料理人から溺愛される魔法使い・トリップ主♀
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宣言
*ナマエ・ミョウジ
こちらに来てからもう2年が経った。本来なら私はホグワーツを卒業して、研究職か魔法生物の保護活動をするために魔法省に勤めていた……かもしれない。そういう未来が物理的に遮断されてるのは悲しいけれど、ここでの生活も悪くない。薬の調合や可愛い海王類の怪我の治療なんかはできてるし。欲を言えばもっと魔法を勉強したい。
「ナマエちゃん」
「!」
チョッパーから借りた本とにらめっこをしていたら後ろから手が伸びてきて本が上にあがっていく。私が勉強すると体の心配をして本を取り上げてくるのは一人しかいない。
「サンジ……返して、まだ読みはじめて1時間くらいしか経ってないわ」
「1時間も経ったの?じゃあ休憩しねえと」
そんな調子で本は取り上げられてしまって、手元に来たのはあたたかいアッサムティー。1年ほど前くらいからサンジは拍車をかけて私に過保護気味になった。そりゃあ、ウイルスにかかってみたり、摂食障害の手前までなってみたりしたけれど……子供扱いされているようで、たまにムッとしてしまう。
「サンジ、私もう18になるのよ」
「レディはレディだろ?年齢なんて関係ないさ……それにナマエちゃんは無理しやすいし。寝不足で海に落っこちそうになったの1回だけじゃないしね?」
「ゔ………」
それを言われるとサンジの言うとおりにするしかない。はじめてサンジに寝ろ!と怒られた日でもある。
「ほら、シュークリームもあるから機嫌直して?」
「………ナミとロビンと扱いが違うもん」
「えぇ?そんなことないと思うけどなあ…」
そんなことあるから言ってるのよ。ジロリ、と睨みつけるとサンジが肩をすくめていた。
「こうは考えられない?……ナマエちゃんはレディの中でも特別扱いしたくなるって」
「…………え?」
言葉の意味がすんなりと入ってこなくてポト、とシュークリームを机に落とした。手元から見上げたサンジはいつもみたく優しい顔だけど耳がほんのり赤い。私の自惚れでなければ、サンジは……?
固まって言葉の意味を考えていると右手の手首を掴まれる。あ、指先に落としたシュークリームのカスタードついちゃってる…。
てっきりサンジがクロスで拭くのかと指先を見ていると、そのままサンジの口元に運ばれる。ぺろ、と舐められて大袈裟なくらい肩が跳ねてしまった。
「な……?!」
「はは、サクランボみてぇだね。ナマエちゃん」
「だっ…て……」
緊張してるのか、分からない感情のせいで手が震える。手首を掴んでいたサンジの手が指先に動いてきて、指先が絡まる。
「ナマエちゃん…そんな反応されると期待しちゃうんだけど」
「……だ、って…う…ま、待って!」
「待つよ?…ずっと待ってたけど、ナマエちゃんこのまままだと気付かなそうだからアピールしちゃった」
「〜〜〜〜!!!
*サンジ
「で?」
「あ、いや、えっと……」
「何したのかって聞いてんのよ!いくらサンジくんでもいたいけなナマエを弄ぶようなことしたらタダじゃ置かないわよ!」
眉を釣り上げたナミさんに詰め寄られて壁まで追い詰められてる。両手を上げて無罪を主張してる。観念してくれそうにないし、ナミさんの後ろにはロビンちゃんも居る。
観念して、さっきの出来事を話す。
「ふぅん?サンジくんってば、ナマエに随分お熱だと思ってたけど……」
「ナ、ナミさん……あんまり揶揄わないでくれよ……!」
「フフ、分かりやすいものね。……けれど、あの子は貴方と違って奥手なの。いきなり距離を詰められてパニックになってるわよ」
「ぅぐ………そ、それはおれも手順を間違えたと思ってるけど…」
「そうよ、キザ慣れだってしてないんだから!誠実に!手なんか出したらブっ叩くからね」
「レディの合意がないのに手なんか出さないよ!」
二人に散々揶揄われ、ケーキや紅茶でなんとか協力を約束してもらえた。未だにベッドから出てこないナマエちゃんの様子を見てきて良いと許可をもらえたので、いろんな意味でドキドキしながらレディの部屋へ。
「ナマエちゃん、あの……サンジだけど」
ノックをして声をかけるも、無音。寝ちゃったとか…?開けようか開けまいかすごく悩む。
「ナマエちゃん、開けてもいいかな?」
そう尋ねるとドアが開いた。膨らんだベッドの中から腕が伸びているので、魔法で開けてくれたんだろう。
「ナマエちゃん」
唯一見える指先を摘んで手を繋ぐ。ぴくりと反応してる。親指でナマエちゃんの手の甲を撫でるようにして声をかける。
「ナマエちゃん、あのさ……なんつーか……えっと…おれ、こんなんだしレディには全員優しくっていうのを命と同じくれえに大事にしてるから、遊びとか冗談って捉えちまうかもしれないんだけど……おれ、本気でナマエちゃんのこと好きなんだよ」
ナミさんにも言われたけど、もし『誑かしてる』『弄んでる』と思われてるなら早めに誤解だと払拭しておきたい。
「サニー号の皆のことは家族みてえだと思ってるし、ナマエちゃんのこともそうなのかなって最初は思ってたよ…でも、ナミさんたちとは違うんだよ。おれは、一人のレディとしてナマエちゃんのことを大切に想ってる……それだけは忘れないでほしいな。……ただ、さっきは…その、いきなりごめんね」
頭がうまく働かねえせいでまとまりのない言葉になってしまった。しばらく無言が続き、ナマエちゃんの様子は繋いでる手でしか分からない。おれにされるがままで手の甲を撫でられているから、拒否はされてねえ……のか?
