名犬といざこざ
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VS ♥️
※もしナマエちゃんが誰かと喧嘩したらどうなるか
*ナマエ
「るっせえよおチビが!」
「本っ当に無神経ね」
売り言葉に買い言葉、慌てふためくグリムくんとユウさん、そしてデュースくんには目もくれず言い合ってる。最初のきっかけは確か……小テストの点数10回連続で私が上位を取ったからカンニングでもした?と意地悪なことを言われたのがスタートだった……と思う。ここまで激化するとは思わなかったけれど。
「エース、言い過ぎだ」
「小さいからってコイツの味方すんのかよ、デュース」
「妹みたいで可愛げがあるって言ってくれる?」
「お前みたいな生意気なやつもらってくれる兄貴姉貴のなんていませーん!!」
「……」
ぐさりと来た。なんかまるでそんな言い方じゃ、一生ひとりみたいな言い方に思えたから。急に黙った私を不審に思ったのかグリムくんが覗き込んでくる。
「エース、お前いくら何でも泣かせるまで言うななんだゾ」
「……は!?」
「泣いてないし……もういい帰る」
教室から出ても足の早いエースくんにはすぐ追いつかれる。それはよかったんだけど、お互い怒りすぎてすっかり忘れていた。私は顔に触れられるのが怖くて嫌いなことを…慌てて止めようとしてきただけのエースくんの手に大げさに怖がってしまい、魔法で廊下の端まで吹き飛ばした。
「……これが事の経緯か?仔犬」
「そう」
マジカルペンを取り上げられてクロウリー、モーゼスさん、デイヴィスに囲まれながら尋問のように取調べを受けている。明らかな魔力の過剰放出も問題だし、コントロールできなかったのも問題。人によってはオーバーブロットに繋がるくらいマジカルペンの魔法石は真っ黒だった。
「お前が手を出すなんて珍しい……どうするんです、クルーウェル先生」
モーゼスさんがデイヴィスに尋ねる。
「仔犬、何故そもそもトラッポラと言い争いになったんだ?」
「……確か小テストの点数にイチャモンつけられたから」
「ふむ……故意ではないんだろう?青褪めたお前の顔を見れば分かる」
「うん……振り返ったら手があって…びっくりして…遠くにやりたくて魔法、使っちゃった」
エースくんに怪我がなくてよかった。
「……3日間魔法の使用禁止だ。マジカルペンは俺が預かる」
「分かった」
「早く仲直りしてこい…学園長からはなにかありますか?」
ぐしゃぐしゃになるまで頭を撫でられる。マジカルペンがなくても使える魔法もあるけど、それも使うなということだろう。クロウリーは充分な罰則ですと続けて反省文などはなし。
学園長室から出てすぐ医務室へ向かうけどもうエースくんは居なかった。保険医に聞けば寮に戻ったって。ハーツラビュルか…こういう時何か持っていったほうがいいのかな。
誰かと魔法を使うことになるまで口論になんかなったことない。同世代の子と話すのもここが初めてだから、普通の感覚が分からない。
とりあえず、時間をかけて気まずくなるより早めに解決したい。ハーツラビュルに向かって行き慣れたキッチンへ向かうとトレイさんが居る。
「トレイさん、あの…」
「おお、ナマエ!聞いたぞ〜、派手な喧嘩したんだって?珍しいなぁ……相手がエースとなると、あいつも何か言い過ぎたんだろ?」
「……わか、んない…私が魔法使っちゃったから」
「そんな凹むなよ…シュークリームの余り食うか?」
「いい。…エースくんは?」
「さっきフラっと寄って体育館行くって言ってたけど……あれ、お前なんか人探しするの得意じゃなかったか?」
「3日間魔法使うの禁止ってペナルティ中なの…ありがと、体育館行ってくる」
トレイさんにお礼を言ってハーツラビュルを出る。体育館に向かうとバスケ部が練習してるのが見える。覗いてもエースくんは居なさそうだ、赤い髪の毛が見えない。
「なぁにやってんの?チビちゃん」
「わ!……フロイドさんか、びっくりした…エースくん探してて」
「ふぅん……?なんかカニちゃんケガした〜つって購買寄って帰るって言ってたよ」
「購買……」
