藤吉夏鈴
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………………………………。
『ひっっっ』
藤吉「おかえり」
『…た、……たただいま…かえりました…』
深夜2時。
ゆっくりゆっくりがちゃん、と鍵開けて中に入る。
靴の音が聞こえないようにそっと地面を踏みしめて侵入した。
廊下もリビングも真っ暗。
玄関に座って靴を脱いで振り返ったら0距離に何かいた。
『……ごめん…、なさい』
ご飯を食べたあとカラオケ行って、「23時ぐらいに帰る」って連絡いれて、そっから無駄な盛り上がりを見せてお店を出たのは1時過ぎ。
夏鈴:わかった
返信がこのくらいは平常運転。
夏鈴なら、これは普通。
遅くなるのは時計を見れば一目瞭然
追加で連絡しないとなと思ったけど、
怒られるだろうなってのが半分と
ちょっとビビったのが半分と
さすがに寝てるよな…?と思ったのがちょっと。
頼むから少し前の自分消えてくれ。
藤吉「夏鈴が同じことしたらブチギレるやろ?」
『はいぃ…』
藤吉「夏鈴がいつまでも「今度は気をつけてね」で許してくれる優しい彼女と思ってる?」
『………それはちょっと…ひぃっ』
藤吉「なに?」
『おもっへないでふ』
頬をふにゃっとどころかちゃんとびぃ〜っと引っ張られて結構真剣に痛い。
酔いが冷めそう
夏鈴だってこういう時連絡遅いもんとか
誤差だ!とか
いろいろ言いたい引き出しはあるけど
言い返したら本気で私の身が危険。
何より夏鈴の目が据わりすぎてて笑えない。
藤吉「よく帰って来れたな」
『夏鈴もよく起き「どっかの誰かが帰るゆーてから3時間も帰ってこんからな、連絡もつかへんせいでな」
『ごめんなはい』
藤吉「反省はしてる?てかして?」
『は、い』
藤吉「ほっぺ痛い?」
『いひゃいです、』
藤吉「心配してたのわかる?」
『もひろんです』
藤吉「何で帰ってきたの?」
『タクシーできまひた』
藤吉「ん、えらいね。歩いてだったら発狂してた」
伸ばされた紅潮のほっぺはやっと解放されて、夏鈴の指に挟まれていた肉がやっと動き出せて話しやすい。
さっきまではひはひしてたからほんとに恥ずかしい。
しゃがんでた夏鈴が
ふ、と笑って目がくしゃっとなってくれたので、
いつも通りくだけて話を返してみる。
『近くだったから歩こうと思ったんだけどね〜』
藤吉「……は?」
『あっ、』
あ、もう今日喋るのやめよ
口開いたら殺されそう
変なこと言いそう
靴を脱ごうとしてた手を再開させたのに夏鈴の声で手が止まる。
ひどく冷たい目が降り注いで、やばって雰囲気に包まれると夏鈴が立ち上がって腕を組んだ。
『あの、いえ、いえは』
藤吉「はいんな」
『はいんな、?』
藤吉「玄関住み」
『げんかんずみ、?』
藤吉「家なき子」
『かりん〜』
藤吉「はぁ…、」
ため息をついた夏鈴がまたしゃがんで、
膝の関節がぱきぱきっと鳴ったのが響いた。
向き合うように膝をついて上半身を丸める
土下座にも似たこの態度でどうか許してほしい
ふ、と笑う夏鈴にぞっととしてめっちゃ抱きついた。
抱きついたら組んでいた片腕だけが背中に回ってぽんぽんと長い指で背中をタップされる。
藤吉「もうしない?」
『しない』
藤吉「2度はない?」
『ないです、連絡します』
藤吉「あとそんな短い服着るのもあかんな」
『……みじかいかな、?』
藤吉「夏鈴が言うから」
『短いです』
藤吉「早よ風呂入って寝よ」
『……家入って、いい?』
藤吉「はよ入り、外ちょっと寒かったやろ」
『夏鈴〜!』
藤吉「笑笑笑。許したらこれや」
ぎゅうっと抱きしめる力を強くすると、ふふふと笑ってるのが聞こえて「あぁもう怒ってないなぁ」って感じる。
この瞬間が好きで夏鈴との仲直りが大好き
喧嘩はキライだけど
『夏鈴もう怒ってない?』
藤吉「怒ってないよ」
『仲直り?』
藤吉「なんでそれ毎回聞くん?笑」
『知りたいから』
藤吉「はいはい、仲直り仲直り」
『お風呂行ってくる』
藤吉「早くして、夏鈴眠い」
『やっぱ眠いんだ』
藤吉「なまえきたら眠い」
『失礼じゃない?』
藤吉「やっぱなまえ玄関に住む?」
『かんべんしてください』
おわり