囲い込まれる・トリップ・男主
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タソガレドキ
*ミョウジナマエ
「無理………人の名前多すぎです……」
「ナマエくんは出来るよ。さ、もう少し」
まだあるの!?!!
この近辺の政治的な立場関係なんかをいきなり叩き込まれてパニック寸前だ。
とりあえずドクタケ城、タソガレドキ城は城同士、城主がいる分ライバル関係ではあるものの冷戦状態、雑渡さんはぜんぽうじくんに命を救われてから忍術学園の生徒たちにも目をかけている……というのはなんとなく理解したけど、そこの臣下の〇〇の息子の△△がとかになると人が多すぎて訳わからない。歴史のテストいつも酷かったのがここに来て苦しめられるとは……。
なんとか一段落するところまで話を聞いて、大まかに理解したおかげで辛い勉強会から開放。
「……雑渡さん、そういえばどうしてここに?」
「匂いを辿ってきたんだ」
「匂い?」
「うん……雪道にたどり着いたときびっくりしたよ」
「え、匂い?」
「臭いってわけじゃないですよ!」
なんてことだ、10代のこにフォローさせてしまった。でも匂いって言われたらさあ…!!!警察犬ならわかるよ、でも忍者とはいえ人だよ!?!なんかちょっと嫌だな…と思いつつ、話を聞く。
「そしたらここにたどり着いたの。数日前に一度伺ったんだけど、ナマエくんってばほんと死んじゃってるかと思うくらい寝込んでるから日を改めて来たんだよ」
「縁起が悪いですぞ、雑渡殿」
山田先生、とよばれた厳しい目つきの人が呆れたように呟く。
「まあたしかに雪道で眠い…死ぬかも…ってなりましたけど」
「君も乗るんじゃあない」
怒られた。ツッコミの人なのか。
「雑渡さんはどこで起きたんですか?」
「ん?自室。君のところ行く前に書物してたって言ったでしょ、その部屋。自分のことどうにか片付けて動けたのが帰ってきてから数日経っちゃってね……すぐに探しにいけずにごめんね?伊作くんが見つけてくれて良かった」
雑渡さんの大きな手のひらがオレとぜんぽうじくんに乗る。ぐわんぐわんと回されるように撫でられた。
「今後、ミョウジさんはどうするのですか?」
「そうじゃのう……」
「あ、私が連れて帰ります」
「タソガレドキ城にですか!?」
「ミョウジさんは一般人ですよ?」
山田先生、確か土井先生が雑渡さんに食い下がる。待って、そんな治安激やばなとこなの??嫌すぎるんだけど……。
「ぼ、僕もここで……おばちゃんの手伝いとかしてるほうが安全だと思うんですが…」
ぜんぽうじくんまで!?!雑渡さんの仕えてるお城…というか城下町?そんなにヤバイところなの!?!
「城下町からは外に出さないようにするし、何より……この子は私の見えるところに置いておきたくてね」
「3人が顔青くしながら申告するならオレは嫌なんですが」
「ん〜?なぁに?何か言った?」
「むー!!!!」
口を摘まれてろくに喋れなくなった。嫌だ、そもそもこの世が治安ヤバそうなのに群を抜いてヤバそうな雰囲気出されてるところ行きたくない!!
「大丈夫、私が側にいるから」
「苦無突きつけてきたくせに…」
「それは君が私のこと誘拐したのかと思って」
「雑渡さんのほうが泥棒ぽかったですよ」
「減らず口だ……」
ムニムニと遠慮なく触れてくる雑渡さんに本物か…?と思うけど、他に三人の忍者がいるのに見破れないわけない。結果雑渡さんの押しの強さでタソガレドキに行くことに。
でも最低でも月に一回は顔を出してほしい、とぜんぽうじくんが声を上げてくれた。息抜きということで約束の取り決めのように交わして部屋から出る。
見送られて正門から出ると、なかなか大きな学園だというのが分かる。さすが専門校。
「組頭」
「っ!」
え?下から生えてきた!?びっくりしすぎてよろけた。心臓に悪いことしか起きてない……。
「ふふ、怖がり」
「意地が悪いですよ…」
雑渡さんと同じ色だ。やっぱり派閥によって色が違う…ぽい?