「なんかカニちゃんもチビちゃんも元気ねーのね、つまんな〜ケンカでもしたの?」
「……うん」
「はぁ!?マジ?……めっずらし、チビちゃんやり返すんだ」
フロイドさんがしゃがみ込んで来る。大まかな流れを話していくとフロイドさんはお腹抱えて笑い始めた。なんにも面白くないのに……。購買行ってみようと体育館を離れる。
「サムさん」
「おや、子鬼ちゃん……大変だったみたいだねえ、影から噂を聞いたよ」
「筒抜けなのね…エースくん見なかった?なんかずっとすれ違ってて」
「あぁ、その子鬼ちゃんならさっき購買を出て行ったよ」
どこへ行くかは聞いてない、と言うサムさんにお礼を言って購買を出る。どこに行くかな……ハーツラビュル?図書室とか…?どこに居るんだろ…。
結局図書室や中庭、居ないだろうけどコロシアムやグラウンド、校舎の隅々まで歩き回ってもエースくんは居なかった。そろそろ門限の時間だ、またデイヴィスに叱られてしまう……けど今日中に謝りたかったな…。ひたすら歩き回って疲れた、少し廊下で休もう。石造りの廊下がひんやりして気持ちいい。
「……何してんの、こんな真っ暗になるまで」
「!エースくん」
「足、靴ずれしてんじゃん」
「………気付かなかった、だからじんじんしてたんだ」
「何やってんのもー……ほら帰るよ」
手を差し出してくるエースくんに少しの違和感を覚える。
「…?」
あれ、スートの模様がいつもと逆…?
「エースくん、なんで今日スート違うの?」
「え……?あぁ、こっちだったか」
…ゴーストか。すっかり騙されちゃった。にらみあげるとケラケラと笑い声を上げたあと、半透明になってエースくんの姿からゴーストに変わる。
「もう眠い……」
ゴーストのしわざ…?もう力が入らない。…生意気にも私の体を狙ってるのね、このゴースト。呪いの瞳なのと加えてデイヴィスたちの防御魔法やらで魔力は底上げされてるし、魔法が使えるのなら放出し放題なんだろう。
「眠っていいんだよ、少しのあいだ体を借りるだけだから」
「家帰って寝ろ、ばかおチビ!……何やってんのお前…」
エースくんが2人いる。スートの位置まで同じ…でも少し遠いほうが髪の毛の赤色が綺麗な気がする。
「なんか眠くて…」
「シルバー先輩みたいなこと言ってんなよ!ほら行くよ、手掴むから」
デイヴィスにされるみたいに抱っこされた。首に手を回すと長い長いため息が聞こえる。
「どんっっっっだけ探し回ったと思ってんの?どこいたのマジで…」
「私も探してた…ハーツラビュルいって、体育館行って、購買行って…」
「……待って、ハーツラビュル行ったとき誰いた?」
「トレイさんがシュークリーム作ってた」
「……あの人まじかよ…オレん時はシュークリームのシュー生地焼いてた。ホラ吹かれた…クソ」
「エースくん、あの…」
「謝んないで。オレが先っしょ、どー考えても」
嫌なこと言った、ごめん!といきなり大きな声を出すからびっくりした。
「ご、ごめん……ぅ、あの…」
「おい泣くな泣くな!!!泣かせたっつってゴーストやら妖精やら絵画やらに追っかけまわされて大変だったんだからな!」
「だって、っエースくんに…まほ、当てるつもりじゃ……」
「だぁあ!んなの誰がどう見ても分かってるから泣くな!オレが更に怒られるでしょーが!!」
ゴシゴシと裾で涙を吹かれる。湿布の匂いがしてきてとっても申し訳なくなる。
「何を夜にギャーギャーと……エース・トラッポラと…ナマエか。また喧嘩か?」
「モーゼスさ、っひ…」
「深呼吸しなさい…全く幼子のように…トラッポラも困っているじゃないか。その様子だと仲直りしたんだろう?」
*エース・トラッポラ
1日まじで最悪だった。呼び止めようとしたナマエについ手を伸ばして目の色が変わった時にあ、やべやらかしたって気付いた瞬間に廊下の隅っこまで吹き飛ばされてた。
ナマエにしては手加減っつーか、もっと感情的な時は風とか刃みてえな攻撃が出がちって前クル先とかジャックたちから聞いてたから、オレを攻撃する気なんてないって分かってた。流石に数十メートル飛ばされて体はすぐ動かなくて、医務室へ運ばれたと思えばクル先と学園長に挟み撃ちにされて説教されるし、その帰り道には学園中のゴーストとか妖精に怒って追い掛け回された。
