シャンクスに懐かれる・審神者主♂
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現実逃避
*ミョウジナマエ
あぁ……なんだここ。ぐるぐると見渡して立ち上がる。崖下には街があって、海に囲まれていて隣接する島は少なくとも眼下では確認不可能。
守り刀は……ある。短刀を胸元から出して目を瞑ると、刀である
「主、ここは…?」
「よかった……分からない、けど…本丸じゃないと思う。近くにもなさそうだし…でも爽夜が居てくれるなら安心だな」
「用心していきましょう。主、こちらへ」
二人で崖下にある街へと向かって降りる。意外と賑わっているものの、本丸に結びつきそうなものはない。皆洋服だし、明らかに日本じゃない。
「ん……?」
何か物音がする。路地裏からだ、この島は観光地っぽくて島の住民の子供もちらほら見かける。子供が何かに巻き込まれてる可能性もなくはないので様子見する。
赤い髪の……マントを羽織った人と足元に倒れている男たち。武器をいくつか落としているので、きっと赤い髪の人に喧嘩をふっかけたりスリをしようとして返り討ちに合っているのだろう。子供や女性が居なさそうなのでこっそりその場を後にして、そこら辺の屋台の人たちから島の名前や世界地図がないかを尋ねていく。
島の名前やどういう島かは分かった。やはり観光地らしく、フルーツが名産なんだとか。気候や町並みはシチリアに似ている。オレンジやレモンが名産品で海に囲まれた島だから海産物も多いのも似ている……。通貨は『ベリー』、試しに聞いてみた日本という国名は知られてもいない。
「バグか何かかな…異世界に飛んじゃう系の」
「主、ここに来る直前の記憶はございますか?」
「うーん……確か道場で何振りかと稽古していたような…本丸内にいたよ」
でもこんのすけからは特にそういったバグについて報告は上がってなかった。戻れるのかもわからないならこれは事件性があるから、政府の早急な調査が入りそうなものなのに。
「なぁ、アンタ」
「は………」
「よぉ、探したぞ。うまく逃げ回ってたな」
さっきの赤い髪の人だ………いや、でっか??!太郎太刀くらいある。太郎太刀くらいあるだけでデカくて驚くのに、長曽祢虎徹を上回るくらい筋骨隆々すぎてなんか分厚い。壁が歩いてる…?
右腕を掴まれ、固まっていると爽夜が睨み上げている。抜刀はしてないけど…合図次第で抜きかねない。
「主からお手を離しなさい、これは警告です」
「おぉ?変わったの連れてんだな……名前は?さっき見てただろ」
「いや、物音がしたので……ナマエ、です」
「ヘェ……俺ァシャンクスってんだ。ナマエはここの島民か?」
「?いえ、違いますけど…」
「ほう、じゃあ1人…いや2人旅か?」
「ま、まぁそんなとこです」
何を急に…?掴まれた腕が少し緩まる。目元の傷が痛々しい。綺麗な赤色の髪だ、抜丸みたい。ふとシャンクスさんの腰元の長剣に目が止まる。随分と業物のようだ、霊力を感じる。圧がすごいのはこの剣の霊力もあるのか。
「俺も船で旅をしていてな……だが俺の船以外に港に船は停まっていないはずだが、どういう経路でこの島に?」
「え、と……」
「もし、主と話をしたいのならその手を離しなさい」
爽夜がそう告げるとようやく右腕から手が離れる。
「すまねえな、ようやく声をかけれたもんだから」
「さっきの件ですが、知り合いの方にここまで乗せてきてもらったんです」
それらしい上陸理由を述べるとシャンクスさんの目が細まる。その知り合いは?と更に詰められるので、もう出港したと嘘を重ねる。崖の上でさっき起きましたとか言いたくても言えない。
「図書館に何か用だったのか?」
「世界地図を見たくて…ただどこにあるか分からなくて」
「世界地図ぅ?……変なモン見に来るんだな、俺の船の航海士ならいくつか海図や地図の本なんか持ってると思うが」
航海士…そうか、船で旅をするならその役割の人が必要になるのか。
ついていき、想定していたよりも5倍大きい船に乗船させてもらい甲板で待っているとジロジロと見られる。すごく居心地が悪い……。
「おん?なんだぁ、どうしたチビ」
ち、チビ?振り返ると少しいかついお兄さんが立っている。
「あ、いや…シャンクスさんに地図を見せていただけると」
「船長に?……ほぉ…、なんだお前航海士か何かか?」
「いいえ」
そんな押し問答をしてると、本をいくつか持ったシャンクスさんが戻ってきた。表紙の時点で察したけどよ、読めない……。文字が英語だ。単語ならまだしも文章だと読めやしない。
「主、こちらを」
「?」
「形が異なります……根本的な原因は不明にしろ、ここには本丸など私たちに縁のあるものは存在しないかと」
爽夜に渡された世界図をどの角度から見ても日本はおろかアメリカやロシア、ヨーロッパの諸国がない。全く異なる世界というのが裏付けされた。
「……困ったねぇ」
「どうも、こちらはもう不要です」
爽夜がシャンクスさんに本を返す。今後どうしようかな…お金を稼ぐにしても身分が証明できないオレを雇ってくれるところなんてあるのか…?かと言って盗みなんかは絶対にしたくない……。
「なぁ」
「!?」
顔が目の前にあって思わず仰け反る。腰が痛い……。
「困ってるなら話くらいは聞いてやろうか」
「結構です、主から離れ…もごっ」
「主に聞いてんだ」
「……爽夜から手を離してください、乱暴な扱いは許しません」
「ん、悪かったな」
ぱ、と爽夜の顔から手を離したシャンクスさん。どんだけ手大きいんだ……。片手で爽夜の顔半分が隠れていた。
「……恐らくですが、オレたちはこの世界の者ではありません」
「………はあ?!」
少しいかついお兄さんは大声をあげて驚いているものの、シャンクスさんは少し微笑むくらいで表情を変えやしない。ある程度予想できてたんだろうか?
