26 こいぬ
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おすわり
*♥️
ちょっと前に鏡のせいで次元?を超えてやってきた異世界人の海賊の末娘、ニア。
いや?確かにリドル寮長と可愛い約束してたの俺らも見てたよ?俺もまたいつでも来いよ!とも言ったし、目を輝かせて見てたからトランプゲーム、またしようなって言ったぜ?
言ったけどさぁ…。
「……クワイエット!駄犬、この仔犬は?」
「あ、エースくん」
面倒くせぇ先生が担当してる授業中に来なくたっていいじゃん…!!!
今日の錬金術の授業、少しのミスが失敗につながる時を操る魔法薬作り。材料も希少で一部は自腹で用意。
やり直し効かないし、俺らが作れるものってことで効力なんてたかが知れてるけど、アレンジ次第では効力伸びるめちゃくちゃレアなレシピだから気合い入れてた…んだけど…。
ミリ単位で調整が必要な鱗粉、わざわざコショウの容器に入れて3振りしようとしたらピカピカと見覚えのある亀裂が入り、異変に気づいたクルーウェル先生に隠す前にニアが俺の前に降ってきた。抱き止めないと煮込んでる鍋直行だったから、腕を出したせいで鱗粉が3振りどころか結構入った。確実に失敗したし、クラス中の突き刺さる視線。
「………もしかして今、タイミングわるかった…?」
キョロキョロと周りを見渡し、何かを察したようなニアが眉を下げて小声で聞いてくる。
「……おぅ…ちょっと悪かった…」
*⚗️
「……あの…ごめんなさぃ…」
誰なんだ、この仔犬は…?明らかにしょげている子供…が小さな声でこちらへ謝罪をしてくる。
トラッポラ……。スペードと共に問題児だが、こいつの妹ではなさそうだ。
誰だ?と聞いても口を濁すばかり。当の本人の仔犬も自分の名前は言わない。
この仔犬から魔力は感じないが、この駄犬の前の空間に亀裂が入った登場の仕方は、魔法じゃなければ説明がつかない。
膝を折って屈んで視線を合わせる。
「…仔犬、トラッポラ…こちらへ。」
ざわめく駄犬どもに復習していろ、と告げ教室を出る。2クラス分歩けば空き教室だったはずだ。
「……で?」
じろり、トラッポラを見やると目を右往左往させながらも答える。
「いや、あの〜…俺の親戚の子です!」
「ほう?見たところ就学児くらいの年齢ぽいが、エレメンタリースクールにも行かず、平日に何故ここへ?」
「……不登校児でして…すみません…。」
そう来るか。
「…仔犬、エレメンタリースクールの名前は?ご両親とスクールに連絡しなければな」
「…エレメンタリー…?」
はあ?みたいな顔をする仔犬。駄犬の嘘についてこれてないのが丸わかりだ。
「では、君の名前は?」
「……ニア、」
じ、と目が合う。先程はすこし警戒していたようだが、目つきが少し優しくなると同時に口が開いた。賢いようだ。
「ニアか。…何故ここに?」
「あそびに…リドルくんは、おとーさんがいいよって言ったらまたおいでって言ってたから…」
リドル・ローズハートの名前が出てきて驚く。ハーツラビュル寮公認なのか?…やはり誰かの妹?…いや、だとしたらエースの挙動不審さが不可解だ。
「そう、か…空間転移魔法を使っていたように見えるが、お前くらいの年齢の仔犬に扱える魔法ではない。…1人で来たのか?」
そう聞くと頷く仔犬。
「クルーウェル先生、あの…」
おずおずと口を開くトラッポラを下から睨みつける。
「ようやく嘘をつくのをやめる気にでも?」
「…他言無用でお願いしたいんスけど…」
トラッポラからおとぎ話のような説明を受ける。
「……それを、俺に信じろと?」
「信じなくてもマジっすよ、俺もリドル寮長も…アズール先輩とかもコイツの船行きましたもん」
しかしハーツラビュルとオクタヴィネルの寮長・副寮長の名前まで出されてはな…信じざるを得ない、あいつらにまで幻覚を見せられるような魔力を持っているようには見えない。 異世界で海賊戦に乗っている…と説明された仔犬を見ると、すこし不安そうな顔でこちらを見ている。
「夜にきたほうがよかった?」
「バカ、夜はお前みたいな子供はさっさと寝るの。だから夜はもっとダメ」
「じゃあ、朝?」
「朝は俺起きれねー」
「…いつだったらよかった?」
少し震えるような声に思わず口走る。
「駄犬、口が悪いぞ。移るだろうが…仔犬、特別にお前の滞在を許可しよう。だが今は授業で薬を作る時間でな。
怪我をしてはいけないから、俺のそばに居れるか?」
あとで学園長にバレたら、と思ったが彼もトラブル好きな口なのでなんとか誤魔化そう。
「……わかった」
「グッドガール、いい子だ」
そう言って頭を撫でると目を瞑りきゅ、と口を結ぶ仔犬。本物の子犬のような仕草に胸がしまるような感覚に陥る。
*♥️
なんとか先生にお許しをもらって、戻ったあとクラスの奴らには従兄弟の子供とか適当なこと言って誤魔化した。
「駄犬ども、仔犬に群がってないで薬を完成させろ。一回きりのレシピだと分かっているのか?」
一回きりのレシピ、大失敗しちまったんだよなぁ…鍋を見てみると、完成は透き通るような黄色のはずだけどオパールみたいなカラフルな色が混じっている。綺麗っちゃ綺麗だけど…
「ほう、仔犬のおかげでここまで伸びたか」
「…え、これ失敗じゃないんすか?!」
「今回の授業中課題としては失敗だ。効能5分のレシピから効能が3日間に延びている、まあ伸びたのは仔犬を抱えた際の鱗粉の量だろう。まぐれで合格など認めん」
「3日!?そんなスゲーの作っちゃったの!?」
「Be Quiet!…トラッポラ、お前はどちらにせよ補習だ」
え〜マジかよと項垂れてると足元に悲しそうな顔をしているニアが居た。
「こら、先生から離れんなよ」
頭を軽く小突くと、もっとしょぼくれた顔になる。
「…エースくん、ごめんね?」
あーも〜!そんないかにも泣きそうな悲しい顔されたらこっちが泣かせたみたいじゃん!
「……お前は気にしなくていーの!…そういやトレイ先輩が言ってたんだけど今日のパーティーのおやつ、お前が好きなプリン出るってよ」
一丁前に負い目感じてんなよ、ガキンチョのくせに。
「え!ほんと?」
「ほんとほんと。……ハイほら、センセのとこ行く!」
一緒に食べようね!とニコニコと戻っていくニアの頭を撫でる。
「フッ、いい兄貴じゃないか」
「全員で揶揄うのやめてもらっていいすか〜!」
周りのクラスメイトまで野次ってきたので黙らせる。
(あ、デュースくんだ!)
(??!!?!!?え゛っ、くる、え、ニア!??!)
(落ち着けスペード、廊下で出す声の大きさを考えろ)
(はっ、すんません!!…な、なんで先生と…?いつのまに来たのか?)
(錬金術中にエースのとこに振ってきてな)
(魔法見ちゃった!すごかったよ!)
((やはり魔力はナシ、魔法にも触れたことはないか…))
(スペード、お前次の科目は?遅れるぞ…あと2分だ)
(やべ!…ニア、今日は僕たち夕方まで相手してやれないけど…先生といい子にしてろよ!リドル寮長には連絡しとくからな!)
(うん!デュースくん、またね〜)
エース・リアコッポラ…