「どうも。山本陣内だ」
山本さん。覚えやすくて助かる。
「オレはミョウジナマエです。お世話になります」
「ナマエくん、掴まって」
「え?」
嫌な予感しかしない。学園長から聞いたのか、ななまつくん(のジェットコースター)みたくはしないよと雑渡さんが笑う。掴まるって……どうやって?子供を抱っこする見たく腕に抱えられたので、左手を背中に回して肩の布を掴む。
「ここからタソガレドキは普通に歩いたら遠いからね、飛ばすよ」
「は、はい…」
「高いところ怖い?」
「ちょっと…」
「じゃあ頭ここに置いといて、見なくていいから」
言われたとおりにすると耳が寒いだろうと手ぬぐいをマフラーみたく巻かれる。ぎゅ、と腕に力を込めて抱きついてるような姿勢はちょっと恥ずかしいけど……落ちたら終わりだ。
何回かふわふわ浮いて冷や汗掻いたけど、確かにななまつくんのときより命の危険を感じなかった。大人と子供(なんとまだぜんぽうじくんもななまつくんも、15歳というのだから驚きを隠せない)の差だろうか。
「着いたよ、ナマエくん。お疲れ様」
「……ありがとうございます…」
「あらら、見るからに元気なくなっちゃった……」
オレ自身は飛んでないのに足がフラフラだ。ジェットコースターは高い場所というよりあのふわっと感がどうも苦手で。安全ベルトがあってもスポッて抜けて飛んで行っちゃいそうな気がしてすごい怖い。安全とわかっていても……だ。あと酔いやすいのもある。
「気分悪くなっちゃった?」
首を横に振る。深呼吸すれば大丈夫だから……呼吸をして、なんだか良い匂いがすることに昼過ぎに忍術学園を出たのに、もう夕日が落ちてる。
「……!」
「何かあった?」
「雪、反射して綺麗ですね」
「君、雪の中倒れてたのに雪好きなの?物好きだねえ……陣内、屋敷つれてって。あとで合流するから」
「承知しました……ミョウジさん、こちらへ」
「あ、は、はい!」
山本さんについていく。随分大きいお屋敷だな…‥使用人と呼ばれるような人たちもたくさんいるし、向こうも「誰だ?」って顔してる。一応全員に会釈をしながら廊下を進んでいって、畳がきれいな部屋に通される。
「ここが貴方の部屋です」
「……誰か使ってませんか?道具とか……そのままにしてある」
「あぁ、組頭の部屋でもありますからね」
……待って、ここでも二人暮らしなの?!
「や、あの、なんかこう…機密事項とか…あるでしょう」
「おや、組頭よりしっかりしてらっしゃる。私も止めたんですがね………どうしてもと聞かず」
「コンプライアンス……あ!金庫導入はどうでしょう?」
「ナシではないですが、貴方の釈明には弱いかと……くく、大丈夫ですよ。組頭から話は聞いています、未来の時代の、同じ倭の国…ただ、私たちは正史にはいない別の世界からいらしたんでしょう?貴方が機密事項を握ってもどうも活かせないだろうと組頭が」
「……なんかちょっと馬鹿にされてるような?」
「違う違う、因果関係とか分からないんだから悪さできないでしょって」
「わぁあっ!?!……も〜っほんと……一番早死する!!!やめてくださいってば、その登場の仕方!」
「忍んでナンボでしょ」
開き直らないでくれるかなマジで……!心臓止まるかと思った。いきなり声が聞こえた+振り返ったらコウモリみたいな雑渡さんと目が合うなんて思いつくわけない。思わず山本さんの背中に隠れたものの、二人してケラケラ笑ってる。
分かった、この二人意地悪なタイプだ。
しらーっとした目線を送っていると、気配が増えた。振り返ると更に二人増えてる。
「ふ、増えた」
「忍者だからね……左が高坂陣内左衛門、右が諸泉尊奈門」
雑渡さんがそう紹介して始めて頭を上げた二人に会釈。
「ミョウジナマエです、お世話になります」
「よろしく頼む……尊奈門、挨拶しろ」
そ、そんな首根っこ掴まなくても…。ちょっとムス、としていた尊奈門くんと目が合う。何かあったんだろうか?気が乗らないのに申し訳ないけど、顔は覚えた。
「ナマエくん、お腹空いた?」
「空いてきました……驚いてばかりなので」
「怖がりも直していこうか……厨にいこう」
頷く。たくさんの女中と呼ばれた人たちがいた。皆突然やってきた雑渡さんにめちゃくちゃビビっててちょっと申し訳なかった。
「丁度いい、紹介しよう。私の恩人のミョウジナマエくんだ、今日からこの屋敷に住まわせるから皆親切にね……そしてここからは他言無用に。ナマエくんはこの時代の人間じゃない。故に不慣れなこと、私らからしたら非常識なことを知らずして行動してしまうかもしれないけど……そうしたら教えてあげてほしい、よろしく」
「お、お世話になります」
頭を深々と下げてお辞儀しておく。そんな簡単に違う時代から来たこと言っても良かったの?と思ったけど、雑渡さんなりの考えがあるんだろう。オレより遥かに頭のいい雑渡さんに任せる。
「ねえ、ナマエくん。また炊き込みご飯作ってよ、今日はあれが食べたいな」
小ぶりな土鍋を差し出される。一人か二人分くらいのお米を炊くにはちょうど良さそうな。
「土鍋……おこげできて美味しそうですね」
「ね」
じゃあ作るか、と二人で厨に立つともう女中さんたちが私達がやるからと中々引き下がってくれず、結局オレが作ったご飯がいいとのことで、雑渡さんは見ててくださいとなった。
水が随分冷たい。井戸から汲んできた水を容器に入れてちょびちょび洗う。氷水?と錯覚したけど、雪が積もるこの里の井戸ならこんだけ冷たいのも頷ける。
「そしたら醤油とみりんと…ありがとうございます」
「いえ、他は何か?」
出汁のもと何てないしなぁ……何かだしの出るもの……そうだ!