「多少ですが……爽夜もオレも腕は立ちます。雑用もこなします、次の島までで構いません。この船に置いてくださいませんか」
「お、頭……まじかよ?」
「……気配が独特だと思ってはいたんだ、異世界人か……じゃあ俺と手合わせしてくれよ」
「て、手合わせ?」
「おう。腕が立つんだろう?」
多少って言ったよね?ゾクゾクとする気が流れてくる。なんなんだろう、この人のオーラ的な……。
「主、いかがしますか?」
「ん〜……爽夜、本体になってくれる?」
「かしこまりました」
「あ、先に!刀の手入れできる道具などありますか?」
「あぁ、剣でも刀でも手入れは可能だ」
なら一安心。爽夜本体を持ち直して構える。
「いくぞ」
ぞわっと肌が粟立つがなんとか足を踏ん張って動きについていく。今初めて気づいたが、シャンクスさんは片腕がない。なのに見た目にそぐわぬパワーと、見た目にそぐわない素早さでついていくのに必死だ。長剣を抜かれた瞬間に霊力が流れ込んできてフラフラとしたが頭を振って視界に捉え直す………爽夜を折るわけにはいかない。
「ほう、筋がいいな」
「う、わっ」
長剣を短刀で抑えるなんてなかなか厳しい。ぐぐぐ、と体重をかけて上から押されるのをなんとか押し返す。爽夜、ごめん……苦しいな。
受け流して体制を整えようと振り返った瞬間に肩を回し蹴りされた。本丸で手合わせするときはこういう……全部ごちゃまぜの戦い方をする男士は居なかったから対処が遅れる。ある意味型破り、爽夜あたりは『卑怯』と言いそうな戦い方だがまあ一理はある。
「ぐっ」
「主さま……」
「おお!?どっから出てきたんだ??!」
体制を崩したオレとシャンクスさんの間に爽夜が顕現し、シャンクスさんが嬉しそうにそう尋ねてくる。
「卑怯な……剣を持つものなら剣で戦え」
「おいおい、海賊に卑怯も何もないだろ」
「「海賊……??」」
爽夜と発言が被る。たしかに頭上の帆にドクロマークがある。海賊ってイメージはピーターパンのフック船長かカリブの海賊のイメージしか沸かないけれど……。
「賊…?フン、そのグリフォンも聞いて呆れる」
「ほぉ、名前が分かるのか?」
「当たり前だ、同じ刀と剣なのだからな……主、動けますか?」
「うん、大丈夫」
バトンタッチ。再び本体に戻った爽夜を構え直すとシャンクスさんが不思議そうにこちらを見つめてくる。
「……おい、さっきのやつは?」
「ここに」
理解も納得もしてなさそうだったけど手合わせ再開。油断していれば足技が来ると構えていれば、なんとか対処はできるようになる。受け流したりするくらいでやり返せはしないけど。
「………いい腕だ」
首元に長剣をあてられて気が気じゃない。疲れた、何十分やってたんだ……?オデコから汗が伝う。
「ふぅ……」
「主さま、霊力過多では?」
「そぉかも……くらくらす、る…」
「おい、大丈夫か?!貧血か?」
う、シャンクスさん……心配してくれるのはありがたいけどその長剣を遠ざけてほしい……。完全に霊力酔いだ。
「グリフォンを遠ざけてください、それかお前が遠ざかりなさい」
「お、おう…?」
素直に遠ざかってくれたおかげでほんの少しだけ目眩が軽くなる。目を瞑って蹲ると爽夜が背中を擦ってくれる。
「なんだなんだ、つーかこいつら誰だ?!」
「病人か?頭」
「いや、手合わせしてたんだがなんか急にフラフラしだしてよ……覇気は出してねえ!!」
(貧血ではありません、説明するためにもまずは主を横にさせてください)
(お、おう?主?)
(今は呼び名や関係に疑問を抱いてる場合ではないでしょう!救護室はどこですか?)
(ホンゴウ、案内頼む)
(こっちだ……顔赤えけど熱とかでもねえのか?)
(はい、異なります)
(頭、こいつらは一体?)
(拾った!)
(私たちは犬猫ではありませんが!?)
※念の為の補足※
主人公は審神者歴10年になります。
オリジナル短刀:
審神者として選出された際に守り刀が必要、と母から受け継ぎました。
爽夜ちゃんは短刀ちゃんにしてはキリッとした顔つきで雰囲気は同田貫正国に似ています。本丸で先生と呼んで後をついて回っていたのは抜丸。
ミョウジナマエ
ミョウジ家で初の男子。女系家族で祖母が審神者。母は霊力が弱いものの、祖母の鍛錬のおかげもあって?霊力をめきめき身につけて審神者として選ばれる。ひとり息子で箱入り息子のまま本丸へ向かったので、『本丸息子』と初期刀の陸奥守吉行に揶揄われている。
年齢は29。結婚を意識し始めたが、あまりに過保護な刀が多すぎて早々に諦めた。(本丸息子なせい)
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