放課後謝りたくて色んなとこ回ったのにニヤニヤしてるばっかでトレイ先輩もフロイド先輩も誰も教えてくれなくて、最後寮の門限ギリギリまで校舎ん中探し回ってたらゴーストに乗っ取られそうになってるナマエをようやく見つけた。
顔合わせて謝ったら今まで見たことないくらい大泣きし始めてトレイン先生の腕の中にいる。
「……なんつってんの?先生」
「お前に怪我をさせたくなかったのに怪我をさせたから落ち込んでいると」
なんで聞き取れんの??…ナマエはさっきから一生懸命何か話しているが、もう泣きじゃくってるのとたぶん疲れとか眠さとかで呂律がほぼ回ってない。喋りはじめの赤ちゃんみてえな呂律でなにか言ってるからトレイン先生に翻訳してもらってる。
「大した怪我じゃねーって……もうお互いごめんってしたんだしいつまでも泣くなよ」
「……トレイン先生、これは?」
げ、クル先まで来ちまった。逃げられるはずがないので簡単に説明すると、泣きじゃくってるナマエを一瞥して察してくれたのか大変だったなって励まされた。
「また明日落ち着いて話せばいいだろう、仔犬…まるで赤ん坊だな」
「出たな親馬鹿…生徒の前だぞ、控えなさい」
「トレイン先生こそルチウスのように抱きかかえてらっしゃるのにですか?」
「ちょ、別のとこで喧嘩起こさないでくれます!?」
つーかクル先がナマエのこと溺愛してるのなんて学園中に知れ渡ってるし…!親馬鹿なの今に始まったことじゃないでしょ。
「ナマエ、明日1限前に迎えに行くから今日はクル先と早く寝ろ…つかオレも早く帰らないとリドル寮長に首跳ねられる!」
「あぁ、ローズハートには先に伝えておいたぞ。」
神…!クル先神!!これで首を跳ねられなくても済む、ラッキー!クルーウェル様だろって怒られたけどま、いっか。寮に戻ってデュースにも仲直りしたって報告してさっさと寝る。
なんとか眠い中起きて準備して約束通りクル先の教員室へ入る。……何回見てもすげえ、あのコートブランケットにして寝れるのこの世でお前だけだよ。
「仔犬、トラッポラが来たぞ…そろそろ起きろ」
「ん………?」
「おはよ。おきた?すンげー寝癖ついてる」
癖っ毛のオレの寝癖といい勝負してる。徐々に開いてきた目を合わせて昨日のことを尋ねると、トレイン先生が来たあたりからの記憶がおぼろげらしい……やっぱ眠くてあんな泣きじゃくってたってこと?まじで赤ちゃんじゃん。
「翻訳が必要なくらいには泣きじゃくってたけど…マジで覚えてねえの?」
「………ゴーストのしわざ?」
「100%仔犬自身の振る舞いだ、さっさと顔を洗ってこい」
少し顔を赤くして部屋から出ていったナマエを見送る。
「結構あるんすか?昨日みたいなこと」
「あんなに泣いたのは初めてだな…全く、普段仲のいいお前じゃなかったら躾直してるところだぞトラッポラ。……怪我は?痛むか?」
「いや全然。壁に背中打ったくらいなんで」
「ふむ……抑えきれない中でもコントロールが出来るようになっているのかもしれんな」
(いて)
(靴ずれしてるじゃないか仔犬…なぜ申告しなかった)
(忘れてた。ゴーストがモノマネしてたエースくんに言われたんだけど……)
(靴ずれするまで歩き回ってたんだ)
(ほんとに見つからなくて…いま魔法使用禁止中だから)
(なんで?)
(魔法での私闘は禁止だろう。それに該当するからだ、理由は置いといてな…靴のサイズがあってないのか?)
(合ってると思うけど)
(パカパカじゃん…ちょっとデカイんじゃねえの?)
(大きくなるもん、私の足)
(大きくなってから履くんだよ…足に悪いからサイズ合わせてもらいな)
エースくんは天邪鬼なところがあると思うので、謝りたいけどそっちも悪いじゃん!って素直に行動するまでにちょっと時間がかかるタイプで、今回二人ともお互いを探して動き回ってるので仲直りまでに時間がかかりそうだな…と。
謝ろうと決めて動き出したら意固地は直ってるので、すんなり謝罪の言葉が出てきやすそう。
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