「雑渡さん、キノコ食べられますか?」
「うん」
じゃあきのこいっぱい入れよ。刻んでいっぱい入れて、少しのお揚げとお肉。わ……これ、フーってやるやつ!?
「ふふ、やってみますか?」
見すぎたのか少し笑われてしまった……。吹きすぎると火力が強くなるからほそーくよわーく、それを維持する感じとアドバイスをもらう。
「………?」
「ふ、ふふ…ふっはっはっ!…そんなんじゃ蝋燭も吹き消せないよ、ナマエくん」
弱すぎたみたいで雑渡さんが転げるくらい笑ってる。
「初心者に意地悪じゃないですか?」
「だって、揺れてもないんだもん……あー笑った笑った…落ち葉が積んであって、それを吹き飛ばすんじゃなくて崩すくらいのイメージだよ」
「崩す……」
─────────────────────────────────
*雑渡昆奈門
「雑渡さんにはあげません」
「ごめんね?臍曲げないで、ナマエくん」
「山本さん、どうぞ」
「ありがたい…いい香りですね」
「わ、私のは…?」
ツン!とそっぽを向いたナマエくんの腹に腕を回して引き寄せる。もくもくとただでさえ小さい小鍋から茶碗にご飯を装って私以外に渡していく様子を後ろから見ることしかできない。
仕方ないじゃないか、可愛かったんだもの。
一生懸命吹いてるのに全然肺活力がないのか、炎が消えかけるまでになった。それがおかしくて可愛くて笑ってたら、拗ねちゃった。耳まで真っ赤にして俯くの可愛すぎてデレデレしすぎた自覚はある。
「………はい、どうぞ」
「ありがとうナマエくん、嬉しいよ」
「おこげなしですけどね」
「う……くれただけ感謝するよ…」
そうしょんぼりしてると尊奈門が差し出してきた。ナマエくんはまだまだ気配に疎い。全然気づいてない。いいよ、と首を横に振り、ナマエくんの機嫌を元に戻さなくては。
「雑渡さんだって……給湯器にいちいち返事してたくせに!」
「人かと思ったんだよ……壁が喋るなんて思わないでしょ?」
「壁じゃないですってば」
「壁?」
陣左がナマエくんに尋ねると、ナマエくんは給湯器、と自動で湯を張る機械の話をする。そんな便利なものが…!と尊奈門がキラキラしていた。
「で、一定量までお湯が貯まると「お風呂が湧きました」ってアナウンス……呼びかけてくれるんです。雑渡さんは毎回返事してました」
「もう、いいでしょそれは」
「女中さんの前でひっくり返って笑った罰です」
「ごめんね?」
精いっぱい可愛こぶれば陣内や陣左は驚くような顔で私を見ているものの、ナマエくんはこの私しか知らないからね。
「明日……」
「ん?」
「明日、かまくら作りたいです」
「かまくらって…雪のあの?」
「はい!」
にっこり!と元気な可愛い笑顔で頼まれたら断るすべはない。それで機嫌を直してくれるなら、尚更。
「手を打とう」
「やった!初かまくら」
こんなんで機嫌治っちゃうの可愛い〜…!ナマエくんのご飯美味しいよ、と感想を告げればまた嬉しそうに笑ってる。
(……組頭、さすがに驚きましたよ)
(え?ふふ、さっきの?)
(尊奈門が4度見くらいしてました)
(逆にナマエくんはあの私しか知らないからね…まあ最初ちょっと怖がらせちゃったけど)
(あ、あの…組頭。……確か足の指凍傷が行き過ぎて壊死しかけていたんですよね?かまくら作りは平気なのですか?)
(おや、尊奈門優しいね。ん〜明日の気温次第かな……あの子はかまくら作れなくても雪玉作れれば満足すると思うよ、雪が珍しいんだって)
(ほう……)
(そうだ、陣左。火傷の薬ナマエくんの分もこれからは用意して)
(……彼も火傷を?)
(今日じゃないよ?小さい頃にね……理由はまだ聞いてないけど)