「……」
「うおっ」
いきなりバフ!と掛ふとんを捲り上げたナマエちゃんと目が合う。蹲まりながら、少し前におれがナマエちゃんにプレゼントしたうさぎのぬいぐるみを抱きしめていたらしく側に置いてある。大事にしてくれてるんだ、と思うと嬉しくなって口角が上がっちまう。
「………な、に笑ってるの」
「…おれがプレゼントしたそのぬいぐるみ、大事にしてくれてるんだって思って」
「……ま、枕にしてるだけだし」
ナマエちゃん、照れると素直じゃない。そこもまたいつも素直なナマエちゃんとは違くて可愛らしい…けど今それを口にしたらナマエちゃんはパンクするだろうから秘密にしておく。
「うん、嬉しいよ」
「………」
あら、真っ赤になっちまった……もしかしなくてもナマエちゃんってかなりピュアなのか?たしか……11歳から魔法の学校に通い始めて、16になる手前でここに来たっつってたから………少なくとも5年位は共学で生活していたはず。こんなに可愛いのに言い寄られた経験とかねえのか?
「ねえ、ナマエちゃん」
「……なに…?」
「おれは…ナマエちゃんのこと特別大事にしたいって思ってるんだけど、ナマエちゃんは……嫌?ナマエちゃんが嫌だったり怖かったら、すぐやめるよ」
サニー号は狭い。ナマエちゃんが居づらくなっちまったら元も子もない。おれだけの欲望を一方的にぶつけるわけにはいかない。
「………」
……すっげ、首まで真っ赤……。耳からみるみる赤くなるナマエちゃんは色白だから真っ赤になるとすぐ分かっちまう。
「……わ、わかんない…」
「……じゃあ、これは?」
両手の指を絡ませて恋人繋ぎをする。ぎゅ、と力を込めると、ナマエちゃんは指先まで真っ赤になってる。手を引いたりする様子はねえから、期待してもいいんだろうか。
「……嫌じゃ、ない…」
「そっかぁ」
そのままナマエちゃんのオデコにおれのを合わせる。随分顔が小せぇ。
「嫌じゃないなら、ナマエちゃんにこれからもアピールしてもいい?」
「……うん」
「ありがとう、レディ」
今嫌がられたりマイナスじゃねえってだけで充分だ。信頼してくれてるってことだろうし……何より、護身術を教わるとか船の設計を詳しく聞くとクソマリモやフランキー、ウソップと度々いるのを見かけはするがおれといる時とやっぱり反応がどうしても違う。
「……可愛い」
「…!揶揄わないで」
「揶揄ってねえ、本音だよ」
「……」
あら、また俯いちまった。恥ずかしいんだろう。こんなに可愛いのに可愛いって言われ慣れてねえとはな……。魔法界での野郎どもは高嶺の花と遠ざかっていたか、ナマエちゃんが奇跡的に見つかっていなかったか……。
「ナマエちゃん、シュークリーム……食い直さない?一緒に」
「わ、わかった……」
「ふはっ……ほんと可愛いね、ナマエちゃん」
ふわふわの毛先を掬って唇を落とす。前、湿度の高い海域でナマエちゃんが部屋から出てこなくなったことがあった。またご飯が食えなくなったのかと焦るおれに、半泣きでナマエちゃんは髪の毛がまとまらないと溢してきたことがある。ナマエちゃんはどんな髪型でも姿でも可愛い。
「……〜〜っ!」
ぼふ、と顔に何かを押し付けられた。なんだ?と後ずさって見れば、おれがあげたぬいぐるみのうさぎ。ナマエちゃんにはまだ手を繋ぐくらいの距離感が精一杯のようだ。徐々におれのことを特別にしてくれりゃあ良い。
「じゃあ待ってるね」
(ナマエ………アンタ熱でもあるの?)
(ない……)
(フフフ、サンジも苦労するわね)
(……ロビンたちがああするように言ったの?)
(違うわ、いたいけな乙女に手を出すなって忠告した方よ!失礼しちゃうわ)
(ねぇ、ナマエ。たとえば……サンジでも、そうじゃなくても。貴方のパーソナルスペースに誰かが入ってきて、怖かったり嫌だったら言葉にしていいのよ。難しかったらナミにでもいいし、私に教えてくれる?)
(うん……分かった)
(いい子ね……ほら、キッチンでシュークリーム用意して待ってるから早く行ってあげて)
(ナミたちは?)
(私達はさっき食べたわ、それに……ねえ?レディを口説く紳士の邪魔はしたくないし?)
(レッ……レディじゃないし)
(レディでしょ?もう18なんだから)
(行ってらっしゃい………ふふ、楽しくなりそうね)
(サンジくん、何ヶ月でナマエのこと口説き落とすかしら)
(……半年はかかりそうね、ナマエはきっと始めてでしょうし)
(そうねぇ……元のところでも一切なかったのかしら?あんな可愛いのに。海賊女帝みたいなトンデモ美女がいたとか?)
(そういった話は聞いたことないけれど……興味がなかった、が案外正解かもね。勉強してる時本当に楽しそうだもの)
(あ〜〜〜………1年、気長に見守ろうかしら)
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