。
ユニーク魔法という弱みを知ってこの国を乗っ取ろうとしたのに、やけくそになってお酒なんか飲んで実行に移したせいで目撃者が多く、一度倉庫にやってきた侍女が何も聞こえはしないが倉庫に誰かがいる気配と血の匂いでファレナ様と、ファレナ様に窘められていたレオナを呼んできた結末だ。防音魔法はしてると言っていたけど、匂いに関する魔法は確かに使用した形跡はなかった。おっちょこちょいにもほどがある。
「てめぇは俺とこっちへ"来い"!」
吊るしていた紐を鉄の棒で焼き千切り、肩を掴まれる。散々痛め付けられたあとなのでそれだけで痛みが全身に走るのを我慢して男を蹴り飛ばす。
「お前に命令なんかされたくない…!『
僕のユニーク魔法は文や文字を抜き出して現実にすることができる。想像したことを口…あるいは文字にさえ起こせば現実になる。先程レオナのユニーク魔法であえて大雨と発言したのでこの部屋には大雨が降ってくる。ジュウゥ…と熱が急激に冷める音を聞き、気づけばレオナが男の首を締め上げるようにして持ち上げている。
「……レオナ、いけない…!」
彼のユニーク魔法を知っているファレナ様は慌てて声をかけるが瞳孔が開ききったレオナは止まらない。ユニーク魔法詠唱しているものの、雨のせいで完全な効果が得られないでキファジ様たちに取り押さえられる。
「レオナ」
怒りで我を忘れて自分の魔法や力で人を傷つけるのを何よりも恐れていた彼の隣に座る。腫れまくったお尻も脚も痛すぎて涙が出たが、雨のせいでバレないだろう。
「レオナ」
「っ、触んな…!」
「レオナ、平気だから」
「…やめ…っ」
「大丈夫だから、見て?」
干からびないよ、と手を握る。スポンジみたく乾いたと思えば雨で元に戻っていく…ちょっと面白い光景だ。
「ね…?大丈夫だから。泣かないで」
「………泣いてねえよ」
「い゛っ?!?……ごめん治癒魔法かけてくれるとたすかる…」
「……お前…こんなに……やっぱりこいつ干からびさせよう」
「ダメだってば…」
また泣きそうなレオナの頭を撫でてると、警備に男を引き渡したキファジ様がやってくる。
「これは…また……痛かったでしょう、よく耐えましたね。……あとでこの雨の説明をいただいても?」
「…レオナ様のユニークまほゔっ??!」
「嘘はいけません、何年あなた達の悪事に付き合ってきたと?嘘をついてる顔くらい見分けがつきます」
「キファジ、てめえナマエを痛ぶんじゃねえ……出血までしてんだぞ」
「嘘ついた僕が悪い……から、そんな歯出して怒らないの」
確かに痛かったけど…。ファレナ様、父様母様、レオナ、キファジ様に囲まれながらユニーク魔法の説明をする。発現は1年くらい前から。
看護室から皆が居なくなる中、レオナだけが残る。レオナにも言ってなかったので、すこし気まずい。
「大層なモン隠し持ってたんだな」
「……僕は嫌だよ、こんなユニーク魔法」
「そうか?なんでも現実にできるなんてよっぽど俺のより…」
「レオナ…その言い方はやめて。だって考えてもみなよ、初対面の相手に僕は運命の相手だって言えばそれが現実になる。明日世界が滅びるって言ったらその通りになる。……時代が時代なら……殺されててもおかしくないような魔法だろ」
「…1年前から急に口下手なのはそのせいか?」
「……うん…怖かったんだ」
「…お前、俺に散々大丈夫だとか手握っといて……」
「レオナだって少しは悩んだなら僕も悩んだっていいだろ」
「じゃあお前も大丈夫だろ。…兄貴がお前を俺と同じ学校に通わそうかって話してた」
「……え、えっ?!」
「俺のお目付け役続行だな?」
「友達って言ってよせめて…」
レオナの言うとおり後日編入という形でレオナの通う学校に入学することが決まる。ファレナ様からはレオナをよろしく頼むと頭を下げられてしまい、もう断る術もない。
「レオナは……ナマエといるときは優しく笑うし、子供の頃のイタズラ好きな時と同じ顔をしている。肩書は第二王子と従者かもしれないが、私も…キファジも、レオナも君のことは大事な家族のように想っている。レオナも君もキファジに鍛えられた通り頭もいいし魔力も問題ない。側にいてやってくれないか?」
「勿体無いお言葉です……」
部屋に戻ると、僕の部屋なのにレオナがベッドで眠っている。ブランケットをかけると手を引かれる。寝たフリか…悪趣味なことだ。
「お前も来い」
「もう引っ張ってるじゃない……少しそっち寄って」
よいしょ、とベッドに入ると抱き枕のようにレオナが抱きしめてくる。彼は小さい頃からこうだ。聞けば僕の体温が心地良いらしい…意外と甘えん坊なんだな、と思いつつも受け入れてる僕も僕で、レオナと眠るとよく眠れる。
「…なァ」
「ん?」
「……なんでガキの頃、キファジに言って鞭打たれんの止めなかった」
「……まだ気にしてるの?」
「はぐらかすな」
「はぐらかしたつもりは……嫌だとは言ったよ。レオナが…ものすごい傷ついた顔をするから、痛いの以上にそれが見たくないって。だからよっぽどのことをしない限りやらなくなったじゃないか」
「………お前…もう少し主体性持てよ」
出てきた感想がそれ?思わず吹き出す。
「僕は、僕のわがままでレオナを大事にしてるから。同じ年に生まれたのも、従者じゃなくてこうやって同じように育てられてきたのも…存在理由はいつだって君だよ」
「……はぁ…厄介なやつと友達になっちまったもんだ」
「ふふ」
(あ、おじたん!ナマエくん)
(チェカ、静かにしろ。やっと寝たんだ)
(ごめんね…ねてないの?)
(兄貴から聞いてねえか?ナイトレイブンカレッジにこいつも通うことになったから準備してて寝れてねえんだ)
(いまはじめてきいた…!)
(チェスでも何でも付き合うから、寝かせてやれ)
監督生はこの軸ではナシ・オバブロ前の時間軸のつもりです。(オバブロさせるかは迷う……)
ちなみにデフォルト名はスワヒリ語の海を名字にして「ルイ・バハリ」という名前で考えてました。
ユニーク魔法はこちらの診断メーカーからお借りしました。
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